成功の鍵は "共感力"。日本で初めてGoogleに事業売却を果たした男の「当事者意識」の力

ライターを続けるうち、仕事や勉強など、様々な方法論に触れ、脳科学や行動分析科学など、いろいろな学問のアプローチ法を見てきました。

しかし、一つ感じたことがあります。 方法論やコツ・科学的知識を知っていることと、実際に行動に移し自分を変えることは、天と地ほどにも違うのだと。

今日は、自戒の意味も込めて、記事をお送りしたいと思います。

知っていても、やらなければ意味がない

当然のことですが、知識があっても行動に移さなければ意味がありません。

例えば「物事を習慣化する方法」を考えてみましょう。 Study Hackerではよくテーマにされるものですし、多くのみなさんも気になるはずです。

習慣化については、世界中の著名人がコメントを寄せ、多くの科学者が論文を出しています。そして驚くべきことに、それらの結果は、非常に類似しているのです。

それは「今すぐに」「ほんの少しの量を」「毎日続け」「自分に報酬を出す」ということです。

「自分への報酬」は行動科学の世界では「リインフォース(補強する)」と呼ばれるもの。これをすることで、行動の定着率は格段に違うのだといいます。

ですから、あなたがマッチョになりたいなら、今すぐこの記事を閉じて、腹筋を5回やってください。電車の中なら、爪先立ちを10秒でもいいです。とにかく、毎日続けられるレベルのものを今すぐやることが大事です。そして終わったあとには、漫画アプリを10ページ読む、チョコを一粒食べるなど、ごほうびをあげるようにしましょう。

……と、こんな風に、ライターをやっていると、広範かつ実践的な知識を身につけることができます。しかし、残念ながら私の腹筋は割れていませんし、朝5時半に起きる習慣が身についたわけでも、皇居ランを始めたわけでもありません。

おかしいですね。

知識は十分のはずです。実践の方法だってわかっています。 ではなぜ、筆者は変わっていないのでしょうか。

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わかっちゃいるけど、始められない

答えは至極単純で、行動を変えていないから、です。 マッチョになりたければ、腹筋を5回始めればいい。それは、わかっています。 しかし、始めていないのです。

知識はあっても、実践していないのですから、筆者の腹筋がシックスパックへと変貌を遂げることは永久にないでしょう。

おそらく、記事をお読みの多くの方も、同じ思いを抱えている人は多いはずです。 テレビでは毎週のように健康体操が紹介され、ウエストを絞るハイテクマシーンや、高血圧を抑制する健康メニューが山のように溢れています。

逆にいえば、それだけ多くの人が実践していない、ということなのかもしれません。 だからこそ、次から次へと新たな方法論が生み出され、コツ・tipsが浪費されているのです。

では、一体どうすればいいのでしょうか。 このままでは、自己管理だけでなく、仕事や家族との関わりにも、影響が出てきそうな勢いです。

世界を変えられるのは「共感」と「当事者意識」だけ

実は、この件に関しても、一つの正解が出ています。

それは、「強烈な当事者意識を持つこと」そして、「共感すること」です。いかに他人事を「自分ゴト」に落とし込むか。それが行動を変え、自分を変えるきっかけになるのです。

日本で初めてGoogleにベンチャー企業をバイアウトした敏腕コンサルタントの加藤崇氏は、ビジネスにおいて最重要なのは「共感」だと語ります。

目の前にある物事に「共感」し、強く感情移入していく中で生まれてくるものこそが、他人に真似できない仕事をするうえで非常に重要になってくると、気づいたのだ。「共感」によって生まれてくるものとは、強烈なリアリティと当事者意識、その仕事をやり遂げようとする枯れないバイタリティ、困難を乗り越える「志」や「勇気」といったものだ。

(引用:加藤崇(2016),『無敵の仕事術』,文春新書. )

彼は、新卒で入った東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)を数年で退職し、早くから企業再生に関わるようになりました。そのきっかけは、債権の回収に向かった会社で、社長夫人の痛切な涙を見たことでした。目の前にいる人に強く感情移入すること、それが彼を動かす原動力になったのです。

おいおい、スケールを急に大きくするなよ、そんな読者の方のため息が聞こえてきそうですね。

しかし、私はスケールの問題ではないと考えています。 腹筋を割るにしろ、ベンチャーをGoogleに売り渡すにしろ、「自分がやらねば」と強く考えなければ、絶対に行動に移せません。

これまで、強烈な共感を抱いた経験はありますか? 「これをやらなきゃ!」「絶対これがいい!」 そんな風に、当事者意識を強く感じたことはありますか?

共感できないあなたに

NO、と答えたあなた。

別に、それが悪いわけではありません。 目の前の物事が、それほど自分の情熱を動かさなかった、というそれだけの話なのです。

筆者にとって、腹筋を割ることがそれほど魅力でないように、おそらく「行動を起こせない」みなさんにとっても、これまでの出来事はそれほど「アツい」ものではなかったということなのでしょう。

ですが、ひとつ、気をつけてほしいことがあります。それは、未来の話です。

これから先、人やモノとの出会いは、ますます増えていくでしょう。 その中で、感情を動かされるものが、ひょっとしたらあるかもしれません。その時は、他のものには目もくれず、そこに飛びこんでほしいのです。

先ほど紹介した加藤氏は、目の前の人の涙を救いたいと強く感じ、銀行マンの道を捨てました。リスクや不安は尽きませんが、強い共感を得られる出来事なんて、そうそう起こるものではありません。それに関しては、私と皆さんの両方が証人です。

しかし、いきなり「飛びこめ」と言われても、なかなか難しいのが現実です。 ですからその準備として、一つ皆さんに提案したいことがあります。 それは、いろいろな情報や人・モノを、これまで以上に広く受け入れることです。

現代は、腹筋を割る方法をはじめ、いろいろな情報が溢れています。異業種交流会に行けばいろいろな人に会えます。その情報・人・モノに「どうせ共感できないだろう」とフィルターをかけないでほしいのです。

これまでは、なかなか共感できなかったかもしれませんが、いつその時がやってくるかはわかりません。チャンスがやってきた時に、フィルターのせいでそれを逃してしまった……。なんてことだけは、避けたいですよね。

その時を逃さないためにも、インプットの機会だけは持ち続けるようにしてください。

参考

石田淳(2007),『短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント』,ダイヤモンド社.

加藤崇(2016),『無敵の仕事術』,文春新書.

しごとのみらい|コミュニケーション能力における「共感力」の本当の意味 http://www.shigotonomirai.com/real-mean-empathy

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