目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
    1. 評論
    2. 随筆
    3. 小説
    4. 近代文語文
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 土台を固めよう
    2. 問題を解いてみよう
    3. 記述力の養成
    4. 過去問・模試による演習

1. はじめに

京都大学の現代文は全国でも最難関とされています。その理由として、記述量の多さが挙げられます。現代文全体で小問1問あたり75~150字が8~10題、およそ1000文字もの量になります。私立大学より記述量が多い国公立大学の現代文の記述問題でも、小問1問あたり50~75字×8~10題程度が多いので、その記述量の多さがわかっていただけると思います。その上で、筆者が本当に言いたいことは何かを正しく読み取り、自分なりの言葉で表現する力が求められます。京都大学の現代文が最難関と言われる理由をわかっていただけたでしょうか。
ここで、京都大学が求める学生像を見てみましょう。京都大学はアドミッションポリシーで、

対話を根幹とした自学自習

(引用:京都大学|京都大学入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

を掲げています。対話をする上で、相手が伝えたいことを理解する力は重要ですよね。また、相手に自分が言いたいことが伝わるように表現する力も同じように必要ですね。だからこそ、京都大学は受験生全員に、高い読解力を求めてくるのです。

mtp-ec
苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
人気記事

2. 概要

2.1. 試験日

2月25日
1限:国語
2限:数学

2月26日
1限:外国語
2限:地理歴史 or 理科

2.2. 試験範囲・試験時間・解答形式

(試験範囲)
国語総合・現代文B・古典B

(試験時間)
文系:120分
理系:90分

(解答形式)
いずれの日程も、全問記述式です。

2.3. 配点

教育学部(文系) 200点
医学部人間健康科学科・薬学部・工学部・農学部 100点
上記以外 150点

2.4.出題の傾向と特徴(概要)

現代文は大問2題。2007年度より、文理別に問題が出題されるようになりました。一問目は文理共通で、小問は5題(理系は4題)が多いです。2問目の小問は文系で5題、理系は3題程度出題されます。理系は試験時間が文系よりも短いので、問題数も少なくなっていますが、難易度は大きく異なりません。
大問1題あたりの時間は、文系で40分、理系で30分程度です。記述量が多いこともあり、時間設定は厳しいものになっています。日頃から時間を意識して勉強に取り組んでください。

出題される文章は、評論と随筆が出題されるケースが多いですが、大問2にて小説が出題されるケースもあります。かつては近代文語文と呼ばれる特徴的な文章も出題されていましたが、今はそういうこともありません。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 評論

過去には、比較的古い文章から好んで出題されていた時期もありましたが、近年は最近の学者の文章も多く、幅広い年代の文章が取り上げられています。ジャンルに関しても、哲学・近代論・文学論など、万遍なく出題されています。幅広い知識を身につけるようにしましょう。その一方、文章や動作において、「本当に表現したいこと」の表現・伝達方法について書かれた文章が好んで出題されています。日頃から、「どのようにしたら自分の真意をうまく相手に伝えられるだろう」といった問題意識を持っておくといいでしょう。

文量は、B5判で2~3ページと、特に長いというわけではありません。理系の問題は文系より短くなる場合が多いです。また難易度も、センター試験で出題される評論の内容が理解できれば、概ね読めるものとなっています。ただし、読めるからと言って解けるというわけではなく、比喩表現が多用されていたり、説明が必要最小限の量しかない場合がほとんどのため、自分で意味を補いながら読み進める必要があります。受験生はその語彙力と読解力を駆使し、文章内外に隠れている筆者の真意を正確に把握し、それを答案用紙に表現していかなければならないわけです。

問題の多くは、傍線部の内容説明か理由説明の問題です。通常、このような問いには、読解テクニックを駆使して文章内の該当箇所を探し出し、それを答案に書くことで解いていきます。しかし、見てきたように本大学の問題は、一筋縄ではいかないものとなっています。テクニックに頼った解き方では、文章全体で言っていることはわかるのに、答案に何をどう書けばいいのかがわからないという、非常にもやもやした状態になってしまいます。結局のところ、国語力の土台となる語彙力の強化や背景知識の習得を地道に行っていくことが、高得点への一番の近道になるのです。

3.2 随筆

特徴は、上記の評論と概ね同様となっています。ただし、随筆は評論文と同じような読み方では不十分な場合があります。随筆とは、筆者の体験などを基にして思想を書き連ねた文章です。そのため、評論に比べて、比喩表現や論理の飛躍を多用しているケースが多く、文章の見た目以上に読解には苦労します。また、筆者の境遇を背景知識として文章を読まないと正確に理解できない場合もあります。いろいろのことを考慮に入れながら文章を読み進めなければならないので、単語一つ一つに至るまで目を配り、筆者の意図を汲み取るような意識で文章を読み進めましょう。評論を読む際に比べて、一文一文を丁寧に読む意識が重要です。

