目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・配点・解答形式
    3. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 記述問題への取り組み
    5. 過去問・模擬問題を用いた演習

1. はじめに

順天堂大学医学部は、東京都文京区にある私大医学部で、私立医学部御三家(慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、日本医科大学)に並ぶ難関大学である。医師国家試験の合格率もかなりの高水準にある。
本学の生物の試験は、私大医学部トップクラスなだけあり、知識力、記述力、計算力のバランスが良い出題である。以下の詳細にしたがって、それぞれの分野の実力を満遍なく身に付けてほしい。

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看護学部を卒業後、医学部受験に挑戦。卒業後わずか1年で合格を勝ち取った「教科書レベル」からの挑戦
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2. 概要

2.1 試験日
一般(A方式)
・1次試験:2017年1月19日(木) 会場:幕張メッセ
・2次試験日 2017年1月28日(土)~1月30日(月) いずれか1日
※会場:本郷・お茶の水キャンパス

2.2 試験範囲・試験時間・配点・解答形式
■試験範囲
一般(A方式)、一般(B方式)、東京都地域枠/新潟県地域枠
(1次試験)
・理科  物理「物理基礎、物理」、化学「化学基礎、化学」、生物「生物基礎、生
物」の3科目から2科目選択
・英語 コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ、英語表現Ⅰ・Ⅱ
・数学 数学Ⅰ~Ⅲ、数学A、数学B(「数列」、「ベクトル」)
・小論文 (小論文の評価は一次試験合格者選抜では使用せず、二次試験合格者選抜
のときに使用)

※センター・一般独自併用方式、センター利用方式および国際臨床医・研究医枠入学試験では数学の個別試験は課されません。

■試験時間
一般(A方式)、一般(B方式)、東京都地域枠/新潟県地域枠
10:00~12:00 理科(120分) 200点(各100点)
13:30~14:50 英語(80分)  225点(資格・検定試験25点分を含む)
15:40~16:50 数学(70分)  100点

■解答形式
マークシートおよび記述

2.3 出題の傾向と特徴(概要)
2科目120分、大問2題という構成であり、大問1はマーク式問題、大問2が記述式問題として出題されている。
大問1は3つのテーマに分かれており、知識問題が中心である。大問2は計算問題や実験考察問題などが出題されており、複合問題であることも多く難易度が高い。生態系や進化と系統など、他の私大医学部であれば小問程度での出題が多い項目に関しても、一つのテーマとしてかなりまとまった形で出題することもある。例えば、2017年度では細胞間結合を一つのテーマとして出題された。かなり細かい話も聞かれていたため、対策していなかった生徒は難しかったのではないだろうか。そのため、特定の分野に絞って勉強する意味があまりなく、全分野網羅的に学習しておく必要がある。
また、順天堂大学医学部は原理的な理解や定量的な理解などを問うてくる問題が多い。計算が苦手で生物に来た生徒は、計算問題に対する対策は十分に行う必要があるだろう。現象などは自らを図を書いて人に説明できるぐらい理解を深めておこう。教科書に登場しないような深い知識問題が聞かれることは少ないが、教科書に登場するようなものは割と細かい話も出題されているので、こちらも念入りに対策して欲しい。
記述問題に関しては、国立入試で出題されるような基本に忠実な内容が多い。教科書を中心とした学習が効果的である。試験時間に対する生物の問題量は厳しくないので、化学と生物のセットで受験する場合には、化学になるべく多く時間が回せるようにし、知識問題は即答出来るようにしておきたい。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 細胞と分子
他の範囲のベースとなる分野であるので、各テーマの小問として出題が多い分野である。ただし、2017年度は細胞間結合に関するテーマの問題がかなりまとまった形で出題されていた。この分野は新課程移行で出題が増えた分野であるので十分な対策を行って欲しい。また、細胞分画法や各細胞小器官のはたらき、細胞骨格、モータータンパク質、酵素、抗体などは知識問題として良く出題されているので、知識中心にしっかりと理解を深めて欲しい。

