目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向
  3. 出題の特徴
    1. 長文読解問題
    2. 自由英作文
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 基本単語、文法の定着
    2. 長文問題に取り組む
    3. 英文解釈に取り組む
    4. 英作文に取り組む
    5. 過去問・模擬問題を用いた演習に取り組む

1. はじめに

慶應義塾大学医学部は東京慈恵会医科大学、日本医科大学とともに、通称、私立医学部御三家の一つに数えられており、非常に難易度の高い大学の1つです。英語の入試問題は、非常に高度な①長文読解力、②英作文力(自由英作文を含む)、③記述力、④構文把握力を要求するのが特徴で、合格するためには相当の準備が必要になります。ちなみに、アドミッションポリシーには、以下の記載があり、入学者に期待するレベルの高さがうかがえます。

慶應義塾大学医学部アドミッションポリシーより引用:

「基礎臨床一体型の医学・医療の実現」の理念の下、患者中心の医療を実践し、医学・医療に貢献してきた本学医学部は、次世代を先導し、豊かな人間性と深い知性を併せ持つ医学生を強く求める。そのために、創立者 福澤諭吉の「一身独立(自ら考え実践する)」の教えを理解し、世界に雄飛し、患者中心の医療を実現できるphysician scientist(科学的思考力を備えた医師)となりうる医療人としての資質、目的意識、モチベーションを重視し、選抜する。

また、私立医学部の中では授業が比較的安いということもあり倍率が非常に高く、2016年度はおよそ25倍にも上りました。合格最低点は、例年6割前後で推移しており、試験の難易度を考えると厳しいといえます。上述したように、高度な力が要求される上に試験の形式が国公立大学に似ているため、合格に向けた対策を立てる際には、難関国公立大学の対策をするというくらいの気持ちで臨むべきでしょう。以下、試験の特徴について詳しく解説していきます。

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苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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2. 概要

2.1. 試験日
一般入試
1次試験:平成29年2月19日(日)
2次試験:平成29年3月2日(木)

2.2. 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験範囲)
英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B
数学Aからは「場合の数と確率」・「整数の性質」・「図形の性質」を出題範囲とする。
数学Bからは「数列」・「ベクトル」を出題範囲とする。
理科:物理(物理基礎・物理)、化学(化学基礎・化学)、生物(生物基礎・生物)のうち2科目選択

(試験時間)
1次試験
・英語(90分)
・数学(100分)
・理科(120分)※2科目選択

2次試験
面接・小論文(50分)

2.3. 配点
1次試験
・英語(150点)
・数学(150点)
・理科(200点)

2.4.出題の特徴(概要)
慶應義塾大学医学部の英語は、読解問題が中心になっています。和文英訳が消滅したり復活したりするなど、毎年のように傾向が変わりますが、読解中心である点と自由英作文が出題されるという点は変わっていません。

読解問題においては、空所補充(スペリングを書かせる形式)、内容説明、英文和訳、和文英訳、内容真偽問題が出題されます。空所補充問題は、通常選択式が多いのですが、慶應医学部では、英語を記述しなければならないため、正確なスペリングが求められます。また、特徴的なのが内容真偽で、「合っている選択肢」、「間違っている選択肢」の他に、「どちらとも言えない選択肢」があるため、難易度が高くなります。すなわち、表面的な読解力だけでは合格点に達することは難しく、正確かつ緻密な読解力が要求されます。ただし、扱われている英文自体はそこまで難しかったり、特殊であったりするわけではないので、比較的読みやすいと言えます。

自由英作文は、与えられたテーマに対して、理由を入れた上で80~100ワード(ただし、2015年は100ワード前後だった。2014年と2016年は80~100ワード)で書くという形式です。文法的に正確な英文を書けるようにすることは言うまでもなく、論理的で説得力のある文章を書けるように対策をしておく必要があります。高度な英語力はもちろんのこと、日本語も高めなければなりません。

以上から、私立医学部というよりも国公立大学の対策に近くなります。慶應医学部の過去問の他、傾向の似た国公立大学の過去問を解いて本番に臨みましょう。

3. 出題の特徴(詳細)

3.1 長文読解問題
・空所補充問題
前置詞、派生語などを中心に長文の空所に単語を記入する問題です。気を付けたいのが、選択式ではなく、英単語を書かなければならないという点です。解答欄に、はじめの1文字(2文字の年もある)が記されているので、続きの綴りを書きます。普段から英単語→日本語訳の練習ばかりしていると、いざというときに正確な綴りが書けないということがよくあるため、英作文の対策も兼ねて単語を覚える際に日本語→英語の練習をしましょう。英単語の難易度は決して高くないので、無理に綴りが難しい単語や医学系の専門用語のスペリングを練習する必要はありません。

