「どうも自分にはセンスがない」、「他の人に比べて覚えが遅いみたいだ」、「周りが頭が良すぎるように見えて羨ましい」そんな悩みはありませんか?

こうした問題は、いま話題の「やり抜く力:GRIT」を伸ばすことで解決することができます。その手がかりを与えてくれる一冊をご紹介しましょう。

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やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

アンジェラ・ダックワース著 神崎朗子訳

ダイヤモンド社・2016年

(以下引用は本書より)

本書の著者アンジェラ・ダックワース氏(ペンシルベニア大学心理学教授)は、ハーバード大学やオックスフォード大学で脳神経科学を専攻して学んだのち、マッキンゼーで働いたエリートですが、その後、なんとニューヨークの公立校で中学生に数学を教える教師に転身します。

教師としての経験から、瞬間的にひらめく天才型生徒よりも、コツコツと粘り強く宿題に取り組む生徒の方が、結果的に成績が伸びることに気づきました。そして、成績の伸びる背景には「GRIT(グリット)」「やり抜く力」が存在するという、成功法則を発見したのだといいます。

私が最も有力だと思う考え方は、「青年期に何らかの活動を最後までやり通すことは、やり抜く力を要するとともに、やり抜く力を鍛えることにもなる。」ということだ。

経営者、天才学者、運動選手などの成功者の共通点は、実は持って生まれた「才能」や「IQ」でもなく、地道に「やり抜く力(グリット)」だったのです。

さあ、あなたも自分の「やり抜く力」を磨いて、人生の可能性を最大化しましょう。

「やり抜く力」はなぜ重要なのか?

厳しい訓練を乗り越えることができる米国陸軍士官学校(ウェストポイント)やアメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の超エリート達は、才能があるとか頭が良いなどというのではなく、「やり抜く力」が非常に高いのだそうです。

このことについて著者は、「努力」の重要性を指摘します。「才能」に「努力」を掛け合わせて「スキル」が上達し、その「スキル」にまた「努力」が掛け合わされて「達成」になるので、2倍の才能があっても努力が半分では達成できないと説いているのです。

では、努力し続けることのできる「やり抜く力」を伸ばすためには、どうすればいいのでしょう? 本書では、「やり抜く力」を本人が内面から伸ばす方法と、周囲の人が外側から伸ばす方法の2つに分けて解説しています。

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「やり抜く力」を内側から伸ばす

「やり抜く力」には、情熱と粘り強さが欠かせません。これらの要素は、自分がやりたいことや、興味・関心のあること、好きなことと、行動・目的を結びつけることによって強化されます。そうすることで、対象の物事に没頭することができるのです。

まずは、自分が心から意義があると考える目標を設定しましょう。自分は何をすれば、意義を感じられるでしょうか? 次に、その目標までやり抜くために、具体的な中位・下位の目標も定めます。自分がいま取り組んでいることが、最上位の目的につながっていることを意識できると頑張れますよ。

例えば、資格取得(上位目標)に向けて、模擬試験の成績アップ(中位目標)、参考書・問題集をスケジュール通りに完了させる(下位目標)といったように設定してみましょう。あるいは、海外留学(上位目標)に向けて、英会話力アップ(中位目標)、英単語帳作成(下位目標)などの目標設定もいいですね。このように、レベルの違う目標どうしが互いにつながりを持っていることが重要です。

下位目標が達成できたら中位目標を、中位目標が達成できたら上位目標を目指すというように、自分のスキルを少し上回る目標にチャレンジしながらストレッチし、それを達成していく習慣をつけることで、「やり抜く力」は伸ばすことができるのです。

また、やり抜く力の達人になるには、「利他的(自分以外の人や社会にも貢献できるような)」な目的をもち、利己的(自分自身の目標達成のための)な満足感との間でバランスを取ることが大切だそうです。利他的な目的と利己的な満足感が両方揃うことで、やる気が使命感となって続きやすくなるのでしょう。

物事に失敗したとき、外部環境や原因について悲観的に考えるのではなく、楽観的に反省と改良を繰り返すことも大切です。著者は日本の「七転び八起き」という言葉が大好きだそうですよ。

子どもの頃になにかを乗り越えた、うまくできたという経験は、ずっとあとにまで効果をおよぼすと私は考えている。だから、自分の行動と自分が経験する出来事には、望ましい意味で関連性があることを学ぶ必要がある。つまり「自分がこうすれば、きっとこうなるはずだ」と思えるようにならないといけない。

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「やり抜く力」を外側から伸ばす

「やり抜く力」は、周囲の人からの働きかけによって伸ばすこともできます。このことについて著者は、課外活動(例えば学生時代などのクラブ活動)において「何かをやりとおした」経験が1年以上ある人は、「やり抜く力」が強いと言います。

「やり抜く力」は、集団からの影響を受けます。スポーツでも、ビジネスでも、一流選手が一流のチームに所属しているのは、スキルや技術を吸収する動機を継続できるから。「やり抜く力」を強くしたいなら、「やり抜く力の強い」組織や場所に、思い切って飛び込んでみることも大切です。

また、著者は、人生全般でも「やり抜く力」が強いほど「幸福感」と「健康度」が高いと言っています。努力してやり抜ける人ほど人生が豊かになるとは、面白いですね。

さらに、やり抜く力を伸ばしてあげる側の人として持つべき考え方についても、押さえておきましょう。

周りの人に大切なことは、本人の可能性を信じ、その可能性が伸びるように、要求(厳しさ)と支援(寛容)を惜しまない態度で接すること。どちらか一方だけだと、本人は甘やかされたり、逆に疲れたりしてしまいますよ。

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日本で、「継続は力なり」という言葉はよく知られていますね。イチロー選手も「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています」と言っています。彼の成功を支えていたのも、「やり抜く力」なんですね。

さああなたもやり抜いて!

(参考)
アンジェラ・ダックワース著,神崎朗子訳(2016),『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』,ダイヤモンド社.
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