目次

  1. はじめに
  2. 入試の概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
    1. 理論化学
    2. 無機化学
    3. 有機化学
    4. 高分子
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. Step.1 教科書内容の振り返り
    2. Step.2 知識の補強
    3. Step.3 解法パターンの習得と計算力の増強
    4. Step.4 定番問題の習得

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看護学部を卒業後、医学部受験に挑戦。卒業後わずか1年で合格を勝ち取った「教科書レベル」からの挑戦
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1. はじめに

杏林大学医学部は、東京都三鷹にキャンパスを構える私立医学部です。「豊かな人間性の涵養と、医学の発展に対応しうる基礎的及び専門的知識の修得と臨床的技能の修練を通じて、良き医師を養成する。」を教育研究上の目的としており、アドミッションポリシーにも以下のように書かれています。

医学部は「豊かな人間性の涵養と、医学の発展に対応しうる基礎的及び専門的知識の修得と臨床的技能の修練を通じて、 良き医師を養成すること」を教育の目的としています。この目的が確実に達成されるために、次のような資質をもつ学生を求めています。
・生命の尊厳を尊ぶ心をもつとともに、高い倫理観と豊かな人間性を備えた人
・協調性と高いコミュニケーション能力をもち、周囲の人と良好な関係を築ける人
・柔軟な思考力と知的探究心をもち、生涯を通じて医学の修得・研鑽に熱意をもって取り組める人
・医学を学ぶ上で必要な基礎学力を身につけている人

(引用元:杏林大学|各学部・研究科ごとの学位授与、カリキュラム、入学生受入れの方針

設立は1970年と比較的新しいものの、年齢や性別が合格に左右されないと言われていることから、受験の人気が大変高い私立医学部のひとつです。また奨学金制度も非常に充実しています。

2. 概要

2.1 試験日
一般入試
1次試験:2017年1月20日(金)
2次試験:2017年1月25日(水)
※2017年度の一般入試は終了しました。

2.2 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験科目)
第1次試験:
・英語
・数学
・理科(物理・化学・生物から2科目選択)
第2次試験:
・小論文(800字以内)
・面接

(試験時間)
第1次試験:
・英語(60分)
・数学(60分)
・理科(2科目100分)
第2次試験:
・小論文(60分)
・面接(10-15分)

2.3 配点
英語(100点)
数学(100点)
理科(150点[75×2])

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
全問マークシート方式で、例年大問3題構成である。本学の問題の特徴としては、標準的なレベルの問題が多く、理論・無機・有機と満遍なく出題されること、試験時間が理科2科目100分と短いことなどが挙げられる。教科書を逸脱するような深い知識はあまり問われないが、その分幅広く知識が求められるため、苦手な箇所を作らないように網羅的な学習をしたい。また問題分量に対する解答時間が短いため、解答作成スピードも要求される。ほぼ毎年無機から1題出題されており、かなり細かいことも聞かれる。普段から答えを出しただけで満足をせず、スムーズに知識が引き出せるか整理をしたり、速く解ける別解を考えるような質の高い学習をしていきたい。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 理論化学
中和・酸化還元・電池と電気分解・気体・溶液・化学平衡と入試によく出そうな分野から出題されている。典型的な題材で標準的なレベルの入試問題のお手本のような出題傾向なので、1冊の問題集で良いのでしっかりとやり込み人に説明できるぐらい理解することが最も効果的な対策である。

3.2 無機化学
ほぼ毎年大問1題分無機から出題されている。無機の総合的な題材から、アルミニウムに関する問題のように各論まで幅広く出題される。無機化合物の色・状態・性質・製法・反応まで多岐に渡る出題がされており、教科書を逸脱するような内容は問われないが、かなり細かい知識まで問われることがあるため、教科書の記載には隅々まで目を通しておきたいところである。問われ方が多岐に渡るため、無機化合物について知識の整理をしておくような対策が求められる。

3.3 有機化学
反応経路図か構造推定のどちらかからの出題が多い。反応経路図は教科書に登場するレベルのよく見かけるものが多い。油脂について出題があったこともあるが、教科書の穴埋めのような問題であった。有機化合物についても。製法・性質・名称・反応について整理しておくと良いだろう。無機同様に教科書記載の知識の整理をしておくことが最も効果的な対策である。

3.4 高分子
ここ数年高分子が大問で問われることは少なかったが、2016年に少しまとまった形で出題がなされた。有名高分子の原料と共重合体の計算問題が出題された。新課程に移行後、他大学でも出題が増えているので、今後は出題が増える可能性がある。PETや6,6-ナイロン、6-ナイロン、ビニロンなどのよく出る典型的な高分子については、名称、原料、構造式、製法などは最低でも覚えておきたい。共重合体の計算など高分子には特有の計算の流れがあるので、計算の手順を予め整理しておき、計算に時間がかかりすぎないように準備しておきたい。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 教科書内容の振り返り

教科書を用意し、1章ずつ読み込む。入試問題は、原則として教科書から出題される。中には教科書から文章をそのままを抜き出したのではないかという問題さえも登場する。特に各教科書の参考・発展・コラム・実験などは、入試問題の題材となりやすく、出題頻度も高い。杏林大では、教科書の内容を穴埋め問題にしたり、選択問題にしたものが多いので、教科書主体とした学習はとても有効である。教科書の章末や例題などの解法も参考になるような問題も多いので、自分で説明できるぐらい理解しておきたいところである。

