みなさんは仕事やプライベートにおいて、「完璧主義者だ」「融通が利かない」などと言われた経験はありませんか。また、自分の頑固な性格を自覚していたとしても、それをなかなか直すことができないと悩んでいませんか。
完璧主義的な思考は時に自分を疲れさせてしまいます。すべてが完璧でなくてもいいのではないでしょうか。仕事もプライベートも勉強も、もっと気楽に構えていてもよいかもしれませんよ。今回は、生きるのが楽になる「適当さ」を身につけるメリットとそのコツについてお伝えしたいと思います。
適当=悪い?
みなさんは「適当」という言葉をどのようにとらえていますか? 多くの人は、「いいかげんで、なにも考えていない」という意味で使っているのではないでしょうか。しかし今回のコラムで筆者がおすすめしたい「適当さ」というのは、もうひとつの「程度がほどよい、ちょうどふさわしい」という意味です。
「いいかげん」を「良い加減」と考えてみてください。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということわざにもあるとおり、やりすぎることもやり足りないことも、どちらも良いとはいえないのです。いくら良いといわれることであっても、やりすぎてしまっては害になってしまいます。
このように考えると、必ずしも「適当=悪い」ということにはなりませんよね。物事は、やりすぎてもやり足りなくても、うまく回らないのですから、日々をすごす上で適度な適当さはやはり必要なものなのです。
適当にできないことのデメリット
とはいえ、物事を適当にできなくても真面目であればいいじゃないか、真面目であることの何が悪いのだ! と思うかもしれません。しかし、適当さが足りていないと、実は様々な部分でデメリットが生じてくるのです。
・ 仕事の進捗に差し障る 完璧な仕事をしようとする人はビジネスパーソンとして理想的だと思われがちですが、実はそうとも言えないのです。100点満点を目指そうとするプレッシャーから、自分を過度に追い込んでしまったり、完璧を目指すあまり作業時間がかかりすぎたりして、結果的に周囲の人に迷惑をかけてしまうことがあります。
・ 上手にコミュニケーションが取れない また、適当にできない人は他の人とのコミュニケーションが上手に取れません。凝り固まった価値観が邪魔をして、相手の意見や考え方を受け入れることができなかったり、自分の意見を押しつけてしまったりするからです。その融通の利かなさから人が離れていってしまう可能性もあります。
・ 周囲の変化に追いつけない 技術や事業方針の変化など、これまでの方法を改善していかなければならない場合でも、自分の積み上げてきたものが崩れるかもしれないという不安から、新しいものや考え方についていけず、気がついたら周囲から取り残されてしまっていた、ということになるかもしれません。
適当に生きる方法
では、私たちが「適当に」生きるためにはいったいどのようにすればよいのでしょうか。
1. 執着しない 特定の考え方に執着していては、適当に生きることは難しいはずです。頼まれた仕事に対して完璧さを追い求めることは、仕事に対する姿勢としては理想的です。しかし、ひとつの仕事に執着するあまり、他の業務に遅れが出てしまったり、完璧を目指すあまり、納期を遅らせることになっては、ビジネスパーソンとしての評価が下がってしまいますよね。
たとえば上司から書類作成を頼まれ、期日までに終わりそうにないと判断した場合は、その旨を正直に上司に伝えて早めの判断を仰ぎましょう。その際「できないやつだと思われるかもしれない」などと考えないことです。むしろ、執着しないことで「自分の扱える仕事量をわかっている、自己管理のできるやつだ」と評価されるかもしれません。
また、同僚と意見が対立してしまった場合でも、自分の意見だけに執着しないことです。ビジネスにおいて、意見の対立は目的達成のための必要なプロセスの一部だと考え、自分の意見だけに執着することなく、目的達成に向けて何が必要であるかを考えたうえで、他人の意見も取り入れたり、第三の案を探るなどすることが大切です。
著述家・評論家である勝間和代氏は、自身の成功の秘訣を「適当にやること」とし、「がんばることはたいていうまくいかないんですよ」と語ったそうです。ひとつの物事に執着せず、良い加減で取り組むことで、リラックスして取り組むことができるのかもしれません。
2. 時には “運” のせいにする
運のせいにするなんてとんでもない! と思うかもしれませんが、努力だけではどうにもならない不可抗力の発生は、実際にありえます。
たとえば、「成功するためには努力しなければならない」と日々考えているビジネスパーソンの、大事な商談の場面を想像してみてください。そのビジネスパーソンは、資料の準備や取引先への説明をきちんとしていたにもかかわらず、残念ながら契約を取り付けることができませんでした。
みなさんはこの原因をどう考えますか? 本人は「説明不足だったかもしれない」と落ち込んでいるかもしれませんが、原因は他のところにあるかもしれません。取引先の予算不足が原因かもしれませんし、他の企業と契約する方がビジネスが軌道に乗りやすいと判断したかもしれません。もしかしたら、取引先が失注してしまったことで案件自体がなくなってしまったということも考えられます。
自分の努力が報われなかったからといって過度に落ち込んでしまうよりも、気持ちを切り替えた方が自分を追い込まずに済みますし、次の仕事に注力できるのではないでしょうか。
*** みなさんもぜひ完璧にこだわらず、「適当に」生きることを実践してみてください。
(参考) 日経ビジネス ONLINE|「いいかげん」でなく、「好い加減」な組織 ハフィントンポスト|まじめに働いているのに仕事が終わらない人の特徴 Counseling Service|完璧主義になってしまうのはなぜ? Counseling Service|頑固な私を手放す方法(3)~手放す覚悟とインナーチャイルドセラピー~ コトバンク|適当 チームビルディングジャパン|第26回『意見の対立を歓迎しながら感情の衝突を避ける方法』 いつでも スタオバ!!! |僕が勝間和代さんに質問した「3つの質問」-勝間塾を通じた出会いから