目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験科目
    2. 試験時間
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
    1. 理論化学
    2. 無機化学
    3. 有機化学・高分子
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の振り返り
    2. 知識の補強
    3. 解法パターンの習得と計算力の増強
    4. 定番問題の習得
    5. 過去問演習

1. はじめに

埼玉医科大学は、1972年に設立された医学単科大学である。

埼玉医科大学のアドミッションポリシーには、以下のような記載がある。

自然科学(物理学、化学、生物学、等)、数学(統計学等)、日本語(語彙、読解力、作文力)、英語(語彙、読解力、作文力:辞書があれば一般的な内容の新聞等を読んで理解できる)に関して基礎的な学力を有する人

(引用元:埼玉医科大学 医学部|アドミッションポリシー

アドミッションポリシーにも書かれているとおり難問奇問の類は少ないため、私立医学部の中では比較的入りやすいレベルというイメージを持たれることが多いだろう。しかし時間がかなりタイトに設定されているので、しっかりとした対策が必要である。

以下より、本学に合格するためのプロセスを解説していく。

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2. 概要

2.1 試験科目
1次試験:
・英語
・数学
・理科(物理・化学・生物から2科目選択)
・小論文

2次試験:
・面接

2.2 試験時間
1次試験
・英語(80分)
・数学(60分)
・理科(100分)※2科目選択
・小論文(基礎学力試験)(60分)

2次試験:
面接

2.3 配点
1次試験:
・英語(150点)
・数学(200点)
・理科(200点[100×2])
・小論文(基礎学力試験)(50点)

2次試験:
・面接(非公表)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
全問マークシート式で、大問4題という構成となっている。毎年大問1は小問集合で、大問2は理論、大問3は無機、大問4は有機・高分子から問題が出題されている。試験時間が1科目50分と少ない上に、問題文も長いので、かなり時間的にタイトな試験である。また、大問1題あたりの設問数が多いので国立大学の形式に近い。医科単科大ということもあり、難易度の高い問題が多い。大問で無機から毎年一題出題されており、医学部の問題としては珍しい。有機からも毎年大問一題出題されているが、高分子との複合問題が多々出題されている。未知の物質や反応を扱っていることも多く、戸惑う受験生も多いだろう。また、埼玉医科大の理科の特徴として、物理・生物共に時間が短い割に時間のかかる問題構成となっているので、とにかく時間が少ない。問題の取捨選択も合格の鍵となるであろう。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 理論化学
ここ数年では、電池と電気分解、気体と化学平衡、電離平衡、反応速度、熱化学方程式あたりが出題されている。まずは小問集合だが、無機との融合問題が多い。知識問題が多いので、ここは手短に問題を解き、残りの大問に時間を回せるようにしたい。大問で登場する問題はいずれも標準的な難易度の問題が多いが、数値計算が多いので計算ミスには十分注意しなければならない。大問1題あたりの設問数が多く、前問の解答を利用することが多い理論分野では、最初の方の問題でミスをすると雪崩のように失点する可能性があるので、注意して欲しい。

3.2 無機化学
医学部の中で珍しく、毎年無機単独の大問が出題されている。気体や沈殿の色、化学物質の性質や反応、計算問題と出題パターンが多岐に渡っている。無機は暗記という学習スタイルだと対応することが難しい。化学結合と分子構造に関する問題も良く出題されているので、理論と無機とのつながりを意識した学習も大事である。選択肢の数が多いのも埼玉医科大の特徴なので、知識量が多い正答率を左右する無機においては正確な知識がないと正答にはたどり着けない。教科書の隅から隅まで目を通し、短期間に暗記するのではなく、時間をかけて整理していかないと難しい。

3.3 有機化学・高分子
有機の問題に関しては、高分子と関連させた複合
問題が出題されることが多い。天然有機からも出題されているが、合成高分子からの出題が比較的多いのも特徴である。スクアレンやカプロラクタムの合成法など教科書には載っていない未知の物質や反応を扱うことが多く、多くの受験生が戸惑うであろう問題が出題されている。見たことのない物質を見ると手が止まってしまう受験生も多いと思うが、設問自体が特別難しいわけではない。解くための知識は、教科書以上の知識が必要な問題は少ない。上位国立の思考力を問うような有機の問題が参考になるであろう。一般的な構造決定も出題されているが、高分子を関連させた問題が多い。高分子の計算問題にも十分慣れておきたい。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 教科書内容の振り返り
教科書を用意し、一章ずつ読み込む。入試問題は、原則として教科書から出題される。中には教科書から文章をそのままを抜き出したのではないかという問題さえも登場する。特に各教科書の参考・発展・コラム・実験などは、入試問題の格好の材料になり、出題頻度も高い。埼玉医科大の特徴は、単純な知識力よりは、いくつかの知識を組み合わせて考えさせるような問題が多いこと、現象を正しく理解しているかを問うような問題が多いことにある。教科書に書かれている内容を自分の言葉で整理するような学習が望ましい。
 ただし、教科書の表現は初学者には少し難しいこともあるので、Step.1では全てを理解する必要はない。この段階では、各教科書の発展やコラムには触れなくても良い。ざっとどんなことが書かれているか整理していくと良い。読んでもすぐには理解出来ないという人は、下記の紹介されている参考書などを教科書の対応する箇所を合わせて読み込むと良い。また、実験装置や沈殿の色など目で見た方が記憶に残りやすいので、資料集も一冊用意しておくと良い。得た知識をどう使っていくのかについては下記の問題集を利用して、確認していくと良い。

○参考書
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-無機化学+有機化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学2+有機化学2-』(東進ブックス)
『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)

