「うっかり忘れ」は命取り! 忘れちゃいけないことを覚えておく3つのコツ

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あなたは、暗記が得意ですか。暗記を必要とするのは、何も歴史や科学の勉強だけではありません。ビジネスの場面でも、マニュアルを素早く記憶したり、上司からの指示をパパッとメモしたり。暗記力が必要なのは、社会人も同じなんです。

どうせ私は暗記が苦手だから……と諦めていませんか? 確かに、記憶力そのものを向上させることは難しいのかも知れません。ですが、記憶の仕組みを知り、コツをおさえるだけで「覚えやすさ」はぐっと改善します。

今日は「覚えやすくするためのコツ」を科学的にご紹介しましょう。

 

注目すべきは「作業記憶」

 

昨日会った取引先の営業部長の名前を忘れても、母親の名前を忘れることはないでしょう。

これは、インプットした情報を「長期記憶」に変えられたかによって起こる違いです。人間は、まず目に入った(耳に入った)情報を「作業記憶」と呼ばれる記憶貯蔵庫に移動させます。一時的に記憶を置いておく、保管庫のようなものだと考えてください。

作業記憶を使う例は、身近にたくさんあります。ホワイトボードの情報を手帳に転記する時を思い浮かべてください。一度ホワイトボードから目を離しても、その内容を覚えていますよね。これが作業記憶です。そして、その記憶貯蔵庫の中でも、特に有用だと判断された情報だけが、長期記憶へと移され、長期間覚えておけるのです。なかなかマニュアルを記憶できないのも、上司の指示を忘れてしまうのも「長期記憶」までたどり着いていないから。ひょっとすると、作業記憶の段階で抜け落ちてしまった、なんてことも考えられるのです。

そう、ものごとを記憶するためには、まず「作業記憶」の段階でしっかりと頭の中に留める必要があります。いかに長期記憶が優れていようとも、ファーストステップの「作業記憶」に穴があれば、元も子もありません。

さて、以下ではあなたの作業記憶を強化する方法をご紹介しましょう。

 

音で覚えれば効率が上がる?

 

もしあなたが電話番号を覚えるようにと言われたら、どのように覚えるでしょうか。実は、人間は情報を作業記憶としてインプットする際、「音」として捉える方が効率が良い、ということがわかっています。

「1192」という数字を提示された時、数字のまま覚えるのではなく「イイクニ」という語呂合わせを利用した方が、はるかに覚えやすいですよね。もちろん、風景の中から特定のものを見つけ出す時など、画像として記憶することもあるのですが、音として情報を捉える方がはるかに定着率が高いんだとか。

ですから、何かを記憶しなければならない時、必ず一度声に出してみましょう。あなたが書き留めたそのメモは、そのままでは単なる「メモ画像」として処理されてしまうかもしれません。「見るだけではなく、一度音読してみなさい。」学生時代も似たようなアドバイスを受けましたよね。情報を「音」として捉えようとするだけで、抜け漏れはぐっと減るはずです。

 

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意味を知れば効率が上がる?

 

チェスや将棋のプレイヤーは、盤面を瞬時に記憶して次の手をイメージすることができるそうです。しかし、盤上の駒を全くランダムに配置したところ、一般人と同程度の記憶力になってしまったんだとか。これは、チェスプレイヤーといえども無意味なものを覚えることはできない、ということを意味しています。ここにある駒はこれまでどんな動きをしてきたか……。そこにある相手の駒はどういう意図をもってそこに来たのか……。そういった文脈を捉えるからこそ、駒の位置を作業記憶として捉えることができたのですね。

ですから、上司の指示やマニュアルの内容を記憶しようとする時は、必ず自分でも意味を理解するよう努めましょう。なぜその行動を起こす必要があるのか。なぜその手順は必要なのか。上司に突っ込んで質問してみるのです。少し面倒がられるかもしれません。ですが、仕事への理解が深まり、納得して業務に当たることができれば、仕事の質だって高まるはずです。

 

*** いかがでしょうか。 今日紹介したコツは、何も特別なことではありません。しかし、忙しい時、少しイライラいしている時。こうした当たり前のことがないがしろにされ、結果的にミスや記憶違いが起こるのではないでしょうか。

当たり前のことですが、ぜひ意識してみてくださいね。

 

(参考) スーザン・ノーレン・ホークセマ,バーバラ・フレデリックソン,ジェフ・ロフタス,クリステル・ルッツ著,内田一成訳(2015),『ヒルガードの心理学 第16版』,金剛出版.

 


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。

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