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苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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1. はじめに

2006年に大学入試センター試験で『リスニング』が導入されてからというもの、一般の受験生にとっても英語リスニングの重要性は高まったといえるでしょう。とはいうものの、大学ごとに実施される一般入試では、リスニングを課していない大学もまだ数多く、課していたとしても配点がそれほど高くない場合がほとんどです。

しかし、最近始まったTEAPなどの試験をはじめ、リスニングが重視される傾向はここ数年でよりいっそう高まりつつあります。2020年に行われる大学入試改革においても、スピーキング、リーディング、ライティングにリスニングを加えた4技能の力が問われるようになります。また大学受験を乗り越えたとしても、例えばTOEICを受験するのであれば配点はリーディングとリスニングが1:1であるため、やはりリスニングの能力が必要であることはいうまでもないでしょう。

一般的な英単語や英文法、長文読解に比べて、リスニングは独学でコツをつかむのが難しいため、「読むことはできてもリスニングはちょっと……」と苦手意識を持つ日本人は大勢います。そこでこの記事では、リスニング力を伸ばすための効果的な勉強法やコツ、おすすめツールをご紹介します

2. 間違ったリスニング勉強法

なかなかリスニング力が上がらないと悩んでいる方は、もしかして勉強法そのものが間違っているのかもしれません。よく行なわれがちな間違った勉強法を下にいくつか挙げるので、まずは自分の普段の学習方法に問題がないかどうか確認してみましょう。

■間違ったリスニング勉強法その1:ひたすら英語を聞き流す

じつはこれ、非常に効果が薄い勉強法です。中には「ネイティブスピーカーは聞き流して英語に慣れたのだから彼らと同じようにやろう」と、それこそ寝ている間じゅう英語を聞き流すことでリスニング力の向上を狙う人もいるようですが、まず効果は期待できません。

そもそも、聞いても何を言っているのかさっぱりわからないものを何度も聞いたからといって急にわかるなどということは当然のこと。きちんとスクリプトを確認し、意味や使われている語彙を把握し、どんな単語がどのように発音されているのか、そしてまたそれらの単語が連なったときにどう聞こえてくるのかということを、正確に把握した上で一瞬で理解できるくらいに自分のものにしていく必要があります。

赤ちゃんが母語を身につけた方法で外国語を身につけようとすることはとても非効率。なぜならあなたはすでに赤ちゃんではないからです。

もちろん、英語を大量に聞くことは悪いことではありません。英語の音声に慣れることにもつながりますからね。しかし大切なのは神経を集中させてしっかりと聞く、つまり精読ならぬ精聴なのです。

特にリスニングテストでは、ぼうっと聞いてしまうと解答の根拠となる部分を聞き逃すおそれがあるため、漫然と英語に耳を傾ける習慣をつけてしまうのはたいへん危険です。

1日15分でかまわないので、精聴を毎日続ける必要があります。これでリスニング力は飛躍的に伸びるはず。詳しくは次項で説明しますね。

■間違ったリスニング勉強法その2:英会話教室に通っているから大丈夫!(と安心してしまう)

もちろん英会話教室を否定するつもりはありません。問題は「英会話教室に通っているからリスニング力は絶対に伸びるはず」と安易に考えてしまうことにあります。

例えばホームステイなどで1週間程度外国に滞在した経験のある人はわかるかと思いますが、1週間やそこらではリスニング力にはほとんど変化は生じません。最低でも2週間、できれば1ケ月は滞在しないと効果は目に見えないものなのです。

滞在中、仮に1日5時間英語に触れたとします。2週間滞在すると5時間×14日=70時間英語を聞いたことになりますね。一方で、英会話教室に週2時間通うのだとしたら、上記と同じ時間に達するためにはおよそ9ケ月が必要になります(しかもこれはあくまでも最低の時間です)。

英会話教室に通うだけでは圧倒的に時間が足りません。だから、ただ英会話教室に通うだけで英語が伸びると考えるのは大間違いで、正しい方法で日々勉強しつつ英会話教室にも通うことこそが重要なのです。

■間違ったリスニング勉強法その3:洋画や洋楽で勉強する

これも意外と勘違いをしている人が多いのですが、単なる洋画鑑賞や洋楽鑑賞は聞き流しの教材をやっているのと本質的になんら変わりはありません(最初はどうしてもリスニング教材に手が出ないという人が洋画や洋楽からスタートする、というのはきっかけとしてはアリですが……)。

