目次

  1. はじめに
  2. 入試の概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
    1. 理論化学
    2. 無機化学
    3. 有機化学
    4. 高分子
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. Step.1 教科書内容の振り返り
    2. Step.2 知識の補強
    3. Step.3 解法パターンの習得と計算力の補強
    4. Step.4 定番問題の習得
    5. Step.5 過去問演習

mtp-ec
苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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1. はじめに

近畿大学医学部は、大阪府大阪狭山市にある私立医学部である。入学難易度は私立医学部の中では中間くらいに位置しているが、問題自体の難易度は私立医学部の中でもやや高めとなっており、合格するためにはかなり準備をしておかなければならないだろう。また2017年度の入試から形式がかなり変わると発表されており、今後の動向には要注意である。

医学部の教育システムでは「テュートリアルシステム」と「クリニカルクラークシップ」という制度を設けており、少人数での教育に重点を置いているのが特徴である。そして医学部のホームページには、患者が中心となる医療を先取りし「温かい心」と「優れた医療技術」を身につけた医師・医学者の育成を目指している旨が記載されている。

2. 概要

2.1 試験日
一般入試
(前期日程)
1次試験:2017年1月22日(日)
2次試験:2017年2月5日(日)
※2017年度一般入試前期日程は終了しました。

(後期日程)
1次試験:2017年3月8日(水)
2次試験:2017年3月19日(日)

2.2 試験範囲・試験時間・解答形式

(試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数式、ベクトル)
・理科:『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。
・小論文
・面接

(試験時間)
1次試験
・数学(60分)
・英語(60分)
・理科(120分)※2科目選択

2次試験
・小論文(40分)※段階評価
・面接(10分程度)

2.3 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(200点)

2次試験
・小論文(与えられた主題について論述する。)
・面接

2.4 出題の傾向
推薦・一般(前期)ともに、大問3つで無機、理論、有機となっていることが多い。対策しやすい無機、有機でしっかりと得点できるように、反応式を含めて有機・無機物質の性質、実験操作は教科書でしっかり確認しておこう。教科書を越える内容の場合には問題文中に説明があると考えてよいだろう。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 理論化学
ほぼ毎年大問1つ半程度出題されている。純粋に理論化学を問われることはもちろん、無機化学や有機化学と絡めて主題される場合もある。
近年の出題では単分子膜法、気体、結晶、電気分解、酸化還元滴定、中和滴定、熱化学と満遍なく出題されているが、気体は特によく出題されている。蒸気圧に対してどうなっているのかを素早く見極めたい。レベルは教科書の章末問題や発展内容であり、問題集を解いていれば定番の問題であることが多い。計算過程も書く必要があるのは特徴的な点であり、点数を加算するためにも日ごろから人に見せられる解答を書くように心掛けておこう。また、計算を素早く丁寧に行うことも必要である。

3.2 無機化学
ほぼ毎年大問1つ出題されている。反応式を5つほど問われることが多いが、銅と濃硝酸などよく問われる反応式なので、必ず押さえておこう。化合物の性質や金属の定性分析など総合的な問題が多いが、いずれも教科書レベルの知識問題であることが多い。オストワルト法のような有名工業反応と理論計算とを絡めて出題されるが、その種類は限られているので対策はしやすい。

3.3 有機化学
ほぼ毎年大問1つ出題されている。構造推定もときどき出題されているが、穴埋め問題が多い。近年ではアルコールの酸化、けん化価、マルコフニコフ則、医薬品などが出題されており、知っていれば正答できる。構造推定問題でそれぞれの反応を確認しつつ、教科書本文、発展内容、欄外の内容も併せて網羅したい。実験操作に絡めて、何を使うべきか、どうやって分離するか、も問われるため、実験器具についても再確認が必要である。

3.4 高分子
他分野に比べると出題頻度は低い。合成高分子ではPET、ビニロンなどの有名な重合反応が、天然有機ではグルコースの性質について出題されている。問題集で散見されるような、知っていれば正答できる知識問題が多い。また、重合度、分子量を求める基本的な計算問題も出題されている。いずれも教科書レベルで対応できるはずなので、教科書の章末問題は確実に解けるように対策しておこう。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 教科書内容の振り返り

教科書を用意し、1章ずつ読み込む。入試問題は、原則として教科書から出題される。中には教科書から文章をそのまま抜き出したのではないかという問題さえも登場する。特に各教科書の参考・発展・コラム・実験などは、入試問題の恰好の材料になり、出題頻度も高い。近畿大では、教科書の内容を穴埋め問題にしたり、選択問題にしたものが多いので、教科書主体の学習はとても有効である。特に教科書の参考・発展や章末問題の解法は参考になるような問題も多いので、自分で説明できるぐらい理解しておきたいところである。

ただし、教科書の表現は初学者には少し難しいこともあるので、Step.1では全てを理解する必要はない。この段階では、各教科書の発展やコラムには触れなくても良い。ざっとどんなことが書かれているか整理しながら読んでいこう。読んでもすぐには理解できないという人は、下記の紹介されている参考書などを教科書の対応する箇所と合わせて読み込むのが良いだろう。また、実験装置や沈殿の色など目で見た方が記憶に残りやすいので、資料集も1冊用意しておく。得た知識をどう使っていくのかについては下記の問題集を利用して確認していこう。

