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「高校生のための学びの基礎診断(仮称)」とは、高校生を対象とした学力の基礎となる知識や技能を評価するテストのことで、2019年度から年に2回実施することが予定されています。試験科目は、国語総合、数学Ⅰ、世界史、現代社会、物理基礎、コミュニケーション英語1など高校の必修科目で、英語は民間の検定試験を導入することも検討されています。

解答方式は、原則としてマークシート形式ですが、一部記述式の導入も検討されています。また実施にあたっては、CBTやIRTの導入も検討されています。

CBTとは「Computer-Based Testing」の略で、コンピュータ上で実施する試験のことを指し、具体的にはタブレットの利用などが検討されています。CBTを活用すれば、画面上で動画を用いた問題の出題など、紙媒体では実現できなかった様々な形式の問題が導入できると期待されています。

またIRTとは、統計的な処理を行なうことで、受ける問題が異なっても同じレベルの学力を測れるようにする「項目反応理論」の略称です。これが実現すれば、事実上いつでも受験できるようになると言われています。時間的な制約がなくなるため、これまでの一斉受験の模試とは異なり、利便性の高い試験となりそうです。

高校生のための学びの基礎診断(仮称)の難易度

高校生のための学びの基礎診断(仮称)の難易度は、センター試験よりも簡単なものになりそうです。実施するにあたって、高校1、2年生を目途に受験する試験となることが予定されています。そのため、高校3年生の冬に受験するセンター試験よりも難易度が低くなるのは当然と言えるでしょう。

ただし、難易度が低いからといって安心することはできません。高校1、2年生といえば、まだ部活動の真っ盛りであるため、受験勉強に対する準備が充分にできていない場合が多いからです。運動部を中心に高校3年生の春から夏あたりまで続く場合が多く、部活と両立させて高得点を出すのは簡単なことではないでしょう。

また今までは、部活動中心に学校生活を送ってきた人は、AO入試などを活用して大学に入るケースが多く見られました。その場合、学力的な試験を受けることなく大学に入学することが可能でした。

しかし今後は、一般入試、推薦入試、AO入試の区別がなくなる方向に進んでいきます。高校生のための学びの基礎診断(仮称)の目的は、大学入学者選抜のためというより、指導改善、さらには自分の学習到達度を測ることにあるとされていますが、推薦入試やAO入試が廃止されたあとに活用されるのが、この高校生のための学びの基礎診断(仮称)である可能性が充分にあり、そうなると今までのように、学力がなくても推薦で大学に入るという手段が通用しなくなる可能性があります。

もちろん、高校生のための学びの基礎診断(仮称)は明確なテスト範囲が決まっていませんので、定期テストを一夜漬けで乗りきるような方法は通用しません。

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サンプル問題 ~どんな問題が出るの?~

高校生のための学びの基礎診断(仮称)では、どのような問題が出題されるのでしょうか。文部科学省は以下のように発表しています。

■国語

・ニュースや演説、社会で用いられる文書などから、話題等の要点を的確にとらえて書き出したり、 概要をまとめたりすることができるか。
・会議や打合せに向けて、必要となる情報を収集して提案する内容を考え、会議等の目的や状況を踏まえて表現を工夫したり、根拠をもって説明したりすることができるか。
など

■数学

・商品の売り上げ等に関するグラフや箱ひげ図から、情報を読み取ることができるか。
・利率やコスト等の条件を比較し、将来的な見通しを立てることができるか。
など

■英語

・Eメールや手紙などにおいて、求められている情報を適切に書いて伝えることができるか。
・英語の掲示や取扱い説明書等から、必要とする情報を取り出し、目的を達成することができるか。
など

サンプルは高校の入試問題などで構成されており、本番の試験も中学卒業から高校初級レベルになる可能性が高いと思われます。基礎力がついていれば問題はなさそうですが、定期テストのように短期間で詰めこむことはできませんので、しっかりとした基礎力をつけなければいけません。

また、別記事で紹介した「大学入学共通テスト(仮称)」のように、実生活に関連したテーマが扱われることがわかります。高校で学習する内容が日常生活と切り離されたものと考えるのではなく、日頃から身の回りに起こる出来事には興味を持ち、学習内容と関連づけることが重要です。

まとめ

2020年の大学入試改革で、入試制度が大きく変わろうとしています。高校生のための学びの基礎診断(仮称)もそのうちの一環ですが、そもそもなぜこのようなテストが作られるのでしょうか。

スマートフォンの普及によって基礎学力の低下が指摘されているほか、少子化の影響で、推薦やAO入試といった “学力がなくても合格できる入試システム” で半数以上の生徒数を集めている大学も数多くあります。その結果、大学生の基礎学力低下がしばしばニュースなどで取り上げられるといった問題が起こっています。そのような状況を変え、大学生は誰でも基礎学力を有していることを前提にしようとしているのではないでしょうか。

また、従来の入試制度では暗記中心の内容となっており、インターネットで簡単に情報が検索できる現代では、思考力を活かして新たな問題を解決できるような人材が必要とされています。このような現況を受けて、今回の入試改革が行なわれているのだと考えられます。

近年グローバル化やテクノロジー化が急速に進行しているなか、この入試改革はまさに良い意味での変更になることが期待されます。

(参考)
新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について
高大接続システム改革会議「最終報告」
高等学校基礎学力テスト(仮称)の 問題作成イメージの例等


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