プレゼンの資料を作るときや新しい企画を考えるときなど、今までの自分の考えよりももう一歩踏み込んだアイデアを出したいことってありますよね?

「これだ!」と直感するアイデアは、ただ頭で考えていてもなかなか出てきません。普段より深く考えたいときは、浮かんだ考えをすべて書き出し、一度頭から切り離す必要があるのです。今回は、考えを手放すことと、思考の関係について考えてみます。

考えを深めたいのであれば、一度考えを手放そう

もっと深く、広い視点で物事を考えたい。そんなとき、みなさんはどうしますか?

机の前で「うーん……」とうなりながら悩んでいても、ほとんどの場合、深い考えは浮かんできません。大切なのは、一度考えを手放すこと。有名な『思考の整理学』の著者、外山滋比古さんは、忘却と創造力の関係について次のように述べています。

ところが記憶力では、人間はコンピューターには敵わない。勝てる分野が独創性や創造性だとすると、それを発揮するためには、頭の負担を軽くしなくてはいけない。つまり、忘却です。

(引用元:PRESIDENT, 2017, 『猛スピード勉強法』, プレジデント社.)

余計な考えを忘れれば、頭の中に余白が生まれます。作成している資料の大まかな構成を考えているときに、細かい言葉の間違いについて考える必要はありませんよね。必要ない考えを削ることによって新しく生まれたスペースで、より重要なことを考えられるようになり、増えた思考量が独創性や創造性につながるのです。

では、具体的にはどのようにして物事を忘れ、頭にスペースを作ればよいのでしょうか?

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書いて書いて書きまくろう

単に忘れるというだけなら簡単です。例えば一夜漬けで覚えた英単語。ほとんどはすぐに忘れてしまうのではないでしょうか? このように、記憶は何日かすれば勝手になくなります。

しかし、今考えていることを意図的に忘れることはできるでしょうか? きっと難しいはずです。例えば、プレゼンのスライドのデザインを考えているときに、細かな文章の内容を頭から切り離すことは難しいですよね。

そこで大切なのは、考えを見える形にして、今必要のない考えが何なのかを理解すること。そうすれば、今一番考えるべきことに頭のリソースをより多く使うことができるのです。株式会社電通のコピーライターである梅田悟司さんは、著書『「言葉にできる」は武器になる。』のなかで次のように述べまていす。

頭の中のあらゆる考えを外にだし、形を与えることで、どれだけ自分が考えているかを把握することができるようになる。一度考えたことを記憶しておく必要もなくなり、「せっかく考えたのに忘れてしまった」といったこともなくなる。さらに、頭の中を客観的に見渡すことができるようになるため、自分の考えがいかに一貫性がなく断片的であるかにも気づくことができる。

(引用元|梅田悟司(2016), 『「言葉にできる」は武器になる。』, 日本経済新聞出版社.)

自分の考えを客観視するための方法として梅田さんがおすすめするのは、1つの考えにつき、A4の紙一枚を使って書き出すこと。このとき、サインペンなどのなるべく太めのペンを使うのがポイントです。太めのペンで書くことにより、「本当にこの考えなのだろうか」などといった不安を軽減でき、書く作業がはかどるからなのだそう。

次に、これらの紙を内容ごとにグループ分けし、机に広げます。これで自分の考えを客観的に見直すことができます。A4用紙を広げるだけのスペースがない場合は、付せんとノートで代用しましょう。

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書いた言葉は一度寝かせよう

米広告界の神様として名を刻むジェームス・W・ヤング氏は、著書『アイデアのつくり方』の中で、アイデア作成には5つの段階があり、その3段階目として考えを寝かせる期間が必要だといいます。

この第三の段階にやってくれば諸君はもはや直接的にはなんの努力もしないことになる。諸君は問題を全く放棄する。そしてできるだけ完全にこの問題を心の外にほうり出してしまうことである。

(引用元:ジェームス W.ヤング著・竹内均解説・今井茂雄翻訳(1988),『アイデアのつくり方』,阪急コミュニケーションズ.)

そこで、もしも「明日すぐに考えをまとめなくちゃ!」という切羽詰まった状態でないのなら、みなさんもぜひ書き出した紙を一度寝かせてみてください。

実はこの記事は、最初に書き出してから形になるまで2ヶ月くらい放置されていました。このように、時間がたってから落ち着いて見直すことで考えはまとまりやすくなります。ただ、筆者のように2ヶ月も置いておく必要はありません。なぜなら考えたこと自体を忘れかけてしまうからです。先ほどの梅田さんによれば、考えを寝かせておくのは2〜3日がちょうどよいそうですよ。

***
「思考を深める」というと、ずっと頭を働かせ、考えることだけに集中する必要があるように思えます。しかし実際はその逆で、考えを一度頭から切り離すことが重要なのですね。もっと深く考えたいという方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

(参考)
梅田悟司(2016), 『「言葉にできる」は武器になる。』, 日本経済新聞出版社.
ジェームス W.ヤング著・竹内均解説・今井茂雄翻訳(1988),『アイデアのつくり方』,阪急コミュニケーションズ.
PRESIDENT, 2017, 『猛スピード勉強法』, プレジデント社.