3.2 代謝
基本的には、受験定番の呼吸と光合成に関する経路図に関する問題や計算問題が中心である。また、解糖系、クエン酸回路、電子伝達系、チラコイド膜での反応、カルビンベンソン回路の各経路における個別の化学反応式を書かされる問題などが出題されていた。順天堂大学では、原理的で定量的な部分がしっかりと理解出来ているのかを問われることが多いことが多いので、呼吸と光合成については自分の手で経路図を書いたり、真の光合成速度とみかけの光合成速度の違いとグラフの関係性を理解するなど、人に説明できるぐらい理解を深めておいて欲しい。

3.3 遺伝情報の発現
近年の生物入試では、最新の内容まで踏み込んでくる分野である。プラスミドを利用した遺伝子組み換えは頻出である。コドン表の読み取りや、塩基配列の分析など理解力が問われる分野でもある。用語の定義、実験の手順や意義、現象の理解を理解していることを前提として、他分野との融合問題も出題される。近年の問題では、植物ホルモンと遺伝子組み換え、遺伝子発現の調節などが出題された。いずれも原理的な理解がないと正答を得るのは難しい問題であった。総合力が問われる分野であり、大問2で総合問題として出題される可能性が高い。

3.4 生殖と発生
他の私大医学部では頻出の単元だが、順天堂大学では他の分野と特に変わらないか、やや頻度が低い分野である。近年で出題されていたのカエルの発生やヒトの生殖と発生などの問題である。ヒトの生殖と発生に関してはやや細かい知識も聞かれていたが概ね教科書通りの内容であった。

3.5 遺伝
過去には遺伝に関する複雑な計算問題も聞かれていたが、近年の出題頻度は他の私大医学部同様に現象している。近年では、ハーディーワインベルグの法則をテーマとした難易度の高い計算問題が出題されていた。計算がハードな問題であり、ハーディーワインベルグの法則の原理的な理解と計算力を必要としていた。計算が苦手で物理を敬遠したタイプの人に荷が重い問題だったと思われる。

3.6 生物の体内環境、動物の反応と行動
医学部らしく免疫や受容器、肝臓・腎臓などから出題されることが多い。代謝同様知識問題をベースとしつつ、受験定番の計算問題などが出題の中心である。免疫の範囲からは教科書範囲外のやや深い知識が問われることが多いが、この分野はどこの私大医学部での深いことが聞かれる分野である。

3.7 植物の環境応答
バランス良く出題している順天堂大学にあって唯一といって良いほど出題頻度が低い分野である。ただし、2017年度は植物ホルモンの遺伝子組み換え問題として出題されており、一部知識問題として出題されていた。

3.8 生物の多様性と生態系
近年では、生態系の物質収支や植生とバイオームに関する問題などが出題されていた。他の私大医学部を含め、生物の入試全体で出題比率が低い。そのため、順天堂大学のようにまとまった形で出題されると苦い思いをする分野である。センターの出題形式に近いのでセンター試験問題で対策するのも効果的である。定量的な問題が好きな本学なので、グラフ的な理解や、物質収支の表の見方を十分に対策して臨んで欲しい。知識問題も出題されるので、各バイオームにおける代表的な植物や、生態系での種間関係など具体例を覚えることも忘れずに行って欲しい。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 用語・定義の確認
順天堂大学の場合、問われる知識は教科書内からの出題が多いが、様々な分野から出題される。細胞間結合に関する問題が一つのテーマとして出題されるなどかなり細かい知識問題も出題されるので、隈なく知識として整理しておいて欲しい。また、免疫に関する問題も頻出で教科書外からも出題されているので、こちらもしっかりと対策をして欲しい。また、入試問題で登場する文章が長く、設問自体も原理的な理解を要求される問題が多い。用語の定義はしっかりと押さえておいて欲しい。近年の流行である遺伝子組み換えや塩基配列の解析などに代表される分子生物の分野は、用語の定義、実験手順と意義などしっかりとおさえておかないと設問に答えられない問題が多い。記述問題も出題されるが、記述力の基本は用語の定義や現象理解であるので、原理的な部分はしっかりとここで押さえて欲しい。また、生物には図やグラフがたくさん登場するので、視覚的な理解もしておかないといけない。

参考書
・『チャート式 新生物、生物基礎(数研出版)』
・『大森徹の最強講義(文英堂)』
・『大学入試の得点源(要点) (文英堂)』
・『生物 知識の焦点(Z会)』
・『理解しやすい生物、生物基礎(文英堂)』
・『田部の生物基礎をはじめからていねいに(東進ブックス)』
・『生物基礎が面白いほどわかる本 (中経出版)』

