tokai2東海大学は、2017年に建学75周年を迎えます。508.102㎡もの広大な面積を誇る湘南キャンパス以外にも、北は北海道、南は九州まで8キャンパスを擁し、現在は18学部※。
日本有数の大規模大学として知られる東海大学ですが、なんとハワイにも東海大のカレッジがあるのを知っていましたか?

1992年に誕生したハワイ東海インターナショナルカレッジ(HTIC・別法人) は、2015年4月にハワイ大学ウエストオアフ校(UHWO)の敷地内に移転しました。アメリカの州立の大学内に海外の大学が開校した例は初めてで、その許可を巡っては少なからぬ努力があったと言います。長らくハワイ東海インターナショナルカレッジの学長を務められ、現在は東海大学副学長でありグローバル推進本部長、教養学部国際学科教授の吉川直人先生に、東海大学のグローバル戦略についてお話をお伺いしました。

編集部:HTICは、ワイキキから徒歩数分という便の良さながら落ち着いた住宅街にあり、学ぶ環境としてもハワイ生活を楽しむ環境としても、最高の立地にある印象です。そのキャンパスが昨年、ハワイ大学ウエストオアフ校の敷地内に移転したと伺いました。まずは、HTICの歴史についてお教え下さい。

吉川先生:1990年に、ハワイ州の許可を得て教育・研究・会議の国際的活動拠点として東海大学パシフィックセンターを設立しました。その後、センター内に「ハワイ東海インターナショナルカレッジ」が開校したのが1992年です。こちらは米国西地区学校・大学協会の基準認定(アクレディテーション)を受けた、正式に認定を受けている短期大学=ジュニアカレッジです。

ハワイには大学と名のつく教育機関が数多くありますが、アクレディテーションを受けている学校は1割もなく、運営主体が日本の大学で、米国の基準認定を受けているのはHTICのみです。米国の認定を受けていることで、卒業と同時に編入できるアメリカやイギリスの四年制大学がいくつもあります。もちろん、日本国内の東海大学に編入することも可能です。

卒業式の様子

卒業式

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編集部:正式な認定を得た大学に進むことで、将来の進路が広がるのですね。東海大学の湘南キャンパスには海洋学部がありますが、HTICもそういった学部なのでしょうか。

吉川先生:いいえ。HTICはリベラルアーツ(一般教養)を学ぶ短期大学です。米国では4年制大学でも、1、2年生では一般教養を学び、本格的に専門に分かれていくのは3年生以降です。

現在在籍している学生は、約8割が東海大の付属高校からの進学、1割がそれ以外の日本人、そして残りの1割がハワイやアジアから進学しています。

卒業後は多くの学生が四年制大学に進学しますが、進学する国も専門も様々です。そのためどこの学部にも入れるように特に専門は絞らず、どこへ行っても通用するしっかりとした一般教養を身につけて欲しいと考えています。

編集部:吉川先生はHTICで長らく学長を務めていらっしゃいましたが、どういうタイプの学生が多いのですか?

吉川先生:ハワイという立地から、「楽しそう」というイメージを持たれるかもしれませんが、当校は先述した通りアメリカからアクレディテーションを受けて、アメリカの制度を基準にした教育を行っています。アメリカの大学というと、入るのは比較的簡単だけれど卒業するのがとても厳しい、というイメージがありますよね。まさにその通りです。皆、とても一生懸命学んでいます。

様々な国籍の人が一緒に学ぶ授業の様子

様々な国籍の人が一緒に学ぶ授業

そのため、「ハワイ、なんか楽しそう」「サーフィンが好きだから行ってみたい」というような考えだと全くついていけません。もちろん授業は全て英語ですから、アメリカ人と同じレベルの英語を求められる上に毎日多くの課題が出ます。学生の多くは、平日も週末もほとんど勉強漬けだと言っていますね。

しかし8割は東海大学の付属高校からの進学者なので、その厳しさはよく分かった上で進学してきます。そのため、生半可な意識で入学してくる学生は少なく、皆よく勉強をしていると思いますよ。

編集部:しっかりと学びにきている、真面目な学生さんが多いのですね。どういう学生さんに向いている学校なのでしょうか。

吉川先生:将来的にアメリカの大学に進学したい、アメリカで仕事に就きたいと考えている人ですね。「アメリカの大学に進学したい」という想いがあっても、高校まで日本で普通に生活していて英語もおぼつかない中、いきなりアメリカ本土の大学に留学することに不安を覚える人も多いでしょう。

その点HTICの場合は、短期大学である「本科」に入る前にはしっかりと英語を学ぶことができます。短期大学で学ぶコースが「本科プログラム」。そこで学べるだけの英語力を身につけるコースが「予科プログラム」です。

予科プログラムには5段階あるので、全く英語が話せないという人でも安心してください。このコースでしっかりと英語を身につけてから本科へ進みますが、しっかりと勉強すれば、英語が余りできなくても1年3ヶ月程度で本科に進学できます。そして本科を修了(1年3ヶ月程度)すれば、アメリカ本土の4年生大学への編入の道が開けます。