3.3 小説

かつては出題されなかった時期がありましたが、近年では少ないですが、出題はされるようになったので、しっかりと準備しておくようにしましょう。かつて文語文が多く出題されていた名残からか、歴史的仮名遣いで書かれた小説が多いので、練習し慣れておきましょう。また、2006年度入試では、「吝嗇(りんしょく)」という、普段見慣れない単語が含まれた文章からの出題があったように、小説ではあるものの高い語彙力も求められます。余裕があれば、文学作品に目を通し、言葉遣いや単語に慣れておくのも必要かと思います。

問題は、小説問題としては一般的である、登場人物の心情表現を問う問題が中心となります。登場人物の行為や発言内容、状況描写などを細かく押さえ、そこから登場人物の心情を正確に読み取っていきましょう。演習問題に取り組むことで、練習を行うことは出来ますが、時間があれば小説を読んでください。そもそも「ある状況下では人はどのように感じるのか」を知っていないと正確に読めません。小説の中には登場人物の心境変化が多く起こるので、それをイメージしながら読むことで、登場人物の心情をより細かく理解出来るようになります。勉強の合間の息抜きの時間などに読んでみてください。

3.4 近代文語文

2002年度以来出題がないため、注意しておく程度にとどめておいて問題ないです。過去出題されていたものは、明治時代に書かれた文章からの出典が多くなっています。その中でも漢文訓読体で書かれた文章が多く選ばれています。漢文訓読体とは漢文の書き下し文と同じ文体のことです。問題は現代文と同じような記述型での出題となっていますので、いかにこの文体で書かれた文章に慣れているかが肝になります。センター試験の漢文を勉強する際に、文法知識を定着させ、過去問にて慣れておくようにしましょう。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

それでは、ここから勉強法に移ります。これから4段階で勉強法をまとめていきます。それに沿って勉強をしてみてください。ただし、注意点があります。各段階で求められる力には少なくない差があります。問題集が終わったからといって、闇雲に次の段階へ進んでしまうと全然解けないと言うことが起こります。そんな時は、躊躇せず前の段階に戻ってください。よくわからないまま演習をこなしても国語力は伸びません。自分の実力と相談し、各段階間の往復を繰り返しながら勉強を進めてください。

4.1 土台を固めよう

京都大学の現代文が最難関であればこそ、基礎の確立を怠ってはいけません。現代文で言うところの基礎力は、二つに大別されます。「読解法テクニック」と「語彙力・背景知識」です。この二つが合わさって初めて、文章を正確に読めるようになります。まずは土台を固めましょう。

4.1.1 読解テクニック
まずは、読解テクニックに関して見ていきましょう。これ関しては、皆さんにもなじみがあるかと思います。これを解説している参考書の中には、テクニックの解説を重視している解説書タイプのものと、問題を解く中でテクニックを身につけさせる問題集タイプのものがあります。基本的には、自分に合う参考書を探し、しっかりと読み込んでいけば問題ありません。

以下、おすすめの参考書になります。参考にしてみてください。

『田村のやさしく語る現代文』(代々木ライブラリー)

『船口のゼロから読み解く最強の現代文』(学研教育出版)

『きめる!センター国語 現代文』(学研教育出版)
※センター現代文と銘打っていますが、その中で解説されている読解法は京都大学の二次試験にも十分対応できるものとなっています。

『出口汪 現代文講義の実況中継⑴~⑶』(語学春秋社)

4.1.2 語彙力・背景知識
語彙力とは

「どれだけ多くの種類の単語を知っているかという力。ある言語においてどれだけ豊富な語彙を把握しているかという指標。」

(引用:実用日本語表現辞典
とされています。つまり、知っている(意味を説明できる)単語数を増やすことが語彙力の強化につながります。そのため、日頃からわからない単語があれば意味を調べることを習慣化しておけば、語彙力の強化が図れます。漢字の学習の際に意味も一緒に覚えてしまうことも効率的です。

背景知識は、評論文でよく出題される分野・テーマについての知識になります。読解テクニックに比べ派手さがないため、後回しにされがちですが、馬鹿にできません。例えば、「野球」に関する文章があったとします。この文章を、野球に詳しい人が読んだ場合と、野球のことを全く知らない人が読んだ場合を想像してみてください。前者と後者では、前者の方がより簡単に内容を理解できるのではないでしょうか。現代文においても同じことが言えます。簡単に読める文章を増やしちゃおう、というのが背景知識の強化になります。勘違いしないでほしいのは、どのテーマについても深く知らなければならないというわけではないということ。その分野・テーマについての概要やポイント、一般的な議論の方向性を押さえ、それらの知識を問題演習の中で固めていくイメージで取り組んでください。

以下に、お薦めの参考書を掲載しておきます。

『入試漢字マスター1800+』(河合出版)
『生きる漢字・語彙力』(駿台文庫)
『頻出入試漢字コア2800(桐原書店)』

『現代文キーワード読解』(Z会出版)

『ことばはちからダ!現代文キーワード』(河合出版)

『読解を深める現代文単語』(桐原書店)

また、テーマごとに具体的にどのような議論が行われているかを知る上で以下の参考書もお薦めします。

ちくま評論選(ちくま書房)

『現代文テーマ別頻出課題文集―入試までに必ず読んでおきたい(駿台受験シリーズ)』(駿台文庫)

