目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 過去問・模擬問題を用いた演習

1. はじめに

杏林大学医学部は、三鷹と八王子にキャンパスを持つ都内の私立医学部である。新設された私立医学部の中ではトップレベルに位置し、年齢や男女に合格が左右されないと言われており、大変人気が高くなっている。

また、カリキュラムポリシーとして、以下の項目が記載されている。

  • 教育目標が確実に達成されるよう、以下の方針に沿って教育課程を編成し、実施する。
  • 講義や実習、少人数教育など、さまざまな教育手法を効果的に配置する。
  • 学習成果の判定とフィードバックのための適正な評価を実施する。
  • 医師に必要とされる医学的知識の確立とその応用力を涵養する。
  • 医師に必要とされる基本的技能の確実な実践のための修練を行う。
  • 医師にふさわしい倫理観と態度、コミュニケーション能力の育成をはかる。
  • 課題探求能力および問題解決能力の育成をはかる。
  • (引用:杏林大学|医学部|教育理念

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    2. 概要

    2.1 試験日
    一般入試
    1次試験:2017年1月20日(金) 
    2次試験:2017年1月25日(水) 
    ※2017年度の一般入試は終了しました。

    2.2 試験範囲・試験時間・解答形式
    (試験範囲)
    ・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
    ・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(確率分布と統計的な推測を除く)
    ・理科:『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。(試験場で問題配布後、選択)
    ・小論文
    ・面接

    (試験時間)
    1次試験
    ・数学(60分)
    ・英語(60分)
    ・理科(100分)※2科目選択
    ・小論文(60分)

    2次試験
    ・面接

    2.3 配点
    1次試験
    ・数学(100点)
    ・理科(200点)
    ・英語(100点)

    2.4 出題の傾向と特徴(概要)
    近年では2016年が大問3つであったが、おおよその大問構成は4つである。2科目100分であり、全問マークシート方式である。

    考察問題や計算問題が多く、典型的な問題が少ないため計算が苦手な受験生にとってはやりにくい問題である。特に遺伝の問題は変わった問題も多く、問題文を読む文章理解力が必要とされる。空所補充や選択問題も多く、中には『全て選べ』という問題も含まれているため、難易度はやや難しい部類に入る。早い段階から基礎を完了させて、様々な問題を経験するようにしよう。

    出題範囲は年度によって当然バラつきはあるものの、教科書の内容全体に渡っており、非生体系の分野も十分に出題されている。中でも遺伝情報や体内環境は毎年出題されており、植物関係の分野は全く出題されない年度もある。

    他大学にも全マークシート方式を導入している医学部は多く存在する。東邦大学、東京医科大学、北里大学などは出題形式が似ているため問題集として参考になるかもしれない。

    計算問題に関しては、DNA合成における細胞数の計算や遺伝、遺伝情報、系統樹、生態系に関するものがほとんであり、計算問題が毎年出題される大学である。出題構成に関しても大問1つが計算問題のみで構成されることは少なく、ほとんどが小問として出題されている。したがって、計算問題があまり得意ではない、という受験生も教科書傍用問題集に出てくる計算問題はしっかりと学習しておくようにしよう。

    3. 出題の傾向と特徴(詳細)

    3.1 細胞と分子
    2011年以降は目立った出題がなく、主にミトコンドリア内の代謝をテーマにした内容が出題されていた。また、ATP生成量の計算など医学部に出題されやすいところも出題されている。出題頻度の間隔からすると今後は出題されてくると思われる。

    3.2 代謝
    代謝経路に関する用語と同時に呼吸商の計算や光合成速度の計算が問われたことがある。知識、計算問題ともにボリュームの多い単元であるが、杏林大学の中では際立って出題頻度が高い分野とは言えない。

    3.3 遺伝情報の発現
    毎年、必ず1題は出題されているため、しっかりとした対策が必要となる。DNA 複製や転写、翻訳に関する問いやバイオテクノロジーの分野が毎年のように出題される。スプライシングの過程や遺伝子の組換え実験は頻出である。複数の制限酵素を用いて遺伝子を切り離して遺伝子組み換えする題材は新課程以降のブームとなっているため、しっかりと実験の流れを掴んでおこう。

    3.4 生殖と発生
    動物の発生がメインであり、核相やDNA量など理解度に差が出る出題をしている。このあたりの用語の定義を曖昧にする受験生は多いため、応用問題を出されたとたん解答できなくなるケースが多いように思える。図説や教科書を使って、しっかりと基礎を身に着けるべき分野である。

    3.5 遺伝
    杏林大学の遺伝の計算は難しい。遺伝に苦手意識のある受験生は合格が難しいだろう。胚乳遺伝や自家不和合性など難度の高い遺伝が聞かれるわけではなく、専ら二遺伝子雑種の独立、連鎖型(不完全連鎖)の問題が出題されることがほとんどであるが、典型問題が少なく応用問題が多い。年度によっては家系図を使って、遺伝病の様式を特定させたり、親族の遺伝子型を決定させるような問題も出題されている。

    3.6 動物の反応と行動
    筋肉と神経、反射、ホルモン、免疫、恒常性は、毎年出題されている。計算問題もバランスよく含まれており、筋肉と神経では、膜電位と伝導速度の計算が出題されている。細かい名称や大きさなど、数値を覚えていることが前提の出題があったりするため、数値に関しては常に暗記する姿勢が大切である。

