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「我は兵を以て戦ひを決せん。塩を以て敵を屈せしむる事をせじ」 上杉謙信

上杉謙信と言えば、武田信玄のライバルとして有名な戦国武将。戦に強いというイメージだけでなく、人格者の印象ある。

信玄が北条氏から「塩留め」、すなわち塩の供給を断つ戦術を取られた時、謙信は生涯のライバルともいえる信玄の領地に塩を送ったそう。

その時謙信が言ったとされるのがこれ。「敵に塩を送る」ということわざの元にもなった謙信の言葉だ。
嫌いな人、自分の敵対する人にこそ、困った時に援助してやるという意味。

ご立派な格言ではあるが、実際のところどうなのだろう。義理堅いことで有名な謙信だが、言ってしまえば「甘っちょろい」彼の人情は、現代の実力主義社会で通用するのだろうか。

今回も、科学的に検証していきたい。

badge_columns_1001711「助けてやった」優越感が脳をブーストさせる

アメリカの心理学者であるアブラハム・マズローは、人間の自己実現のための欲求を五段階に分類している。「マズローの欲求段階」として有名なアレだが、その4段階目、承認の欲求は「尊重されること・価値ある存在だと思われること」によって満たされるという。

ただこれ、他人から尊重される、というだけではないらしい。自分で自分を認めること、評価すること。そうした自己信頼感こそが、高いレベルの尊重なんだとか。

敵に塩を送り、「優越感」を感じるのは、自分自身を高く評価している証拠なのでは?

また、

京都大学医学部の脳科学者、高橋英彦主任研究員らが、(中略)優越感を感じると報酬の処理に関与する腹側線条体が刺激されると明らかにした

(引用元:M’s ビジネスソリューション 「脳の働きからみる”伝える”ことの難しさ」

とあるように、優越感は、そもそも脳に心地の良いものとしてインプットされているようだ。

競争相手・ライバルが困っている時こそ、助けてやる……。
その時に得られる優越感は相当なものだろう。優越感、というと一般的に「劣等感の裏返しだ」とか「人を見下している」とか、悪いものとして考えられることが多い。

でも、考えてみてほしい。そうして得られた優越感は、自信にも繋がるはずだ。人を見下すのではない、良い意味の「優越感」。大切にしていくべきなのでは?

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badge_columns_1001711嫌いな人にこそ塩を送れ。ー謙信から学ぶ処世術

学校にも、職場にも、どうしても好きになれない人というのはいるものだ。そういう人に出会った時、どう対処するか。上杉謙信の言葉は、そんな時のアドバイスも我々に教えてくれているように思う。

嫌いな人に出会った時、わたしたちは自然とその人を遠ざけがちだ。よくないこととはわかっていても、関わり合いになるのを避けてしまうのだ。

世界でIQ上位2%の人しか会員になれないというエリート集団「MENSA」。その会員であり脳科学者の中野信子氏は著書の中で、「敵を味方にする方法」として
・相手の自尊心をくすぐる
・相手をしっかり褒めてあげる
このふたつを紹介している。

そうすることで、相手はぐっと自分に惹かれ、協力してくれるようになるんだとか。
嫌いだとしても、遠ざけるのではない。困っている時に、褒め言葉という塩を送ることで味方に変えるという戦法だ。

本来のことわざの意味とは少し違うのかもしれないが、「敵に塩を送る」。人と付き合う上で非常に大切なことだろう。

***

記録によれば、謙信は天才的な軍事能力を持ち、迅速な用兵と駆け引きでは右に出る武将はいなかったという。生涯にわたって70以上の戦を経験し、大きな敗戦はないんだとか。それも、謙信の「敵に塩を送る」精神の賜物なのかも。

ライバルとにらみ合い、競争相手を蹴落とし成り上がる。そんなことはもうやめにしよう。戦国武将ですら、そんなことしていなかったんだから。

参考:
中野信子著「世界で通用する人がいつもやっていること」
Wikipedia 「上杉謙信」「自己実現理論」
M’s ビジネスソリューション 「脳の働きからみる”伝える”ことの難しさ」


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福田伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。