ただし、教科書の表現は初学者には少し難しいこともあるので、Step.1では全てを理解する必要はない。この段階では、各教科書の発展やコラムには触れなくてもかまわない。ざっとどんなことが書かれているか整理していこう。読んでもすぐには理解できないという人は、下記の紹介されている参考書などを教科書の対応する箇所を合わせて読み込むと良い。また、実験装置や沈殿の色など目で見た方が記憶に残りやすいので、資料集も一冊用意しておこう。得た知識をどう使っていくのかについては、下記の問題集を利用して確認していこう。

○参考書

『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学1-』(東進ブックス)

『岡野の化学が初歩から身につく-無機化学+有機化学1-』(東進ブックス)

『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学2+有機化学2-』(東進ブックス)

『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)

○問題集

『セミナー化学』(第一学習社)

『リードα』(数研出版)

■Step.2 知識の補強

Step.1で全体像を掴めたら、知識の補充を進めていこう。入試化学では、知識6割計算4割ぐらいの割合で出題されるので、バランス良く鍛えていく必要があるが、まず先に知識を補強する。特に無機・有機では多くの情報が登場するため、知識を身につけるだけでなく、ポイントを絞って整理しておくことも大事である。以下に各単元の注意すべきポイントとオススメの参考書について記載する。

◯理論化学
物質の成り立ちから物質の状態、化学反応の基礎理論まで問われる大学入試化学の中核をなす単元である。計算問題の解き方ばかり目が向きがちであるが、なぜそのような式が立式できるかという現象のしくみを根本から理解していくことが重要である。そのためには、物質の構造や構成だったり、現象のしくみだったりを自分で説明できるようになることが重要である。

『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

◯無機化学
物質ごとの各論について問われる単元である。一般的には暗記単元とみられているが、化学反応が起こるしくみとなるのは、酸塩基・酸化還元・化学平衡などの基礎理論である。やみくもに暗記をするのではなく、上記の基礎理論とともに整理しながら覚えるようにすることが重要である。杏林大学では、色・におい・状態・性質など多岐にわたって出題されるので、自分で整理してまとめておくと効果的な対策になる。

『福間の無機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

◯有機化学
炭素骨格を持つ化合物についての単元である。無機同様に暗記が主体になる単元とみられているが、最も異なるのは異性体の存在にある。パズル的な理解が必要であるため、実際に手を使って書いてみることが重要である。杏林大学では反応経路図がよく出題されるので、教科書に載っているものを自力で再現できるかどうか練習してみると良いだろう。

『鎌田の有機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

■Step.3 解法パターンの習得と計算力の増強

Step.3では、入試問題の4割を占める計算問題の解法の習得に向けて学習を進めていく。杏林大学の入試問題は、試験時間が短いため、計算問題をいかに効率良く解いていくかは合否を分ける。下記の問題集や参考書を使い、標準的な計算問題の解法を身につけていく。計算問題を早く正確に解く計算力も必要とされるため、オススメの計算問題集も下記に記載しておく。単位換算が苦手な人は、入試問題に入った時に思わぬ場所で躓かぬようにこの段階で克服しておこう。

『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

『基礎問題精講』(旺文社)

『ゼロから始める化学計算問題』(中経出版)
(ドリル形式になっているので、苦手な人はこちらを使って練習すると良い)

『化学計算問題の徹底整理』(数研出版)
(入試レベルの計算問題に取り組みたい人はこちらの問題集で練習すると良い)

■Step.4 定番問題の習得

ここからは実際の大学入試問題を使って、定番の問題の解法を押さえていく。杏林大学では、入試のオーソドックスな問題から出題されることが多いので、多くの問題集に手を出すよりは1冊しっかりと解き方が自分で説明できるようになるまで落とし込むことが大事である。また、試験時間も短いので、手早く解くための工夫も忘れないようにしよう。

○問題集

『化学重要問題集』(数研出版)

『化学の良問問題集』(旺文社)

○参考書

『化学の新研究』(三省堂)

■Step.5 過去問演習

Step.1-4をクリアしたら過去問演習に入ろう。

『杏林大学(医学部)』(教学社)

本Stepでは下記のように過去問演習を進め、現時点での自分の学力を自己分析しよう。時間を計って解き、解き切れなかった問題は時間を計らずに最後まで解く。採点後、解説を読み、解き方を理解する。自分には何が足らなかったのか自己分析を行う。自己分析を元に基礎の補強(Step.4)を行い、次年度に進む。

過去問をある程度進めたら、Step.4の自己分析を元に、同時並行で弱点補強を進めていこう。受験本番が近づいてくると赤本や難しい問題ばかりに手を出したくなるが、大事なのは難しい問題が理解できることではなく、合格点を取ること。忘れていた知識を整理したり、計算のスピードや正確性を磨くことが意外と合格への近道だったりする。ちょっとした問題に足元をすくわれないようにしっかりと足場を固めよう。

(参考)
杏林大学|各学部・研究科ごとの学位授与、カリキュラム、入学生受入れの方針
杏林大学|奨学金