初学者は、いきなり問題を解き始めるよりも参考書や教科書を使って生物現象や用語の定着に努めるほうが効率的である。用語が定着した後は、問題集でアウトプットしていこう。リードやセミナーを使う際の注意点としては、いきなり発展問題などはやらずに、セミナーのプロセスやリードにあるリードBなど基礎問題の反復練習に努めるほうが効率が良い。覚えていなかった知識は、漏れなくすぐに覚えてしまおう。また、間違えた問題は関連用語についても確認しておこう。例えばゴルジ体の役割が分からなかったとする。分からないのはゴルジ体だけだろうか。中心体やリソソームなどは覚えているのかなと自問自答することが大事である。

問題集
・『基礎問題精講(旺文社)』
・『らくらくマスター 生物・生物基礎(河合出版)』
・『生物用語の完全制覇(河合出版)』
・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『リード light 生物 生物基礎』

■Step.2 実験、考察問題への取り組み
ここからは、標準問題を軸に実際の考察問題を解いていくことになる。順天堂大学では、大問2でかなり難易度の高い考察問題が出題される。実験考察問題は、実験手順やその意義、用語の定義などを正しく理解しておかないと問題を解くことが出来ない。生物の場合、こういった問題は問題を数多く当たらないと攻略することは難しい。問題演習ごとになぜこのような実験を行っているのか、自分で説明できるぐらい問題の理解度を高めて欲しい。本番は緊張している空間であり、問題の文章を隅々読むことは時間の面でも困難である。ある程度問題の外観からどのような結論になるか、何が聞かれるか、どのような実験なのかを把握できるぐらいでないと攻略することはできないと思っていた方が良い。問題ごとに理解度を深めた後は、かならずノートにあとで見返せるように内容をまとめておいて欲しい。

・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『生物の良問問題集 (旺文社)』
・『基礎問題精講 (旺文社)』
・『生物重要問題集(数研出版)』
・『生物標準問題精講(旺文社)』

■Step.3 計算問題への取り組み
計算問題は、個別に対策しておく必要がある。呼吸と光合成、腎臓の再吸収、ハーディーワインベルグの法則や生態系の物質収支などの表を使う計算、サルコメア長や光合成速度などのグラフを使った計算問題などの定番の計算問題はしっかりと対策をして欲しい。セミナーやリードαなどの教科書某用問題集にも計算問題は含まれているが、網羅性を考えれば様々な問題集に触れておく必要があるだろう。

・『大森徹の生物 計算・グラフ問題の解法(旺文社)』
・『大森徹の生物 遺伝問題の解法(旺文社)』

■Step.4 記述問題への取り組み
大問2では、記述問題が出題される。国立大学で出題されるような良く出る定番問題か、その場で考える問題が多く、知らないと書けないような問題は少ない。まずは、一冊記述用の問題集で定番問題に関して完成させよう。下記の参考書では、記述問題の書き方にも言及しており、初学者でも使い易い。

『大森徹の生物 記述・論述問題の解法(旺文社)』

■Step.5 過去問・模擬問題を用いた演習

Step1~3が終了したら、過去問演習を進めていく。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手しても良い。よく直前期になるまで過去問を解かずに取っておくという話を聞くが、過去問は飽くまで何を理解していなかったのか、覚えていなかったのかを確認するためのものであって、解けたから安心というものではない。特に私大医学部は年度によって難易度が大きく変化するので、本番に合格するのはしっかりとした実力を持っている人である。

過去問を終えた後は、必ず自己分析を行うようにしよう。定番の考察問題や計算問題であれば、Step.2-4に、知識の穴であればStep.1に戻って必ず確認を行うこと。難しい問題に手を出すことだけが、実力を付けることではなく、解ける問題を確実に解くこともとても大事なことである。特に生物は、これは直前に覚えれば良いと後回しにしておいても良いことは何一つない。過去問で見つけた知識の穴は、本番であれば落ちていたかもしれないと肝に命じ、次は絶対に間違えないようにしっかりと覚える時間を割くことが大事である。

順天堂大学の入試問題は、国立大学の入試問題と傾向が近い。中堅の国立医学部の入試問題を問題演習の材料として使って行くと良い。特に記述問題などしっかりと利用して対策して欲しい。