目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
    5. 合格得点
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の確認
    2. 基礎問題で解法をインプット
    3. 標準~応用問題でアウトプットの練習
    4. 物理という名の道具を使う職人になろう:応用・発展レベルの問題演習
    5. 過去問・模擬試験を用いた演習

1. はじめに

国際医療福祉大学医学部は、政府による東京圏国家戦略特区に成田市と共同で「国際医療学園都市構想」として認められ2017年4月に開設されました。「国際」の名にふさわしく、外国人教員が30人以上もおり、世界各国の大学や医療機関での海外臨床実習が必修となっています。また、海外からの留学生も20人受け入れています。世界最大級の医学教育シミュレーションセンター、附属病院だけでなく介護老人保健施設や在宅ケアセンターなど施設も充実しており、学費も私大医学部のなかでも最も安く設定されているので今後も人気は続くでしょう。

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2. 概要

2.1 試験日

一般入試
一次選考:2018年1月16日(火)
二次選考:2018年1月23日(火)~1月28日(日)のいずれか1日

2.2 試験範囲・試験時間・解答形式

(試験範囲)
一次選考
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数式、ベクトル)
・理科:『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。
・小論文
以下は、国際医療福祉大学医学部がよくある質問に対して回答した内容です:

Q 小論文はどのような出題形式、出題内容になりますか?
A 2017年度入試では、一般入試、大学入試センター試験利用入試ともいわゆるテーマ式の出題で、時事的なテーマについて60分・600字で論じていただくものでした。

(引用元:国際医療福祉大学医学部|よくある質問

二次選考
・個人面接
以下は、国際医療福祉大学医学部がよくある質問に対して回答した内容です:

Q 二次試験の個人面接は2回行うとありますが、1回目と2回目ではどのように違うのでしょうか?
A 一般入試および大学入試センター試験利用入試の二次選考では、面接官の異なる約30分の個人面接を2回行います。出願書類に基づいて志望理由等をじっくりとおききするだけではなく、社会で一般的に問題となっているようなテーマをいくつかとりあげ、これについての意見・考えを述べてもらうことなどを考えています。

(引用元:国際医療福祉大学医学部|よくある質問
 
(試験時間)
一次選考
・数学(80分)
・英語(80分)
・理科(120分)※2科目選択
・小論文(60分)

(解答形式)
英語、数学、物理、化学、生物ともマークシート式。

2.3 配点

・英語(150点)
・数学(300点)
・物理(150点)
・化学(150点)
合計750点

2.4 出題の傾向と特徴(概要)

一般入試一次選考の筆記試験は、「小論文」以外、すべての科目がマークシート方式による出題となります。理科2科目で120分、大問は4題でした。総問題数は20題なので単純計算で1題3分です。計算が煩雑な問題も出題されていますが、典型問題も多く出題されているので時間的なものはそれほど厳しくはないでしょう。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

2017年度しか入試が行われていないので、2017年度に関する分析を示していきます。
全体に関する講評から。

第1問:動摩擦力による単振動
市販の問題集ではあまり見かけない設定の問題なので、戸惑った人も多いと思います。円運動や単振動、衝突や摩擦、モーメントのつり合いなど、様々なことを複合して考える必要がありました。さらに、n回目とn+1回目の衝突の関係など、現象を正しく理解する必要がある、比較的難易度の高い問題でした。

第2問:磁場中を運動する導体棒
コイルがつながっていますが、典型的な設定です。微小量を使って表すことさえできれば誘導に従って解いていける問題でした。

第3問:回折格子
複スリットを光線に対して直角から傾けるという設定によって問題の難易度が上がっていました。

第4問:気体分子運動
気体分子運動論の基本問題。内部エネルギーの変化率と体積変化率の関係は、問題集などではあまり見かけませんが、誘導に従っていけば比較的楽に解ける問題でした。

