前回に引き続き『プラダを着た悪魔』から英語を学んでいきましょう。
今回いよいよアンディ(アン・ハサウェイ)の前に “悪魔” と称されたメリル・ストリープが登場します。彼女が演じる鬼編集長ミランダは、アメリカ版VOGUEの編集長アナ・ウィンターをモデルとしている、というのは有名な話。プラダのバッグにグッチのサングラス、そしてデニース・バッソのファーコートを身にまとい、リムジンから颯爽と現れる登場シーンは、この作品のお気に入りのシーンのひとつでもあります。
実はわたしがメリル・ストリープを初めて知ったのは、15歳のときに、この映画ででした。当時はただひたすらに「なんてかっこいい女優さんなんだ!」と画面の前でひとりドキドキしていたことを、今でもはっきり覚えています。

前回はミランダの出社を聞いて“ランウェイ”全体が大慌てするシーンの手前まで確認しましたね。スタッフたちがフラットシューズからハイヒールに履き替えたり、ルージュをバッチリ塗ってみたりと、ミランダのファッションへのストイックさ、そしてそんな彼女へのスタッフたちの畏怖の念を表すシーンでもありました。

そんなドタバタシーンから一変、今回見ていきたいのは、アンディとミランダの面接シーンの前半です。予告編でも必ず抜かれているため『プラダを着た悪魔』未視聴の方でも「あ、これ知ってる」と言う方も多いのではないでしょうか。(0:08:08~0:09:20)
まずは日本語字幕で観てみましょう。日本語をヒントに英語でなんと言っているのか“意識して”聞き取ってみてください。

(この動画では、頭から1:15まで)

Miranda: Who are you?
Andy: My name is Andy Sachs. I recently graduated from Northwestern University.
Miranda: And what are you doing here?
Andy: Well, I think I could do a good job as your assistant. I came to New York to be a journalist and sent letters out everywhere and then finally got a call from Elias-Clarke and met with Sherry up at Human Resources. Basically, it’s this or Auto Universe.
Miranda: So you don’t read Runway?
Andy: No.
Miranda: And before today, you had never heard of me.
Andy: No.
Miranda: And you have no style or sense of fashion.
Andy: Well, I think that depends on what you’re–
Miranda: No, no. That wasn’t a question.
Andy: I was editor in chief of The Daily Northwestern. I also won a national competition for college journalists with my series on the janitors’ union, which exposed the exploitation of–
Miranda: That’s all.

華々しい経歴のスピーチもむなしく、ミランダにあっさりと面接を打ち切られてしまいました。アンディの将来を後半に期待しつつ、まずは前半の内容理解を深めていきましょう。

Vocabulary Check

・recently「最近」
・send out「大量に発送する」
・meet with「約束して会う」
・basically「基本的に、実は、要するに」
・depend on「~次第である」
・editor in chief「編集長」

<訳>
ミランダ:名前は?
アンディ:アンドレア・サックスです ノースウエスタン大学を卒業
ミランダ:なぜ うちに?
アンディ:アシスタントとして 立派に仕事がこなせます それに… ジャーナリスト志望でNYに 方々に手紙を送り イライアス=クラーク出版の――人事部から連絡が “車雑誌か ここか”と
ミランダ:“ランウェイ”は 読まないのね?
アンディ:ええ
ミランダ:私の名前も 聞いたことないのね?
アンディ:ええ…
ミランダ:ファッションのセンスも ゼロね
アンディ:それは――考え方次第で…
ミランダ:いいの 今のは質問じゃないわ
アンディ:私は大学新聞の編集長でした 学生ジャーナリズム大賞も 受賞しました 連載記事が評価され…
ミランダ:以上よ

ishidasama-ec
「英語が聞けない」を克服! 外国人上司と仕事するまでに。TOEIC®でも900点獲得。
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Phrases Check

第1回目でご紹介したように、英会話(=output)に挑む前に、まずは様々な表現や言い回しを覚える必要があります。心ときめく素敵なフレーズに出会ったら、片っ端から覚えていきましょう。

・You have no style or sense of fashion.「あなたって品もないしファッションセンスもゼロね」
-have style「上品である、洗練されている、オシャレである」
→have no style「ダサい、品がない」
-sense of fashion「ファッションセンス」
一瞬で友人を失いそうなセリフですが、noを取って肯定文にしてしまえば「英語でファッションを褒めたいけど、なんて言えばいいのかわからない」なんて悩みを一掃してくれる、素敵なフレーズになりますね。

Sound Changes

日本人が英語の音を聞き取れないという大半の理由は、文字から想定される音と実際に発話される音にギャップがあるためです。
例えば、大人気ディズニー映画『アナと雪の女王』のテーマソング。観ていない方でも、あの有名なサビは歌えるのではないでしょうか? “Let it go.” はその文字だけ見れば「レットイットゴー」と読めますが、実際には「レリゴー」と歌われていますよね。ここで何が起こっているのでしょうか? 母音に挟まれた[t]や[d]の音は日本語のら行に近い音になります。(言語学的には“弾き音化”)