・英文和訳問題
文構造が複雑で、一文に接続詞が4つ,5つ出てくるなどということはありません。一見すると文構造も平易で一文もそれほど長くなく、簡単なように見えるのですが、いざ訳してみると難しいという類の問題です。

問題を難しくしているのは、単語と文法にあると思います。まず、単語に関しては、基本的な単語ほど意味が多いので、正確に訳すのが難しくなるのです。また、文法に関して、文法事項の定着が不十分なために、英文で出てきたときに使われている文法事項を見抜くことができないということが考えられます。いずれにしても、土台となる単語と文法力をつけ、英文和訳の練習を積むことが攻略の鍵を握ります。

英文の意味はわかるのに、適切な訳語が出て来ないという人は、日本語の表現力を上げましょう。長文の問題集や英文和訳が終わったあとに、音読の練習をすることが重要です。音読というのは、英語だけでなく日本語もしましょう。音読を通じて、模範解答の和訳をインプットすることによって、次第にこなれた和訳表現が出てくるようになります。

・和文英訳問題
和文英訳問題は、いわゆる和文和訳(日本語を一度英訳しやすい日本語に書き直し、その上で英訳をする手法)をする必要はなく、標準的な問題です。センターレベルの文法問題が、きちんと身についているかどうかが最も差を生むことになるでしょう。

例えば、「AよりむしろB」という日本語を英語に直すときに、「not so much A as B」や「B rather than A」など文法問題集に出てくるような表現が瞬時に出てくる状態まで定着させなければなりません。一般的な4択問題や整序問題は、選択肢というヒントが与えられているので解きやすくなっています。そのようなヒントがいらないくらいに定着させる最後の詰めが合否を左右することになるでしょう。

このレベルまで定着しているかどうかを確かめるには、4択問題や整序問題の日本語を見て(選択肢は見ずに)英訳してみることです。知っている知識でも、意外と書けなかったりするのではないでしょうか。

・内容真偽問題
内容真偽問題は典型的な長文問題ですが、慶應医学部の場合は、「合っている選択肢」、「間違っている選択肢」の他に、「どちらとも言えない選択肢」があるのが特徴です。この「どちらとも言えない選択肢」を選ぶのが難しいと思うかもしれませんが、これは「本文中に選択肢の記述が無い」もしくは「選択肢の内容を本文から推測することが不可能」な場合と考えられます。

従って、本文をよく読まないと「単なる見落とし」を「本文に記述なし」と判断してしまうため、難易度が高くなります。精読と正確な速読力を身につけましょう。

3.2 自由英作文
慶應医学部の自由英作文問題は、ここ数年は80~100ワード程度で書く形式になっています。テーマは日常的なもので、とりわけ難しいものではありませんが、練習をしなければ即座に字数に収まるように書くことは難しいでしょう。

字数を意識して書く練習を繰り返すことによって、書いている途中でこのまま行くとオーバーする、あるいは足りなくなるといったことが感覚的にわかるようになり、大幅な時間短縮が見込めます。

自由英作文を書くに当たって、ただ単に正しい英文を書くというだけでなく、きちんとした理由が書かれているかどうか(論理的で説得力のある根拠が書かれているか)が重要になります。これは、客観的に見てもらわなければ判断が難しいので、書き終わったものを学校や予備校の先生に見てもらいましょう。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1:基本単語・文法の定着
慶應医学部では、文法の単独問題は出題されません。しかしながら、空所補充問題では品詞の知識が必要であり、また、自由英作文では、正しい単語や文法の知識が当然のごとく問われます。そのため、文法問題が出ないからやらなくても良いだろうという考えは捨て、まずは基本単語と文法を徹底的に固めることが重要です。

『英単語ターゲット1900』(旺文社)

『システム英単語』(駿台文庫)

自由英作文が出題される関係上、単語量はなるべく増やし、英単語を見て意味が言えるだけでなく、日本語を見て英単語が出てくるくらいまで定着させる必要があります。

上記のレベルの単語は身について覚えているだけでなく、その大半は英作文で使える程度まで習熟させる必要があります。もし、大半が覚えていないようであれば、下記に挙げるような一つ下のレベルから始めると良いでしょう。

『キクタンBasic4000』(アルク)

『システム英単語 Basic 改訂新版』(駿台文庫)

■Step.2:長文問題に取り組む

次は、Step1で習得した単語と文法力を活かして、長文読解に取り組みましょう。まずは、センターレベルがしっかりと取れるようにして、徐々にステップアップを目指してください。どのような問題集が良いのかとよく聞かれますが、復習しやすい(解説を読む気になる)ものが良いでしょう。と言うのも、長文問題を解くうえで一番重要なことは、解き終わった後の復習にあります。なので、例えばカラーでなければ読む気が起こらないという人はカラーのものを買うべきでしょう。参考までに、代表的なものを2冊挙げておきます。

