マニュアルだけでは成果はでない! "強いチーム" の作り方。

あなたのチームは「団結力がある」「みんなが同じ方向を向いている」と言えますか?

会社という大きなチームから、部署やプロジェクトのチーム、バイト先のシフトグループに、大学のサークルに至るまで、大小の差はあれど、チームは複数の人が集まって構成されています。メンバー一人ひとりの意志がバラバラで、前に進まない。チームと一丸となって目標を達成しようとするマインドが盛り上がらない。あなたのチームにそのような悩みはありませんか?

今回は、団結力を高め、成果を出すチームビルディングの方法をご紹介しましょう。

成果をあげるには「方向性の統一」が大事

成果が上がらない理由は無数にあります。メンバーのスキルが足りないのか、そもそもの目標が高すぎるのか、外的要因に左右されているのか……。

しかし、その中で最も根本的で重要なのが「組織としての方向性・考え方の統一ができていない」ということです。

考え方が様々なメンバーが集まっているのだし、それを無理に統一するのは無意味。そんなもの統一できていなくたって、マニュアルを作成し、きちんと指示を出しているから、問題ない。そんな声が聞こえてきますね。

しかし、多数のメンバーがいるからこそ、根底にある考え方や方向性は統一させる必要があります。それは、常にマニュアルや指示を参照できるわけではないし、指示・マニュアルではカバーできないことが起こりうるから。

例えば、あなたが大きなコールセンターを率いるリーダーだと仮定しましょう。センターにいるメンバー50人全員の業務の様子を常に把握することはできません。さらに、それだけ多くのメンバーがいれば、自分の出した指示や作成したマニュアルの想定外のトラブルが起こることだって考えられます。そんな時、指示やマニュアルといった行動レベルに落とし込んだものだけでは、対応が困難。なければならないのは、どういう方針に沿った行動をとればよいのかという指針や判断基準です。

企業という大きなレベルでいえば、「理念経営」という言葉があります。理念経営とは、企業理念を貫いた経営を行うこと。会社がめざす目的や、共有すべき価値観を浸透させ、社員全員が同じ方向を向くことを大事にする経営手法です。

人材育成コンサルティング会社のPISは、チームの方向性統一に関してこんなことを語ります。

社員に適切な行動をとってもらうために、マニュアルやルールをどんどん増やしていくという方法があります。沢山のマニュアルやルールを作れば、それだけコストが増えますし、そもそもマニュアルやルールが徹底できるかという問題があります。会社やそこで働く社員が、日々の行動や判断の拠り所となるようなものをまとめ、それを浸透させていくこと、つまり経営理念の浸透が効果的ではないでしょうか。

(引用元:PIS|経営理念を浸透する4つのステップ

そして、この「方向性」や「理念」というのは、思想ではないんだとか。皆に浸透させる、統一させるからといって、その個人の価値観や個性をないがしろにするものではありません。

「やばい、こんな時どうすればいいんだっけ」という想定外のトラブルに見舞われた時。 チームとしてのパフォーマンスが下がり、雰囲気が悪くなった時。

チームの方向性、理念、価値観が浸透していれば、各々がそれに基づいて行動し、問題は解決されるはずです。

事例紹介:ヤマト運輸の場合

ここでは、実際に「理念・方向性」が浸透しているチームの例をご紹介します。それは、「クロネコヤマト」で有名なヤマトホールディングス。

昨年(2011年)3月の大地震発生からの数日間、各地の被災地には、無償で働くクロネコヤマトの社員たちの姿があった。宮城県気仙沼市や岩手県釜石市では、社員が市に申し出て救援物資の分類・管理や、避難所を回る配送ルートの作成を担い、社用車を使ったボランティア配送まで行なっていた。情報が寸断されていたこの時期、これらの活動は、本社はもちろん支社にも上司にも相談されることなく現場の判断でなされていた。

(引用元:PHP Online 衆知|生き続ける「ヤマトは我なり」のDNA

ヤマトホールディングスには、創業の精神として受け継がれ続けている三か条から成る「社訓」があります。その一つが「ヤマトは我なり」というもの。社員自身=ヤマトであり、この地域のヤマトの代表。社員一人ひとりにその精神を浸透させているのだといいます。そして、「社員行動指針」の一つには、「社会の一員としての役割」が挙げられています。自分自身がヤマト代表であり、この社会の一員として何をすべきかを考えて行動したからこそ、被災地におけるボランティアという行動に至ったのでしょう。

ヤマトホールディングスには、宅急便によって豊かな社会の実現を目指すという企業理念があります。受け継がれてきた社訓のもと、一人ひとりが行動指針を大事にし、豊かな社会を目指すべく邁進している結果、ヤマトは、宅急便業界においてトップシェアを誇り、2位以下を大きく引き離しています。理念を浸透させ、方向性を統一させることは、メンバー一人ひとりの自主性を育むだけでなく、高いパフォーマンスをうむことにもつながるのです。

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理念浸透のための三か条

では一体、理念・方向性を統一させるためにはどんなことをすべきなのでしょうか。

帝塚山大学教授で組織マネジメントを専門とする田中雅子氏は、経営理念統一の方法として、以下の三つをあげています。

① 質の高い経営者の存在と、彼らの理念浸透への努力 ② 理念と仕事の整合性をとること ③ 制度に理念を反映させること

(引用:田中雅子研究室|ミッションマネジメントの理論と実践 5.理念浸透を進めるための3つのステップ

①は、リーダーとなる人間が理念、方向性をしっかりと把握し、実践すること。そしてメンバーにもそれを浸透・統一させようとする姿勢を見せることだといいます。

②は、組織・チームの行うタスク・仕事が理念に沿ったものであるかを常に確認し、その上で実行することです。

③は、メンバーの評価や教育に、理念に沿ったシステムを組み込むことです。理念・方向性をよく理解し実践したメンバーを褒め、報酬を与える。能力が高いだけでなく、理念をよく理解したメンバーに教育に携わらせる。理念をこうした「システム」に組み込むことが重要だというのです。

*** メンバーは毎日忙しくタスクに追われ、掲げた大義や抽象的な理念を意識することは容易ではありません。しかし、理念や行動指針を浸透させることを怠れば、チームを団結させることは難しいでしょう。

メンバー一丸となってすぐれたパフォーマンスをあげるチームを作るためには、「一人ひとりがリーダーであり、組織そのものである」という意識がたいせつなのです。

(参考) PIS|経営理念を浸透する4つのステップ  PHP Online 衆知|生き続ける「ヤマトは我なり」のDNA ヤマトホールディングス|グループ企業理念  ヤマトホールディングス|社訓 東洋経済オンライン|ヤマト運輸、「すごいサービス」はなぜできる? 「まごころ宅急便」を生んだ現場力とは すごい現場はこう作る! 田中雅子研究室|ミッションマネジメントの理論と実践 5.理念浸透を進めるための3つのステップ ZUU online|日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便を徹底比較!上場に向けた日本郵便の民間競争とは

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