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大学入試改革で英語の試験はどのように変わるのか

教育の2020年問題という話題を最近よく耳にしますが、どのような変化が起こるのでしょうか。センター試験が廃止となり、国語や数学では記述式の試験となり、思考力や表現力がより必要となります。しかし、その中でも一番の大きな変化は、英語試験の4技能化でしょう。

今までの入試問題はリーディングがメインで、そのほかに大学によっては若干ライティングやリスニングが行われる程度でした。センター試験にもリスニングテストはありますが、リーディングが200点満点であるのに対して、リスニングはわずか50点満点となっています。

今回の改革によって、これらのアンバランスな試験が是正され、リーディング、リスニング、ライティング、さらにスピーキングを加えた4技能をすべてバランスよく測る試験に変わっていく予定となっています。

この改革が行われるにあたって活用される予定となっているのが、英検やGTECなど4技能を活用した外部民間英語検定試験です。これらの試験結果が現在のセンター試験の代わりになるとも言われていて、今までのようにリーディング一辺倒な学習方法では高得点を取ることができなくなります。

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苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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第二言語習得研究と大学入試改革について

このような大学入試改革が行われたときに、まず多くの人が不安になるのがスピーキングやライティングではないでしょうか。

リーディングやリスニングは、問題集を購入して繰り返し演習すれば、ある程度独学で伸ばすことができます。しかし、ライティングは、自分で書いてもそれがどのくらいのレベルなのか、自分が目指している点数に達しているのか、達していないとしたらどのくらい足りていないのか、などが客観的にわかりにくいものです。

採点をしてもらえなければ、どのように修正すればいいのかわからないといった悩みが出てきそうです。

またスピーキングも、英会話スクールなどに通っていない限り、ネイティブスピーカーと話す機会はなかなか持てないという人も多いでしょう。そういった機会があったとしても、現状のスピーキングスキルについて、的確なフィードバックをもらえることはほとんどないはずです。

スピーキング力を伸ばすことに限界を感じている人も多いかもしれません。

4技能化が行われることは、英語でコミュニケーションを取れる日本人を増やすためには重要なことです。しかし、独学がしにくくなることでもあります。

その場合、第二言語習得研究の知見を活用することが、解決策のひとつになります。第二言語習得研究とは、母語以外の言語を学ぶ過程を科学的に解明しようとする学問のことです。

それでは、第二言語習得研究で明らかになっている研究成果を通してみると、これまでの日本の英語教育は、いったい何が問題なのでしょうか?

これまでの学校英語、受験英語では、文法や単語の知識を増やすことにもっぱら焦点が当てられてきました。毎週単語テストを課されたり、定期テストのために例文を暗記したり、文法参考書を暗記したりした人も多いはずです。

それらの学習はもちろん重要です。しかし、「知識を覚える」ことだけに焦点を当ててきたため、必ずしもその知識が「すばやく運用できる」状態になったとはいえません。

多くの人が書いたり話したりすることが苦手なのは、知識を使った「トレーニング」の部分が欠けているからなのです。スポーツで言うと、素振りなどのトレーニングをしなければ、いくらビデオを見て知識をつけても上達しないのと同じです。このトレーニングが充分でないばかりに、文法や単語といった知識が活用できていない人がほとんどなのです。

文法や語彙の知識をつけるのと同時に、徹底的に実技的なスキルをトレーニングしなければなりません。次に、その具体的なトレーニング方法についてご紹介します。
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第二言語習得研究とライティング

ライティングは、自分で英文を作り出す「アウトプット」のスキルですから、ただ読んで理解できればいいリーディングと比べると、何倍も難しいといえます。

そもそも、読んだり聞いたりしたときに理解できる英語と、自分で実際に書いたり話したりできる英語の知識量には大きな乖離があります。前者を受容知識(Receptive Knowledge)、後者を産出知識(Productive Knowledge)と呼びます。

読んでも意味が理解できない表現を、自分が書く際に使うことはできません。つまり、まずは受容知識を拡大させていくことが重要で、その一部が産出知識になっていく、というわけです。

そのため、まだ文法の知識や語彙が少ない人は、その学習から行うのが先決です。文法知識を入れながら、同時に瞬間的にアウトプットをするには、パターンプラクティスが有効です。こちらのメソッドについては、記事にて詳しく説明してあります。

また、英語ライティングをする際には、パラグラフ構成の知識も必要となります。最初のパラグラフで主張・結論を述べ、あとの複数のパラグラフでその主張を支える理由や具体例を述べます。そして最後のパラグラフで再度結論を述べるのが、基本のスタイルです。

初めのうちはそういった典型的な構成の文章を、パラグラフごとの役割に意識を払って読んでみて、全体の構成を習得するのがよいでしょう。また、主張や理由を述べる際の英語の決まった言い回しというものがありますから、それをまるごと覚えてしまうと役にたちます。

インプットがある程度進んだら、次に「プロセスライティング」という手法をおすすめします。

従来、ライティングの添削は「プロダクトライティング」というものが行われていました。これは、先生が赤ペンで間違っている箇所に下線を引いて正しい表現に修正し、コメントをつけていく手法です。

これに対してプロセスライティングでは、一度書いたものへの先生からのフィードバックをもとに、生徒が自分で修正していくプロセスを、何度も繰り返す方法です。このような能動的な学習を通じて、ライティング力を伸ばしていくことができます。

第二言語習得研究とスピーキング

スピーキングを上達させるためには、まず相手の言っていることを聞いてある程度理解できる、という状態にしておくことが先決です。会話を成立させるためには、まず相手の言っていることが理解できなければなりませんよね。

さきほどライティングのところでも説明したとおり、受容知識を増やしておくことが重要です。知らない単語や文法が使われた英文を聞いても理解できませんし、もちろん自分の口から発することもできません。

また、知っているはずの単語や文法なのに、とっさに言おうとするとなかなか出てこない、という経験は、誰でもしたことがあるでしょう。これはライティングと同じく、トレーニングを充分でできておらず、すでにある知識をうまく活用できていないためなのです。

スピーキングはライティングと異なり、一瞬で言わなければならないため、さらに困難を伴います。これら多くの技能を身につけるためには、非常に多くのことをしなければならない気がするかもしれません。

そこで初心者の方にまず行っていただきたいのが、例文の暗唱です。さきほどライティングの箇所で述べたパターンプラクティスも効果的でしょう。例文を徹底的に覚えてすぐに口から出てくる状態にするのがポイントです。やるべきことはライティングとほとんど同じですね。

これがある程度できるようになってきたら、スカイプ英会話などを活用して外国人と話す機会を増やしていきましょう。順番を逆にして初めから英会話練習を繰り返してもあまり大きな効果は得られません。

相手が言っていることがなかなか理解できず、こちらも何と言えばいいのかわからずに、意思疎通に時間がかかってしまいます。まずは、基本を押さえてから実践をするという流れが最も効率的です。

まとめ

大学入試改革によってどのような変化になるかが、最近になって見えてきました。外部民間英語検定試験が導入されるようになり、リーディングだけでなく、リスニングやライティング、スピーキングといった4技能が求められるようになります。

学校教育がこの新しい入試方式に適合した方法を見つけられるまでは、各個人の努力で目標となる点数を出せるようにならなければなりません。そのようなときに第二言語習得研究の知見を活用した学習をすることは、非常に役に立ちます。この記事で紹介したスピーキングやライティング方法の他、別記事で紹介したトレーニング方法を試してみてください。


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