TOEIC950越えを狙うための、段階別・英単語暗記法

資格試験のために英語を勉強し始めたはいいものの、文章を読んでいてもすぐにわからない単語にぶつかって悩んでしまう。そんな、受験生、大学生、社会人の方はいませんか?

わからない単語は辞書をひいて調べればいい。辞書をひくことで、単語の様々な使い方を知ることができたり、隣の語も一緒に覚えることができる……。そんな綺麗ごとを言っても、最初から単語の意味だけでも知っている方が効率は良いはず。辞書をひく時間をまるまる英文を読む時間に使えるし、英文を読み進めるうちにまた同じ単語に出合えば、用法も自然な形で身に着けることができるのですから。

英語学習もなかばに入ると、覚えるべき英単語のレベルも量も変わってきますので、単語帳を使って単語を覚え始めなければいけません。「でも、わたし単語覚えるのは苦手だし、前やっていた単語張も挫折しちゃった……」そんな方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、単語暗記を最小限の労力で進めていくための方法を紹介します。初心者におすすめな「例文型」、初心者~上級者のための「文脈型」、上級者のための「語源型」、初心者~超上級者のための「連想型」という4つの記憶法です。また、それぞれの方法に適した難易度別の単語帳を、使い方とともにご紹介したいと思います。

自分の英語の語彙数を知る

最初に、自分が現時点で何単語知っているのか? を知りましょう。自分の英語の語彙数は、こちらのサイトを使うと手早く知ることができます。結果の精度も高いのでおすすめです。

Test Your Vocabulary

やり方は、一つでも意味を知っている単語にどんどんチェックを付けていくだけ。現時点で覚えている単語数を把握し、以下で紹介する資格試験ごとの覚えるべき単語数との差を認識しましょう。これが、英単語学習を始めるうえでの第一歩となります。

語彙数の範囲は、一般的に、

高校受験 2,000~3,000語 大学受験 5,000~6,000語 TOEIC860点 8,000語 TOEIC満点 10,000語 英検1級 12,000語 SAT 15,000語 GRE,GMAT 20,000語 ネイティブ 20,000語~

となることが多いようです。たとえば、現在の語彙数が5,000語の社会人の方で、「昇進や海外勤務のためにTOEIC860点が必要だ!」ということであれば、必要な語彙数は上の表で見て大体8,000語。差の3,000語を覚えればよいことがわかります。

1. 例文型:例文で覚える英単語

多くの人が、この「例文を利用して単語を覚える」方法をとっているのではないでしょうか? 例文の中に含まれる単語を、例文の意味と共に覚えるという方法です。この種の単語帳の代表格は『DUO』。しかし『DUO』は560例文、約2,500単語。初学者向けにしては量が多いので、買ってみたはいいものの、挫折してしまったという人もいることでしょう。そこで、挫折しない『DUO』の使い方をご紹介します。

1周目は、英文の構造を把握し、単語・例文の訳を確認して、数回音読しましょう。暗記しようとはしません。(英文構造が把握できない場合、文法書や英文解釈書をやってから戻ってきましょう。) 2周目も、1週目と同じように英文の構造や単語を確認するだけです。 3周目から、身体に負荷をかけていきます。例文を紙に殴り書きして、単語のスペルや読むだけでは意識できなかった文構造などを把握し、例文を見ずに3回ほど暗唱します。

以上は、私が実践してきたやり方です(私は、英語学習に専念しTOEIC980点とアメリカの大学編入試験合格を果たした経験があります)。

この方法では、単語学習最大のポイントである、1回の負担をできるだけ軽くし、何周もするという手順をとっています。紙に書いたりして身体へ負荷をかけることは暗記の手助けになりますが、挫折する可能性が極端に上がりますから、3周目以降に取り入れています。この方法では、単語を覚えるのに例文を軽く暗記する必要がありますので、同時に「ライティング」の能力も強化することができます。