    3.7 植物の環境応答
    植物ホルモンが2015年に出題されているが、その他の年度では特に目立った出題はない。学習の優先順位は低く、他の分野を固めてからの学習が効率的だろう。

    3.8 生物の多様性と生態系
    成長曲線、成長曲線などのグラフや表を用いた出題が多い。植物の環境応答同様に、学習の優先順位は低い傾向にある。

    3.9 生命の起源と進化、生物の系統
    地質時代や動物界の分類、系統樹の計算、ハーディーワインベルグの計算は頻出である。非生体系の中では計算問題が多く出題されているので、しっかりとした対策をしておこう。

    4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

    ■Step.1 用語・定義の確認
    杏林大学医学部の場合、資料集の片隅に載っているような知識も問われることがある。時間が有り余っている受験生以外は基本用語と標準的な考察問題に的を絞った方が効率的である。急いでマニアックな単語を詰め込む必要はなく、そのような単語に本番で出会ったとしても落ち着いて消去法で対処できればそれでよい。基本単語は、問題を見た瞬間にアウトプットできるまでにブラッシュアップしてほしい。しかし、それ以上に重要なのは正確な定義の暗記であるので、単語の丸暗記ができたら、そのまま点数に反映するとは限らないことをしっかり覚えておこう。

    参考書
    ・『チャート式 新生物、生物基礎(数研出版)』
    ・『大森徹の最強講義(文英堂)』
    ・『大学入試の得点源(要点) (文英堂)』
    ・『生物 知識の焦点(Z会)』
    ・『理解しやすい生物、生物基礎(文英堂)』
    ・『田部の生物基礎をはじめからていねいに(東進ブックス)』
    ・『生物基礎が面白いほどわかる本 (中経出版)』

    初学者は、いきなり問題を解き始めるよりも参考書や教科書を使って生物現象や用語の定着に努めるほうが効率的である。用語が定着した後は、問題集でアウトプットしていこう。リードやセミナーを使う際の注意点としては、いきなり発展問題などはやらずに、セミナーのプロセスやリードにあるリードBなど基礎問題の反復練習に努めるほうが効率がよい。

    問題集
    ・『基礎問題精講(旺文社)』
    ・『らくらくマスター 生物・生物基礎(河合出版)』
    ・『生物用語の完全制覇(河合出版)』
    ・『セミナー 生物』
    ・『リードα 生物』
    ・『リード light 生物 生物基礎』

    ■Step.2 実験、考察問題への取り組み
    杏林大学医学部では考察問題がやや難しく、典型問題とは言えないものが多い。対策としては難しい考察問題を闇雲に解くのではなく、標準的な問題を数多くこなし、実験概要と結果をしっかり記憶しておくことである。時間の短縮につながるだけでなく、予測しながら解答をしていくことができるようになるため精神的にも安定する。1周目の取り組み方としては、しっかりリード文を読んで自分で考えて答えを導き出しで見ることである。この時点で完璧な答案を作る必要は全くなく、わからなかった問題は解答解説を理解することを心がけよう。

    また、重要問題集や標準問題集は考察問題がメインであるが、この問題集は杏林大学の考察問題のレベルより少し高い程度なので、ウエイトのかかったよいトレーニングになるであろう。お医者さんになろうシリーズは杏林大学にとってはオーバーワークな側面もあるため、時間がない人は手を出す必要はないだろう。1冊を完璧に終わらせることができた時のみ、次回の問題集に移行するようにしよう。

    ・『セミナー 生物』
    ・『リードα 生物』
    ・『生物の良問問題集 (旺文社)』
    ・『基礎問題精講 (旺文社)』
    ・『生物重要問題集(数研出版)』
    ・『生物標準問題精講(旺文社)』

    ■Step.3 計算問題への取り組み
    計算問題は、個別に対策しておく必要がある。セミナーやリードαなどの網羅系問題集にも計算問題は含まれているが、計算問題に対する網羅性はあまりよくない。

    『大森徹の生物 計算・グラフ問題の解法』(旺文社)
    『大森徹の生物 遺伝問題の解法』(旺文社)

    杏林大学は基本的であるが毎年、計算問題が数問出題されるため、必ず個別に対策しよう。公式を暗記することも大切であるが、公式の導出過程を理解し、忘れないような学習をしていくことが重要である。また、計算問題に関する注意点であるが、計算問題のみが記述であることが多いため、選択肢に頼ることができず、自力での完答が求められる点に注意しておこう。遺伝問題は、一般的な問題集にあるようなスタンダードな問題は出題されず必ず初見となる問題が見受けられる。レベルは標準なので、解き方を暗記しているような受験生は太刀打ちができなくなるだろう。

    ■Step.4 過去問・模擬問題を用いた演習
    Step1~3が終了したら、過去問を解き始めよう。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手してもよい。よく直前期になるまで過去問を解かずに取っておくという話を聞くが、Step1を終えたころに一度過去問を解いてみるといいかもしれない。どういった単元が頻出しているのか、難易度はどのくらいか、ということがイメージしやすくなるだろう。
    また、過去問を解くときには時間を計るようにしよう。いくら正答率が高くても時間内に解ききれなければ意味がないからである。