目次

  1. はじめに
  2. 入試の概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
    1. 融合問題および誘導に注意
    2. 頻出分野1:極限・微分・積分
    3. 頻出分野2:図形全般(図形の性質、図形と式、三角関数、ベクトル、2次曲線、複素数平面)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の振り返り:公式や定理の総復習
    2. 典型的で定番の問題を押さえる
    3. 数Ⅲは計算トレーニングが命
    4. 応用レベルの演習:数学的な思考力を鍛える
    5. 過去問・模擬試験を用いた演習

mtp-ec
苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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1. はじめに

杏林大学医学部は、私立医学部の中では中堅(あるいは上位)に属する学校で、入試の難易度だけでいえば日本大学医学部や東京女子医科大学、久留米大学医学部などと肩を並べます。大問数は60分という制限時間に対して4問のため表面上は通常の私大医学部と同じような構成ですが、求められる思考力および計算力は一段上のレベルです。上位私大医学部の対策と同様の学習でないと太刀打ちできない恐れがあります。

2. 概要

2.1 試験日
一般入試
1次試験:2017年1月20日(金)※終了
2次試験:2017年1月25日(水)※終了

2.2 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(確率分布と統計的な推測を除く)
・理科:『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。(試験場で問題配布後、選択)
・小論文
・面接

(試験時間)
1次試験
・数学(60分)
・英語(60分)
・理科(100分)※2科目選択
・小論文(60分)
2次試験
・面接

2.3 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(150点)※各75点

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
60分4題、全問マークシート式です。思考過程を見てもらえないので、骨太な計算もしっかりやりきる力あるいはある程度のレベルの問題も図やグラフを用いるなどしていかに素早く処理できるかといった力が必要になります。合格最低ラインは7割前後とそこまで高い水準は要求されませんので、取るべき問題を見極めて、捨てるべき問題は手を出さないという選択眼を養うことも必要になります。

出題内容をみると微分積分や図形問題を中心に幅広く出題されており、新課程に入ってからは複素数平面も大問で出題されるようになっているため、苦手単元を残しておくことはご法度でしょう。杏林大学医学部では、複数単元が組み合わさった融合問題の形式で出題されることがほとんどであるため、過去問の演習は不可欠かつその他川崎医科大学や獨協医科大学、順天堂医学医学部など融合問題を比較的よく出題する私大医学部の過去問にも取り組んで徹底的に慣れていってください。また、「はじめに」に書いたように、制限時間に対して内容量が多いため、解ける問題でもいかに素早く処理できるかということも重要です。上位私大医学部に頻出なテーマは必ず押さえておきましょう。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

融合問題および誘導に注意
2.4に記載の通り、融合問題が出題されます。例えば等差数列あるいは等比数列をなす3数がlog(sinθ)のような表記になっているなど、複数の単元を組み合わせて出題されますので、単元ごとに教科書レベルの知識が抜けるなどのことは絶対に避けておきたいところです。また、誘導に乗りにくい点も特徴の一つでしょう。意図を汲み取れないと立式・計算の方向性が見えないということが多々あります。他の私大医学部の過去問演習を通じて総合的に実力アップを図ることができますが、足りなければ早慶文系やSFC、あるいは上智理工や同志社、立命館など、マークシート式で高いレベルの問題を出題する大学の問題を用いて演習してください。

頻出分野1:極限・微分・積分
微分・積分は様々なテーマと融合されたり、純粋な微分・積分の処理で困ることのないように、多少難しい問題でも対応できるくらいにまでレベルをあげておきましょう。後ろで紹介する『1対1対応の演習』を用いて標準的なテーマを押さえつつ、『合格る計算 数学Ⅲ』を用いて計算練習は完璧にしてください。その後は『重要問題集』で微分積分の標準かつ難関校での典型問題を確実に押さえましょう。ここから先は過去問演習で杏林大学医学部の出題形式に慣れていってください。
その後、さらに余裕があれば『医学部攻略の数学 数学Ⅲ』を用いて、双曲線関数や極座標で表される関数の面積の表示など準有名なテーマを押さえていくところまで取り組んでみましょう。

頻出分野2:図形全般(図形の性質、図形と式、三角関数、ベクトル、2次曲線、複素数平面)
最優先に対策すべきは平面図形への対処となる単元を全般網羅することです。その後は典型的な問題集での演習を挟んで、いろいろな私大医学部の過去問演習をすることで慣れていってください。ただし、2次曲線(式と曲線)は中でも特に頻出ですので、高いレベルまで演習してください。また、新課程に入ってから複素数平面が出題されるようになっていますので、そちらもしっかりとした対策が必要です。なお、トレミーの定理など数学的に重要な命題が背景になることがありますが、そのテーマの内容をあらかじめ知っている必要はありません(知っているに越したことはないのですが)。