「例文で覚える方法」がフィットする単語帳は多くなく、現段階では『DUO』くらいです。多くの方が例文暗記を用いて覚えるであろう『英検1級パス単』や『究極の英単語』もここで紹介しておきますが、これら2つの単語帳が真価を発揮できるのは、「イメージで覚える方法」においてです。なので、これらの単語帳は再度そちらで取り上げます。

[6000語レベル] ・『DUO 3.0』 (鈴木陽一著、2000年、アイシーピー) [10,000語レベル] ・『TOEIC Test 900点突破必須英単語』(石井辰哉著、2000年、ベレ出版) [12,000語レベル] ・『英検1級でる順パス単』(旺文社編、2012年、旺文社) [15,000語レベル] ・『究極の英単語 SVL Vol.4 超上級の3000語』(アルク編、2007年、アルク)

2. 文脈型:長文で覚える英単語

「長い文章の中で単語を覚える」という人も多いでしょう。以下で紹介する、『英検1級 文で覚える単熟語』と『速読速聴・英単語Advanced 1100 vet.4』の私の使い方をご紹介します。これらの単語帳では200~1,000語程度の長文に、新出単語がちりばめられており、単語の意味などが別ページにまとめられています。

1周目は、黙読で文構造を把握し、単語の意味を確認します。音読は時間がかかるのでやりません。 2週目も、1周目と同様にひたすら黙読です。文構造と単語の意味を取りながら読みましょう。 3周目から、身体に負荷をかけます。まず、文章の新出単語(すでに2周していますが)を一通り最初に確認します。そして、 文章を「音読をしながら」文構造と単語の意味をとっていきます。 4周目で、付属CDを使い、シャドーイング(※)をしましょう。この段階で、英語がかなり聞き取れるようになっているはずです。

(※シャドーイングとは英語の音声を流し、それを聴きながら、少し遅れて英語を発音していく英語の練習方法のことです)

この方法では、単語を覚えるために、長文を音読したりCDを聞きながらシャドーイングしたりするので、「リスニング」の能力も強化することができます。日本の単語帳の多くは、シリーズでレベル別に用意されています。書店に足を運んで、自分のレベルに合った1冊を選んでみてください。

[6,000語レベル] ・『速読英単語2上級編[改訂第4版]』(風早寛著、2015年、Z会) ・『話題別英単語リンガメタリカ[改訂版]』(中澤幸夫著、2006年、Z会) [8,000語レベル] ・『CD付 英検1級 文で覚える単熟語 三訂版』(旺文社編、2013、旺文社) [10,000語レベル] ・『速読速聴・英単語 Advanced 1100 ver.4』(松本茂、Robert Gaynor著、2013年、Z会) ・『テーマ別英単語ACADEMIC上級〈01〉人文・社会科学編』(中澤幸夫著、2009年、Z会) [12,000語レベル] ・『1100 Words You Need to Know』(Murray Bromberg、Melvin Gordon著、2013年、Barrons Educational Series Inc)

TOEIC950越えを狙うための、段階別・英単語暗記法1

3: 語源型:語源で覚える英単語

「語源」による覚え方は、英語上級者におすすめ。漢字が部首から成り立っているのと同じように、英語も、漢字でいう部首(英語では接頭語、接尾語と呼ばれます)を覚えれば、大抵の単語は意味を類推することができます。上級者は、すでに多くの単語を知っているため、「単語の作り」と「意味」の間にパターンがあることにも気づいているものなので、ラクに接頭語や接尾語の意味を覚えていけるのです。

しかし私は、語源でがつがつ単語を覚えていく方法はあまりお勧めしません。それは、全ての単語が語源で分解できるわけではないことと、語源を知っていても単語の意味に結び付けるのが難しいことが多々あるためです。語源による暗記は画期的ですが、私は主に文中の未知単語の類推の時だけに使うようにしています。

語源は調べるのに時間がかかり、意味とのつながりもはっきりしない場合が多いため、単語数を爆発的に増やす方法としては向いていません。ですから、語源は教養であると割り切り、実際に覚える段になったら次に紹介する「イメージ」を用いるようにしましょう。

