目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験科目
    2. 試験時間
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
    1. 理論化学
    2. 無機化学
    3. 有機化学
    4. 高分子
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の振り返り
    2. 知識の補強
    3. 解法パターンの習得と計算力の増強
    4. 定番問題の習得
    5. 過去問演習

1. はじめに

順天堂大学医学部は、2007年頃までは私立医学部の中では比較的入りやすいレベルだったが、学費の大幅な値下げを機に難易度が上がった。近年では、慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、日本医科大学の三校、いわゆる私立医学部御三家に次ぐ難関大学となっている。
問題の難易度はそこまで高くはないが、設問数や計算量が多いため、標準的な問題をいかに素早く解けるかが重要である。それぞれの分野が幅広く出されるため、各分野の標準問題を確実に押さえておくことが絶対条件といえよう。

以下、本学に合格するためのプロセスを解説していきます。

mtp-ec
苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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2. 概要

2.1 試験科目
1次試験
・英語
・数学
・理科(物理・化学・生物から2科目選択)

2次試験
・小論文
・面接

2.2 試験時間
1次試験
・英語(60分)
・数学(90分)
・理科(120分)※2科目選択

2次試験
・面接
・小論文

2.3 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(200点[100×2])

2次試験
・面接
・小論文

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
大問2題が出題される。大問1がマーク式で、大問2が記述式という構成である。
大問1は3〜4個のテーマに分かれており、小問集合・無機・理論・有機とバランスよく出題されているのが特徴である。大問2ではほとんどの年度で理論分野から出題されている。
難問や奇問の出題はほとんどなく標準的な問題が多いが、設問数も多く、計算分量も多い、ハードな入試問題であるといえる。標準的な問題をいかに素早く正確に解くかが順天堂大学に合格するために必要な能力だろう。無機や有機もバランスよく出ているので、知識に関しては教科書レベルのことは確実に押さえておきたい。物理も化学同様、標準的だが計算分量が多い構成であるため、物理化学受験者の場合は時間配分にも気を付けて欲しい。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 理論化学
前半のマークから出題に加え、後半の記述問題も大抵の年度において、理論化学分野から出題されており、全体を通じて理論の比重が非常に高いといえる。ほとんどの問題が標準的な難易度だが、分量が多く、効率良く問題に対応していかないと解ききれないだろう。電離平衡、気体の問題、圧平衡定数、固体の溶解度、化学結合と構造、電池と電気分解などの出題比率が高い。特に、硫化水素と固体の溶解度積や化学結合に関する問題は頻出である。全般を通して化学反応式の量的関係に関する設問が多いので、計算スピードが欲しい。

3.2 無機化学
他の上位私立医学部と同様に、無機からの出題は少ない。物質の性質や反応に関する問題などが出題されている。化学反応式を使った計算問題が多いので、化学反応式はしっかりと書けるようになっている必要がある。気体の発生や錯イオン、沈殿を生成する金属イオンに関しては一通り押さえておいたほうが良い。理論の問題の小問として良く出題されているので、電池と電気分解や溶解度積などと関連させて知識として整理しておきたい。

3.3 有機化学
有機の問題に関しては、例年大問1の1テーマとして構造決定の出題されている。標準的な問題であることが多いので、ここで確実に得点を取りたいところである。問題全体を通して時間が足りないので、解法パターンの引き出しを増やし、問題への対応力を磨いて欲しい。標準的な問題で良いので、時間を計って短い時間で解けるようになる訓練をしっかりと行って欲しい。異性体の数を列挙する問題など時間がかからないようにしたい。

3.4 高分子
アミノ酸やペプチドに関する出題が良く出題されているが、それ以外の分野から出題されることはあまりない。合成高分子に関しては、原料と製法に関して有機とセットで聞かれる程度しかここ数年聞かれていない。アミノ酸に関してはペプチドの推定の問題がほとんどなので、電気泳動や検出反応に関しては押さえておこう。全般的にスピードを要するので解法の流れを整理して素早くアウトプットできるように準備しておきたい。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 教科書内容の振り返り

教科書を用意し、一章ずつ読み込む。入試問題は、原則として教科書から出題される。特に各教科書の参考・発展・コラム・実験などは、入試問題の格好の材料になり、出題頻度も高い。順天堂大で出題される問題の多くは標準的な内容であり、教科書レベルで十分に対応することができる。ただし、受験生の層を考えれば高得点を取る必要がある。教科書レベルで穴があることは許されないので、くまなくしっかりと理解して欲しい。

ただし、教科書の表現は初学者には少し難しいこともあるので、Step.1では全てを理解する必要はない。この段階では、各教科書の発展やコラムには触れなくても良い。ざっとどんなことが書かれているか整理していこう。読んでもすぐには理解出来ないという人は、下記の紹介されている参考書などを教科書の対応する箇所を合わせて読み込むと良い。また、実験装置や沈殿の色など目で見た方が記憶に残りやすいので、資料集も一冊用意しておくと良い。得た知識をどう使っていくのかについては下記の問題集を利用して、確認していこう。

○参考書
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-無機化学+有機化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学2+有機化学2-』(東進ブックス)
『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)

○問題集
『セミナー化学』(第一学習社)
『リードα』(数研出版)

