目次

  1. はじめに
  2. 入試の概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
    1. 確率・数列
    2. 数Ⅱ微積分
    3. 平面図形・空間図形
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の振り返り:公式や定理の総復習
    2. 典型的かつ標準的な問題を押さえる
    3. 応用レベルの演習:数学的な思考力を鍛える
    4. 過去問・模擬試験を用いた演習

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受験にこそパーソナルトレーナーを。4年間、一次試験すら通過できなかった僕が『医学部合格』を勝ち取れた理由
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1. はじめに

近畿大学医学部は大阪狭山市にある私立医学部で、数学は医学部入試の中でも数少ない「数学ⅠAⅡB」のみで受験可能な私大医学部です(他は帝京大学医学部など)。ただし、試験範囲に数学Ⅲが含まれていないからと言って、油断は禁物です。レベルは文系であれば上位国公立レベルの問題が出題されているものの、ボーダーは8割を越える年もあり、相当熟達していないと、試験時間内に満足行く解答ができないでしょう。試験形式が全問記述式であることからも、思考力・記述力を見たいという大学側の姿勢が見て取れます。

2. 概要

2.1 試験日
一般入試
【前期日程】
1次試験:2017年1月22日(日)
2次試験:2017年2月5日(日)
※2017年度の一般入試前期日程は終了しました。

【後期日程】
1次試験:2017年3月8日(水)
2次試験:2017年3月19日(日)

2.2 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数式、ベクトル)
・理科:『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。
・小論文
・面接

(試験時間)
1次試験
・数学(60分)
・英語(60分)
・理科(120分)※2科目選択

2次試験
・小論文(40分)※段階評価
・面接(10分程度)

2.3 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(200点)

2次試験
・小論文(与えられた主題について論述する。)
・面接

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
(前期・後期共通)
試験時間:60分
出題数:3問
試験形式:記述式

私立医学部の中では数少ない、記述式を課しています。ただし、例年、大問1は空所補充、大問2は答えのみ記述、大問3が途中過程を含めて論述という出題になっています。出題範囲は数学ⅠAⅡBなので、理系入試の要である数Ⅲの微積分は出題されないものの、その代わりに1問ごとのボリュームが相当大きく、完答するには相当な実力が必要とされます。それにもかかわらず、1次突破に必要な得点率は8割以上となる年も多く、しっかりとした思考力を身に付けた受験生が通過できるような試験となっています。

内容を見ると、私立医学部のマークシート型に多い誘導型ではなく、国公立入試問題に似たシンプルな問題設定あるいは大手予備校実施の記述式模試のような体裁をしています。『重要問題集』など、標準的な問題集をしっかりこなしていれば、対応できるでしょう。ただし、場合分けや計算が煩雑になることが多く、1問にかかる時間は多めです。出題頻度が高い内容は、確率・数列(特に格子点)、図形(ベクトル)、数Ⅱ微積分の3つです。2016年度前期、2017年度前期と空間図形が絡む問題が出題されているため、苦手な人は中学レベルから丁寧に復習しておきましょう。続いて、図形と方程式や確率などがありますが、毎年同じような単元ばかりが出ているというわけでもないので、基本的には苦手単元を作らないというのが必須です。なお、過去問の中に、問題文が不明瞭で解釈が分かれるときがたまにあるため、演習の際は注意してください。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 確率・数列
【確率】
教科書レベルの出題もあれば、2013年度後期や2016年度前期のようにその場での粘り強い調査が求められることもあります。埼玉医科大学の過去問も利用してその場で調べ上げることも含めて手を動かせるようになっておきましょう。

【数列】
和や漸化式の一般項を求めるような教科書レベルの出題もあれば、2015年度前期には群数列が、2014年度前期、2008年度前期では格子点問題が出題されており、また難易度も非常に高いもので、バリエーションは多岐にわたります。しかし特に格子点は出題が複数回見られていますので、かなり高いレベルまで対策しておいたほうがよいでしょう。確率と融合される確率漸化式も多くはありませんが、実際に出題されてはいます(2009年度前期)。

3.2 数Ⅱ微積分
文字定数を含む3次方程式の解の個数(文字定数を分離)(2016年度前期)や、2次関数の表すグラフ(放物線)と直線で囲まれる部分の面積、定積分を含む方程式(2013年度後期)など、典型的な問題はしっかりと押さえましょう。年によってはこのレベルの出題もありえます。絶対値がつくことも頻繁にありますので、外し方・捌き方で困らないようにしてください(2016年度後期)。また、文字定数を含む3次関数について文字定数の値で場合分けが必要な問題や円と曲線で囲まれる部分の面積(扇形を分離します)(2014年度後期*)を求めるような文系上位国公立頻出のテーマもしっかり押さえてください。

*実際は領域を土台とした出題でしたが、微積分でも十分にありうる問題かつ、積分を用いない面積の導出であることから微積分問題の中に出題されるとハイレベルに感じられるため、こちらで紹介しました。

