目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の振り返り
    2. 知識の補強
    3. 解法パターンの習得と計算力の増強
    4. 定番問題の習得
    5. 過去問・模擬試験を用いた演習

1. はじめに

京都府立医科大学は公立の単科大学である。学力、論理的思考力が一般入試の評価ポイントである。言い換えれば、問われるのは「教科書の知識を使いこなせるか」である。化学の問題レベルは高めで、教科書の知識をベースとして応用力を問う問題、初見の未知の知識を使いこなす力が試される問題も出題される。これら難問をがんばって解くのもよいが、取れるところを確実に取っていくのが最優先である。問題の取捨選択も重要なポイントになる。この記事では京都府立医科大学化学の入試問題から、傾向や特徴、勉強法、対策、おすすめの参考書について解説していく。

京都府立医科大学の入学者選抜の方針より引用します:

高等学校等で学習する全ての教科が医学科教育の土台になるため、各教科において基礎学力 を幅広く身につけておくこと。 その中でも、数学・理科、および国際公用語となっている英語の基礎学力は必須である。さらに、人との交流が基盤となる医療と医学研究の場では国語力が重要である。 入学試験では、一般入学試験と推薦入学試験を実施しており、筆記試験によって学力および論理的思考力などを評価し、面接では医学・医療への志や意欲を評価する。

(出典:京都府立医科大学|入試案内|アドミッションポリシー|医学科

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2. 概要

2.1 試験日

(前期)
2月25日 1限:理科、2限:数学、3限:英語
2月26日 面接

2.2 試験範囲・試験時間

(試験範囲)
『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。
(試験時間)
150分で2科目

2.3 配点

(前期日程)
医学部 医学科: 200点(合計600点)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)

大問3題が出題される。近年では理論もしくは理論+無機の形で2題、有機もしくは有機+高分子の形で1題出題されている。問題文が長く、分野複合的な問題が多い。また、高校範囲の知識を応用する問題や、未知の反応を利用する問題も多い。したがって、全体的に難易度は高い。理科2科目で計150分の試験となるので、150分で解く練習をしておこう。1科目75分とすると、大問1つを20分強が目安である。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 理論化学

例年大問2題弱出題されている。近年では、複数槽の電気分解、溶解度積、ギ酸合成時の気液平衡、電解精錬、水銀柱の変化、ラウールの法則、酸化還元滴定によるアスコルビン酸の定量、シュウ酸カルシウムの熱分解、混合気体の燃焼と蒸気圧、反応速度などが出題されている。問題文が長く、未知の内容であることが多いので、かなり難しく感じられるかもしれない。しかし、物質が変わっているだけで基本的には定型問題の発展版である。理論化学のどの分野も漏れが無いように学習を進めておきたい。無機化学との複合問題として大問が構成されることが多い。

3.2 無機化学

理論化学の大問と複合して、大問0.5題程度の出題がある。近年では、鉄の酸化物、金・銀・銅の性質、金属イオンの分離、水銀の性質、カルシウム塩の特徴、オゾンと酸素が出題されている。未知の錯イオンのイオン式を書かせる問題も過去に出題されているが、まずは各金属の特徴、錯イオンの命名について教科書内容をしっかりと理解しておこう。理論化学との複合問題がほとんどなので、そういう問題で演習して、慣れておきたい。反応式を覚えて書けるだけではなく、酸化数から自分で組み立てられるようにしておきたい。

3.3 有機化学

有機単独もしくは高分子と併せて、大問1題が出題されている。近年では、エステルの構造推定(構造決定)、油脂の構造推定(構造決定)、エステル・アミドの構造推定(構造決定)、溶媒抽出による分離、イミンとヘミアミナール、クメン法、イミドなどが出題されている。与えられた未知の反応を用いた構造推定(構造決定)が出題されるなど、未知の内容が出題されやすい。よく読めば理解できるが、あまりにも難しいようなら早めにとばすのも戦略である。構造推定(構造決定)を中心に演習し、取れるところを確実に取っていきたい。

3.4 高分子

出題の際は有機化学と併せて大問1題となる。近年では、ペプチドの推定、ジスルフィド結合の生成、糖の還元性、酵素反応を利用したチロシン誘導体の構造推定、ポリペプチドの合成が出題されている。天然有機、天然高分子の出題が多いが、合成高分子も出題されていないわけではない。内容には未習の部分が多いかもしれないが、基本的な内容は教科書に書いてある内容なので、まずは教科書内容を確実に押さえていこう。ペプチドの問題は新演習を使って解きなれておきたい。

4. 勉強法とおすすめ参考書の紹介

4.1 教科書内容の振り返り

教科書を用意し、一章ずつ読み込む。入試問題は、原則として教科書から出題される。特に各教科書の参考・発展・コラム・実験などは、入試問題の格好の材料になり、出題頻度も高い。京都府立医科大学では、教科書内容を応用する内容が多い。教科書の知識をどう使いこなせるかがポイントとなる。とはいえ、まずは教科書に記載されている内容をしっかりと理解するのが先決である。基礎的な知識がなくては応用はできない。