そのような音声変化はネイティブの気まぐれで起こっているわけではなく、一定のルールに基づいて起こっています。ルールを学び、正しく発音できる音を増やしていけば、聞き取れる音も格段に増えていきます。一石二鳥ですね。

では、単語とフレーズを確認したところで、ふたりのセリフを聞きながらスクリプトを見てみましょう。

Miranda: Who are you?
Andy: My name is Andy Sachs. I recently graduated from Northwestern University.
Miranda: And what are you doing here?
Andy: Well, I think I could do a good job as your assistant. I came to New York to be a journalist and sent letters out everywhere and then finally got a call from Elias-Clarke and met with Sherry up at Human Resources. Basically, it’s this or Auto Universe.
Miranda: So you don’t read Runway?
Andy: No.
Miranda: And before today, you had never heard of me.
Andy: No.
Miranda: And you have no style or sense of fashion.
Andy: Well, I think that depends on what you’re–
Miranda: No, no. That wasn’t a question.
Andy: I was editor in chief of The Daily Northwestern. I also won a national competition for college journalists with my series on the janitors’ union, which exposed the exploitation of–
Miranda: That’s all.

さて、文字を読んであなたが想定した音と、彼女たちが発した音は同じでしたか?
実はこの文章の中で、こんな音声変化が起こっていたのです。

Miranda: Who are you?
Andy: My name is Andy Sachs. I recently graduated from Northwestern University.
Miranda: And what are you doing here?
Andy: Well, I think I could do a good job as your assistant. I came to New York to be a journalist and sent letters out everywhere and then finally got a call from Elias-Clarke and met with Sherry up at Human Resources. Basically, it’s this or Auto Universe.
Miranda: So you don’t read Runway?
Andy: No.
Miranda: And before today, you had never heard of me.
Andy: No.
Miranda: And you have no style or sense of fashion.
Andy: Well, I think that depends on what you’re–
Miranda: No, no. That wasn’t a question.
Andy: I was editor in chief of The Daily Northwestern. I also won a national competition for college journalists with my series on the janitors’ union, which exposed the exploitation of–
Miranda: That’s all.

 赤 :脱落
 緑 :連結
 黄 :弱形
 桃 :同化
 水 :ら行化
 青 :発音注意

【脱落】あるべき音が発音されないこと
・recently →【声門閉鎖音】喉の奥で「ン」と鳴らす、飲み込むような音。少し上級者向けの発音です。
・wasn’t ※[n]の後の[t][d]は脱落
・and what, met with ※次の単語の頭が子音のとき、[t][d]は脱落
・and then, that depends, exposed the※似ている子音[t][d]が続くとき、前の子音が脱落
・could do※同じ子音が続くとき、前の子音が脱落

【連結】音が繋がって発音されること
※単語の最後の子音と、次の単語の最初の母音がつなげて発音される
・name is「ネイミz」
・letters out「レラーザウ」
・heard of「hə:rドヴ」※【発音tips】参照
・sense of「センソヴ」
・depends on「ディペンヅォン」
・wasn’t a「wəズナ」※【発音tips】参照 ※[t]が脱落するためnとaがつながり、このように発音される
・won a「ウォナ」
・series on「スィウィーゾン」

【同化】
※連結が起こったうえで、その音が別の音に変化すること
・as your「アジュア」

【ら行化】
※母音に挟まれた[t]や[d]の音は日本語のら行に近い音になる
・what are「ワラ」
・letters「レラーz」
・got a「ガラ」
・Auto「オウロ」
・editor「エディラー」

【弱形】
※文中の助動詞、代名詞、前置詞は弱形で発音される
・to:「トゥー」→「トゥ」
・was:「ワズ」→「wəz, wz」※【発音tips】参照

【発音tips】
・style:ご存知のLの発音とは違い、舌先を歯茎に付けずに発音。【Dark L】という名前があります。(かっこいいですね)→スタァイゥ
・heard, was:[ə]:『千と千尋の神隠し』に登場するカオナシが発する「ア、ア」という音がまさにこの発音です。短く「ァ」と言ってみましょう。

ここまで音声変化を確認できたら、もう一度二人のセリフを聞いてみましょう。
苦手な音声変化は、ぜひスクリプトを見ながらの“オーバーラッピング”にトライしてみて。

「もっと詳しく音声変化を身に付けたい!」というあなたはこちらのアプリをチェックしてみて。→http://studyhacker.net/english/listening-hacker

Tips

張り切って編集部に乗り込んだのは良いものの、“あの”ミランダを前にして、アンディはところどころ「ええと」なんて口ごもっています。“well, you know, ah” などの、スクリプトにはない、文と文をつなぐことばまで意識できたら、あなたはもう上級者ですね。

さて、途中で打ち切られてしまった面接はどうなるのでしょうか?「ファッションセンスもゼロね」なんて言われた日には、泣きながら帰路に付きそうですが、果たしてアンディはどうするのでしょうか?
後半をお楽しみに♡

***
『映画で学ぶ英会話』連載中の松本夏織トレーナーは、ENGLISH COMPANY有楽町スタジオでも活躍中。
トレーナーとしての活躍はこちらの記事をチェック! →『45日でTOEIC825点に到達! 外資コンサルが選んだ、パーソナルトレーニングという英語学習の形。

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