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kaikaku02大学入試改革 ~2020年度にセンター試験が廃止される背景とは?~

2017年現在、日本の大学受験は大きく「センター試験」と「2次試験」という2つの入試制度で成り立っています。ところが2020年度(2021年1月)からは、センター試験に代わり新たな試験が導入される予定です。そこには主に以下の2つの背景があるとされています。

■背景1:大学レベルの二極化

この「大学レベルの二極化」はメディアにおいてもしばしば取り上げられる問題であるため、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

これは、定員割れが起こっている大学が生き残りをかけて生徒を集めたことに起因します。「大学でフォローするから」と学力不足の生徒を入学させた結果、“九九が言えない” “アルファベットが読めない” といった大学生が増加する事態に陥ってしまったのです。

一方で、東京大学をはじめ志望者のレベルの高い大学にとっては、センター試験は簡単すぎて参考にならないという状況になっています。実際に、一部の難関大学ではセンター試験の結果をほとんど考慮せずに合否を決めています。

このように大学レベルの二極化が進行した現在では、センター試験はその機能を充分に果たしているとは言いがたい状態になってしまいました。

■背景2:”暗記中心” からの脱却

現在の入試制度は “暗記中心” であると言われています。これは、知識量が多いほど有利にあるという点で、これまでは合理的だとされてきました。

しかし、IT技術の著しい発展により、情報そのものへのアクセスが飛躍的に便利になった結果、知識が豊富であるということはそれほど重要ではなくなってきました。これからは、得られた情報をもとに、思考力や判断力、表現力を活かしたよりアクティブな知性が求められます。

このような経緯から、21世紀のグローバルな世界で活躍できる人材を育成する必要性が高まり、今回の入試制度改革につながったと考えられます。

大学入試改革では、「改革」という名の通り、さまざまな分野で大きな変更が行なわれることが予定されています。特に2020年度以降に大学受験を迎える学生は非常に気になっているはず。

具体的には、どのような部分で変革が生じるのでしょうか。以降詳しく説明していきます。

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看護学部を卒業後、医学部受験に挑戦。卒業後わずか1年で合格を勝ち取った「教科書レベル」からの挑戦
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センター試験廃止後の新たな入試制度

センター試験廃止後の大学入試制度は、高校2、3年生(※高校1年生も検討されています)を対象にした「高校生のための学びの基礎診断(仮称)」と、大学入学希望者を対象とした「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の2つに分かれる予定です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

■「高校生のための学びの基礎診断(仮称)」

これは高校で身につける基礎的な学力の到達度を計る試験で、進学や就職時に基礎学力があることを証明するためのものとして利用されます。大学受験の際には参考資料の一部として使用されるのではないかとも言われていますが、具体的にどのような形になるかは現在のところ不明です。

科目は「国語」「数学Ⅰ」「コミュニケーション英語Ⅰ」など高校の必修科目を想定しており、英語は外部(民間)の英語資格も活用していくようです。

■「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」

一方でこちらは現在のセンター試験の代わりとなるもので、大学側が合否の参考資料として利用します(※ただし、具体的にどのように活用するかについてはまだ不明です)。

試験内容に関しては、従来のセンター試験が「国語」や「数学」「英語」といった、いわゆる5教科7科目に分かれた暗記中心の試験だったのに対し、2020年度に導入予定の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、思考力や判断力、表現力を重視し、より応用力が求められる「合教科」「科目型」「総合型」という分類になります

これにより、「文系」「理系」といった枠組みを超えて、たとえば文系の知識を必要としつつ計算力も求められるなど、総合力が必要になります。

その他、国語では80~120字程度の記述問題が出題されることが予定されています。これまでは私立大学専願の場合は「記述対策ゼロ」という人も多かったかと思いますが、今後はそうはいかなくなるでしょう。また国語は現在の80分から100分に試験時間が伸び、記述問題の採点は民間業者に委託される予定です。その結果として受験料が上がる可能性もあります。

ほかにも、コンピュータ端末を利用した、いわゆるCBT方式の試験が検討されていたり、英語は外部(民間)の英語資格が導入される予定になっていたりします。

推薦入試ならびにAO入試の廃止

大学の個別選抜に関しては、一般入試・推薦入試・AO入試の区分が廃止されることが予定されています。これは大学選抜の複雑化や早期化を防ぐ狙いがあるとされています。

現状、推薦入試やAO入試の場合、全くといっていいほど学力がなくても合格してしまうケースがあります。しかし新制度では「高校生のための学びの基礎診断(仮称)」を用いますので、そのようなことはなくなるのではないかと考えられています。現在、私立大学を中心として40%近くの生徒が、推薦入試およびAO入試で入学していることから、影響は非常に大きなものになるのではないでしょうか。

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個別試験(2次試験)の変更

現在の個別試験(2次試験)はペーパーテストが中心となっていますが、これが大きく変わる可能性があります。

たとえば『高大接続・入試改革答申』において、各大学の取り組み事項のひとつに「アドミッション・ポリシーの明確化」が記載されており、大学側のアドミッション・ポリシー(大学が求める学生の説明)に合う学生を大学側が選抜していく方式に変更されるのではないかと考えられます。

アメリカの有名大学に留学しようとした際、「TOEFL®は何点以上必要なのでしょうか?」といった質問をする学生は少なくありません。ところがアメリカの大学では、高校の成績やエッセイ、推薦状などを含めた総合的な判断に基づいて合否が決定されますので、TOEFL®のスコアはあくまでも要素のひとつに過ぎません。ほかにも、スポーツや芸術の分野で賞を獲るような成績を残した学生は有利になると言われています。

すなわち日本においても、今までの学力偏重の試験を見直し、多方面から学生の能力を判断するような総合力を計る試験になるのではないかと思われます。したがって、面接や小論文、集団ディスカッション、課外活動の実績、志望理由書などが重要性を帯びてくるようになるでしょう。

外部外国語検定試験の導入

先ほども少し触れましたが、新しい入試の取り組みとして、外部(民間)の英語検定試験(英語4技能を使う検定試験)が「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の代わりに導入される可能性があります

現在の大学入試における英語は「読む」能力が圧倒的に重視されています。センター試験や国公立大学の2次試験でも、少し「書く」が、さらに少ない割合で「聞く」が含まれている程度に過ぎず、「話す」に至っては皆無と言っていい状態でしょう。

そこで、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能すべてを網羅した外部(民間)の英語検定試験を高校3年生の4~12月の間に2回まで受け、結果がよいほうを採用することが検討されています。具体的には、成績結果は点数ではなく、欧州言語共通参照枠として知られるCFER(セファール)という国際的な基準に対応し、A1からC2の6段階に分け、各大学や英語の試験の免除や得点の加算に利用するという流れが検討されています。

そうだとすれば、英語力を早期につけられれば、受験が有利になると言えます。たとえば高校3年の4、5月あたりの試験で英語が免除になれば、夏以降は別の科目の学習に時間を割くことが可能になりますね。


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