次に、問題ごとに細かく見ていきます。

3.1 第1問

第1問
(状況設定)回転円盤の上に棒が乗っている。棒の右側には壁があり、壁と棒の右端との距離はlである。また、棒と壁との反発係数はeである。

[A]2つの円盤にともに時計回りの回転を与える。棒は壁と何度も衝突し、やがて壁と接触したまま静止した。
問1 壁と棒が最初に衝突するまでの時間を表す式を選べ。
(解説・ポイント)
棒が円盤との動摩擦力によって運動しているという事実に気付けるかが第一歩。動摩擦力は円盤1と円盤2の両方から受け、重心の位置によってそれぞれの円盤から受ける垂直抗力の大きさが変化しますが、動摩擦係数が同じなので動摩擦力の合計はμ㎎になります。あとは、運動方程式→加速度→等加速度運動の公式という黄金パターンに当てはめれば解けます。

問2 壁と棒のn回目の衝突からn+1回目の衝突までの時間を表す式を選べ。
(解説・ポイント)
この問題を解くには2つの気付きが必要です。
1つは、棒にはたらく水平方向の力は動摩擦力のみで、棒の運動に関わらず常に右向きにかかっています。従って、等加速度運動の公式が使えるということです。もう一つは、n回目の衝突直後の速さをvとおくと、v=e^n v1(v1は問1で求めた加速度と時間を使えば求まります)と表わされることです。これら2つを使って求める時間を求めます。慣れていない人でも、問題文の状況分析をしっかりと行えば解ける問題ではあります。

問3 棒が運動を開始してから、壁と接触して静止するまでの時間を表す式T∞を選べ。
(解説・ポイント)
問題文にTとあるので、問2で求めた時間をn=1から無限大まで足し合わせればよいということには比較的簡単に気づくでしょう。ただし、T1とT2以降では式が違うことに注意が必要です。

問4 棒と回転円盤との間で発生した摩擦熱を表す式を選べ。
(解説・ポイント)
問題文に「摩擦熱は動摩擦力のした仕事の大きさに等しいものとする」とあるので、多少考えやすくはなっていますが、それでも難易度が高い問題です。それは、動摩擦力がした仕事の大きさを「動摩擦力が円盤にした仕事」と「動摩擦力が棒にした仕事」の2種類に分けて考える必要があるからです(棒も円盤も両方とも動いているため)。選択肢は多少のヒントとなっていますが、このことに気付いた受験生は少なかったのではないでしょうか。

(状況設定)
[B]棒が壁に接触したまま回転円盤2を逆回転させる。このとき、棒は単振動する。
問5 棒の重心が円盤の中点を通るときの速さを表す式を選べ。
問6 単振動の周期を表す式を選べ。
(解説・ポイント)
棒は単振動をすることが分かっているので、単振動の角振動数ωを求めることを考えます(中点を通るときの速さは最大で、Vmax=Aω(Aは振幅:この場合はl)、周期TはT=2π/ω)。このときのポイントは、「自分で座標を設定して、物体の位置が座標xにいるときの運動方程式を立てる」ということです。そうすれば、必ずF=-k(x-x0)の形になっているはずです(x0は振動中心の座標)。こうしてkが分かれば、ω=√(k/m)からωが求まります。
また、問題文に書いてあるように、円盤1と円盤2から棒が受ける垂直抗力の大きさは棒の位置xによって変化します。従って、モーメントのつり合いも考えて垂直抗力と位置xの関係を表す必要があります。

3.2 第2問

(状況設定)コイルでつながった2本のレール上に導体棒を置き、磁場をかける。この導体棒を、滑車を通したおもりによって運動させる。
問1 キルヒホッフの第2法則を表した式として適切なものを選べ。
(解説・ポイント)
導体棒に生じる誘導起電力とコイルの自己誘導起電力等しいと考え、問題文に与えられた、速度を位置の微小変化を使った表式にすればOKです。

問2 力学的エネルギー保存則を表した式として適切なものを選べ。
(解説・ポイント)
おもりも速さvで運動(落下)することさえ見逃さなければ問題なく解けるはずです。

問3 問1、問2の結果を使って導体棒の運動エネルギーを位置xの関数として表わしたものを選べ。
(解説・ポイント)
誘導に従って電流の大きさiを消去して導体棒の運動エネルギーを求めればよいことは、容易に理解できるでしょう。

