StudyHacker特別企画。今回は、経営戦略としての朝活用を支援する「株式会社朝6時」の代表取締役社長 池田千恵さんをお迎えしてのインタビューの様子を、全3回にわたって皆さまにお届けします。

2009年に発売された初の著書『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』(マガジンハウス)がベストセラーとなり、朝4時に起きる「ヨジラー」が急増するきっかけを作られた池田さん。朝専用手帳『朝活手帳』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)もプロデュースするなど、“朝活の第一人者” として広くご活躍されています。

第1回目の今回は、池田さんのこれまでのキャリアに迫ります。失敗や挫折から立ち直り成功をつかんだ背景には、どうやら「朝」というキーワードが潜んでいるようです。

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朝活手帳 2018

池田千恵

ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017)

「朝」との初めての出会いは受験生時代

——池田さんは現在、朝型勤務導入のコンサルティングを行なったり朝時間活用のセミナーを開催したりするなど、「朝」をテーマにご活動されていますね。池田さんが「朝」に注目するようになったきっかけを教えていただけますか?

池田さん:
じつは私、高校時代までは完全な夜型だったんです。当時は「四当五落」という言葉があって、4時間睡眠だと合格する、5時間も寝ていては落ちる、なんて言われていたんですね。ど根性で睡眠時間を削って夜中まで勉強しよう、そんな時代でした。

でも成績は全然上がらず、大学に落ちてしまって。なので浪人生活ということで、出身の福島から上京して予備校の寮に入り、勉強だけできる環境に自分を追い込むことにしたんです。それでも自分が希望する大学には合格できず、滑り止めで受けた女子大に入りました。

でも1年生の夏休みぐらいに「本当にこれでいいのかな」って思ったんです。希望の大学をどうしても諦めきれなかったんですね。もう1回だけチャレンジしたいと親に頼み込み、女子大を休学して受験勉強を始めました。

このときに思ったのが、今までの延長線上には未来はないということ。夜中までだらだらと勉強し続けた結果、大学に2回も落ちてしまったので、今までのやり方を180度変えなければいけないと考えたんですね。だから早起きを始めたというのが最初のきっかけです。5時半起床からスタートしました。

——早起きをして朝に勉強するようにしたのですか?

池田さん:
はい。当時は横浜に住んでいて、予備校は代々木にあったのですが、自習室が朝7時から開いていたので、朝イチで行って勉強していました。また講義の数も、以前はあれもこれもと週に20コマくらい取っていたのですが、本当に大事なものだけに絞るようにしたんです。そして17時まではひたすら勉強して、それ以降は家でのんびりする。そんなメリハリのある生活を始めました。

すると成績も上がり、第一志望だった慶應義塾大学総合政策学部にも無事に受かりました。朝型にしてから半年間で合格できたので、今までの2年間は何だったんだろうって思いましたよ(笑)。

夜中まで勉強していたときって、じつは勉強していると思い込んでいただけだったんですよね。勉強しているつもりが机に突っ伏して寝ていたり、勉強を始める前にだらだらとマンガを読んでいたりして。でも朝型にして17時以降は勉強しないと決めてしまうと、使える時間も限られてくる。勉強の密度が格段に上がったように思います。

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「早起き」で成功をつかんだ会社員時代

——大学入学後も早起きは継続されたのですか?

池田さん:
いいえ。起きる必要がなくなったので、夜型に戻りました(笑)。

——そうだったんですね(笑)。どのような大学生活でしたか?

池田さん:
暗黒の大学生活でしたね。周りには、自分の考えをしっかり持っている人や起業する人がすごく多かったんです。一方で私はというと、受験勉強では答えを学ぶということしかしてこなかった。いつも「私って本当に何もないな」と落ち込んでいました。

でも、料理は好きだったのでよくやっていましたね。その人たちには勉強では負けるので、勉強以外で勝てるものはないかと考えると、料理だったんです。当時は料理研究家になりたいと思っていました。

——大学卒業後にワタミに入社されたのも、そのような思いがあったからですか?

池田さん:
飲食で起業・独立することを考えていたので、就職活動のときにも飲食系はかなり受けていました。でもなかなか通らず……。30社以上落ちた中で私を唯一拾ってくれたのがワタミでした。

今でこそ社員数が5,000人を超える大企業ですが、当時はまだ二部上場したてのころ。創業社長の渡邉美樹さんが歩いて3歩のところにいるという環境で、成長の勢いを感じることができたという点はとても良かったと思っています。

ワタミでは、1年間の店舗勤務を経験したあとに本社へ異動し、その後ワタミの新しい子会社に出向しました。

——お仕事は順調でしたか?

