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ビジネス英語力は「説得できる」英語力。ほんとうに仕事でつかえる、英語力の鍛え方。

ビジネス英語力は「説得できる」英語力。ほんとうに仕事でつかえる、英語力の鍛え方。

みなさん、ご無沙汰しております。英語職人・時吉秀弥です。

「英語の某資格試験で高い点数をとっても、なかなか英語が『話せない』」というお話は昔からよく聞くところです。今回と次回の2回にわたって皆さんにご紹介するのは、英語パーソナルジム ENGLISH COMPANYで私が実施した、「説得力を持った英語が話せて書けるようになるプログラム」です。



プログラムの成果は上々!

今回、実際に生徒さんを集めて、週1回・全6回のプログラムを行いました。参加していただいた生徒の皆様はいずれも社会の第一線で活躍されていて、英語のスキルが現場で必要、だけど、なかなかうまく英語が話せない、という方々でした。

結果は上々で、皆さん、英語で何かを発信するということがどういうことなのか、体でわかっていただけたようです。「さっそく今週受験するTOEIC®︎ Speaking & Writing Testsで試してみます!」という方もいらっしゃいました。普段高校生を教えることが多い私も、大人の皆様をお相手するのは新鮮でとても楽しく、また、新しい発見をたくさんいただくこともできました。感謝しております。

さて、この記事では読者の皆様に、

  1. 何を意識すれば短期間で「英語で発信」できるようになるのか?
  2. 具体的にはどのようなトレーニング方法があるのか?

今回のプログラムのレポートを兼ねて、上の2点を中心にお伝えしていきます。

「人を説得するための英語」という「作戦」

「英語で発信する」スキルの習得についてお話をします。

英語の4技能(読む、聞く、書く、話す)習得の必要性が叫ばれて久しいものです。例えば2011年の文科省の提言*1では「グローバル社会で求められる外国語能力」を、「異なる国や文化の人々と外国語をツールとして円滑にコミュニケーションを図ることができる能力」(下線部は筆者による)と定義しています。

しかし、英語を習得しようとする人々、特に英語で話したり書いたりできるようになろうと努力している人々にとって、またはその技術を教えようとする先生方にとって、厄介なのがこの「コミュニケーションを図る」ということです。

言語を使ってやることは、(独り言や考え事をすることを除けば)基本的にはほぼ全てがコミュニケーションです。つまり「英語でコミュニケーション」と言われたら、それは英語の「ほぼ全て」の側面を意味します。限られた時間でそれを全部習得するのはまず不可能ですし、教える側も、何から教えたらいいのか、そしてゴールはどこなのか、途方にくれることになるのです。

しかしながら、この問題点から逆算すれば、効果的な学習方法を導き出すこともできるのです。それは、「1. 習得するべきスキルを限定し、2. ゴールを明確にすれば、何とかなる」ということです。

そこでまずは、1の「スキルの限定」のお話をします。実はお隣の韓国でも、この「コミュニケーション英語教育」の問題は発生しており、カリキュラムの刷新を目指して当地のある大学教授が「大学や企業で必要とされる英語のスキル」を調査しました*2。その調査によると、大学ではレポート作成能力とプレゼンテーション能力、企業ではプレゼンテーション能力と交渉能力(議論を含む)が主に求められるスキルだという結果がでました。これはおそらく日本にもあてはまるでしょう。

さて、実は調査で判明した「必要な英語のスキル」にはある一つの共通点があります。それは「自分の意見を人に受け入れてもらう」、つまり「人を説得する」作業だということです。働く方々が「現場で英語のスキルが必要」というときに何よりも必要なのは、この「人を説得するために、どういう英語を使うか」ということなのです。教育や研修を「投資」だと考えれば、「英語で人を説得するスキル」を習得できれば、投資は回収された、と考えて良いでしょう。以上が「スキルの限定」のお話です。

次に、2の「ゴール設定」の話をします。数々の英語の資格試験を見渡せば、どの試験でもスピーキングとライティングのパートで問われるのは「意見とその理由を述べよ」ということです(大学受験のライティングテストでもそうですよね)。これはつまり、「人が納得できる理由を添えて、あなたの意見を述べよ」ということですから「英語を使って人を説得せよ」と言い換えることができます。

したがって、スピーキングとライティングのパートを持つ英語の資格試験のスコアを利用して、目指すべきゴールを設定すれば良いわけです。以上が「ゴール設定の仕方」とお話です。

以上のことを明確にすれば、教室で何をやればいいのかは明確になります。「英語を使って人を説得するスキル」を習得するプログラムを作ればいいわけです。しかし、これだけでは「何を」はわかっても、「どうすれば」いいのかはまだわかりません。

そこで、英語4技能のうち、「スピーキングとライティング」が、従来の2技能である「リーディングとリスニング」とはどう違うのか、をみてみましょう。

ビジネス英語力は「説得できる」英語力。ほんとうに仕事でつかえる、英語力の鍛え方。

「漢字読めるけど書けない」

私も含めて読者の皆さんも「漢字読めるけど書けない」という状況は経験したことがあるでしょう。ここで「漢字が読める」というスキルは、英語4技能で言えば従来の、日本人が学校で習ってきた英語2技能である「リーディングとリスニング」のスキルです。

「漢字読めるけど書けない」という人は、要するに、手を動かして漢字を書く練習、つまり「運動」が足りないわけです。英語も同じで、リーディングとリスニングができてもスピーキングとライティングができない人は、しゃべる練習、書く練習(=運動)が足りないわけです。なかでもスピーキングは瞬間的な英作文能力と、それを無意識レベルで口に出せるだけの能力が必要ですから、テニスやバレーボールで言えば、自由に相手とボールを打ち合う、無意識に体が動くところまで能力を高める必要があるわけです。

これを聞いて「ハードル高いなぁ」と思った方、そうでもないですよ。部活動で、3年テニスをやればテニスの試合に出られるぐらいにはなります。スピーキングとライティングスキルを「運動のスキル」と認識して取り組めば、やはりできるようになるのです。

ただし、やり方もわからず、闇雲に何でも取り組んでも、効率的にスキルを習得できないのはスポーツと同じです。スポーツにおいて「フォームの反復練習」が重要なのと同様、語学学習でも適切な「型」を作ってそれを反復練習し、その型を「何も考えなくても体が勝手に動くレベル」まで体に落とし込めば良いのです。では、「人を説得するために必要とされる適切な文の型」とは何か?

どんなトレーニング方法があるのか?

次回「“説得できる英語力” のためのトレーニングプログラム。『理由』をすぐに言えますか?」では、代表的な「型」のトレーニング方法を、一部ビデオも混ぜながら、ご紹介していきます。

ペアで行うゲーム形式ですから参加者の皆さんにもとても楽しんでいただきました。盛り上がっています! その雰囲気もご紹介できればと思っています。お楽しみに!



参考資料
※2 IIBCセミナー:「大学に置ける国際競争力のある人材の育成」:韓国「漢陽大学校の国際化と英語教育」Moon Sub Han教授の講演(2013年7月)
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