目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
    5. 合格得点
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の確認
    2. 基礎問題で解法のインプット
    3. 標準問題でアウトプットの練習
    4. 過去問を用いた演習

1. はじめに

慶應義塾大学理工学部は理工系私立大学の最難関に位置しており、東大や東工大などを目指す理系トップクラスの受験生たちと合格を争うことになります。従ってそこで要求される学力水準も相当高くなると言えます。東大志望や東工大志望の方と同レベルで学習を進めていきましょう。
本記事では、慶應義塾大学理工学部の物理の入試について、傾向と特徴を分析し、おすすめ参考書・問題集と対策勉強法について説明します。

mtp-ec
苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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2. 概要

募集人員:650名
内訳は、
学門1(物理学科、物理情報工学科、電子工学科、機械工学科)125名
学門2(数理科学科、管理工学科、情報工学科)110名
学門3(化学科、応用化学科、生命情報学科、物理情報工学科)130名
学門4(機械工学科、システムデザイン工学科、応用化学科、管理工学科)160名
学門5(情報工学科、電子工学科、システムデザイン工学科、生命情報学科)125名

学びの庭に入る門
「学門」とは、“学びの庭への入口”という意味を込めた言葉で、それぞれ<学門1・物理>、<学門2・数学>、<学門3・化学>、<学門4・メカニクス>、<学門5・情報>と大きく5つの分野に対応しています。理工学部では、入試の時点で5つの「学門」のいずれかを選択します。

(引用:慶應義塾大学理工学部|受験生の方|学門制

2年進級時に学科分け
入学後、自分の興味や関心に応じて徐々に学びたい分野を絞っていき、2年進級時に所属する学科を決定します。各学門から進級できる学科とおおよその割合は表のとおりです。希望学科への進級率は年度により異なりますが、第1希望へは85~90%、第2希望へは10%前後と、多くの学生が希望通りの学科に進級しています。

(引用:慶應義塾大学理工学部|受験生の方|学門制

学門制のメリット
従来の入試に比べて、入学後の学科選択や科目選択がより自由になります。また、別々の学門から入学した異なる関心を持つ学生同士がともに学ぶという学習環境は、科学技術を学ぶ者にとって刺激的で創造的です。>/blockquote>
(引用:慶應義塾大学理工学部|受験生の方|学門制

2.1 試験日

出願期間

1.「出願登録(インターネット)」および「入学検定料の支払」
期間:平成30年1月5日(金) ~ 1月22日(月) ※締切日は17:00まで
2.「出願書類の郵送」
期間:平成30年1月5日(金) ~ 1月22日(月) ※締切日消印有効
出願に関する詳細は11月上旬に公開予定の「一般入学試験要項」で確認してください。

(引用:慶應義塾大学|入試制度|一般入試

1次試験:平成30年2月12日(月)
合格発表日:平成30年2月22日(木)

2.2 試験範囲・試験時間

(試験範囲)
英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B
※数学Aからは「場合の数と確率」・「整数の性質」・「図形の性質」を出題範囲とする。
※数学Bからは「数列」・「ベクトル」を出題範囲とする。
理科:物理(物理基礎・物理)、化学(化学基礎・化学)

(試験時間)
1次試験
・英語(90分)
・数学(120分)
・理科(120分)※物理・化学

2.3 配点

・英語(150点)
・数学(150点)
・物理(100点)
・化学(100点)

2017年度入試においての合格最低点が500点満点中271点であることが公表されています。
(参考:慶應義塾大学|入試制度|2017年度 一般入学試験 得点状況

2.4 出題の傾向と特徴(概要)

解答時間は理科2科目(物理・化学)で120分、大問3題で構成されています。詳しくは次節以降で紹介しますが、典型的な設定の問題が多く出題されています。しかし、問われていることは十分な思考力や計算力を必要とすることが多く、時間的な余裕も決してあるわけではありません。問題を見た段階でおおまかな解答の方針が立てられる必要があるでしょう。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 力学

ほぼ毎年大問1題出題されています(直近10年で出題されなかったのは2008年のみです)。近年出題されたテーマは、「人工衛星」、「剛体の回転」、「2物体の衝突」、「単振動」、「円筒面内を運動する物体」などです。「2物体の衝突」に関する問題が良く出題されています。運動方程式や力学的エネルギー保存則、仕事とエネルギーの関係などをは言うまでもありませんが、特に2物体の衝突などにおける相対運動の考え方はしっかりと身に付けておきましょう。自分がどの立場をとって式を立てているのかという視点は様々な問題で演習しておきましょう。