語源で覚える単語帳には、以下のようなものがあります。

[12,000語レベル] ・『Instant Word Power』(Norman Lewis著、1982年、Signet) [15,000語レベル] ・『Word Power Made Easy: The Complete Handbook for Building a Superior Vocabulary』(Norman Lewis著、2014年、Anchor) ・『Merriam-Webster's Vocabulary Builder』 (Marry W Cornog著、2010年、Merriam Webster Mass Market)

4. 連想型:連想で覚える英単語

英語学習が進んでくると、これらの方法だけでは単語が爆発的に増えていかないために洋書の多読がうまく進まなかったり、試験でも高得点が取れなかったりすることがあります。これは、単語を一番効率よく覚えられるはずのリスト形式の単語帳を、上の3つの方法では避けているから。しかし、一見無味乾燥に思われがちなリスト形式の単語帳にも、効率よく活用できる方があります。それが「連想で覚える方法」です。

さきほど紹介した語源で覚える方法が正統派であり、イメージや連想で覚える方法は邪道であると考えられる向きもありますが、連想で覚える方法は、最速の単語暗記を実現します

エッセンスは、「連想ワード」と「色鮮やかなイメージ」のふたつ。たとえば、window(窓)という単語を知っていて、wind(風)という単語を知らなかったとします。windを見て、

「wind...wind...なんとなく、window(窓)と似てる単語だ」

と思ったら、既にこの覚え方のパターンに入っています。無理やり、未知単語であるwindをwindowと結びつけてしまいましょう。「風(wind)がリビングの少し空いている窓(window)を通って家の中に入ってくる様子」を頭の中でイメージします。

・未知単語 : wind ・連想ワード : window ・イメージ : 風が窓を通りぬける様子

文章中でwindに出くわしたときには、連想ワードwindowを思い出して、窓を通る「風」だ! とイメージに結びつけて思い出すのです。

どんな難単語にもイメージ付けは可能です。私はリスト形式の単語帳を覚える時、次のように実践しています。

1週目は、知らない単語に「連想ワード」と「イメージ」を書き込む作業をします。 2、3周目で、イメージを反復し長期記憶に変えます。

『英検1級パス単』の2,100個の単語も、この方法で10日で覚えることができました。ぜひ試してみてください。この方法が使える単語帳には以下のものがあります。

[12,000語レベル] 『Vocabulary Cartoons: SAT Word Power』(Sam Burchers、Bryan E. Burchers著、2007年、New Monic Books; 4 Rev Upd版) [15,000語レベル] ・『超ハイレベル英単語800 (Puntasy Worldへようこそ)』(野崎成文著、2008年、三修社)

TOEIC950越えを狙うための、段階別・英単語暗記法2

英単語学習の理想と現実

一言に単語学習といっても、自分の今伸ばしたい技能によって、その方法は変わってきます。ライティングを伸ばしたいなら単語と一緒に例文を暗記し、リスニングを伸ばしたいなら長文を利用しましょう。上級者になってくると、難単語を覚えなくては英語力が頭打ちになってしまいますから、語源とイメージを利用します。

理想は、1周で単語帳の全ての単語を覚えること。しかし現実には、私たちは常に「挫折する」という選択肢を選んでしまう可能性があることも忘れないでください。まずは、挫折せずに1周できるプランを立てましょう。たとえ一回一回の負荷が軽かったとしても、何周もすることであなたの脳は絶対に単語を記憶してくれます。

単語を暗記する時に必要なことは、思い出す回路を頭の中に作っておくことです。異なる形成方法こそとっていますが、文脈や語源、イメージはどれも、思い出すための回路を作るという点では同じ。文脈があれば「文脈」で、リスト型なら「語源」と「イメージ」で、あなた自身の単語と意味を結ぶストーリー(回路)を作りましょう。人並み外れた英単語力が、あなたの英語に革命を起こしてくれるはずです。

(参考) Test Your Vocabulary 1日33分で月1000の語彙が増える単語カード|第1話:あなたはいくつの語彙が必要?

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