編集部:昨年(2015年)には、ハワイ大学敷地内に移転をされたとお聞きしましたが、その経緯を詳しく教えて下さい。

日本文化「茶道」の披露

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吉川先生:ハワイ大学はオアフ島内に2つのキャンパスを持ちます。HTICには理系の学問を学ぶための施設がほとんど無いため、以前からハワイ大学の施設をお借りするなどの交流があったのです。そして2015年、ハワイ大学ウエストオアフ校が西部のカポレイ地区に移転するのをきっかけに、同じ敷地内に移転することにしました。同じ敷地内にあることで、関係はずっと密になると思いました。

東海大学には「国際理解し、世界平和に貢献しよう」という考えがあります。東海大学設立者、松前重義博士は戦争に反対していました。世界をもっとしっかりと知っていれば、あんなことは起きなかったのではないかという考えから「世界を広く見よう、異文化同士でもお互いをよく理解し合おう」というのは建学の精神でもあるのです。

カポレイのハワイ大学は、他の2つのキャンパスに比べると留学生も少なく、現地の学生さんがほとんど。「異文化と交流を持って世界を知って欲しい」というハワイ大学の希望もあり、お互いの意見が一致して、この共存関係に至ったのです。

編集部:カポレイというと日本人がイメーイするハワイ=ワイキキからもかなり遠く、とても勉強に適した場所と言えますね。ハワイ大学はハワイの州立大学なので、その中に外国の短期大学があるというのは、すごいことなのではないでしょうか。

吉川先生:ハワイでも例がないことです。先ほどもお伝えしましたが、創設者が平和主義であったこと。そういった歴史があるからこそ、お互いによく知りたいと思っており、外国の文化をしっかりと知ることが建学の精神でもあるという考えかたをハワイ大学や州議会にも賛同いただき移転が実現できたという経緯がありますので、学生にはぜひともハワイ大学の学生さんとも交流を持ち、色々なことを学んでもらいたいと思っています。実際に移転後は図書館や食堂やその他の施設をシェアして使うことで、日常的に触れ合う機会が増えています。

日本で生まれた「パークゴルフ」をハワイ大学の学生たちと一緒に体験する

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編集部:東海大学にとってHTICはどのような位置づけになるのでしょうか?

吉川先生:グローバル戦略の一つの拠点です。東海大学は他にも、デンマークにヨーロッパ学術センターがあり、タイや韓国にもオフィスを構えています。韓国では漢陽大学内にオフィスがあり、積極的に海外の大学との交流をはかっています。

これだけ大きな施設を持つHTICはその中でも別格で、日本の東海大学から短期の語学研修を受けに来る学生も多くいるので、「東海大学の国際交流の拠点」としてこれからも発展してほしいと思っています。

また、将来的には東海大学の医学部とハワイ大学の医学部が連携して、アメリカの医師免許を取得出来るカリキュラムを計画中です。2016年度から導入された「ハワイ医学教育プログラム」HMEP(Hawaii Medical Education Program)を導入し日本で始めて本格的な米国式医学教育を実践する医学教育機関となります。現在は日本の医学部卒業生はアメリカの医師免許の受験資格が与えられていますが、2023年以降、アメリカの医師国家試験の受験資格として、世界医学教育者連盟の国際認定を受けた医学部の出身者であることが求められることになりました。これは医療関係者の中では2023年問題と呼ばれ大きな問題となっています。現在、日本には国際認定を受けている医学部が無いからです。

このような問題に対応するためにも、ハワイ大学との連携は東海大学にとってとても大きなことなのです。

編集部:それでは最後に受験生へのメッセージをお願いいたします。

吉川先生:受験生の皆さんは目の前の点数や偏差値に一喜一憂してしまうと思いますが、目の前の勉強を単なるテスト対策ととらえずに、将来自分がグローバルに活躍するための手段と考えてください。

英語はもちろん海外での活躍に直結しますが、たとえば地理や歴史は、海外に出て自国を説明するために欠かせません。数学だって世界で通用する知識です。そのように「将来世界で活躍する自分」から逆算する感覚を持つと、目の前の勉強も楽しくなり、より実りのあるものになると思います。

編集後記:日本人のハワイ好きは有名ですが、ハワイから見た日本・日本人は真珠湾の記憶が未だ強いということをうっかり忘れてしまいがち。州立大学内の併設が認められたのは、東海大学の使命である「教育・国際理解を通じて世界平和に貢献」「科学技術立国を支える人材育成」という理念を受け入れていただけたからではないでしょうか。また、東海大学の医学部でアメリカ医師免許取得のチャンスが広がることは大きなニュースだと思います。ハワイ大学敷地内に移転したことによりこれからも色々な可能性が広がっていくのでしょう。

東海大学副学長/グローバル推進本部長/教養学部国際学科教授 吉川直人先生

東海大学副学長/グローバル推進本部長/教養学部国際学科教授
吉川直人先生

吉川先生、お忙しい中ありがとうございました。

※東海大学の18学部
(文学部・政治経済学部・法学部・教養学部・体育学部・理学部・情報理工学部・工学部・観光学部・情報通信学部・海洋学部・医学部・健康科学部・経営学部・基盤工学部・農学部・国際文化学部・生物学部)