池田さん:
全然でしたね(笑)。30社以上落ちて唯一拾ってくれたのがワタミだったのに、「私は慶應よ」「幹部候補になってしかるべき人をこんなふうにさせるのはおかしい」みたいに思っていました。完全に上から目線の、感じの悪い社員だったと思います。そのくせ仕事はできないので、けっこうやっかいがられていましたね。

子会社に出向してからも、社長に怒られては泣いて帰る毎日でした。そのときに社長に言われたんです。「お前の仕事の仕方は本当にずれているから、注意されたことを全部ノートに書いて見直して、仕事のやり方を変えろ」って。

はじめはそれを夜にやっていたのですが、怒られたことを夜に書くととても落ち込むんですよね。そのときに早起きを思い出しました。「大学受験のとき、私は早起きで人生を変えた。ここで早起きをしたら、また人生を変えられるかもしれない」って。

そこから私はまた5時半起きを始めて、前の日に社長に怒られたことを朝に書き出してから出社するようにしました。そうしたら「社長が言うことももっともだな」と思えるようになってきて。仕事もちょっとずつできるようになっていったと思います。

——その後は外資系コンサルティング会社にジョインし、資料作成専門の部署でご活躍されましたね。当時、朝はどのように過ごされていたのですか?

池田さん:
じつは入社して最初のころは、早起きはしていなかったんですよ。でもそうしたら、また仕事ができなくなってしまって……。コンサルタントって非常にロジカルなので、もたもた話していると置いていかれるんですね。そうなると何をすればいいのかわからなくなってしまうので、その人が出先から帰ってくるまで残業して待機しなければならない、なんてこともたくさんありました。

「これはまずいな」ということで、また早起きを再開したというわけです。仕事の段取りを決めたり、コンサルタントのボス6人のスケジュールを確認して「このスキマの時間には誰々にこういうことを話す」ということを考えたり。そういう仕込み作業を朝時間に行なっていました

料理研究家の道も捨てていなかったので、ワインなど資格試験の勉強もしていましたね。ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル、ビアテイスターなど食関連の資格も、全て朝の勉強で取得することができました。取締役の秘書から「今後〇〇社の△△さんが社長になるのですが、お祝いのワインはどうすればいいですか?」なんて電話が業務時間中にかかってくることもありましたね。

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「早起き」の価値を広めることが私のミッション

——その後2008年に独立し、2009年に出版された『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』がベストセラーになりましたね。料理研究家を目指していた池田さんが、なぜ早起きに関する本をご執筆するに至ったのか、その経緯を教えていただけますか?

池田さん:
もともとは料理研究家として独立するためにレシピ本を出したいと思っていたんですよね。そのために、大学時代の先輩が社長をやられている会社の出版セミナーに入会したんです。でもじつは、そこはビジネス書を出すところだった。レシピ本は出せないっていうのを知らないまま入会しちゃったんですよね。とはいえせっかくなので、これも経験だと思って半年間学びました。

その後、敏腕編集者の前で本の企画をプレゼンする機会を得ました。そこでオーケーが出たら本を出せるんです。私は依然として料理の道に進みたかったので、そこでもしつこく料理料理と言いました。でも、企画として全然おもしろくないと言われてしまったんですね。

ただそのとき、なにげなく話した朝4時起きの話にみんな食いついてくれたんです。「なんで4時なの?」とか「そのきっかけは何なの?」とか「ワインやチーズの勉強を朝にしていたなんておもしろいね」とか。自分では普通のことだと思っていた早起きが、じつはすごく価値があるものなんだと感じて。それが経緯のひとつですね。

あと “料理が好きじゃない” と気づいてしまったというのもあります。レシピ本を出版したいと思っていたはずなのに、レシピの考案が面倒だったり……。食関連の資格を取るまでに使った百何十万円っていうお金を無駄にしたくない、そんな気持ちにとらわれていた部分もあったと思います。

そういうことがあったので、料理の道はすっぱりとやめました。その代わり、自分自身のこれまでのキャリアの横にずっといてくれた「早起き」の価値を広めることこそがミッションだと、そう思ったんです。

『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』は12万部、『朝活手帳』も合わせると24万部を突破しています。勉強や仕事の事前準備に朝を使うこと、仕込みの時間として朝を使うことって、とても大事なんです。それを伝えたいというのが私の気持ちで、今それを伝えられる環境にいるのはとても幸せだと感じています。

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成功の原動力となった「朝」という時間の存在。朝は、人生を変えてくれる大きなパワーを持っているのかもしれませんね。

次の第2回「朝に私たちがするべきこと」では、朝時間の良さやおすすめの過ごし方について探ります。