手紙の書きかた いまさら人に聞けない基本的なマナー

最後に手紙を書いたのはいつですか?

2016年2月に20〜50代の男女800人を対象に行ったアンケートでは、半数以上が「最後に手紙を書いたのは5年以上前」と答えています。これを2、30代に絞ったら、さらに人数が増えることでしょう。だからこそ。滅多に届かない手紙だからこそ、もらった時の喜びはひとしお。

STUDY HACKERは、あえて今、「手紙を書く」ということを気持を伝える手段の一つとして考えたいと思います。今回は、「今さら人に聞けない、基本的な手紙のマナー」のご紹介です。

出だしはなんて書く? 頭語と結語

「手紙を書こう」と思ったとき、まず最初から書き出しが分からなくてつまづいてしまうのではないでしょうか。一般的に手紙の出だし(=頭語)によく使われるのは「拝啓」「前略」。これはそもそもどういう意味なのでしょう。そして、使い分ける必要があるのでしょうか。

【拝啓】 拝「おじぎ=つつしんで」、啓「述べる=申し上げます」の意味。相手に敬意を払うための最初の挨拶です。目上の方にお会いするときには、まず最初に深々と頭を下げますよね。そのような意味を持った頭語です。この後に、季節の挨拶を入れるのが一般的です。

そして、“拝啓”で始まった手紙は必ず“敬具”で終わりにします。(=結語) 敬「心よりうやまう」、具「述べる」の意味。拝啓も敬具も共に相手を敬う気持ちを表しています。

【前略】 こちらも手紙でよく見かける冒頭の言葉ですね。これは字の通り、「前にあるべき文を省略させていただきます」というお断りの言葉。前にあるべきものとは、季節の挨拶です。「俳句には必ず季語を入れる」と聞いたことがあると思いますが、四季を重んじ、その美しさに心を打たれて様々な歌を詠んできた日本人は、季節の挨拶や描写にとても重きを置いてきました。

前略はその、「季節の挨拶」を略させて頂きます、の意味なので、この後には本題が続きます。あくまで略式の書き方なので、親しい間柄の場合にのみ使われます。頭語が「前略」の場合の結語は「草々」になります。草々には、挨拶文が無かったことを詫びる意味があります。

この二種類の頭語と結語が分かっていれば、プライベートも仕事も大体対応ができます。もう一つ知っておきたいのが、「かしこ」という“女性専用”の結語。時々見かけますが、これは男性が使うのはNGなので気をつけてください。ちなみに「かしこ」は、頭語が無くても単体で結語として使えます。

手紙の基本構成

頭語と結語のルールが分かったら次は、手紙の本文です。手紙の基本的な構成は、「前文→主文→末文→後付」です。それぞれの意味や特徴を見てみましょう。

【前文】 前文は、冒頭の書き出しの部分です。具体的に言うと、「拝啓」「前略」などの頭語と、季節の挨拶までをさします。

【主文】 ここから本題に入っていきます。季節の挨拶と内容が変わることを伝えるため、「さて」「このたびは」などの“おこしことば”から文章を展開させていくのが一般的です。その後、手紙を送った理由でもある最も伝えたい内容、たとえばお礼や報告などを書いていきます。

【末文】 主題が終わったら、手紙全体の締めにあたる“結びのことば”(「末筆ながら○○様のご多幸を心よりお祈り申し上げます」など)と“結語”を書きます。この二つを合わせて、「末文」です。基本的な手紙はここまでで終了となります。結びのことばは、相手の幸せや健康を願う内容が一般的です。

【後付】 正式な文書の場合は、日付・署名・宛名・脇付から構成される「後付」を記します。 「いつ」「誰が」「誰に」宛てた手紙なのかを、末文後に明記するのです。脇付とは、相手に敬意を払う呼び方で、目上の人に向けては“侍史”“膝下”“台下”などが一般的です。しかし現在はほとんど使われなくなっています。

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さまざまな手紙で気をつけるべきこと

よく使われる「お礼状」と「お悔やみの手紙」の、気をつけるべきルールをまとめました。

【お悔やみの手紙で気をつけること】 ・「不幸が重ならないように」という意味をこめて複数枚にならないよう、一枚の便箋におさめます。

・お悔やみの手紙のときには、白便箋に薄墨で書きます。なぜ薄墨かというと、「悲しみの涙で墨が薄まった」ということを表すからです。また「悲しくてじっくりと字を読む余裕がない」ということを考え、普段より太い幅のものを選ぶとよいでしょう。

【お礼状で気をつけること】 ・お礼状を出す時には、遅くとも3日以内に書きましょう。お礼状は、形式が正しいかということよりも速さが何より重要です。そのため、Thank youカードや、一筆箋を用意しておくのも良いですね。

・お世話になったり頼み事のお礼の場合は、経過報告や結果も忘れずに報告しましょう。

・お礼状は、それ以外の内容は書かないのがルールです。なぜなら、「他のことのついでにお礼を書いているんだな」と取られてしまうかもしれないからです。

便箋の使い方で気をつけるべきこと

便箋選び方や使い方も、色々なルールがあります。

【便箋の選び方のルール】 ・かしこまった手紙の場合、縦書きが基本です。横書きは本来友達や家族など、親しい間にのみ使うべきものです。

・改まった内容や目上の人に宛てて手紙を書く場合は、白色無地の便箋を選ぶのがルールです。

【便箋の使い方のルール】 ・通常の手紙で内容が一枚におさまる場合は、白紙の便箋を重ねて二枚にします。

・お悔やみの手紙の場合は、白紙を入れて複数枚にしてはいけません。

こちらを読んで、「手紙を書く」ことの基本ルールがなんとなく伝わったら嬉しく思います。色々な難しいルールがありますが、何より大切なのは気持を伝えること。極端な話、相手に想いが伝われば、相手が喜んでさえくれれば、どんなに形式が乱れていようとそれは正しい、素晴らしい手紙なのです。

(参考) お礼状、案内状、手紙の書き方と文例 年賀状・暑中見舞いドットコム 手紙の書き方大辞典 手紙の書き方 知っておきたい 日常のマナー

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