『英語長文レベル別問題集 (3) 標準編』(東進出版)

『やっておきたい英語長文500』(河合出版)

■Step.3:英文解釈に取り組む

上述した通り、慶應医学部では緻密な読解力が要求されます。ちょっとした解釈のミスで内容一致問題で落としてしまいますし、英文和訳問題でも正確な読解は必須条件となります。そのため、長文読解問題を解くだけでなく、一文一文を正確に読む訓練を行わなければなりません。

ただし、ここで勘違いが起こらないようにしたいのが、旧帝大レベルのような文構造が非常に複雑なものは出題されないということです。難解な英文であればあるほど、一題を解くのに時間がかかり過ぎてしまうので、そのような問題に時間を割くのは得策ではありません。そこで、以下のような対策をしてみてください。

『英語の構文150 – upgraded 99 lessons』(美誠社)

過去問を見てみればわかることですが、英文和訳問題の多くは、構文が含まれています。その構文を正しく訳すことができなければ当然大幅な減点になるので、そのようなことが無いように構文の知識を完璧に固めましょう。構文の知識が7割以上固まってきたら、並行して以下のような英文解釈問題集に取り組みましょう。

『大学受験のための英文熟考 上・下』(旺文社)

『ポレポレ英文読解プロセス50』(代々木ライブラリー)

上記2冊は実戦的で、入試の本番ともレベルが近いものとなっています。ヒントなしで、このレベルが解釈できるようになれば、完成が近いと言えるでしょう。

■Step.4:英作文に取り組む

慶應医学部の特徴である英作文の対策について考察します。一般的に英作文といったときに、和文を英訳するタイプと与えられた課題について自分の意見を書く自由英作文に分けられますが、慶應医学部の場合は自由英作文も出題されるので、注意が必要です。といのも、自由英作文は課される大学があまりない(特に私立)ので、併願する大学のうちで自由英作文が出題されるのは慶應だけということもあるかもしれません。そのような場合、慶應に対する志望の高さを考慮に入れてどの程度時間を割くか決めておきましょう。

英作文の対策をする上で一番重要なことは、文法や綴りのミスが無い英文を書ける力をつけることです。基本的なことなのですが、ここが不安定な状態では減点をされて点数がつかなくなる恐れがあります。そこで、まずは下記に挙げるような基本表現集を使って、日本語を見て正しい英文を書けるようにしましょう。また、上記に挙げた『英語構文150』を日本語→英語に書き換えてみるのも良いと思います。日本語表現から複数の英語表現ができる場合もありますが、とりあえずテキスト通りの英語表現を覚え、土台となる英語表現を完璧にすることを目指しましょう。

『よくばり英作文』(駿台文庫)

次に、本番の和文英訳問題を意識した練習をしてみましょう。下記に紹介する本は、減点を防ぐポイントが豊富に解説されているので、何周もして習得することによって得点に反映されてくるでしょう。

『減点されない英作文』(学習研究社)

最後に自由英作文の対策になりますが、下記の問題集をおすすめします。自由英作文で難しいのは、正しい英文が書けていることはもちろんのこと、説得力のある英文を書かなければならないということです。これは、対策をしないと日本語でもなかなか思いつかないものです。日頃から、自分の意見とその理由を考えることを習慣にしておくと効果的です。

『[自由英作文編]英作文のトレーニング』』(Z会出版)

■Step.5:過去問・模擬問題集を用いた演習に取り組む

Step3まで解き終わったら、過去問や模擬問題集に取り組んでみましょう。慶應医学部の長文は、単語を記述する空所補充と内容真偽問題が特殊ですが、英文自体は特殊ではないので、下記に挙げるような一般的な私立医学部の対策問題集も十分役立てることができます。

『私大医学部への英語』(学研教育出版)

過去問は、毎年のように傾向が変わるのが気になるかもしれませんが、よく見ると長文読解と自由英作文が軸となっている点は変わっていません。自由英作文は、国公立大学で主に出題されているので、そちらの過去問も解いておきましょう。また、内容真偽問題が「正解」、「不正解」の他に「どちらとも言えない」という選択肢があるので、注意しましょう。慶應の他の学部や、若干難易度は下がりますが立命館大学など、この形式の問題を扱っている大学の過去問を解いておくと良いでしょう。

過去問を解き終わったら、解説を熟読し、自分の弱点を明確化しておきましょう。そして、解説に補足することがあれば、書き込んだりノートにまとめるなどして、整理しておきましょう。過去問を最大限に利用することが合格への最短コースと言えるでしょう。