課題解決のような高度な思考が要求される場面において、皆さんはどんなふうに頭を働かせていますか?

ビジネスパーソンの皆さんの中には、課題解決的思考を頻繁に要求される人も多いでしょう。また今日では、課題解決のための思考法というものもたくさん存在しています。

今回は、そんなたくさんの課題解決的思考法の中から、日本IBMのマネージャーも実践する「視座力」に焦点を当てて説明していきます。

視座力とは

そもそも「視座」とは何でしょうか。

しざ【視座】
ものを認識する立場。視点。

(引用元:コトバンク|視座(シザ)とは

視座というのは、物を認識するときの立ち位置を表します。例えば、飲食店での視座についてイメージしてみましょう。飲食店で料理が出されるとき、そこにはお客さんやウェイトレス、厨房の料理人それぞれの視座があります。さらに広げれば、その店の経営者の視座もあり、料理に使われる食材の生産者の視座もあるでしょう。このように、各々の物の見方のことを「視座」と呼ぶのです。

つまり「視座力」であれば、さまざまな視座を認識・理解し、配慮する能力というような意味を持ちます。自分の周りにはたくさんの人が存在し、それだけ多くの視座が存在していると認識する能力、さらにそれらの視座に立ち、相手の立場や考えていることを理解したうえで行動する能力が視座力です。

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なぜ視座力が重要なのか

ビジネスパーソンは他の人と仕事をしたり、顧客向けのビジネスの企画立案をしたりと、「人」を意識することが多いものです。

ただし、単に相手や人の存在を認識するだけでは一人前のビジネスマンであるとはいえませんよね。相手がどのように考えているのか、相手の立場はどのようなものなのかを考慮しつつ、お互いの意見を擦り合わせたり、顧客の立場に立ってより良いサービスについて考えたりします。こうして初めて、対話的能力、マーケティング能力のある一人前の社会人であると言えるでしょう。

そして、この「相手の立場に立つ」という行為にこそ、その人の視座力が表れているのです。つまり、視座力が高ければ高いほど多くの人の立場に立って考えることができ、いわゆる「空気・流れを読む」ことができます。

また、日常生活においても視座力は必要なものと言えるでしょう。先ほど言った通り、視座力とは言い換えれば「空気を読む力」。身の回りの人とコミュニケーションを取っていくうえで、相手の立場を意識して空気を読むというのは、円滑な人間関係の構築のために必要な能力だと言えます。

視座力の活かし方

「部長に企画の提案をしたが受け入れてもらえなかった。自分としては手応えのある内容だったのだが、なぜ却下されたのだろう?」
このように、ビジネスパーソンであれば、自分の意見が上司に通らないといった経験はあるでしょう。

そのときこそ活かせるのが、視座力です。もしあなたが「一般社員」として企画を立案していたならば、今度は視座を「部長の視座」に高めて企画を見直してみましょう。もしかすると「より優先度の高い案件が他にあるな」といったように、なぜ企画が却下されたのかの理由が見えてくるかもしれません。

裏を返せば、初めから部長の視座に立ったうえで企画立案を行えば、スムーズに承認される可能性が高いわけです。さらに、より高い視座力を持っている人は、重役・社長の視座にまで立って物事を考えられるかもしれませんし、エンドユーザーとほとんど同じ視座で自社製品を見つめ直すことだってできるでしょう。視座力が高ければ高いほど、そこから生まれる考え方は洗練され、高レベルのものになります。

また、相手とのコミュニケーションのなかでも視座力は活かせます。相手の立場を理解したうえで相手の言葉や行動の意図を考えることは円滑なコミュニケーションの手助けをしてくれますし、そこから自分の行動を見直して改善すれば、相手も自分に好感を持ってくれることでしょう。信頼関係を築くために視座力は不可欠であると言っても過言ではありません。

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視座力を鍛えるには

視座力を鍛える一番の方法は、とにかく「視座」を意識することです。

人間というのは、よほど訓練を経た人でない限り、自分を中心に物事を考えてしまうもの。まずは、自分の周りにはたくさんの視座が存在するということを常に意識し、自己中心的にならないように努めましょう。これだけでも、「とりあえず他人の視座に立つ」という習慣ができるはずです。

加えて、「ある物事について、そこから導ける視座をなるべく多く思い浮かべる」というのも視座を鍛える訓練になります。例えば、郵便物をポストに投函するときに、今後その郵便物に関わる人たちの視座に立って考えてみるのです。配達人や受取人、ポストから郵便物を回収する人、郵便局に勤める人など、たくさんの視座が思い浮かべられるでしょう。普段からたくさんの視座に立ってみることは、いざ視座力を活かすべきタイミングでより多くの視座に立つための訓練となります。

また、より多くの情報にアンテナを張り巡らせておくことは、視座力を発揮する際に助けとなるでしょう。いざ企画立案をするために部長の視座に立とうとしても、部全体の動向や部長の現在の取り組みなどを知らなければ、あまり効果的ではありませんよね。

人の立場に立つためには、その人のことやその人を取り巻く環境までもを知っておくことが必要不可欠です。自分の身の回りに限らず、日頃から多くの情報に触れておくと良いでしょう。

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今回見てきたように、人の視座に立って物事を考えることは、ビジネスパーソンにとって必要不可欠なスキルだと言えます。この記事をきっかけに、「視座力を高める」という意識が皆さんに芽生えれば幸いです。

(参考)
日経テクノロジーオンライン|技術者の仕事力を高める 視座力・視点力・価値観力|第1回・「視座、視点、価値観」とは
日経テクノロジーオンライン|技術者の仕事力を高める 視座力・視点力・価値観力|第3回・視座力の基本
コトバンク|視座(シザ)とは
外資系社員が実践している成果の出る仕事術|ビジネスに必要な3つの眼 ~視点・視野・視座