○参考書

『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学1-』(東進ブックス)

『岡野の化学が初歩から身につく-無機化学+有機化学1-』(東進ブックス)

『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学2+有機化学2-』(東進ブックス)

『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)

○問題集

『セミナー化学』(第一学習社)

『リードα』(数研出版)

■Step.2 知識の補強

近畿大では、理論分野に関しては標準的な知識と計算問題が、無機有機では少し細かい知識問題が出題されている。化学は、知識と計算や考察問題をバランス良く身につける必要がある。まずは教科書レベルの知識をしっかりと習得しよう。以下に各単元の注意すべきポイントとおすすめの参考書について記載する。

◯理論化学
近畿大では、理論分野からは標準的な難易度の計算問題がよく出題されている。実験をテーマとした問題がよく出題されているので、教科書の内容理解は当然として、実験項目についても目を通しておこう。理論分野のポイントは現象理解にある。こういった問題は、何をテーマにしているのかを理解できないことには解いていくことができない。理論分野については、教科書に載っている現象は全て説明できるようにしておこう。

『鎌田の理論化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)

『化学一問一答』(東進books)

◯無機化学
物質の色や性質、反応に関する問題がよく出題されている。また化学反応式を書かせる問題も頻繁に出題されている。教科書に登場する化学反応式は漏れなく書けるようにしておきたい。かなり細かい知識問題が問われることもあり、教科書に書かれているものは全て知識として身につけておきたい。下記の参考書では化学反応式の書き方について詳しく書いてあるので、参考にしてほしい。

『福間の無機化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)

◯有機化学
近畿大では、有機化学から毎年1問程度出題されているが、やや発展的な項目からも出題されている。穴埋め問題や誘導つきの問題がほとんどであるが、知識として難しい問題も出ている。教科書の発展項目に関してはしっかりと目を通しておきたい。

◯高分子
出題傾向として、合成高分子よりも天然高分子の出題比率が高い。アミノ酸や糖類に関しては、構造を書かせるような問題が多く出題されている。フルクトースの鎖状構造や互変異性に関して書かせるような問題も出題されている。問題集だけでは、知識は身についても、構造を自分で書けるようにはならない。知識を身につけるのは前提条件として、グルコースやフルクトース、アミノ酸を自分で書けるように自主学習を進めておきたい。還元性を持つのか持たないのかをしっかりと構造から見抜けるようになるために自力で書けるようになっておきたい。また、高分子の計算問題も出題されているので、こちらも自分で反応式を書き、計算工程に関してもしっかりと身につけておこう。

『鎌田の有機化学の講義 三訂版(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)

■Step.3 解法パターンの習得と計算力の補強

Step.3では、計算問題の解法の習得に向けて学習を進めていく。近畿大の計算問題は、分量も標準的で、難易度もそれほど高くないので、合格者は確実に点を取ってくるだろう。そのため、計算問題をいかに正確に解いていくかが大事である。ひとつひとつの計算問題はそれほど難易度が高くないため、難しい問題よりは1行問題レベルでも数をこなし、正確に計算を行う力を身につけたが良い。下記の問題集や参考書を使い、標準的な計算問題の解法を身につけていこう。

『鎌田の理論化学の講義(大学受験Doシリーズ)』(旺文社)

『化学(化学基礎・化学)基礎問題精講 三訂版』(旺文社)

『ゼロから始める化学計算問題』(中経出版)
(ドリル形式になっているので、苦手な人はこちらを使って練習すると良い)

『化学計算問題の徹底整理』(数研出版)
(入試レベルの計算問題を解きたい場合は、こちらの問題集で練習すると良い)

■Step.4 定番問題の習得

ここからは実際の大学入試問題を使って、定番の問題の解法を押さえていく。近畿大では、理論分野においては典型的で標準的な難易度の問題が多いので、1冊しっかりと問題集を理解しておくような勉強法が効果的である。無機に関しては知識問題が中心だが、反応式を書かされることが多いので、しっかりと書けるようにStep2で訓練してほしい。有機に関しては、難易度は標準的だが、発展的な項目を含んでいる問題もよく出題されている。知識がないと解けない問題も多いので、発展的な項目を含む問題に関してもしっかりと目を通しておきたい。

○問題集

『化学重要問題集』(数研出版)

『化学の良問問題集』(旺文社)

○参考書

『化学の新研究』(三省堂)

■Step.5 過去問演習

Step.1~4をクリアしたら過去問演習に入ろう。

『近畿大学(医学部)』(教学社)

本Stepでは下記のように過去問演習を進め、現時点での自分の学力を自己分析しよう。時間を計って解き、解き切れなかった問題は時間を計らずに最後まで解く。採点後、解説を読み、解き方を理解する。自分には何が足りなかったのか自己分析を行う。自己分析を元に基礎の補強(Step.4)を行い、次年度に進む。

過去問をある程度進めたら、自己分析を元に、同時並行で弱点補強を進めよう。入試が近くなってきた時期は赤本や難しい問題ばかりに手を出したくなるが、大事なのは難しい問題が理解できることではなく、合格点を取ること。忘れていた知識を整理したり、計算のスピードや正確性を磨くことが意外と合格への近道だったりする。ちょっとした問題に足元をすくわれないようにしっかりと足場を固めておこう。

(参考)
近畿大学医学部