目次

  1. はじめに
  2. 入試の概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向
  3. 出題の特徴
    1. 力学
    2. 電磁気学
    3. 熱力学
    4. 波動
    5. 原子
    6. 融合問題
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の確認
    2. 基礎問題で解法をインプット
    3. 標準問題でアウトプットの練習
    4. 過去問を用いた演習

mtp-ec
苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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1. はじめに

自治医科大学は、医療に恵まれていないへき地等の医療の確保、向上、および地域住民への福祉の増進を目的とした、栃木県の私立大学です。私立大学という区分ではありますが、その名のとおり自治省(現在:総務省)によって設立されました。

また、本学は医師国家試験の合格率が非常に高いことでも知られており、平成12年から28年まで、10年間以上、合格率を95%以上に保っています。

医学部の教育理念には、以下のような記載があります。

1. 人間性豊かな人格の形成に力を注ぎ、真に医の倫理を会得し、ヒューマニズムに徹した医師を育てる。
2. ますます複雑化する疾病構造に常に対応しうる高度な医学知識と臨床的実力を身につけた医師を育てる。
3. 医療に恵まれない過疎地域の医療に進んで挺身する気概をもった医師を育てる。

(引用元:自治医科大学|医学部|医学部の紹介|教育理念

先ほどもあった通り地域の医療の向上に力をいれている本学は、入学定員を各都道府県に振り分けて合格者を決定しています。そのため、進学校が多く存在する都道府県では合格が難しいと言えるでしょう。成績上位者が必ずしも合格するというわけではありません。

6年間の学費は2200万円程度で、私立医学部の中ではかなり安い部類に入るでしょう。また、在学中には学費を貸与し、卒業後も9年間、指定された公立病院等に勤務した場合には、その返還を免除する取り組みもおこなっています。経済的理由で医学部進学を諦めようとしている人にとっては、大きなチャンスとなり得るでしょう。

2. 入試の概要

2.1. 試験日

一般入試(2017年度)
1次試験:1月23日(月)学力試験、1月24日(火)面接試験
2次試験:2月2日(木)
※1次試験の面接試験は学力試験及第者にのみ実施
※2017年度の一般入試は終了しました。

2.2. 試験範囲・試験時間・解答形式

(試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列・ベクトルのみ)
・理科:『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。(試験場で問題配布後、選択)
・小論文
・面接

(試験時間)
1次試験
・英語(60分)
・数学(80分)
・理科(80分)※2科目選択

2次試験
・小論文(90分)
・集団面接(約40分)
・個人面接(約10~15分)

2.3. 配点

1次試験
・英語(25点)
・数学(25点)
・理科(50点)※1科目25点
・小論文

2次試験
・面接

2.4.出題の傾向

自治医科大学の入試問題はマーク形式です。特徴は、2科目で80分という短時間で25問という小問を解かせるということです。1問あたり1分40秒弱で次々と解答していかなくてはなりません。考え込んでいる時間はありません。

例えば2014年の入試問題で、
「長さ r の軽くて伸び縮みしない糸の一端に質量 m の小さなおもりが取り付けられている。糸のもう一端を固定点とし、おもりが鉛直面内で半径 r の円運動をするためには、最下点でのおもりの速さはいくら以上必要か。ただし、重力加速度の大きさを g とする。」
というものがありましたが、オーソドックスな解法の手順に沿って解いていけば1分40秒はかかります。この問題は、答えが √5gr(ルートは全体にかかります) だと知っているべき問題です。典型的な問題であれば解答を知っているぐらい問題演習をやりこまなくてはいけません。

同じテーマの問題が違う年度で出題されることも良くあります。
例えば、2016年度では地球上と月面上での単振り子の周期を問われる問題がありますが、2014年度には地球上と月面上で同じ初速度、同じ仰角で投げ上げた場合の運動について問われる問題が出題されています。
このように、同じテーマで出題されている問題は数多くあるので、できる限り多くの過去問を解いておくことが重要でしょう

自治医科大学の入試では単位についても問われます。
例えば2015年度にはコンデンサーの電気容量の単位を問う問題が、2014年度にはボルツマン定数の単位を問う問題が出題されています。
普段から公式や関係式と単位を結びつけるという意識を持つことが大事です。

3. 出題の特徴

3.1 力学

毎年3~4割出題されている最重要単元です。加速度運動から脱出速度まで典型問題からひねった問題まで幅広く出題されています。
その中でばねに関する出題が多いということが特徴として挙げられます(過去5年で6題出題)。
ばねのする仕事とエネルギー、ばねでつながった物体の衝突、単振動などさまざまなバリエーションがあります。特に、ばねの両端に物体がつながっていて単振動をする場合の周期については解法を知らないと解けないので、取りこぼさないためにもきちんと押さえておきましょう。

