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数学の受験勉強とは何を鍛えることを指すのでしょうか?

数学の学習の大原則のひとつは「思考を正すこと」です。問題文を読んだときに思ったこと、浮かんだこと、やろうとしたこと、やったこと。これらすべてが正しい方向に修正されれば、正しく問題に解答できるという至ってシンプルな話です。

これをやるために問題演習をたくさん行うわけですが、そのときに「思考を正そう」と思って取り組んでいなければ、ただ問題を解くだけで、自分の中にノウハウがたまらないことになってしまいます。

そして、もうひとつの大原則は「計算力をつけること」。もちろん小学校で勉強した四則計算から始まり、方程式や不等式、平方根や指数・対数・三角関数、そして極限・微分・積分の計算ができるようになること。これは誰でもわかる計算力の部分です。しかし、これだけではありません。問題を見た瞬間にある程度頭の中で計算を進めて見通しを立てること。高校数学ではこれも計算力のひとつに入ります。

思考力の養成(問題を解く際の思考方針)

思考の正し方は、自分がどのように思考しているかを具体化することから始まります。数学の問題を解くときは、いつでも、以下のように取り組んでください:

・1問につき考えたことをきちんと絵・グラフや文章に起こしてみる。何も浮かばないから何も書かないというのはなし!
・考えたことを日本語の文章として他人に伝えるための「記述答案」にまとめてみる

しかし、見たことある問題でないとすぐに手が止まってしまう方も多いはず。それは自然と類問の型にはめることしかしていないからです。型にはまらないとわかった瞬間、思考の方針を変える必要があります。いくつか代表的なものを紹介します。

1. ゴールから逆算して何を求める必要があるのかを考える

数学の苦手な方に一番足りない視点です。手元でやれることをやって解けるのなら、数学の問題を解くことに論理性は必要ありません。何を求めるのかというゴールから逆算していくことで、はじめの一歩として何をすべきかが見えることがあります

Aを求めるということは、Bがわかれば良いということだ。Bを求めるにはCを計算すればよい。Cを計算するにはまず、Dを変形することだ。

このように考えていくことで、まず答案はDの変形から行なえばいいということが導けます。とにかく問題文を読んで思ったことをかたっぱしからやっている方はぜひ、試してみてください。

2. 実験して得られた具体例から法則を見抜く

莫大な大きさの数字を扱う問題であったり、サイコロをn回投げるという抽象的な設定の問題の場合は、そこにどういった法則があるのかはそのまま眺めているだけでは一向に見えてきません。具体的な数字を代入して実験しながら、どういう法則があるのかを観察・考察してみましょう。

3. 視覚化(図やグラフに起こしてみる)して、図形的な情報として捉え直す

「aを0でない定数とする。すべての実数xに対して2次不等式ax^2+2ax-3+4/a<0が成り立つ」という問題は確かに教科書の練習問題ばかりやっていると見慣れない表現に見えます。しかし、

・問題文の言い換え:「2次不等式ax^2+2ax-3+4/a<0の解がすべての実数となる」ということです。
・図形的情報への変換:左辺をf(x)としてy=f(x)のグラフをxy平面に描けば、グラフは「上に凸」で「x軸の下側にある」ということです。

このように自分で言い換えていくと、見たことのある内容に帰着させることができます。

4. 知識の関連性を考える

最大・最小問題は、関数の挙動と捉えても不等式で表現される値域として考えてもよいものです。関数と捉えれば、微分して増減を調べたり、不等式であれば相加平均と相乗平均の大小関係を利用できます。「微分」や「相加平均と相乗平均の大小関係」はそれぞれ別の単元で学習しますが、最大・最小問題という軸で捉えると、関連知識として結びつきます。

ほかにも様々な軸で知識の相互関連を考えてみましょう。このようにして、ひとつひとつの知識の使い方という部分まで踏み込んでマスターしていきましょう。

もちろんこれだけではありません。角を設定したり、置き換えを利用したり、対称性を利用したり……。リストアップすれば枚挙に暇がありません。

闇雲にただ問題を解くだけでは、こういった視点が全く身につかず、いくつも問題を解いているのに時間だけを浪費する羽目になってしまいます。入試問題を解くというアウトプットを意識できると、自然とこういった目線で数学の勉強を進めることができるようになっていけます。

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看護学部を卒業後、医学部受験に挑戦。卒業後わずか1年で合格を勝ち取った「教科書レベル」からの挑戦
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計算力の養成

結論はただ一つです。毎日30分間、必ず計算だけの時間を確保すること。

思考力以外にひとつ重要なものを挙げるとすれば、「計算力」にほかなりません。しかし、思考力に比べて格段に見過ごされ、過小評価されてしまう項目です。塾や予備校でも、計算に特化した講座やトレーニングは行ってくれないことがほとんど。

「計算は誰でもできる」「解法・解き方のほうが大事」……。決して間違っているとはいいません。しかし、自分に計算力があるかどうかというのはなかなか客観的に判断できないものです。解法さえあっていればあとの計算は間違っていたって大丈夫と思っている方すら見かけます。

私立大学を第一志望にしている人は、きっとマークシート式の試験を受けることになるでしょう。途中過程は評価されず、最後の計算結果で一発勝負。ここで少しでも計算間違いをすれば、計算が遅くて試験が解き終わらなかったら、1年まるごと台なしに……。そういった世界にいることを忘れないでください。

高校数学では、本質を見通す力を含めて「計算力」と呼んでいます。ただ単に四則計算を速く正確に行なうことができればよいというだけではありません。いくつか方針が浮かんだときにどの方針が妥当な選択肢なのかはやはり計算してみないと判断がつかないものです。そのときにある程度先まで計算を見通すことができれば、どの攻め方がよいのかという検討がつくものでしょう。

計算力の強化はもはや本質的な理解と切り離せない考え方であり、必要不可欠なもの。以下で紹介する参考書を用いてしっかり鍛え上げてください。

『合格る計算 数学Ⅰ・A・Ⅱ・B』(文英堂)

『合格る計算 数学Ⅲ』(文英堂)