もちろん、セリフや歌詞をしっかりと確認しながら聞き取り、ひとつひとつ身につけていくのであれば効果はあるかと思います。しかし続かない可能性が高そうですし、レベルも初級者には合わないため、やるとしても上級者になるまで待ったほうがよいでしょう(そもそも初級者はあれもこれもとたくさん手を出すべきではありません。初めのうちは、少しでもかまわないのできちんとした方法で何度も繰り返し、完璧になるまで取り組むことが上達の秘訣ですよ)。

ちなみに洋画や洋楽は聞き取りが容易ではありません。リスニング教材は学習者向けにきちんと発音してくれていますが、生の英語ではそうはいかないからです。例えば、英語が聞き取れない理由のひとつに、ネイティブは英語を発音するときに発音しやすいように微妙に違う形で発音する「音声変化」というものがあります。

例を挙げるとすれば get it という言葉。これを「ゲットイット」と発音するネイティブはおらず、みな「ゲリッ」と発音します。このようなことが連続してくると頭がパニックに陥ってしまうわけです。これを克服するには事前に音声変化について、正しく学んでおくことが重要。あとで紹介するアプリなどでまずは基礎を固めてから洋楽や洋画にチャレンジしてみましょう。この肯定を省いて英語音声を大量に聞くのは非効率な回り道です。

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3. 正しいリスニング勉強法【初心者・中級者編】

さて、ここからはリスニングの力を効果的に伸ばすための正しいリスニング勉強法をレベル別にご紹介していきましょう。まずは初心者・中級者向けです。

リスニングの初心者や中級者がリスニングに壁を感じる理由はおもに2つあります。ひとつは “音声の速度についていけない” ということ。もうひとつは前項でも触れた “音声変化についていけない” ということです。この2つをどう克服していけばよいかを説明していきます。

■ディクテーションに取り組む

リスニングでつまづく最初の課題は英語の音そのものが聞き取れないということでしょう。文字で読めばわかることでも、なんだか呪文のように何を言っているのか分からないとか、単語の切れ目がさっぱりわからないということはよくあることです。

そんな時に必要なのは、短い文を正確に聞き取っていく、ディクテーションという練習です。

ディクテーションとは書き取りのことで、1文聞いてから一時停止を押し、その1文を紙に書くという練習方法のこと(もちろんスクリプトは見ずに書きます)。正しく書けたつもりでも、よく見ると冠詞が抜けていたり、前置詞が間違っていたりといったことがあります。このような細部にまでこだわって正確に書き取ることができるようになれば、リスニング問題もずいぶんと楽に感じるようになるでしょう。

なんと言っているのか分からなければ、カタカナでもいいので一度書いてみて、スクリプトを確認してみましょう。「ゲリッ」と聞こえたなら「ゲリッ」と紙に書いてからスクリプトを確認してみるのです。そうすると、そこには “get it” と書いてあるはずです。そこで、get it は「ゲット イット」ではなく「ゲリッ」と発音するのだということを覚えて、それから何度も発音して身体にしみこませるのです。

■音声速度を上げたいならば読解速度を上げるべし。そのための “シャドーイング” というトレーニング

個々の音はある程度理解できるようになったけれど、次から次に流れてくる音声についていけなくなるということがあると思います。これを克服するためには読解速度を上げるのが有効です。音声を聞かないというのは意外に思われるかもしれませんが、そもそも読んで理解できる速度を超えたものを聞いて理解できるわけはないのです。したがって黙読して理解できる速度を上げることが先決といえるでしょう。

これに関してはリーディングの学習で速読の練習をすればよいのですが、それと並行して取り組んでいただきたいのがシャドーイング。シャドーイングとは、聞こえてくる音声よりも少し遅れて影のように声を出して追っていく練習法です。文法の理解が少しでも伴っていなかったり、見慣れない英単語が出てきたりすると、すぐに音声についていけなくなるはず。自分の苦手な部分が簡単にわかりますよ。

最初はスクリプトを見ながら音声についていってみましょう。慣れてきたら、スクリプトを見ずにシャドーイングをしてみてください。慣れるには10回以上繰り返さないと難しいかもしれませんが、何度もやればやるほど効果が出てきます。同じ教材を完全に覚えてしまうくらい何度も繰り返すのがポイント。カラオケを歌うくらいの気軽な気持ちで取り組んだほうが続くでしょう。