3.2 電磁気学

毎年2~3割出題されています。典型的な問題が多く出題されています。

3.3 熱力学

毎年1割程度出題されています。
P-Vグラフにおける状態変化の違い(グラフ上の各状態変化におけるQWUの違い)を問う問題が多く出題されています。これらの問題は時間がかかる可能性が大きいので、時間短縮のためにしっかりと慣れておきましょう。

3.4 波動

毎年3割程度出題されています。
典型的な問題が多いですが、夕焼けが赤い理由、シャボン玉が色づく理由など定性的なことを問う問題も出題されているので、教科書のコラムなどは確実に読んで理解しておきましょう。

3.5 原子

新課程になって2016年度入試に2題出題されました。
出題された内容は半減期と放射線の種類についてですが、光電効果や水素原子モデル、原子核反応などの典型問題はもちろんのこと、放射線の単位や人物や実験名など教科書に書いてあることは全て押さえておくつもりで学習する必要があるでしょう。

3.6 融合問題

自治医科大学では、単元横断型の問題としてエネルギーの変化を問う問題が出題されています。
例えば2015年度には水力発電がどのようなエネルギーを用いているのかを問う問題が、2014年度には電気エネルギーと重力による位置エネルギーの変換に関する問題が出題されています。
物理基礎に「エネルギーとその利用」という単元があるので、教科書をしっかり読んでおきましょう。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

4.1.教科書内容の確認

教科書に太字で書いてある語句の定義や公式がきちんと頭の中に入っているか確認しましょう。特に公式についてはどの現象のときにどの公式が成り立つのかが分かっていないと問題が解けません。また、公式を正確に覚えていないと正解にたどり着けません。

教科書以外にも例えば、
『橋元の物理をはじめからていねいに(力学編)』(東進ブックス)

『橋元の物理をはじめからていねいに 熱・波動・電磁気編』(東進ブックス)

などの参考書が、現象や公式の成り立ちについての理解を助けてくれるでしょう。

また、自治医科大学では教科書のコラムに書いてあるような現象について出題されることがあるので隅々まで読んで頭に入れましょう。

4.2.基礎問題で解法をインプット

教科書で学習した内容を実際の問題に使う練習です。まずは基礎的な典型問題をできるだけ短時間で解けるようになるのが目標です。
この段階の問題演習には、

『物理のエッセンス 力学・波動』(河合塾)

『物理のエッセンス 熱・電磁気・原子』(河合塾)

『入門問題精講』(旺文社)

などを用いるのが良いでしょう。
この段階では自分で問題を解く必要はありません(もちろん、解けるようであれば解いても構いません)。まずは「どのような状況設定の時にどのような解法を使うのかをインプットする」というところに重点を置きましょう

『為近の物理1・2解法の発想とルール 力学・電磁気』(Gakken)

『為近の物理1・2解法の発想とルール 波動・熱・原子』(Gakken)

などもどのように問題を解くのかを丁寧に解説しているので参考になると思います。解答・解説をしっかり読んで、別解などもしっかりインプットしましょう。
問題を見た瞬間に正しい解法が思い浮かぶようになればこの段階は終了です。

4.3.標準問題でアウトプットの練習

次の段階は、大学受験における定番の問題で実際に問題が解けるかを演習していきます。
この段階の問題演習には、
『良問の風』(河合塾)

『基礎問題精講』(旺文社)

などを用いると良いでしょう。

基礎段階でインプットした解法を、入試標準レベルで正しく使うことができるようになることが目標です。
この段階では必ず自分の手で解いてみましょう。基礎段階で身に付けた解法をどのように活用するのかを意識しながら解きましょう。また、基礎段階では触れられなかった解法や考え方もあるので、解答・解説もしっかりと読みましょう。この段階は、問題を見た瞬間に解法が思い浮かぶようになり、模範解答が自分で作ることができるようになれば終了です。

実際の自治医科大学の入試は解答欄に答えのみを記入する形式なので、問題を解くときに導出過程は書く必要がないと思うかもしれません。
しかし、導出過程を書くということは自分の思考を具体化し、改善するべきところを明確にしてくれるものなので、必ず導出過程も書いて模範解答との違いを確認しましょう。その時にはどの解法が最短で解けるのかということを必ず意識して下さい。学校の先生など添削してくれる人が身近にいれば是非とも見てもらいましょう。

4.4.過去問を用いた演習

最終段階は、実際に過去問を解いてみることです。赤本などを利用して時間を測りながら実際の入試のつもりで解いてみましょう。
前段階までがきちんとできていれば、問題の解法自体は分かるはずです。あとは入試を突破するための実戦力を身に付けます。ポイントは「時間を意識すること」です。
自治医科大学は特に時間の制約が厳しいので、「解く問題」「解けるけど時間のかかる問題」「解かない問題」の区別を瞬間的に行える訓練をしましょう。可能であれば誰かに手伝ってもらい、どの問題にどのぐらいの時間をかけたのか試験時間の使い方についてチェックしてもらいましょう。
自治医科大学は時間の使い方に関する戦略が特に重要になってくるので、解答のチェックだけでなく時間の使い方のチェックもしっかり行いましょう。