上記の2冊については、勉強の合間などの息抜きの際に読んでみてください。テーマについて理解が深まることもさることながら、ものの見方・考え方が広がります。また、学校指定の教科書もいい文章が集められています。定期考テストのためだけに読むだけではもったいないので、もう一度目を通すことをおすすめします。

語彙量・背景知識に関しては参考書を一周すればそれでいい、という類いのものではありません。次の段階では、いよいよ問題演習取り組みますが、そこにおいても、わからない単語があれば調べ、文章の内容をしっかりと理解することを念頭において取り組んでください。

4.2 問題を解いてみよう

読解テクニックを学習した後は、演習をこなしていくことになります。最終的には高い記述力を求められますが、いきなり記述をすることはなかなか難しいものです。そこで、まずは選択問題を中心に問題を解き、読解力を鍛えていきましょう。ここで注意してほしいのは、「選択肢の落とし方」の勉強に終わってしまわないようにすること。目的は京都大学の記述問題を解けるようになることだということを意識し、自分の本当の国語力を鍛えることを意識して取り組んでください。しっかりとした読み方が出来るようになれば、センター現代文も解けるようになります。ここで、センター試験で8割を取れる力を身につけましょう。

以下にお薦めの問題集を載せておきます。

『入試現代文へのアクセス 基本編』(河合出版)

入試現代文へのアクセス 発展編(河合出版)

『現代文読解力の開発講座』(駿台文庫)

板野博行のターゲット現代文シリーズ(旺文社)
板野博行のターゲット現代文1(旺文社)
板野博行のターゲット現代文2(旺文社)
板野博行のターゲット現代文3(旺文社)

現代文 入試精選問題集7(河合出版)

大学入試問題選 現代文 中堅私立大学レベル(マーク式+記述式)(日栄社)

以上の問題集の内、解答・解説が自分に合うものを選んでやってください。行う際は、「復習」を大事にしてください。読解テクニックを踏まえ、解答までのプロセスを身につけてください。その上で語彙力・背景知識の強化も念頭に置いて取り組みましょう。おすすめなのは、要約。要約するためには、出された文章を自分で整理する必要があるため、文構造の把握が出来ていないと正確な要約が出来ません。また、記述問題の練習にもなります。上記であげた問題集の中には、100字要約など、要約されたものが解説の中に記載されているものがありますので、自分で書いてみた要約を見比べてみて、自分が本当にその文章を読めているかを測る指針としてみてください。また、これらの問題集は2周以上行うことで、文章の理解を確かなものにすることが出来ます。問題集で読んだ文章の理解に少しでも不安がある場合には、繰り返し解いて自分のものにしてください。

4.3 記述力の養成

語彙力・背景知識の強化を図りつつ、4.2での演習を終えれば、いよいよ記述問題の演習に移ります。記述問題になったとしても、解き方は今までの大きく変わりませんので、気負わずにチャレンジしましょう。なお、京都大学の問題では豊かな表現力も必要とされます。文章中から抜き出して・文章中の言葉を使って問題を解くケースも多いと思いますが、その際にも自分の表現力を鍛えることを意識してください。自分で書いた表現が正しいかどうか、学校の先生などに確認してもらうのも一つの手になります。
以下、おすすめの問題集になります。比較的解説が充実しているものを選んでいます。誤答例が記載されているものや、採点基準を明確化しているものもありますので、自分にとって使いやすいものを選んで取り組んでください。また、ここでも「復習」が大切です。自分で書いた答案を丁寧に添削する作業で、内容の整理・理解が進みます。復習に際しては、問題に取り組むときと同じかそれ以上に丁寧に取り組むようにしてください。

『入試現代文のアクセス 完成編』(河合出版)

減点されない記述現代文(学研教育出版)

得点奪取現代文 記述論述対策(河合出版)

上級現代文Ⅰ・Ⅱシリーズ(桐原書店)
上級現代文Ⅰ(桐原書店)
上級現代文Ⅱ(桐原書店)

『現代文と格闘する』(河合出版)

これらの問題集に関しても、文章を自分のものにするために2周以上解くことをおすすめします。ここでも、語彙力・背景知識の強化を怠らないようにしましょう。

4.4 過去問・模試による演習

ここまで来れば、かなりの国語力が身についているかと思います。後は、過去問・京大模試を通じて京都大学の試験で求められるレベルの表現力を養い、練習を重ねていきましょう。
定番の赤本・青本の他に、『京大の国語25カ年』(教学社)も有益です。基本的には直近5~10年程度解いていれば問題ありませんが、近代文語文の文章に慣れるために古い問題にもチャレンジしてください。
模試の過去問としては『京都大学への国語』(駿台文庫)、『入試攻略問題集 京都大学 国語』(河合出版)が挙げられます。過去問で演習量は十分ですが、直前期の演習として活用してみるのもありです。

(参考)
京都大学|入試・高大連携|一般入試|学部入学者選抜要項|平成30年度 学部一般入試選抜要(PDF)
京都大学|京都大学入学者の受け入れの方針(アドミッションポリシー)
実用日本語表現辞典