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大学入学共通テスト(仮称)の特徴

「大学入学共通テスト(仮称)」とは、2019年度(2020年1月)を最後に終了となるセンター試験に代わり、その翌年から行なわれる予定となっている試験のことです。簡単に言えば現在のセンター試験が新しくなったものということになりますが、今のセンター試験とはかなり異なる部分があります。

まず「大学入学共通テスト(仮称)」の大きな特徴として、従来のセンター試験とは異なり、「知識・技能」だけでなく「思考力・判断力・表現力」を中心に評価するという方針があります。つまり、これまでの大学入試のように、教科書を丸暗記してマークシートを塗るという方式ではなく、知識をどのように活用して答えを導くのかという応用力をつけなければならないのです。

こうしたことは従来、大学に入学してからプレゼンテーションや就職活動の対策セミナーなどで初めて学ぶ人も少なくなかったようですが、これからは高校生の段階でこうしたスキルをつけていこうとする動きがあると考えられます。これは、グローバル化が進む今日、従来のような暗記中心の学習ではなく、知識を活かした思考力・判断力・表現力を持った人が必要という現実に即した改革と言えます。

具体的には、国語と数学では記述式試験が導入され、試験時間も、現在のセンター試験よりも国語が20分、数学が10分伸びる予定です。マークシートに比べて採点のコストがかかるので、現在のセンタ試験の受験料(成績通知を希望する場合、18,800円)よりも上がることが予想されます。さらに英語については、試験を実施せず、代わりに4技能を評価する民間の資格・検定試験を活用することが予定されています。

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苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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大学入学共通テスト(仮称)の難易度

今までのセンター試験に比べると、難易度が上がることはまず間違いないでしょう。これまでのセンター試験ではなかった記述式の問題が国語と数学で導入されたり、選択式の問題でも「連動型複数選択問題」と呼ばれる、複数の文章から分析力を測る問題が出題されたりすることが予定されているためです。おおよそ、現在の国公立2次試験のレベルになることが予想されます

国語の記述式試験では、最大で120字というかなりの長さの記述問題が予定されています。この長さになりますと、表現力という点で、受験生の間で相当の差が出る試験になることが予想されます。このことからも、従来のセンター試験のように、知識の丸暗記で乗りきることが難しくなります。

また、CBT(Computer-Based Testingの略。コンピューターを利用した試験)の導入が2024年度(2025年1月)から予定されています。すなわち、2024年度以降の受験生は、記述式問題はタイピングで打たなければならない可能性があります。タイピングに慣れていないと解答速度に大きな差が生まれるため、こちらの対策も必要になってきます。

英語外部(民間)検定試験利用について

新しい入試の取り組みとしてもうひとつ大きな改革が、英語の試験を外部(民間)英語検定試験にすることです。最近では、実用英語技能試験(以下、英検)も国際基準CEFRに準拠したスコア表に変わっており、ほかにも「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を全て測ることができる検定試験が数多くあります。2020年度からは、高校3年生は4月から12月までの間にこのような民間試験を2回受験し、その結果を利用する予定です。

この国際基準に準拠した動きになっている背景には、2018年に小学校の英語が正式に教科化される予定になっていることなどと併せ、英語でやり取りできる人材を育成していこうという考えが活発になっているためだと考えられます。その一方で、少子高齢化、労働人口の減少という問題を受け、優秀な留学生の確保に向けた動きがあると考えることもできるでしょう。

このような外部(民間)英語検定を利用する入試改革が行なわれると、英語の学習方法が大きく変わってきます。従来の英語学習では、SVOCを振るような英文解釈や英文和訳、文法の4択問題といった学習が中心でした。また一部の大学では多少の英作文問題が出題されているとはいえ、英検2級や準1級のような自由英作文形式ではなく、和文英訳形式が多いのが現状です。さらにリスニングはセンター試験で50点ぶん出題され、その他にごくわずかな大学で独自のリスニング試験がある程度です。つまり今までの大学入試は、ほとんどリーディングの1技能だけと言っても過言ではないようなアンバランスな内容だったのです。しかしこれからは、リスニングやスピーキング、ライティングまでを含めた4技能全てをバランスよく学習していかなければならなくなります

ちなみに、このような外部(民間)英語検定を利用する動きはすでに私立大学を中心に始まっていますが、広島大学は英検準1級でセンター試験を満点と換算するなど、国公立大学でも導入し始めています。この傾向は今後も続いていくことが予想されるでしょう。

こうした外部(民間)英語検定試験は、大学によって多少利用できる試験が異なるものの、英検だけではなく、TOEIC、TOEFL、TEAP、GTECなど、様々な試験を利用することができます。大学が定める基準点を超えた場合、2次試験では英語を受けなくてもよい、あるいは本番のテストに点数が上乗せされるなど、大きなメリットがあります。一般試験と異なり、年に複数回受けることができるのも大きなポイントです。

このように、外部(民間)英語検定試験を利用した入試は、2020年になる前にすでに始まっているのです。

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サンプル問題

それでは、実際にどのような問題が出題されているのかを確認してみましょう。大学入試センターのホームページでは、2017年5月現在でのモデル問題例が公開されています。

「大学入学共通テスト(仮称)」記述式問題のモデル問題例

国語の記述問題では、複数の文書をもとに解答を作成しなければなりません。また、センター試験の英語で出題されるようなディスカッションをテーマとした文章があり、登場する二者の言い分を比べる設問が出題されています。英語の4技能化とともに、コミュニケーション能力を重視した入試問題になっているという印象を受けますね。さらに、契約書を扱った問題もあり、従来の現代文の問題よりも実生活に近い問題形式となっています。

また数学の問題も、従来のセンター試験ではトレーニングの量が左右したり、きちんと理解していなくても答えが出せたりといった問題もあったのですが、2つの解答パターンの両方を答えなければいけない問題があるなど、全体的に丸暗記型の対策が通用しにくい問題になっているようです。しっかりと情報を整理して、何が課題となっているのか、何がわかっていて何がわからないのかを考える必要があります。

また、文章を読む読解力も必要とされ、必要な情報を切り出して数学の世界へ落としこんでいかなければなりません。日常生活に関わるシチュエーションが題材となっている点も斬新な変化です。これまでは数学をやっても日常生活に関係がないと言われることが多かったのですが、これからは興味を持って数学に取り組む人が増えてくるのではないかという期待が持てそうです。

終わりに

サンプル問題で掲載した問題は、あくまで現段階での検討案なので、まだ確定したわけではありません。しかし、少なくとも現在のセンター試験の形式とは大きく異なるということがわかったのではないでしょうか。

私立大学専願であれば記述式の対策をしなくてもよいというケースも多かったのですが、今後はそのようなことが減ってくるかもしれません。いずれにしても、大学に入学した後や、入社後、あるいは留学先で突然、プレゼンテーションや論文などで表現力が必要とされ、戸惑う人が多かったことを考えると、全体的にはよい方向に進んでいるのではないでしょうか。

国語にしても数学にしても日常生活を題材としていて、暗記力よりも考える力が試されるような試験形式になりそうです。テクノロジーが進化して、何でもすぐに調べることができる世の中になってきているため、暗記というものの重要性が以前よりもなくなってきた、言い換えれば知識だけの人間は不要になってきているというメッセージなのかもしれませんね。

そう考えると、ただ入試の傾向が変わるにととまらず、将来活躍できる人材になるために必要な能力も変わってきているということなのではないでしょうか。


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