3.3 平面図形・空間図形
平面図形・空間図形ともかなり高いレベルまで出題が予想されます。特に2016年度前期、2017年度前期は空間図形が他分野との融合問題として出題されており、レベルもかなり高いものでした。『1対1対応の演習』などで図形の性質・ベクトル・図形と計量(三角比)・図形と方程式に関する受験標準レベルの内容を押さえられたら、過去問をできる限りさかのぼりましょう。もちろん私大医学部では頻出のテーマですので、他の医学部の過去問を用いて演習してもよいでしょう。川崎医科大学、金沢医科大学、日本大学医学部、杏林大学医学部を目安としてください。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

4.1 教科書内容の振り返り:公式や定理の総復習

教科書内容を振り返り、取りこぼしのある公式や定理については徹底的に復習してください。未習項目がない方(学校や塾・予備校の授業で一通り数学ⅠAⅡBⅢの範囲については習った)は、以下に挙げるような基礎レベルの問題集を使用して、事項が正しく理解できているか確認しましょう。特に解けなかった問題については、教科書のどの事項が理解できていれば解けたのかということをしっかり確認するようにしましょう。

・教科書の章末問題

・4STEP(教科書傍用問題集)

『数学Ⅰ+A基礎問題精講』『数学Ⅱ+B基礎問題精講』(旺文社)

『カルキュール数学I・A [基礎力・計算力アップ問題集]』(駿台文庫)

未習項目がある方はひとまず未習項目をなくすことを目標に全分野の学習を行いましょう。こういったシリーズは問題集もセットになっていることが多いので、そちらと合わせながら問題を解き進めてください。

『高校 これでわかる数学Ⅱ・B』(文英堂)

なお、この段階では、問題が解けなくても悲観的にならないでください。1問につき数分考えてわからないなら、すぐに解答を見てください。まず一通り内容をざっくり復習することが目的であって現段階での出来は関係がないと思ったほうが精神衛生上もよいでしょう。模擬試験や学校の定期テストで、数字の変わった問題が出たら、自力で解ききることができるというのがこのステップのゴールです。このレベルがクリアできたら、次に移ってください。

4.2 典型的かつ標準的な問題を押さえる

教科書レベルの内容を理解することができれば、次は受験で典型的かつ標準的な問題を押さえていきましょう。近畿大学医学部のレベルであれば、以下に紹介する問題集をしっかりこなして内容を身に付けることができれば、過去問に入ってもそこまで差を感じることはないでしょう。しかし、2〜3周繰り返しても「過去問をまだ十分に解き切ることができない」「時間が足りない」ということがあれば、この次の段階に移ってもう一段階上のレベル(4.3で紹介します)まで踏み込んでから、過去問に入るというのも一つの手です。

『新課程 チャート式 基礎からの数学Ⅰ+A』(数研出版)

『フォーカスゴールド』(啓林館)

『数学Ⅰ・A標準問題精講』(旺文社)

『数学Ⅱ・B標準問題精講』(旺文社)

近畿大学医学部は強靭な計算力も求められますので、問題に取り組むときは必ず最後の計算まで自力でやりきってください。

計算力に不安がある人は以下を毎日20分ペースで取り組んでください。
『合格る計算 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B』(文英堂)

4.3 応用レベルの演習:数学的な思考力を鍛える

近畿大学医学部は数学ⅠAⅡBまでの試験範囲ですから、文系数学向けの問題集もレベルの高いものであれば有効です。4.2でマスターしきれなかった感じがあれば、

『文系数学の良問プラチカ』(河合出版)

その他数学Ⅲを課される医学部を受験する予定の方は以下の理系用の問題集に取り組んでください。

『実戦 数学重要問題集 -数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B』(数研出版)

300問程度と絶妙に程よい量でありながら、どの分野も精選された良問を掲載しているしっかりした良書です。最低2周はして、1問1問すべての問題について、他人に解説できるくらいの理解度を目指しましょう。

4.4 過去問・模擬試験を用いた演習

もちろん頻出テーマ以外にもいろいろな単元から出題されていますので、遡れる限り過去問に取り組んでおきましょう。解く際には以下の手順に則ってみてください:

制限時間60分で一通り解きます。時間の使い方も含めて実際の試験時間を味わいます。
一通り取り組んだら、答え合わせをする前に、問題を解きながらどういった点を疑問に感じたかを書き出してみましょう。次回以降気をつけなければいけないこと、直さなくてはいけないことが浮き彫りになってきます。
答え合わせをしたら、正答率を算出するとともに、間違った問題の解答をしっかり理解しましょう。
続いて、今度は合っていた問題について解答をチェックします。合ってたのだから確認しなくていいのでは?と思う方もいるかもしれません。私大医学部の入試における最大の強敵は時間です。もし正解していてもそれが非効率なやり方なのだとしたらそれは回り回って他の問題を解く時間を奪った原因となってしまいます。合っていた問題も「やり方まで効率的であったか」という観点に立って、しっかり見直していきましょう。

また、大手予備校主催の記述型の模擬試験の問題も対策になります。1年間の受験勉強生活の中でそういった模試を受験するチャンスがあれば、ぜひ活用いただき、自分が受けた問題を自力で解けるようになるまでしっかり復習してみてください。