ただし、教科書の表現は初学者には少し難しいこともあるので、4.1では全てを理解する必要はない。この段階では、各教科書の発展やコラムには触れなくても良い。ざっとどんなことが書かれているか整理していくと良い。読んでもすぐには理解出来ないという人は、下記の紹介されている参考書などを教科書の対応する箇所を合わせて読み込むと良い。また、実験装置や沈殿の色など目で見た方が記憶に残りやすいので、資料集も一冊用意しておくと良い。得た知識をどう使っていくのかについては下記の問題集を利用して、確認していくと良い。

○参考書
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-無機化学+有機化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学2+有機化学2-』(東進ブックス)
『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)

○問題集
『セミナー化学』(第一学習社)
『リードα』(数研出版)

4.2 知識の補強

教科書の読解と対応する傍用問題集による演習を一通り行ったら、足りない知識を補強して行こう。模試や問題集で出会う難しい問題を見ると、もっと難しい問題を演習しないとと思うかもしれない、化学の学習では難問の理解よりも「満遍なく知識を身に付ける」ことの方が大事である。問題集を解き進める中で、覚えていなかったり忘れてしまったりして解けなかった問題もたくさんあるはずだろう。こういった知識問題を解きっぱなしにせずに、自分のノートに整理してまとめて、定期的に思い出せるように工夫して学習したい。

『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『福間の無機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『福間の無機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『鎌田の有機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『鎌田の有機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

4.3 解法パターンの習得と計算力の増強

4.3では、計算問題の解法の習得に向けて学習を進めていく。京都府立医科大学で出題される計算問題はやや複雑な程度である。問題文をいかに素早く、的確に読んでいくかが重要なので、計算自体にそれほどの時間をかけられない。素早く、丁寧に計算できるようにしていきたい。下記の問題集や参考書を使い、標準的な計算問題の解法を身に付けていこう。
『化学〔化学基礎・化学〕基礎問題精講 三訂版』(旺文社)
『ゼロから始める化学計算問題』(中経出版)・・・ドリル形式になっているので、苦手な人はこちらを使って練習すると良い。
『化学計算問題の徹底整理』(数研出版)・・・入試レベルの計算問題が良いという場合は、こちらの問題集で練習すると良い。

4.4 定番問題の習得

ここからは実際の大学入試問題を使って、定番の問題の解法を押さえていく。京都府立医科大学では、典型的な問題をさらに発展した形で出題がなされるが、ベースは典型問題である。これを十全に解けないのであればより難しい問題は解けない。まずは典型問題に対する理解を深めていこう。ペプチドの推定は化学の新演習を用いて解きなれておきたい。
『実戦 化学重要問題集 – 化学基礎・化学』(数研出版)

『化学の良問問題集』(旺文社)

『化学〔化学基礎・化学〕標準問題精講』(旺文社)

『化学の新演習』(三省堂)

○参考書
『化学の新研究』(三省堂)

4.5 過去問演習

4.1-4.4をクリアしたら過去問演習に入りましょう。
『京都府立医科大学』(教学社)
本Stepでは以下の手順に沿って演習・復習に取り組めば、ただ普通に過去問を解くということをするよりも数段効果的であるのでぜひ参考にしてほしい:
1. まずは制限時間内で解いてみる。
2. 制限時間が終了した段階でここまでの出来を採点する。
3. 時間が足りずに解ききれなかった問題を、時間無制限で取り組み、答え合わせを行う
4. 自分に足りなかったポイントを列挙する。知識問題で間違えたなら今まで学習した項目のどの部分が抜けていたのか。考察問題で間違えたならどういった視点が足りないのか。時間があれば解けるもののスピードが足りないならどの部分の理解と練習が足りないのかといった観点を大事にしよう。
5. 4.4に戻り、該当単元の演習を再度行った上で、周辺分野の知識をすべて整理する。
過去問をある程度進めたら、4.4の自己分析を元に、同時並行で弱点補強を進めよう。直前期は基礎的な内容に取り組むよりも難しい問題ばかりに手を出したくなるが、大事なことは合格点を取ることである。忘れていた知識を整理したり、計算のスピードや正確性の鍛錬の方がはるかに合格への近道と言えよう。ちょっとした問題に足元をすくわれないようにしっかりと足場を固めたい。
過去問を解き終えたら、京都府立医科大学のさらに昔の問題にさかのぼってみるのもよい。余力があれば、京都府立医科大学と同様に、長文で未知の内容も出題される京大、東大の過去問を解いてみるのもいいだろう。

(参考)
京都府立医科大学|入試案内|アドミッションポリシー|医学科