■Step.2 知識の補強

順天堂大では、理論・無機・有機・高分子いずれもオーソドックスな問題が多い。ただし暗記重視というよりは理解力を求めている傾向がある。暗記することに重点を置くよりは、理解する流れで自然と覚えていくような形が望ましい。以下に各単元の注意すべきポイントとオススメの参考書について記載する。

◯理論化学
理論化学の問題は標準的な問題が多いが、文章は長く、設定がやや細かい問題が多い。問題文の設定をしっかりと理解できるかが問題を解くポイントになってくる。蒸気圧とは何なのか、不揮発性溶質を加えるとなぜ蒸気圧が降下するのかなどの原理的な部分をしっかりと理解しておかないとこのような設定のやや複雑な問題は解くことはできない。逆に知っていないと解けないような問題は少ないので、理解重視の学習を進めて欲しい。

『鎌田の理論化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)

『化学一問一答』(東進books)

◯無機化学
物質の性質や反応に関する問題が多い。難易度の高い知識問題は少ないので、暗記に重点を置くよりは理論とのつながりを意識して理解に努めて欲しい。また、化学反応式を利用した定量問題が多いの出、化学反応式は書けるようにしておきたい。

『福間の無機化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)

◯有機化学
有機の問題に関しては、例年オーソドックスな構造決定の問題から出題される事が多いので、手際良く確実に得点を取りたい。構造決定には、p-キシレンからPETに繋がるなどの定番の流れがある。問題集などで良く出る問題の流れを念頭に置き、問題に活用できる知識の整理をしっかりと行って欲しい。

◯高分子
アミノ酸やペプチドの推定の問題が良く出題されている。電気泳動やアミノ酸、タンパク質の推定に関する知識を整理しておきたい。アミノ酸の電離平衡は理論と関連させて出題されることがあるので、計算の考え方はしっかりと押さえておきたい。合成高分子や糖の問題はあまり出題されていないが、原料や製造法、性質などについてはしっかりと整理しておいて欲しい。本学では計算問題の比重が高いので、高分子の計算なども確実に解けるようにしておきたい。

『鎌田の有機化学の講義 三訂版 (大学受験Doシリーズ)』(旺文社)

■Step.3 解法パターンの習得と計算力の増強

Step.3では、計算問題の解法の習得に向けて学習を進めていく。順天堂大の計算問題は、標準的な難易度だが、計算ボリュームが非常に大きいので、速く正確な計算力を身に付ける事が求められている。速く正確に解くためには、何の問題でどの公式を使うのかすぐに出てくること、単純な計算スピードをあげること、計算方法を工夫してなるべく楽に計算できる方法を見つけられること、検算をしてミスを発見できる事があげられる。ただ解くだけでなく、工夫して計算力を磨いて欲しい。

『鎌田の理論化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)

『基礎問題精講』(旺文社)

『ゼロから始める化学計算問題』(中経出版)・・・ドリル形式になっているので、苦手な人はこちらを使って練習すると良い。

『化学計算問題の徹底整理』(数研出版)・・・入試レベルの計算問題が良いという場合は、こちらの問題集で練習すると良い。

■Step.4 定番問題の習得

ここからは実際の大学入試問題を使って、定番の問題の解法を押さえていく。順天堂大では、標準的な難易度の問題が中心であるため、標準的な問題で十分である。問題数が多いので、問題を見たら瞬時に解法が思いつくぐらいの瞬時の対応力が求められる。一冊の問題をしっかりと取り組み、自分で説明できるぐらいに理解し、どう解けば速く解けるかまで落とし込みたい。過去問演習で瞬時に対応できない問題がある場合には、足りない要素をしっかりと標準的な問題集で見直して欲しい。

○問題集
『化学重要問題集』(数研出版)

『化学の良問問題集』(旺文社)

○参考書
『化学の新研究』(三省堂)

■Step.5 過去問演習

Step.1-4をクリアしたら過去問演習に入りましょう。

『順天堂大学(医学部)』(教学社)

本Stepでは以下の手順に沿って演習・復習に取り組めば、ただ普通に過去問を解くということをするよりも数段効果的であるのでぜひ参考にしてほしい:
1. まずは制限時間内で解いてみる。
2. 制限時間が終了した段階でここまでの出来を採点する。
3. 時間が足りずに解ききれなかった問題を、時間無制限で取り組み、答え合わせを行う
4. 自分に足りなかったポイントを列挙する。知識問題で間違えたなら今まで学習した項目のどの部分が抜けていたのか。考察問題で間違えたならどういった視点が足りないのか。時間があれば解けるもののスピードが足りないならどの部分の理解と練習が足りないのかといった観点を大事にしよう。
5. Step.4に戻り、該当単元の演習を再度行った上で、周辺分野の知識をすべて整理する。

過去問をある程度進めたら、Step.4の自己分析を元に、同時並行で弱点補強を進めよう。直前期に赤本や難しい問題ばかりに手を出したくなることもあると思うが、大事なことは難しい問題が理解できることではなく、合格点を取ること。忘れていた知識を整理したり、計算のスピードや正確性を磨くことが意外と合格への近道だったりする。ちょっとした問題に足元をすくわれないようにしっかりと足場を固めよう。

過去問を全て終えたら、東邦大や北里大のように難問奇問は少なく標準的だが、制限時間に対して問題数の多い大学の過去問にも取り組んでみよう。国立中位の問題を制限時間短くして解くのも有効である。