SNSやブログの見出し、企画書のキャッチコピー、レポートの表題、メールの件名など、職業に限らず、今や学生や社会人であっても誰かに何かを伝えようとする時には、常にタイトルというものが存在しています。

そして、強い言葉のないタイトルは見逃され、忘れられてしまうでしょう。コンビニの雑誌欄を見ても気になるタイトルと気にならないタイトルはあるし、記事名が魅力的じゃないブログ記事はクリックする気にもなりませんよね。

情報やコンテンツが溢れる今こそ、言葉の力、つまりネーミングセンスを持たない人にとって困難な時代になったといえるのではないでしょうか?

そこで今回は、意識するだけで普段よりも人に注目してもらえるタイトルを付ける、つまりタイトリングのコツを紹介します。

言葉は読み飛ばされるものである

そもそも、私がネーミングの重要性とコツを伝えたい理由は、まず言葉とは読み飛ばされることが前提になっているからです。

毎朝、新聞の本文までしっかりと読んでいますか? 実際のところ、本文を一語一句読まなくてもタイトルや見出しを見ればだいたいの概要がわかりますよね。

ネットの記事の場合は、多くのレコメンドされる記事の中から、私たちは一瞬で自分たちの役に立つとわかる、もしくは興味を惹かれるタイトルを優先的にクリックしていまいがちです。せっかく書かれた記事の中には、あまり読まれずにネットの海の底に眠っているものもあるかもしれません。

仕事であっても相手に関係なさそうなタイトルのメールを送ると後回しにされてしまったり、忙しい相手に企画書を見せても一瞬で興味を惹かなければチャンスを逃してしまうかもしれません。

こうした背景から誰かにメッセージを伝える上で、タイトルやキャッチコピーは重要ではないでしょうか?

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コツ1:形容詞で飾りすぎない

日本を代表する広告制作会社ライト・パブリシティの秋山晶さんは、著書『秋山晶全仕事』においてこう評されています。

彼の表現を見ればわかるが、すべてが直裁である。不純物を含まない。早く飛ぶ。早くコミュニケートする。情報が伝達するスピードを上げる。そのために、不要な雑物は、極力取り除かれている。だから、きれいだ。(中略)文章は飾れば飾るほど汚れるものだから。(中略)形容詞は甘く触れてくるが、その分腐るのが早い。

(引用:秋山晶全仕事 広告批評の別冊(1985),マドラ出版. )

「男は黙ってサッポロビール」(サッポロビール)
「精神力だけでは、テープを切れない」(大塚製薬 カロリーメイト)
「遠い日のような今日。」(サントリー ジャック・ダニエル)

これらのキャッチコピーは、形容詞もほとんどなくシンプルで飾らない。だけど力強くてわかりやすいコピーです。下手に飾ろうとするよりも、時にはシンプルな言葉でメッセージを伝えてみるのもいいかもしれません。

コツ2:言葉をツイストする

既にある言葉を少しだけひねらせてみる方法もタイトリングとして有効です。

「羽田なう」(『メトロミニッツ』2010年10月号羽田空港新国際ターミナル特集)
「時代は赤信号。でも、みんなで動けば、怖くない」(トヨタ自動車)

Twitterの「なう」や、昔のギャグである「赤信号、皆で渡れば怖くない」といった、流行語や名言が持つ言葉の力を借りることで、タイトルに親しみやすさを加えることもできます。自分でゼロから案が浮かばない時には、既存の言葉や名言の中に、伝えたいメッセージを上手く埋め込んでみてください。

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コツ3:言葉を組み合わせて違和感を作る

人は、違和感を感じると目を止めて対象を確認しようとしますが、言葉にも同じことがいえます。特に書籍は、店頭の一瞬で通行人の心を掴む必要があるので、こうした違和感で人を惹き付けるタイトルが上手く付けられているのです。

「嫌われる勇気(岸見一郎 古賀史健(2013),ダイヤモンド社)
「99.9%は仮説」(竹内薫(2006),光文社新書)
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海(2009),ダイヤモンド社)

これらのタイトルを見たときに「なぜ勇気を出して嫌われないといけないの?」、「99.9%ってほぼ100%なのに仮説?」、「女子高生がドラッカーを読む?」と思う方は多いのではないでしょうか?

いずれのタイトルも、読み手に対して違和感というツッコミどころを与えているということになります。そのため、店頭に並んでいるとついつい手を伸ばしてしまいそうですよね。

こうした読み手に違和感を抱かせるネーミングも非常に効果的です。

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このようにタイトルの付け方には、さまざまなコツがあります。では、最後に有名なコピーライターである糸井重里さんの言葉を紹介します。

必要なのはセンスでも才能でもなく、真面目に考えること。すらすらとでたらめを書く技術がどれほど上がったところで人の心には響きません。どんなに不器用でも真剣な眼差しで目を見ながら『頑張ります』と言われたら言葉は拙くても期待しちゃうじゃないですか。文章もそれと同じでしょう。

(引用元:マイナビニュース|糸井重里インタビュー読み手に伝わる文章の極意。

紹介したようなコツも重要ですが、最も大事なことは真剣に読み手のことを考えながらタイトルを書くこと。そうすればあなたの想いはタイトルとなって、きっと読み手に伝わるはずでしょう。

(参考)
菅付雅信(2012),『はじめての編集』,アルテスパブリッシング
秋山晶(1985),『秋山晶全仕事 広告批評の別冊』,マドラ出版
LIG|企画書で光るコピーを書く、実例から学ぶコピー発想法10パターン
マイナビニュース|糸井重里インタビュー読み手に伝わる文章の極意。