○問題集
『セミナー化学』(第一学習社)
『リードα』(数研出版)

■Step.2 知識の補強
埼玉医科大では、分野別に難易度が異なるので対策方法も別途考えていく必要がある。理論分野では標準的な問題が多い。文章が長い問題が多いため、問題文のストーリに乗って解答できるかは重要な要素になってくる。文章の流れがしっかりとつかめるように教科書の流れをまずはつかんで欲しい。無機に関しては知識重視であるため、本Stepで知識整理して身に付けていく。有機・高分子に関してはやや難易度難く応用的な問題が見られるため、問題への運用を念頭に置いて知識を身に付けていく。以下に各単元の注意すべきポイントとオススメの参考書について記載する。

◯理論化学
理論分野では、まず教科書の流れをつかみ、化学現象を自分の言葉で説明できるようになって欲しい。また、無機との混合問題多いので、無機と理論のつながりなども意識して学習して欲しい。

『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

『化学一問一答』(東進books)

◯無機化学
気体や沈殿の色、化学物質の性質や反応、計算問題と出題パターンが多岐に渡っている。沈殿の色が頻出だが、色は暗記以外対処しようがないので時間をかけて覚えること。化学物質の性質や反応は、反応原理を理解し化学反応式を書けるようになると自ずと整理されてくる。理論の延長が無機物質の性質や反応式であると捉えて整理していくと良い。

『福間の無機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

◯有機化学
埼玉医科大では、一般的な構造決定の問題も出題されるが難易度は比較的高い。難易度が高いと言っても教科書に載っている構造や名称、反応を覚えるのはもちろん覚える必要がある。覚えた知識を運用できるように良く出る文章の流れを整理しておきたい。o-キシレンなら酸化して無水物、p-キシレンなら酸化してPETなどはすぐに頭に浮かぶようにすること。高分子からの出題が多いので、高分子につながる単量体に関しては整理しておくと良い。問題の出し方は上位国立に似ているので練習として活用したい。

◯高分子
出題傾向として、天然高分子よりも若干合成高分子の出題比率が高いぐらい。他の医学部と比べると合成高分子の出題比率が高いので、埼玉医科大を受ける場合はしっかりと対策しておく必要がある。未知の物質が出ることも多いが、設問自体が難しいわけではないのでビビる必要はない。暗記が通用するような問題ではないので、有機化学とのつながりをしっかりと理解すること。良く出る高分子の作り方は自分で説明できるようにすること。

『鎌田の有機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

■Step.3 解法パターンの習得と計算力の増強
Step.3では、計算問題の解法の習得に向けて学習を進めていく。埼玉医科大の計算問題は標準からやや難ぐらいの難易度だが、試験時間が短い割に計算分量は多い。そのため、計算問題をいかに速く解いていくかが大事である。学習を進める際に、自ら時間制限を設け、差し迫った中で解答方針素早く立てる訓練が必要である。また、問題を解いた後に効率の良い解法を考えるのも良いトレーニングとなる。一つ一つの計算問題は、それほど難易度が高くないため、難しい問題よりは一行問題レベルでも数をこなし、素早く計算を行う力を身に付けたが良い。下記の問題集や参考書を使い、標準的な計算問題の解法を身に付けていく。

『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

『基礎問題精講』(旺文社)

『ゼロから始める化学計算問題』(中経出版)・・・ドリル形式になっているので、苦手な人はこちらを使って練習すると良い。
『化学計算問題の徹底整理』(数研出版)・・・入試レベルの計算問題が良いという場合は、こちらの問題集で練習すると良い。

■Step.4 定番問題の習得
ここからは実際の大学入試問題を使って、定番の問題の解法を押さえていく。埼玉医科大では、典型的な問題よりもやや難度の高い問題が出題される。解法パターンを覚えるよりも、なぜそのような現象が起こるのか、なぜこの反応は起こるのかと一つ一つ理論を積み重ねていくような国立型の学習スタイルが向いている。理論分野においては典型的で標準的な難易度の問題が多いので、一冊しっかりと問題集を理解しておくような勉強法が効果的である。無機に関しては、知識重視なので問題演習よりは教科書や参考書を使って知識を整理したり、覚えるのに時間を割いた方が良い。有機化学の構造決定に関してはやや難易度の高い問題く、高分子を含むような出題が多いので、国立大学の入試問題から似たような問題を探して解くと良いだろう。

○問題集
『化学重要問題集』(数研出版)

『化学の良問問題集』(旺文社)

○参考書
『化学の新研究』(三省堂)

■Step.5 過去問演習
Step.1-4をクリアしたら過去問演習に入りましょう。
『埼玉医科大学』(教学社)

本Stepでは下記のように過去問演習を進め、現時点での自分の学力を自己分析することを忘れないで下さい。時間を計って解き、解き切れなかった問題は時間を計らずに最後まで解く。採点後、解説を読み、解き方を理解する。自分には何が足らなかったのか自己分析を行う。自己分析を元に基礎の補強(Step.4)を行い、次年度に進む。

過去問をある程度進めたら、自己分析を元に、同時並行で弱点補強を進めましょう。この時期に赤本や難しい問題ばかりに手を出したくなりますが、大事なことは難しい問題が理解できることではなく、合格点を取ることです。忘れていた知識を整理したり、計算のスピードや正確性を磨くことが意外と合格への近道だったりします。ちょっとした問題に足元をすくわれないようにしっかりと足場を固めましょう。

 大問数が少ないが、1つの大問あたりの小問数が多いという傾向に関しては、国立大学と傾向が近い。過去問を全てから国立大学の過去問を演習に活用していくと良い。

(参考)
埼玉医科大学|アドミッションポリシー