あなたのチームには、チームの足を引っ張ってしまう人っていませんか? 例えば、この人だけ仕事が遅い、他の人に比べてミスが多い、成約件数が一人だけ少ない、他の人のような情熱が感じられない、といったような人のことです。

仕事は、チームで進むことが多いと思います。チームを構成するのはメンバー一人ひとりですから、メンバー個々のパフォーマンスはチームとしての業績にも直結してきますよね。いくら他のメンバーが優れていても、チームの中に一人でも足を引っ張る人(行動面でもメンタル面でも)がいれば、チームの業績は落ち、あなたのチームは「業績の悪いチーム」「やる気のないチーム」という評価を受けてしまいます。

チームを率いる立場にいる人は、パフォーマンスレベルの低いメンバーをうまく浮上させてやらなければなりません。「どうしてこの人だけ出来が悪いんだ」などと不満に思っているだけでは、個人の働きもチーム全体の業績も、向上しないのです。あなたはそんな時、リーダーとしてうまく振る舞い、メンバーを鼓舞することができていますか?

どうしたら、上手にチーム全体の働きを底上げすることができるのか。今回はその方法を考えてみましょう。

期待が人の成長を助ける

人間の成長を大きく助けてくれるもの、それは周囲からの「期待」です。

実は、人間は、周囲から期待されればされるほど成長が速くなり(ピグマリオン効果)、逆に見放されると成長が止まってしまうという性質(ゴーレム効果)を持っています。

ピグマリオン効果は、以下の実験でその効果が実証されています。

1964年春、教育現場での実験として、サンフランシスコの小学校で、ハーバード式突発性学習能力予測テストと名づけた普通の知能テストを行ない、学級担任には、今後数ヶ月の間に成績が伸びてくる学習者を割り出すための検査であると説明した。
しかし、実際のところ検査には何の意味もなく、実験施行者は、検査の結果と関係なく無作為に選ばれた児童の名簿を学級担任に見せて、この名簿に記載されている児童が、今後数ヶ月の間に成績が伸びる子供達だと伝えた。
その後、学級担任は、子供達の成績が向上するという期待を込めて、その子供達を見ていたが、確かに成績が向上していった。

(見やすさのため、筆者にて適宜改行した)
(引用元:Wikipedia|ピグマリオン効果

つまり、子供たちが担任からの期待を感じ取ったことが、成績の向上につながったということなのです。

ですから、成長してほしい人には、「お前はやればできるんだ」と期待をかけてやることが有効。リーダーであるあなたが、仕事のできない人をなんの期待もかけずに見限ってしまったら、ゴーレム効果が発動してしまいます。パフォーマンスが上がってほしい人であるはずなのに、逆に成長を妨げる結果となってしまうのです。

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期待は言葉よりも態度で伝わる

でも、現時点で仕事のできない人に期待をかけるのは、簡単なことではありません。

「期待をかけるなら、そう言葉で伝えればいいじゃないか」と思った方は要注意。目は口ほどに物を言うということわざにもあるように、いくら期待の言葉を発しても、本心でそう思っていなければ相手の心に響かないものなのです。

心理学者のメラビアンによると、コミュニケーションにおいて言葉がメッセージ伝達に占める割合はたった7%しかないとのこと。残りの93%の情報は、口調や声のトーン、ボディーランゲージで伝達されます。

口先だけで期待の言葉を並べたとしても、声や仕草は本心を雄弁に語ってしまうものです。相手に本心が伝わってしまったらむしろ逆効果。成長の芽を摘んでしまう結果となります。

ならばどうすれば、心を込めて期待することができるのか。まず必要なのは、あなた(リーダー)自身の意識改革です。「この人は仕事のできない人だ」という認識を改めない限り、成長を促進する期待をかけることはできません。

そこで有効なのが、「リフレーミング」という手法になります。

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人に対する見方を変えよう

リフレーミングとは、物事に対して人が認識する意味を変えるために、その人の持つ思考の枠組みを変えること。

ビジネスにおけるリフレーミングの例を分かりやすく示しているのが、以下のエピソードです。それは、靴メーカーの2人の社員がアフリカのある国に市場調査に行った際の話。

その国では、靴を履く文化がなく、全ての人が裸足だったため、

1人の社員は「この国では、靴は全く売れない」と報告し、

もう1人の社員は「この国は可能性のある市場であり、靴を履く文化を醸成することさえできれば、非常に大きな市場になるはずだ」と報告した。

(引用元:NAVERまとめ|考え方を「リフレーミング」して、前向きな思考を身につけよう

2人の社員は同じ対象を見たはずなのに、そこから導き出した結論は全くの逆。片方の社員が進出不可能だと切り捨てた国を、もう片方の社員は大きな市場として捉えたのです。このように、見方さえ変えれば、それが持つ意味合いは簡単にひっくり返ります。

この手法を、今回のテーマである「仕事の出来が悪い人」に当てはめてみましょう。

仕事の遅いメンバーに対して、仕事が遅いと罵るのは簡単です。しかし、遅いのは慎重にやっているからであって、実は大きなミスが少ない理由なのかもしれません。彼は仕事のスピードが遅い分、たくさんの仕事を任せられる人間ではないが、ミスのできない仕事を任せるのに適した人間だ、と評価することもできるということです。

パフォーマンスのレベルが低いメンバーに、うまく期待をかけてなんとか成長を促したいと考えているなら、そのメンバーに対する考え方を一度改め、隠れた長所を発見してあげてください。

普段の思考は言動に表れるもの。先ほどメラビアン効果のところで述べた通り、本当に期待をかけている相手には、言葉に出さなくとも態度からそれが伝わります。相手がそれを感じ取れば、期待に沿って成長してくれることでしょう。ひいてはチームの成長という結果にもつながるはずです。

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チーム全体の士気向上や業績アップのためには、優秀なメンバーを育てることも大事ですが、チームの底上げを図ることも大切ですよね。チームを率いる立場としてうまく行動することができているかどうか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

(参考)
Wikipedia|ピグマリオン効果
Wikipedia|アルバート・メラビアン
東洋経済ONLINE|なぜアナタの「褒め方」はどこか白々しいのか
NAVERまとめ|考え方を「リフレーミング」して、前向きな思考を身につけよう