たった5分あればいい。インドア運動習慣『その場ジョギング』で脳は鍛えられる!

運動習慣を身につけたい気持ちがあっても、なかなか実行できない人は多いといいます。仕事が忙しい、どんな運動がいいのかわからないなど、理由はさまざま。少し億劫な気持ちが邪魔をすることもあるでしょう。

そんな方には、気軽なインドア運動習慣がおすすめです。1回の運動時間はたった5分程度、トレーニングウエアも必要なしです。すぐにでも始められますよ。ちょっとした工夫をすれば習慣化も簡単です。さっそくご紹介しましょう。

仕事で活躍したいなら「運動」はやっぱり重要

運動習慣を身につけたいと考えている人すべてが、運動を得意とするわけではありません。「そもそも運動は必要なの?」と自問自答することもあるでしょう。

しかし、仕事で認められたい、成功したいと思うならば、どんなに忙しくても運動する時間を設けるべきです。その理由は、ランニングなどの有酸素運動が脳を鍛えてくれるから。

京都大学名誉教授で大脳生理学の権威である久保田競先生によると、人間の脳を構成するニューロンを成長させ、シナプス(ニューロン同士のつなぎめ)の数を増加させるカギは、ランニングなどの有酸素運動であるとのこと。「端的にいって、走れば頭はよくなります」と同氏はいいます。

運動によって成長ホルモンが出ると、IGF-1という成長ホルモンを助けるホルモンが分泌され、それが脳内へ入ります。するとDNAに働きかけRNA(リボ核酸)が作られ、脳内にBDNF(脳を成長させる肥料のようなもの)が生成されるのです。それでニューロンやシナプスが増えて脳が新しい機能を持ったり、学習や記憶の効率が上がったりするわけです。

ちなみに、からだを動かすと脳が大きくなると初めて確認されたのは2004年。ドイツ・レーゲンスブルク大学の研究者が、ジャグリングをつかった大道芸による運動で3ヵ月間脳の変化を調べ分かったそうです。

なお、脳は大きくなっても再構築され、機能を残したまま小さくなるとのこと。いくらでも発達できるようできているのです。つまり、有酸素運動で、いくらでも頭はよくなれるということです。

やはり外を走らなくてはダメなのか?

久保田競氏が1週間続けて運動した人の脳を調べたところ、早歩き(時速5キロ)で働いたのは脳の運動を司る領域ですが、時速9キロでは前頭前野のワーキングメモリー(短期記憶や情報分析、計画を立てるときにつかう)にあたる領域が働くようになったとのこと。つまり、運動で脳を鍛えるためには、ゆっくり歩くより軽く走るほうがベストなのです。

でも、「それなら毎日ジョギングしましょう!」と始められるくらいなら、とっくに始めていますよね。頭がよくなるというモチベーションでやる気が起こっても、億劫さは消えません。

ちなみに、久保田競氏は脳の働きをさらに効率よく高められるよう、できるだけ頭をつかいながらエクササイズすることをすすめています。そのほうが、前頭前野の働きがよくなるからです。そのため、屋内よりも人の往来や障害物に気をつけなければいけない屋外で走ることを推奨しているのです。

しかし、筆者もそうですが膝を手術した経験がある人は、なかなか外で走ることが難しい場合もあります。それに、そもそも筆者の場合は「ジョギングするくらいなら脳が働かなくてもいい」と思うぐらいジョギングが苦手です。

でも大丈夫。久保田競氏は有酸素運動であれば、水泳・体操・ヨガなどのエクササイズでもいいと述べています。運動することにより脳が大きくなると、最大酸素摂取量(消費量)が増加します。脳が老化するいちばんの原因は最大酸素摂取量が減ること。要は有酸素運動なら脳を活性化できるのです。

そこで、おすすめしたいのが、筆者も実践している「その場ジョギング」です。

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すぐできて効果抜群な「その場ジョギング」

「その場ジョギング」とは文字どおり、その場で移動せず足踏みするようにジョギングする方法です。「エアジョギング」ともいわれています。

しかし、“エア”とバカにするなかれ、歩行開発研究所所長で、関西医科大学名誉教授の医学博士・岡本勉氏らの著書『 ニューエクササイズウォーキング』によると、「その場ジョギング」を行うと下肢筋(腓腹筋・内側広筋・大腿直筋・大腿二頭筋・大殿筋・中殿筋・長内転筋)と、躯幹筋(仙棘筋上下部・腹直筋)に強い放電が認められるとのこと。つまり、それらの筋肉がすべて強くつかわれているのです。

実際に筆者が「その場ジョギング」を行った際、たった5分間でも想像以上に筋肉をつかい、かなり心拍数も上がりました。

九州大学名誉教授の小宮秀一は、筋肉が収縮するためには酸素が必要なので、酸素摂取量は運動強度と比例すると伝えています。もちろん心拍数も酸素摂取量に比例します。たかが5分間の「その場ジョギング」でも、十分な有酸素運動であることが確信できます。

「その場ジョギング」を習慣化する工夫

頭をつかいながらエクササイズするほうが効果的と先述しましたが、「その場ジョギング」の場合はどうしたらよいでしょう。もちろん、前日に読んだ本の記憶をたどってみるのも有効です。しかし、それだけでは退屈で、習慣化に効果的ではありません。

そこで、たまたま5分間でも「その場ジョギング」の効果を実感した筆者が思いついたのは、テレビ番組の合間に放映されている「ミニ番組」です。

ミニ番組とは、たとえばテレビ朝日の「世界の車窓から」や「世界の街道をゆく」など5~6分間程度の番組のこと。朝・昼・晩さまざまな趣向を凝らした番組が放映されているので、それを眺めながら「その場ジョギング」を行うのです。番組の合間の短いニュースもおすすめですよ。さまざまな情報を呼び起こしたりインプットしたりと、頭が働くはずです。タイマーをセットする必要もなく、番組が終われば躊躇なくピッタリ止められるのもメリットです。

いまでは、いいタイミングで始まったミニ番組に合わせて走ることが、すっかり習慣になりました。それが終わると血流がよくなってポカポカするので、酸素が十分に運ばれていると実感できます。何よりも、仕事の効率が断然よくなったことが最大の恩恵でしょう。

「その場ジョギング」の注意点

なお、「その場ジョギング」もれっきとした運動です。食事の直後や、飲酒時、起床直後などは、からだに悪影響を及ぼすので避けましょう。

*** 筆者おすすめの運動習慣をご紹介しました。「無理なく・飽きなく・楽しく」を基本に選び、取り入れていけば習慣にしやすくなるはずです。

(参考) WEDGE Infinity|脳は適度な運動でまだまだ活性化できる 40代からの脳力の磨き方(第3回) PRESIDENT Online|<脳の新科学>走ればボケ防止&頭がよくなる【1】 Komiya Home Page|運動生理学実習(基礎的測定法) Wikipedia|ミニ番組 岡本 勉著,岡本 香代子著(2004),『 ニューエクササイズウォーキング』,歩行開発研究所. 玉木伸和(1998),『からだと運動の科学―健康な生活のために』, 学術図書出版社.

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