問4 回路を流れる電流の最大値を表した式として適切なものを選べ。
(解説・ポイント)
問1より、電流の大きさは位置xに比例するので、位置xの最大値の時に電流が最大になることに気付くことが第一段階です。また、問3より運動エネルギーがxの上に凸の2次関数となっていますが、運動エネルギーは必ず正なので、xの取りうる値の範囲に制限が付きます。このことからxの最大値を求め、電流の最大値を求めます。
問3の運動エネルギーの表式を見たときに、運動エネルギーが引き算の形になっている → 運動エネルギーは正の値しかとらないからxの取りうる範囲に制限がつく、ということに気付くかどうかです。これは、地球上から発射したロケットが無限遠に到達するための最小の初速度を求める問題などでも使う手法ですが、気付けた人は多くはなかったかもしれません。

3.3 第3問

(状況設定)円盤スクリーン上に、複スリットを通った光が干渉縞を作っている。
問1 隣り合う明線の円筒面に沿って測った間隔を表す式を選べ。
(解説・ポイント)
円筒面にそった間隔を求める問題ですが、回折角は微小なので、平面上と同じ扱いをして構いません。

入射光は固定したまま、複スリットがある平面板を回転させる。
問2 2本の光線の光路差を表す式を選べ。
問3 解説光が明るくなる角度を表す式を選べ。
(解説・ポイント)
複スリットを傾けたことによる光路差と、複スリットを通過した後の光路差を適切に考える必要があります。また、角度αとθの位置関係もしっかり見極め、選択肢にある表式を選ぶために加法定理と近似を使います。光路差が求まれば明線条件はすぐに求まります。

問4 複スリットを回転させる前後で、明線の位置の変化を表す様子を示した図を選べ。
(解説・ポイント)
傾ける前後のθに関する明線条件を考えれば良い。m=0の点は同じで、間隔は広くなる。

3.4 第4問

(状況設定)円筒形のシリンダーとピストンによって封じ込められた単原子分子理想気体がある。
問1 1つの分子が時間tのあいだに、ピストンに衝突する回数を表す式を選べ。
(解説・ポイント)
気体分子運動論の典型問題。

ピストンを一定の速さで動かして断熱圧縮した。
問2 気体分子がピストンに衝突した後の速さを表す式を選べ。
(解説・ポイント)
物体の衝突なので、運動量保存か反発係数の式を使うことを最初に思い浮かべる必要があります。また、ピストンは一定の速さで動いているので、衝突後も変わらないことに注意しましょう。

問3 衝突前後の運動エネルギーの変化を表す式を選べ。
問4 内部エネルギーの変化を表す式を選べ。
問5 ピストンに加えている外力の大きさを表す式を選べ
(解説・ポイント)
誘導に従っていけばよく、内容も気体分子運動論の典型です。

問6 内部エネルギーの変化率と体積の変化率の関係式を表す式を選べ
(解説・ポイント)
問4で導出した内部エネルギーの変化などの式を適切に使えば求まります。

3.5 まとめ

全体的に他の医学部と比べて、決して難易度が低いとは言えない出題でした。また、時間的にも60分というのは短いでしょう。問題を解いていく順番も合否に影響したのではないかと思います。以下ではこれらを踏まえて国際医療福祉大学医学部合格に向けての勉強方法を紹介します。

4. 勉強法とおすすめ参考書の紹介

4.1 教科書内容の確認

教科書で扱われている現象の理解し、語句の定義を正確に覚え、公式の導出が確実にできるようになることが第一段階です。グラフや図などがある事項については、現象とグラフ、グラフと式の関係も自分のものにしましょう。公式の導出は自分でできるようになって下さい。その過程で物理現象をより深く理解でき、問題を解くうえで必ず大きな力になります。公式についてはどの現象のときにどの公式が成り立つのかが分かっていないと問題が解けません。また、公式を正確に覚えていないと正解にたどり着けません。教科書以外にも例えば、

『橋元の物理基礎をはじめからていねいに』(東進ブックス)
『橋元の物理をはじめからていねいに【改訂版】力学編』(東進ブックス)
『橋元の物理をはじめからていねいに【改訂版】電磁気編』(東進ブックス)
『橋元の物理をはじめからていねいに【改訂版】熱・波動・原子編』(東進ブックス)
『宇宙一わかりやすい高校物理(力学・波動)』(学研教育出版)
『宇宙一わかりやすい高校物理(電磁気・熱・原子)』(学研教育出版)
『秘伝の物理講義(力学・波動)』(学研プラス)
『秘伝の物理講義(電磁気・熱・原子)』(学研プラス)

