目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の振り返り
    2. 知識の補強
    3. 解法パターンの習得と計算力の増強
    4. 定番問題の習得
    5. 過去問・模擬試験を用いた演習

1. はじめに

九州大学は旧帝大にルーツを持つ国立大学である。化学の問題レベルは標準よりやや高めである。標準的な問題を発展させたレベルの問題が多いので、まずは教科書内容を全体的に理解し、定型問題を解き進めていきたい。

九州大学のアドミッションポリシーより一部引用します:

【理学部】

九州大学理学部は、1939年の創立以来常に中核的な一大拠点として理学の教育・研究に携わっています。理学部では、世界最先端の研究が行われており、21世紀COEに採択された研究分野「統合生命科学」、「機能数理学の構築と展開」やノーベル賞が期待される研究分野が存在します。生物学の進化生物学、生態学、分子生物学、行動生物学、数学の作用素環論、確率論、微分方程式論、地球惑星科学の隕石惑星圏科学、プラズマ圏科学、宇宙天気予報、化学の錯体化学、有機合成化学、触媒化学、物理学の物性理論・物性実験、素粒子・原子核・宇宙物理学、情報科学の計算論的学習理論などは世界的に高い評価を得ています。
 理学部では、4年間を一貫させたカリキュラムに基づき、研究の最前線で活躍する多くの研究者による教育により、高度な課題発見能力と問題解決能力をもち、独創的な思考のできる人材を育成します。

(引用元:九州大学|入試・入学|アドミッションポリシー|理学部

【医学部医学科】

21世紀の医学は、 遺伝子治療や再生医学・医療など重要で魅力あふれる分野が多くあります。医学部医学科においても、 高度先端医療の研究と実施にむけて、 これまでの伝統を基盤にして、 独創性に富んだ国際的視野をもつ医学者の養成を行っています。それと同時に、 臨床の場では診療行為の実力とともに人間味あふれ、 社会性に富んだ医師の育成を目指しています。そのために、 人の生命に興味をもち、 その研究に情熱を燃やし、 積極性と活力をもって医学に取り組むことができる学生を歓迎します。

(出典:九州大学|入試・入学|アドミッションポリシー|医学部医学科

【工学部】

工学部においては、工学の基礎知識に加えて、幅広い教養と倫理観及び国際的視野を併せ持ち、「人類の持続的発展」を究極の基本理念としながら、工業・科学技術を先導し、産業・研究・教育・行政などの分野で社会に貢献できる技術者・教育者などの人材の育成を目的としています。
 そのために、工学部では、上記の基本理念にそって国内のみならずグローバルな視点から工学・科学技術の種々の分野でその発展に貢献したいという強い意欲と適性を持った学生を受け入れます。

(引用元:九州大学|入試・入学|アドミッションポリシー|工学部

以上の内容からわかるように、求められる各学問分野への熱意、意欲が求められる。次いで求められるのは知識を運用する力である。まずは教科書内容を中心に知識を深め、なぜかを正しく理解することで応用する力をつけていきたい。この記事では九州大学化学の入試問題から、傾向や特徴、勉強法、対策、おすすめの参考書について解説していく。

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看護学部を卒業後、医学部受験に挑戦。卒業後わずか1年で合格を勝ち取った「教科書レベル」からの挑戦
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2. 概要

2.1 試験日

(前期)
2月25日 1限:外国語、2限:数学
2月26日 1限:理科、2限:面接(医学部生命科学科のみ)

2.2 試験範囲・試験時間

(試験範囲)
『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』、『地学基礎・地学』の4科目から2科目選択(学科により科目指定あり)。
(試験時間)
150分で2科目

2.3 配点

(前期日程、理科必須学部のみ記載)
理学部、工学部、芸術工学部、歯学部、薬学部: 250点(合計700点)
医学部医学科: 250点(合計700点)
医学部生命科学科: 250点(合計800点)

医学部保健学科
看護学専攻: 100点(合計400点)
放射線技術科学専攻: 250点(合計700点)
検査技術科学専攻: 250点(合計700点)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)

大問5題が出題される。近年では理論+無機から3題、有機から1題、高分子から1題出題されている。有機化学は構造推定(構造決定)が出題されるので、万全の対策をして得点源としたい。その他の分野は満遍なく出題されているので、教科書をしっかりと理解しておこう。理科2科目で計150分の試験となるので、150分で解く練習をしておこう。1科目75分とすると、大問1つを15分弱が目安である。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 理論化学

例年理論+無機で大問3題出題されている。大問が理論化学のみの場合もあれば、無機化学と理論化学が組み合わさっている場合もある。近年では、沸点上昇、凝固点降下、緩衝液、反応速度、二酸化炭素の水への溶解、半減期、気体の分子量測定、イオン化エネルギーと電子親和力、電気分解、酸のpHの算出、酸化還元滴定、メタンの燃焼と蒸気圧が出題されている。分野偏りなく出題されているが、定型問題を少し難しくしたレベルである。教科書問題をしっかり解けるようにした上で、定型問題、過去問と進んでいきたい。反応速度、化学平衡は問われやすいのでしっかりと準備しておきたい。

3.2 無機化学

例年理論+無機で大問3題出題されている。大問が理論化学のみの場合もあれば、無機化学と理論化学が組み合わさっている場合もある。近年では、ニホニウム、イオン結晶の結合距離、ソルベー法、16族元素、鉄の精錬、マンガンの特徴、ドライアイスの単位格子、アンモニアの合成、金属イオンの分離、銅と酸との反応が出題されている。よく出題される内容が出題されている印象である。よく出題されている反応式は必ず書けるようにしておきたい。

