皆さんはユーモアのセンスに自信がありますか?
世の中にはユーモアセンスに溢れた人が存在し、話せば話すほど周囲が笑いに包まれる、というような光景を目にすることもありますよね。しかしそれを真似しようとしてもなかなか思うようにはいかない、変に笑いを狙ったせいで盛大にスベってしまった……。そんな経験がある人は少なくないかもしれません。

自分はそういうキャラじゃないとか、恥ずかしいとか思ってしまうかもしれませんが、ユーモアがあれば仕事もうまくいくことは疑いようがないことです。

一体どういうことなのか、ユーモアの持つ意外な効用とその磨き方を紹介したいと思います。

出世するにはユーモアが大切

出世とユーモアの関係を、皆さんはどう考えているでしょうか。

ユーモアは、人間関係の潤滑剤とも言われるほどコミュニケーションには欠かせない存在です。実際に「笑いのない会話」と「笑いのある会話」を想像してみれば、どちらが相手に親しみを持ちやすくなるのか、簡単に分かるかと思います。

この「親しみを持てる」ということが、職場での人間関係や仕事をスムーズにし、最終的に出世に繋がる重要なファクターなのです。そして、出世をすれば部下の面倒をみるという機会も増えますから、人間関係の円滑さはより一層大切になりますね。

では元々ユーモアに長けた人が得をするのかいうと、実はそうではなく、簡単なツボをおさえることでユーモアの能力をグッと伸ばすことができるのです。

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10年ぶり英語への挑戦で、TOEIC895点。秘訣は「毎日続けること」への科学的アプローチ
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そもそも、笑いとは?

ユーモアについて考える上で、そもそも笑いとは何なのかを知っておいて損はありません。笑いのスペシャリストであるお笑い芸人や落語家、バラエティー番組の司会者などを観察してみると、笑いにはいくつかのパターンがあることが分かります。

1. 緊張と緩和のパターン
このパターンは落語家の二代目桂枝雀が提唱したことで有名に。緊張感が続いた後、唐突にそれがほどけて緩和が訪れると、人間は自然と笑ってしまうという理論です。

例えば、目の前で友人が足を滑らせ、盛大に転んでしまった。あなたはもちろん心配するでしょうから、そのときに緊張が生まれます。その友人が大怪我をしていたら一大事ですが、もしも何事もなく立ち上がり、間抜けなたんこぶを作っていたら、その場は笑いに包まれることでしょう。これが緊張と緩和のパターンです。

神経科学者V・S・ラマチャンドラン氏の分析によれば、「笑い」の表情は「威嚇」の表情を緩めた形に一致しているといいます。危険を察知して威嚇を行っていた者が、危険が去った(誤りだった)ことを知らせるための合図。これが笑いの起源だそうです。このことから、緊張が緩和すると思わず笑ってしまう、という説には科学的な根拠があることが分かります。

2. 推理の裏切りというパターン
人間は話を聞いたり、物語を鑑賞するときなど、無意識にその先を想像してしまう性質があります。「ダラダラと長くて退屈だ」と思う話や映画は、その先に何が起こるのか分かってしまい、意外性が全くないものであることが多いです。この無意識の想像を逆手に取ったパターンが「推理の裏切り」なのです。

例えば、お笑いコンビ「ナイツ」のネタにはこのパターンが多く含まれます。誰もが知っている音楽や映画、著名人の話をしているのに、肝心のところでその名前を間違える、というネタが有名です。このネタが面白いのも私たちの中に「正解」が浮かんでいるからこそなのです。「正解」が分からない、つまり推理のしようのない間違いを繰り出されても、私たちは笑うことができません。

認知科学者のマシュー・ハーレ氏らは、著書『Inside Jokes』の中で笑いについて次のようにまとめています。

人は絶えず少ない情報を頼りに、多くの推理を立てることで合理的に日常を受け入れており、この推理の誤りに気づいた際に、脳はその褒美として笑いを得ている。

(引用元:HAFFPOST|紳助流の分析でわかった「笑い」を生み出すためのたった2つの法則

勘違いをさせる、ということは笑いのキモの一つです。あえて騙すような大袈裟な仕掛けがなくても、人間は自然と「こう来たらこう」という風に頭の中にパターンを持っています。そのパターンからちょっと外れてしまうだけで、ユーモアのある小粋な流れを作ることができるでしょう。

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ユーモアを取り入れるには

ユーモアの重要性とその仕組みが分かったところで、それを実際に取り入れる方法を紹介したいと思います。

ユーモアのある人間になるための第一歩は、ユーモアのある人を注意深く観察することです。ただ観察するだけではありません、先に紹介した2つのパターンを頭に入れ、どのようなタイミングで、どのような形で、それらのパターンを会話に織り込んでいるのか観察してみてください。身近にいる「面白い人」を観察するのも良いですし、ラジオのパーソナリティやお笑い芸人のネタ、トークなども、分析しながら見てみると学ぶところが多いです。

パターンがしっかり頭に入ったら、いよいよそれを実践してみましょう。その際に最も気を付けるのが話のテンポです。「緊張と緩和」も「推理の裏切り」も、大切なのはしっかりと緩急をつけて行うこと。ダラダラと話さずすっきりと明快に、削れるところはできるだけ削って、落とすところでしっかりと落とす。そのリズムが身みつけば、何気ない日常会話も「ちょっと面白い話」として話すことができるようになります。

ビジネスにおけるプレゼンでも、社内での雑談であっても、「自分の一番話したいところ」というものが存在するはずです。それが一体何なのか、相手に悟られないように話を進めていきましょう。そして最後に意表をついてその話題をポンと取り出せば、話のインパクトも大きく、笑い話なら大きな笑いが起こるでしょう。笑い話の場合はなるべくシリアスなトーンで話すことで、緊張と緩和のパターンも上手に盛り込めるはずです。

ユーモアを磨く効用

ユーモアのセンスを磨くことで人間関係が円滑になるのはもちろんですが、それだけではなく、仕事の質にもシナジー(相乗効果)を起こすことが可能です。

人を笑わせるという行為は、相手を話に引き込むことと表裏一体。相手を話に引き込むからこそ緊張感を演出することができ、自然な推理を誘発することが可能になるのです。これが自然にできるようになれば、会議での発言やプレゼンでも「どのような順序とテンポを演出すれば聞き手を引き込むことができるのか」ということが自然と分かるようになります。

また、ユーモアを発揮するには、常に物事を多角的に見る柔軟な発想が必要です。そのような発想を習慣づけることができれば、仕事上でのアイデアも今まで以上に豊かに生み出せるでしょう。

笑いには、脳の活動を活性化させ、記憶力や判断力を強化し、リラックスすることで発想力が向上するという効果まであります。ユーモアと笑いを職場に持ち込むことで、生産性の向上まで見込むことができるのです。

優れた仕事の質を追求するには、むしろ笑いは不可欠なのだと言えるかもしれません。

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生活の端々にユーモアがあるだけで、日々の暮らしがグッと明るくなりますよ。
あなたもちょっとしたコツをおさえて、ユーモアのある溌溂とした暮らしを手に入れてみませんか?

(参考)
V・S・ラマチャンドラン,サンドラ・ブレイクスリー著,山下篤子訳(2011),『脳の中の幽霊』,角川文庫.
HAFFPOST|紳助流の分析でわかった「笑い」を生み出すためのたった2つの法則
マイナビウーマン|相手を笑わせる鉄則―2代目桂枝雀の「緊張の緩和」論
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