使用する教材は、難易度のあまり高くないものがおすすめです。意味のわからないものをいくら読んでも効果が薄いことは様々な研究であきらかになっています。また、洋画のように口語表現が多く使われていたり音声が速すぎたりするものは、挫折の原因になってしまいます。NHKの初級・中級レベルの英会話教材や、センター試験のリスニングレベルの教材を上限としてください。逆に2、3回でスクリプトを見ずにすらすらとシャドーイングできるようでしたら、もう少し高いレベルのものに挑戦してみましょう。

■リーディングの練習も欠かさずに

もうひとつ、リスニング力の向上に欠かせないのが、リーディング(読解)の練習です。「リスニングなのにリーディング?」と思われるかもしれませんが、何度も言っているとおり、リスニングの成績が伸びない人の特徴のひとつとして読解速度が遅いことが挙げられます。

学校などでリスニングの授業を受けたことのある人は、「音声が流れてくる前にまずは問題を先読みしよう」といわれた記憶があるかと思います。もちろんそれはリスニングの問題を解くうえで重要な戦略なのですが、問題が進むにつれて先読みする余裕はなくなってきてしまうもの。なぜならば先読みする読解力が足りないことが多いからです。

読んで理解できる速度を超える音声を聞いて理解できることはまずありえません。そのため、まずは前からさっと読んで内容を理解できるようにしなければいけないのです。読解速度を伸ばす練習方法は「長文読解」の項目で詳しく説明しているので、そちらをご覧ください。

4. 正しいリスニング勉強法【上級者編】

さて、ここからは上級者向けのリスニング勉強法をご紹介していきます。

■本場の音声に慣れよう

上級者に関しては、数をこなすこと、そして聞く素材のバリエーションを増やすことを目指しましょう。センター試験や英検、TOEICなどのテストのリスニングは、あくまでテスト用に作られた素材に過ぎません。実際、洋画やCNNをはじめとする英語のニュース番組を聞くと、これらのリスニングテストよりも音声が速いことがほとんどですし、トーク番組などに関しては、モゴモゴと口ごもりながら早口にしゃべったり、話している最中に別の人が割りこんできたりと、テストのように明瞭に聞こえるわけではありません。「テストで点を取るのはもちろんだが、 “通用するリスニング力” も身につけたい!」と考えている上級者は、ぜひこのようなレベルに挑戦しましょう。

テストの会場では、咳をする人もいれば、鉛筆を落とす人もいます。試験監督者も歩きまわっていることでしょうし、外から飛行機の音が聞こえてくることだってありえます。ちょっとした物音で集中力が途切れてしまうようではいけないのです。聞き取りづらかったことを環境にせいにしてしまう人もいますが、そのような人は、試験のための “培養された” リスニングしかしてこなかったために、ちょっとしたハプニングにも動揺してしまうのです。したがって、初めから聞き取りにくい音声に慣れておけば、多少の物音に動じることはまずなくなりますよ。

日本語で考えてみてください。例えば道端で話していたとしても、車が通ってしまって断片的に聞こえなかったなんてことがよくありますよね。でもたいていの場合は、前後関係から瞬時に意味を推測して補うことで理解しているのではないでしょうか。上級者でリスニング満点を狙いたい人は、このような状態を目指さなければいけないのです。

■海外のニュースサイトを活用しよう

練習方法は、初級者編でも紹介したシャドーイングやディクテーションを行なうのが効果的です。海外のニュースサイトにアクセスすれば音源は比較的容易に見つかりますが、スクリプトがない場合がほとんどです。スクリプトがないとどうしてもわかったつもりになってしまうため、時間をかけたわりには実力アップにつながらない可能性があります。下記で紹介するサイトにはスクリプトがついていますので、活用してみてください。またDVDにはたいてい英語の字幕がついていますので、それを使うのも手です。

Scientific American

主に理系の内容です。Podcastのタグから音声とスクリプトが得られます。
URL:https://www.scientificamerican.com/

PBS News Hour

一部の記事にスクリプトがついています。
URL:http://www.pbs.org/newshour/

CNN Student

ネイティブの学生向けです。語彙レベルがそれほど高くないので、上記ふたつよりは簡単です。
URL:http://edition.cnn.com/studentnews

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5.リスニング勉強に役立つアプリ3選!