3.3 有機化学

例年大問1題が出題されている。近年では、アルケンの構造推定(構造決定)、芳香族の構造推定(構造決定)が出題されている。構造推定(構造決定)の問題自体が難しめかもしれないが、それほど難度が高いわけではない。教科書の有機化学全範囲について基本反応をおさえた上で、典型的な構造推定(構造決定)の問題から解き慣れておこう。重問や良問問題集を最低でも2周はしたい。

3.4 高分子

例年大問1題が出題されている。近年では、アルコール発酵、ペプチドの高次構造、ペプチドの推定、多糖の加水分解、高分子の質量変化、酵素の特徴、トリグリセリド、ナイロン66、セルロース誘導体が出題されている。満遍なく出題されているので、範囲を絞るのではなく、教科書記載内容を自分でしっかりと説明できるように学習しよう。

4. 勉強法とおすすめ参考書の紹介

4.1 教科書内容の振り返り

教科書を用意し、一章ずつ読み込む。入試問題は、原則として教科書から出題される。特に各教科書の参考・発展・コラム・実験などは、入試問題の格好の材料になり、出題頻度も高い。九州大学では典型的な良く問われる問題を少し難しくしたレベルで出題される。まずは教科書内容を自分の言葉で説明できるようにしていきたい。グラフや表の意味を正しく理解していこう。

ただし、教科書の表現は初学者には少し難しいこともあるので、4.1では全てを理解する必要はない。この段階では、各教科書の発展やコラムには触れなくても良い。ざっとどんなことが書かれているか整理していくと良い。読んでもすぐには理解出来ないという人は、下記の紹介されている参考書などを教科書の対応する箇所を合わせて読み込むと良い。また、実験装置や沈殿の色など目で見た方が記憶に残りやすいので、資料集も一冊用意しておくと良い。得た知識をどう使っていくのかについては下記の問題集を利用して、確認していくと良い。

○参考書
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-無機化学+有機化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学2+有機化学2-』(東進ブックス)
『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)

○問題集
『セミナー化学』(第一学習社)
『リードα』(数研出版)

4.2 知識の補強

教科書の読解と対応する傍用問題集による演習を一通り行ったら、足りない知識を補強して行こう。模試や問題集で出会う難しい問題を見ると、もっと難しい問題を演習しないとと思うかもしれない、化学の学習では難問の理解よりも「満遍なく知識を身に付ける」ことの方が大事である。問題集を解き進める中で、覚えていなかったり忘れてしまったりして解けなかった問題もたくさんあるはずだろう。こういった知識問題を解きっぱなしにせずに、自分のノートに整理してまとめて、定期的に思い出せるように工夫して学習したい。

『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

『福間の無機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

『鎌田の有機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

4.3 解法パターンの習得と計算力の増強

4.3では、計算問題の解法の習得に向けて学習を進めていく。九州大学で出題される計算問題は標準程度である。丁寧に、かつ素早く計算できるようにしていこう。下記の問題集や参考書を使い、標準的な計算問題の解法を身に付けていこう。

『化学〔化学基礎・化学〕基礎問題精講 三訂版』(旺文社)

『ゼロから始める化学計算問題』(中経出版)・・・ドリル形式になっているので、苦手な人はこちらを使って練習すると良い。
『化学計算問題の徹底整理』(数研出版)・・・入試レベルの計算問題が良いという場合は、こちらの問題集で練習すると良い。

4.4 定番問題の習得

ここからは実際の大学入試問題を使って、定番の問題の解法を押さえていく。九州大学では典型問題レベルからその応用レベルが出題される。教科書理解をベースに、これらの問題を解きなれておきたい。有機の構造推定(構造決定)は毎年出題があるので、完全に得点源とできるように重問や良問問題集を最低でも2周はしたい。

『実戦 化学重要問題集 – 化学基礎・化学』(数研出版)

『化学の良問問題集』(旺文社)

『化学〔化学基礎・化学〕標準問題精講』(旺文社)

『化学の新演習』(三省堂)

○参考書
『化学の新研究』(三省堂)

4.5 過去問演習

4.1-4.4をクリアしたら過去問演習に入りましょう。
『九州大学(理系)』(教学社)
本Stepでは以下の手順に沿って演習・復習に取り組めば、ただ普通に過去問を解くということをするよりも数段効果的であるのでぜひ参考にしてほしい:
1. まずは制限時間内で解いてみる。
2. 制限時間が終了した段階でここまでの出来を採点する。
3. 時間が足りずに解ききれなかった問題を、時間無制限で取り組み、答え合わせを行う
4. 自分に足りなかったポイントを列挙する。知識問題で間違えたなら今まで学習した項目のどの部分が抜けていたのか。考察問題で間違えたならどういった視点が足りないのか。時間があれば解けるもののスピードが足りないならどの部分の理解と練習が足りないのかといった観点を大事にしよう。
5. Step. 4に戻り、該当単元の演習を再度行った上で、周辺分野の知識をすべて整理する。
過去問をある程度進めたら、Step.4の自己分析を元に、同時並行で弱点補強を進めよう。直前期は基礎的な内容に取り組むよりも難しい問題ばかりに手を出したくなるが、大事なことは合格点を取ることである。忘れていた知識を整理したり、計算のスピードや正確性の鍛錬の方がはるかに合格への近道と言えよう。ちょっとした問題に足元をすくわれないようにしっかりと足場を固めたい。
全て解き終わったら、過去問の2周目に入るか、もう少しレベルの高い大阪大学の問題を解いてみてもいいだろう。

(参考)
九州大学|入試・入学|アドミッションポリシー|理学部
九州大学|入試・入学|アドミッションポリシー|医学部医学科
九州大学|入試・入学|アドミッションポリシー|工学部