朝活に、高い意識は要りません。1日の効率が劇的に上がる “ズボラ” 朝習慣。

昼間の仕事や勉強中に耐えがたい眠気に襲われたり、集中力が途切れぼーっとしてしまったりなんてことは、誰だって一度や二度は経験するもの。しかし、それが毎度のように起こり、その都度作業効率を下げているならば、かなり由々しき事態です。一日の生産性は朝に決まると言われているので、朝時間を有効活用してその悩みを解決しましょう。

とはいえ、日々多忙で心身ともに疲れている人に「早寝・早起き・朝活だ!」とけしかけるのは少々酷ですよね。そこで今回は、どんなに忙しい人でも取り入れられる、一日の作業効率アップに効果的な“ズボラ朝活”をご紹介します。

作業効率が落ちやすい時間帯とは?

人には作業効率が落ちやすくなる時間帯があります。それは、昼食あとの午後2時から3時ごろ。筑波大学教授の櫻井武氏によると、その時間帯は体内時計による覚醒系への出力が一時的に落ちてしまうのだとか。

また、人間に覚醒をもたらす物質オレキシンは、食事によって血糖値が上がると脳内でつくられにくくなります。これらの要因が重なるため、昼食後は眠くなるわけです。

ただし、櫻井氏いわく、日本人の平均的な睡眠時間の短さは世界ワーストレベルなので、多くの日本人は睡眠圧(睡眠の必要性)を蓄積しているのだそう。したがって、午後2時から3時ごろに覚醒系への出力が一時低下することや、血糖値上昇は眠気の原因になりますが、睡眠不足による影響力の大きさには及ばないとのこと。

何にしても、睡眠時間の確保は絶対に必要だと留意すべきでしょう。

なぜ「朝」がそんなに大切なのか?

ところで、なぜ一日の効率や生産性は朝に決まると言われるのでしょう。

脳科学者の茂木健一郎氏は、睡眠によって脳が整理された状態の起床後2~3時間を「黄金時間」と呼び、この時間をいかに有効活用するかが重要だと伝えています。

そんな朝に、ほんのいくつか微調整するだけでも一日が変わるのです。たとえば朝のうちに「手帳を開いて、今日一日の流れをチェックする」のでも、「“今日やるべきこと”を書き出し、優先順位をつける」でもいいでしょう。そうすれば朝会社に到着した際、「さーて、どの仕事から始めようかな?」と時間を浪費してしまうこともありません。

また、たとえば「朝食をしっかり摂る」「ウォーキングをする」でもいいでしょう。“考える・記憶する・アイデアを出す・感情をコントロールする・判断する・応用する”といった、思考や創造的な活動を担う前頭葉の働きを活性化させるためには、前頭葉の血流を良くすることが必要です。そのためには、そういった活動が役立つのです。

ライフネット生命が行った調査によると、年収600万円未満の朝活率が39.6%にとどまったのに対し、年収600万円以上の朝活率は57.7%だったとのこと。事実、朝活はアップルのスティーブ・ジョブズや、ウォルトディズニーのボブ・アイガーCEOといった成功者も実践しています。朝時間をいかに活用するかで一日の効率が決まり、長いスパンで見ればその人の人生さえも変えていくということなのです。

さて、いかに「朝」が大事かがわかりました。しかし、今回は朝活習慣を正論で伝えるつもりはありません。「もう、毎日忙しくてクタクタ……。朝活なんて無理」という方のために、脳の働きに着目しながら、「一日の効率を上げるズボラ朝習慣」をご紹介しましょう。

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ズボラ朝習慣1―柑橘系の香りで目覚めよう

星薬科大学教授で医学博士の塩田清二氏が行った研究によると、レモングラスの香りをかぐと交感神経の働きが活発になり、前頭葉の血流を増やすことが分かったのだとか。

ただし、レモングラスは禁忌事項もあるエッセンシャルオイル(精油)なので、扱いが面倒だという人もいるでしょう。ならば、柑橘系の果物を用いればいいのです。柑橘系の香りで嗅神経を刺激することが肝心なのですから。

ちなみに、レモングラスは、レモンのようなフレッシュで強い香りが特徴です。レモンをカットしてクンクンするだけでもOK。フレッシュな香りで、前頭葉を活性化しましょう。

ズボラ朝習慣2―たった10分間の定点観測

朝起きて新聞を読むと脳が活性化し、一日の効率を上げることに役立ちます。でも新聞を隅から隅まで読むのは大変なこと。

ならば、たった5分でも10分でも、新聞の決まった欄の、決まった箇所だけ読んでみましょう。それを毎日続ければ有用な定点観測ができます。また、その事柄に関して理解が深まれば、自分の明確な意見をもつこともできます。一日の効率を上げるだけではなく、自分の自信も構築していけるのです。

ちなみに、人材コンサルタントで評論家の常見陽平氏は、日本経済新聞の「私の履歴書」と「交遊抄」を必ず読む習慣にしていたそうです。(2009年9月時点)

ズボラ朝習慣3―「大好き」を用意する

精神科医で作家の樺沢紫苑氏は、著書『脳を最適化すれば能力は2倍になる 仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法』のなかで、ドーパミンは前頭葉の前頭連合野のワーキングメモリー(作業記憶)と深く関わっているとし、ドーパミンの分泌は情報処理能力、注意・集中力、計画性などに影響すると述べています。

また、神経内科医の米山公啓氏は、インプットとアウトプットの繰り返しでワーキングメモリーを鍛える際、楽しく記憶しドーパミンを出して脳を元気にすることをすすめています。

ドーパミン神経系は欲求が満たされたとき、あるいは満たされることが分かったときに活性化します。ならば、迷わず朝は好きなことを実行しましょう。

たとえば朝食に大好物を食べるのでもいいし、好きな音楽を聴くのでもいい、録画していた好きなドラマをちょこっと観るのでもいいのです。朝起きれば「大好き」が待っていると考えるだけで、ドーパミンが分泌されワーキングメモリーに影響を及ぼし、情報処理能力や集中力が高まるのですから、これほど楽しい朝活はありません。

*** 一日の効率を上げるズボラ朝習慣をご紹介しました。この方法でスモールステップできたら、次にはもうワンランク上げてどんどん朝活を取り入れていきましょう。

(参考) 日経ウーマンオンライン|仕事の効率がアップする朝時間の過ごし方 Study Hacker|仕事の種類は 時間帯 で決める! 成果を生む仕事のための『時間割』のつくりかた Study Hacker|毎朝5時半起床。朝活を 継続できた 私の続けるコツと、やってみて体感したメリット Study Hacker|カギは “楽しさ” を供給すること。脳の「前頭前野」を活性化させて仕事の効率を高めよう。 JBpress|食の安全|満腹な午後の眠気はどうしたら吹き飛ばせるのか 東京ビジネスキャリアラボ|脳の前頭葉に血を巡らせよう! 女性の健康情報 リビングくらしナビ|前頭葉の血流アップ!認知症の症状に変化がみられたレモングラスの香り 樺沢紫苑著(2016),『脳を最適化すれば能力は2倍になる 仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法』,文響社.

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