リスニングは、英語学習の中でも比較的楽しんでできる分野であるといえるでしょう。スマートフォンを持っている人は、通学時間などスキマ時間を利用してアプリを使ってリスニング力を伸ばすのも有効です。

Listening Hacker

前述の「音声変化」に特化したアプリです。英語の音が聞き取れないという方、英語が呪文のように聞こえてしまう方にはマストのアプリでしょう。英語の6つの音声変化について、素早く学ぶことができます。リスニングのはじめの一歩、「英語の音」自体を聞き取ることを集中的に。
価格:無料
URL:http://thebridge.jp/2015/06/listening-hacker


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センター赤本 – 英語リスニング過去問

センター試験の過去問を解くことができます。試験の傾向に慣れるという意味でもおすすめです。取り組む際は、ただ問題が正解したかどうかだけではなく、問題文を先読みする余裕はあったか、確信を持って答えを選択できたかにも意識を向けるようにしましょう。

価格:無料(2013年度本試験つき) ※その他の試験はアドオンで購入可能
URL:http://akahon.net/cl/

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NHKゴガク 語学講座

以下の通り、幅広く英語学習に活用することができます。

▼英語:ラジオ番組ストリーミング
NHKのラジオ第2で放送中の語学講座20番組を最初から最後までまるごと聞くことができます。翌週の月曜日から1週間聞くことができ、放送を聞きながらキーフレーズと解説を確認することも可能です。

▼英語:単語マスター
英単語をクイズ形式で学習できます。

▼英語:発音練習くん
NHKの語学番組内で放送された最新のキーフレーズを発音練習できます。お手本の音声をまねて発音すると会話の続きが返ってきます。

価格:無料
URL:https://www2.nhk.or.jp/gogaku/app/

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■洋画視聴も場合によっては効果的?

上級者の方は、洋画のDVDを活用してリスニング力を上げる方法もあります。DVDを視聴する際は、パソコンを使うのがおすすめ。聞き取れなかったフレーズがあった場合、Google検索やオンライン辞書などを使ってすぐに調べることができるからです。

ただし洋画を視聴する際は、テーマをよく吟味したほうがよいでしょう。例えば戦争ものやアクションものの多くは、スラングが多かったり極端に早口だったりして、リスニング試験に役立てるのが難しいからです。おすすめなのは、ディズニーなどのように訛りやスラングが少ないもの。また海外ドラマであれば『フレンズ』など日常会話が豊富に含まれているのも適しています。

いずれにしても、このようなものは勉強とは考えずに取り組むことが大切なので、自分が好きで楽しく続けられればそれが一番です。

そして試験対策を考えている人は、過去問を繰り返し解くことがやはり最も重要です。ある程度傾向に慣れてくれば、テクニックで得点を取れる場合も多いためです。読解と異なりリスニングはどんどん先に進んでしまうので、1問のミスで立ち止まらないようにしましょう。

6. リスニング対策におすすめの参考書

それでは最後に、おすすめのリスニング参考書をご紹介します。一通りリスニング学習が終わった人であれば、上級者を含めて非常に役立つ内容がたくさん盛りこまれていますよ。

『英語耳[改訂・新CD版] 発音ができるとリスニングができる』

なんとなく発音記号に適当になっている人は、こちらに取り組むべきでしょう。発音について非常に詳しい解説がなされており、ジャパニーズイングリッシュでは同じ音になってしまう発音が区別できるようになります。また歌や早口言葉もついており、楽しく学べるようになっています。

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『英語耳[改訂・新CD版] 発音ができるとリスニングができる』

松澤喜好

アスキー・メディアワークス

『英語リスニングのお医者さん[改訂新版]』

連結音や脱落音など、日本人が聞き取りに苦労するところを集中攻撃することによって、克服することができます。病院の問診票のようなものに回答すれば、自分の弱点がよくわかり、力がついていくのが実感できますよ。

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『英語リスニングのお医者さん[改訂新版]』

西蔭浩子

ジャパンタイムズ

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このように、日本にいながらリスニング力を伸ばす方法は意外とたくさんあふれていることがわかったのではないでしょうか。重要なのは、ダイエットや姿勢矯正と同じように、続けて習慣にしてしまうこと。「どうせ続けられない……」などと億劫になってしまう人もいるかもしれませんが、きっとできるはずです!