3.2 電磁気学

過去10年間、毎年大問1題は出題されています。近年出題されたテーマは、「磁場中を運動する導体棒」、「交流の発生、交流回路」、「平行板コンデンサー」、「磁場中を運動するコイル」などで、「磁場中を運動する導体棒」や「平行板コンデンサー」に関する問題が多く出題されています。計算力が要求される問題が多く出題されていますが、問題自体の難易度はそれほど高いものではありません。磁場中を運動するコイルに関する問題では、磁場中を一定の速さで動かすために加える力の時間変化を書く問題が出題されました。過去に出題されたからというわけではありませんが、現象の時間変化がどのようになるのかということは常に意識しておきましょう。

3.3 熱力学

およそ2年に1回の割合で出題されています。気体の分子運動に関する問題と気体の状態変化に関する問題が半々の割合で出題されています。気体の分子運動に関する問題では、断熱膨張の場合や気体の速度分布に関する出題がなされており、応用力が試されています。気体の状態変化に関する問題では、気体をPVx=一定 という関係を満たすような状態変化を考えさせる問題が出題されており、こちらも応用力が試されています。

3.4 波動

およそ2年に1回の割合で出題されています。近年出題されたテーマは、「マイケルソン・モーレー干渉計」、「ドップラー効果」、「レンズ」、「波の屈折」などです。典型的な設定で、基本的な事項をしっかりと押さえておけば特に問題なく解ける問題が多く出題されています。ヤングの実験とレンズが組み合わされた問題も出題されていますが、見た目ほど難しくはありません。基本問題が解けるようになった後は、虹ができる原理などの屈折の応用問題、平面波に関する応用問題などを演習しましょう。

3.5 原子

少なくとも直近10年で出題がありません。しかし、今後も出題がないとは言えないので対策はしておきましょう。光電効果やコンプトン散乱、核反応など基本的な問題は確実に解けるようにしておきましょう。また、慶應義塾大学の医学部では原子分野からしばしば出題されているので、難易度的にも演習しておくと良いでしょう。

4. 勉強法とおすすめ参考書の紹介

4.1 教科書内容の確認

教科書で扱われている現象の理解し、語句の定義を正確に覚え、公式の導出が確実にできるようになることが第一段階です。グラフや図などがある事項については、現象とグラフ、グラフと式の関係も自分のものにしましょう。公式の導出は自分でできるようになって下さい。その過程で物理現象をより深く理解でき、問題を解くうえで必ず大きな力になります。そして、自分で導出ができるようになったら答案を書くつもりで書いてみて、添削してもらうと良いでしょう。教科書以外にも例えば、

『橋元の物理基礎をはじめからていねいに』(東進ブックス)
『橋元の物理をはじめからていねいに【改訂版】力学編』(東進ブックス)
『橋元の物理をはじめからていねいに【改訂版】電磁気編』(東進ブックス)
『橋元の物理をはじめからていねいに【改訂版】熱・波動・原子編』(東進ブックス)
『宇宙一わかりやすい高校物理(力学・波動)』(学研教育出版)
『宇宙一わかりやすい高校物理(電磁気・熱・原子)』(学研教育出版)
『秘伝の物理講義(力学・波動)』(学研プラス)
『秘伝の物理講義(電磁気・熱・原子)』(学研プラス)

などの参考書が、現象や公式の成り立ちについての理解を助けてくれるでしょう。慶應義塾大学の理工学部では、珍しい設定の問題はあまり出てきません。教科書のコラムや探究活動なども含めて隅々までしっかりと読み、図録を持っている場合は併せて図録もしっかりと読んでおきましょう。

4.2 基礎問題で解法をインプット

教科書で学習した内容を実際の問題に使う練習です。基礎的な問題は解ける人にはこの段階は飛ばしても構いません。ただし、次段階以降で少しでも不確かであったり不安だったりする分野、単元、問題のタイプがあれば、必ずこの段階に戻って解消するようにして下さい。