などの参考書が、現象や公式の成り立ちについての理解を助けてくれるでしょう。また図説を持っている人は図説も読んでおいてください。

4.2 基礎問題で解法をインプット

この段階は、教科書で学習した内容を実際の問題に使う練習です。まずは基礎的な典型問題をできるだけ短時間で解けるようになるのが目標です。この段階の問題演習には、

この段階は、基礎的な典型問題をできるだけ短時間で解けるようになるのが目標です。問題演習には、
「物理のエッセンス」(河合出版)
『物理[物理基礎・物理]入門問題精講』(旺文社)
などを用いるのが良いでしょう。この段階では自分で問題を解く必要はありません(もちろん、解けるようであれば解いても構いません)。まずは「どのような状況設定の時にどのような解法を使うのかをインプットする」というところに重点を置きましょう。

『為近の物理基礎&物理 合格へ導く解法の発想とルール(力学・電磁気)【パワーアップ版】』(学研プラス)
『為近の物理基礎&物理 合格へ導く解法の発想とルール(波動・熱・原子)【パワーアップ版】』(学研プラス)
『秘伝の物理問題集[力学・熱・波動・電磁気・原子](ひとりで学べる)』(学研プラス)
『秘伝の物理問題集High[力学・熱・波動・電磁気・原子](ひとりで学べる)』(学研プラス)

なども、どのように問題を解くのかを丁寧に解説しているので参考になると思います。解答・解説をしっかり読んで、別解などもしっかりインプットしましょう。問題を見た瞬間に正しい解法が思い浮かぶようになればこの段階は終了です。

4.3 標準~応用問題でアウトプットの練習

次の段階は、大学受験における定番の問題で実際に問題が解けるかを演習していきます。この段階の問題演習には、

『良問の風 物理 頻出・標準入試問題集』(河合出版)
『物理[物理基礎・物理]基礎問題精講』(旺文社)

などを用いると良いでしょう。

基礎段階でインプットした解法を、入試標準レベルで正しく使うことができるようになることが目標です。この段階では必ず自分の手で解いてみて下さい。その時には基礎段階で身に付けた解法をどのように活用するのかを意識しながら解きましょう。問題を見た瞬間にどのような解法を使うのか最低1つは思い浮かべられない場合は前段階に戻った方が良いかもしれません。自分が思い浮かべた解法で解けない場合もあるでしょう。その時には解答を見て自分の考えに何が足りなかったのかをしっかりと分析してください。学校の先生など身近にアドバイスをくれる人がいるのであれば、ぜひ聞きに行きましょう。
 
これらの問題集が一通りきちんととけるようになれば応用問題に取り組む基礎が身についたと考えられます。以下のような問題集に取り組んで、応用問題を解いてみましょう。現役生であれば、少なくとも夏休みには解き始めておいてほしいところです。

『名問の森 物理』(河合出版)
『実戦 物理重要問題集 – 物理基礎・物理』(数研出版)
『難問題の系統とその解き方』(ニュートンプレス)
『物理[物理基礎・物理]標準問題精講』(旺文社)
『体系物理』(教学社)

4.4 過去問・模擬試験を用いた演習

最終段階は、実際に過去問を解いてみることです。赤本などを利用して時間を測りながら実際の入試のつもりで解いてみましょう。とはいうものの、国際医療福祉大学の過去問は1年分しかないので、2017年度の入試を解いて出題形式や問題の難易度について一通り実感した後は他大学の過去問を演習してみましょう。

国際医療福祉大学の問題が解けた人は、慶應義塾大学や順天堂大学、日本医科大学などに挑戦してみると良いでしょう(東京慈恵大医科大学の入試問題は問題設定がきわめて特殊なのであまりお勧めしません)。同じような難易度の大学として北里大学、東海大学、杏林大学、東北医科薬科大学などを演習してみるのも良いでしょう。様々な入試問題に挑戦して応用力と実践力を身に付けてください。

(参考)
国際医療福祉大学医学部|よくある質問