続いて、空間図形・空間ベクトルについては多くの方が苦手意識を持っていると思いますが、『1対1対応の演習』に載っているテーマをきちんと理解できていれば、レベルとしては十分対応可能なところまでいくことができます。過去問演習+その他私大医学部の過去問演習で完成という運びでしょう。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

4.1 教科書内容の振り返り:公式や定理の総復習

初学者・未修者・再受験の方など、教科書レベルからやり直していく必要のある方も多くいらっしゃるかと思います。難関大学、難しい問題といえど、分解すれば基礎事項の集合です。一つ一つの公式や定理を忘れてしまうというのは、あまりにも対策として不十分ですので、まずはしっかり頭の中に高校数学の体系を入れきってしまいましょう。傍用問題集を使用して演習できれば、この段階でかなり高いレベルまで持っていくことが可能です。

・教科書の章末問題

・4STEP(教科書傍用問題集)

『数学Ⅰ+A基礎問題精講』『数学Ⅱ+B基礎問題精講』『数学Ⅲ基礎問題精講』(旺文社)

『カルキュール数学I・A [基礎力・計算力アップ問題集]』(駿台文庫)

未習項目がある方はひとまず未習項目をなくすことを目標に全分野の学習を行いましょう。
こういったシリーズは問題集もセットになっていることが多いので、そちらと合わせながら問題を解き進めてください。

『高校 これでわかる数学Ⅱ・B』(文英堂)

1問につき数分考えてわからないなら、すぐに解答を見てください。あまり時間をかけずにまず一通り内容をざっくり復習する。この段階でできないともうだめだと思ってしまう完璧主義は身を滅ぼしてしまいます。模擬試験や学校の定期テストで、数字の変わった問題が出たら、何も見ずに解くことができるというのがこのステップのゴールです。このレベルがクリアできたら、次に移ってください。

4.2 典型的で定番の問題を押さえる

次はもう少し大学受験で定番となっている問題について解法をストックしていきます。下に挙げる『青チャート』や『フォーカスゴールド』などのいわゆる「網羅系参考書」というものを使用するのもよし。網羅系問題集は分厚すぎて終わらない! 時間がない! という人は、『標準問題精講』に取り組んでみましょう。例題の解法をしっかり理解して習得できるようになることがゴールです。

『新課程 チャート式 基礎からの数学Ⅰ+A』(数研出版)

『新課程 チャート式 基礎からの数学Ⅲ』(数研出版)

『Focus Gold 数学Ⅲ』(啓林館)

『数学Ⅰ・A標準問題精講』(旺文社)

『数学Ⅱ・B標準問題精講』(旺文社)

『数学Ⅲ標準問題精講』(旺文社)

4.3 数Ⅲは計算トレーニングが命

4.2の教材を一通り終えることができたら、次の教材(4.4)と並行して数Ⅲの計算練習を行いましょう。杏林大学医学部では計算の素早さが勝負の鍵を握ります。スピードは理解度に応じて上がっていくものですから、スピードを高める対策も含めて、以下の計算問題集で練習しましょう:

『合格る計算 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B』(文英堂)

『合格る計算 数学Ⅲ』(文英堂)

入試直前まで徹底的に繰り返し、計算で躓くことのないようにしましょう。

4.4 応用レベルの演習:数学的な思考力を鍛える

『実戦 数学重要問題集 -数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B』(数研出版)

300問程度と程よい量でありながら、どの分野も精選された良問を掲載しているしっかりした良書です。さらに微分・積分は少し厚めに収録していますので、杏林大学医学部だけでなく、その他の私大医学部の対策としてもこちらの問題集をしっかりとこなすことが必要条件です。最低2周はして、1問1問すべての問題について、他人に解説できるくらいの理解度を目指しましょう。

4.5 過去問・模擬試験を用いた演習

杏林大学医学部のレベルの高い誘導問題に乗れるようになるために、最低5年分以上は取り組んでみてください。手持ちの過去問を終えてもなお不安が残るようであれば、上述したように早慶文系やSFC、あるいは上智理工や同志社、立命館など、マークシート式で比較的高いレベルの問題を出題する大学の問題を用いて演習してください。

解く際には以下の手順に則ってみてください:

制限時間60分で一通り解きます。時間の使い方も含めて実際の試験時間を味わいます。
一通り取り組んだら、答え合わせをする前に、問題を解きながらどういった点を疑問に感じたかを書き出してみましょう。次回以降気をつけなければいけないこと、直さなくてはいけないことが浮き彫りになってきます。
答え合わせをしたら、正答率を算出するとともに、間違った問題の解答をしっかり理解しましょう。
続いて、今度は合っていた問題について解答をチェックします。合ってたのだから確認しなくていいのでは?と思う方もいるかもしれません。私大医学部の入試における最大の強敵は時間です。もし正解していてもそれが非効率なやり方なのだとしたらそれは回り回って他の問題を解く時間を奪った原因となってしまいます。合っていた問題も「やり方まで効率的であったか」という観点に立って、しっかり見直していきましょう。