この段階は、基礎的な典型問題をできるだけ短時間で解けるようになるのが目標です。問題演習には、
「物理のエッセンス」(河合出版)
『物理[物理基礎・物理]入門問題精講』(旺文社)
などを用いるのが良いでしょう。この段階では自分で問題を解く必要はありません(もちろん、解けるようであれば解いても構いません)。まずは「どのような状況設定の時にどのような解法を使うのかをインプットする」というところに重点を置きましょう。

『為近の物理基礎&物理 合格へ導く解法の発想とルール(力学・電磁気)【パワーアップ版】』(学研プラス)
『為近の物理基礎&物理 合格へ導く解法の発想とルール(波動・熱・原子)【パワーアップ版】』(学研プラス)
『秘伝の物理問題集[力学・熱・波動・電磁気・原子](ひとりで学べる)』(学研プラス)
『秘伝の物理問題集High[力学・熱・波動・電磁気・原子](ひとりで学べる)』(学研プラス)

なども、どのように問題を解くのかを丁寧に解説しているので参考になると思います。解答・解説をしっかり読んで、別解などもしっかりインプットしましょう。問題を見た瞬間に正しい解法が思い浮かぶようになればこの段階は終了です。

4.3 解法のブラッシュアップ

次の段階は、大学受験における定番の問題で実際に問題が解けるかを演習していきます。この段階の問題演習には、

『良問の風 物理 頻出・標準入試問題集』(河合出版)
『物理[物理基礎・物理]基礎問題精講』(旺文社)

などを用いると良いでしょう。

基礎段階でインプットした解法を、入試標準レベルで正しく使うことができるようになることが目標です。この段階では必ず自分の手で解いてみて下さい。その時には基礎段階で身に付けた解法をどのように活用するのかを意識しながら解きましょう。問題を見た瞬間にどのような解法を使うのか最低1つは思い浮かべられない場合は前段階に戻った方が良いかもしれません。自分が思い浮かべた解法で解けない場合もあるでしょう。その時には解答を見て自分の考えに何が足りなかったのかをしっかりと分析してください。学校の先生など身近にアドバイスをくれる人がいるのであれば、ぜひ聞きに行きましょう。
 
これらの問題集が一通りきちんととけるようになれば応用問題に取り組む基礎が身についたと考えられます。以下のような問題集に取り組んで、応用問題を解いてみましょう。

『名問の森 物理』(河合出版)
『実戦 物理重要問題集 – 物理基礎・物理』(数研出版)
『難問題の系統とその解き方』(ニュートンプレス)
『物理[物理基礎・物理]標準問題精講』(旺文社)
『体系物理』(教学社)

4.4 過去問・模擬試験を用いた演習

最終段階は、実際に過去問を解いてみることです。赤本などを利用して時間を測りながら実際の入試のつもりで解いてみましょう。この段階のポイントは「時間を意識すること」、「問題を解く順番を意識すること」、「問題文を適切に解釈して自分が知っている解法に当てはめること」です。
実際の入試には制限時間があるので、まずは制限時間内に解くスピードを身に付ける必要があります。次に、問題を解く順番も意識しましょう。実際の入試では「解ける問題から先に解く」というのが鉄則です。時間をかけて難しい問題を1問解くよりもまずは簡単な問題を短時間で5問解きましょう。実際に入試問題を解いた後に、問題の解く順番も最適だったかどうか確認してみましょう。
「問題文を適切に解釈して自分が知っている解法に当てはめること」に関してですが、特に見慣れない設定の問題の場合、問題文を解釈して自分が知っている解法に当てはめるということが問題になってきます。現象の理解、設問の意図の理解などが正しくできていたかのチェックは時間をかけて行いましょう。解答や解説に書いてあることを理解するだけでなく、問題文を読んだ時に設問の意図をどのように理解するのか、自分はどのように考えるべきだったのかをしっかりと吟味して下さい。
 
時間がある人は、実戦力と応用力を身に付けるために他大学の入試問題にも挑戦してみましょう。早稲田大学や東京工業大学の問題が良い練習となるでしょう。さらに時間があるのであれば、様々な大学の入試問題にもチャレンジしてみて下さい。

また、河合塾では早稲田大学・慶應義塾大学を目指す受験生のための本番入試対策として「早大・慶大オープン」という模擬試験が毎年11月頃に行われています。実力確認のために受験すると良いでしょう。

(参考)
慶應義塾大学|入試制度|一般入試
慶應義塾大学|入試制度|2017年度 一般入学試験 得点状況