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ここでは、物理の「力と運動」について、項目別に学習のポイントをお伝えしていきます。

平面内の運動

この単元では、物理基礎で学習した等加速度直線運動である自由落下や鉛直投げ上げ運動などの1次元の運動を2次元(平面)の運動に考え方を拡張します。そのためにはベクトルの考え方が身についていないといけません。数学で学習したベクトルの考え方をまずは復習しましょう。

1次元の運動では速度の向きはプラスとマイナスで単純に表されましたが、2次元の運動ではベクトルの足し算、引き算になるため、大きさを求めるときには単純に大きさの足し算にはならない、ということを明確に意識しましょう。あとに出てくる運動量保存の法則の単元などでも出てきます。以上のことを理解して、速度、加速度、相対速度の項目を改めて見直しておきましょう。

次に水平投射、斜方投射です。「平面内の運動は、垂直方向と鉛直方向に分けて考える」という大事な考え方を理解しましょう。なぜそのように分けて考えるかというと、重力がはたらく方向である鉛直方向は、それと垂直な水平方向に力を及ぼさないため、水平方向と鉛直方向を独立して考えることができるからです。そして、水平方向は等速運動、鉛直方向は重力による加速度運動(自由落下、鉛直投げ上げ、鉛直投げおろし)となります。

これらの基本を理解したあとは問題演習を繰り返して、問題が解ける形で身につけましょう。

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苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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剛体

物理基礎の力学や前節の平面内の運動では、物体の運動を考える際に物体の大きさを考慮することはありませんでした。しかし、物体の大きさは、物体の「回転」というものに大きく関わってきます。同じ向き、同じ大きさの力を加えても、物体のどこに力を加えるのか(作用点がどこか)によって物体の運動(物体の回転の度合い)が変わってきます。この物体の回転に関わる量が「力のモーメント」です。

考え方は「てこの原理」と同じなので理解するのに苦労はしないでしょう。しかし、物体にかかる力が、物体の回転中心と作用点を結んだ直線と直角でない場合は、力を分解したり、「力を作用線上で平行移動してもその物体に与える効果は変わらない」という作用線の性質を使ったりして適切に処理する必要があります。効率の良い処理の仕方は問題の状況によって異なるので、演習で確認しましょう。

力のモーメントの考え方を理解したら、次は「重心」です。重心という概念が何か、重心を扱うことによる利点などを理解しましょう。その上で重心の位置を導出できるようになりましょう。物体の形状や配置によっては重心が物体の外部にある場合があります。このことに違和感を持つ人がいますが、重心の概念をちゃんと理解していれば何の不思議もありません。

運動量の保存

この単元では、物体の運動を特徴づける物理量である「運動量」と「運動量保存の法則」を理解します。物理基礎で力学的エネルギー保存の法則というものを学習しましたが、力学的エネルギーが成り立たない場合でも運動量保存の法則が成り立つ場合があるなど、物体の運動を考えるときに「運動量」という概念を導入することによって、物体の運動をより深く理解できるようになります。

運動量を理解する第一段階として「力積」という考え方を理解しましょう。さらに、加速度の定義式から、力積が運動量の変化量で表されるということも理解しましょう。この導出は次の運動量保存の法則を理解するうえで非常に大事なので必ず自分で導出できるようにしておいてください。運動量保存の法則を導出する過程で「2物体にはたらく力が作用・反作用の関係にある」ということを用います。これが運動量保存の法則において決定的に重要なことで、実際に問題を解く場合にも2物体にはたらく力が作用・反作用の関係にあるのかを見極めることが重要です。

また、運動量保存の法則が成り立つ場合に物体の衝突があります。この物体の衝突を考えるときに反発係数という概念が導入されます。反発係数の定義は「衝突前後の2物体の相対速度の比の絶対値」です。この定義と、反発係数の値によって運動の様子が衝突前後でどのようになるのかも併せて理解しましょう。

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円運動と万有引力

円運動は加速度が常に速度と垂直は方向にはたらく運動です。「物体にはたらく力を考えて運動方程式を立てる」という大枠は変わりませんが、「角速度」や「周期」という考え方が新しく導入されたり、加速度の大きさが見慣れない形であったりと、これまで学習したものとは異なります。まずは各用語の定義と関係式の導出をしっかりと理解しましょう。

「遠心力」という言葉を聞いたことがあると思います。これは円運動している物体にはたらく「慣性力」です。慣性力というのは加速度運動している観測者から見た、物体にはたらく「見かけの力」です。慣性力は円運動している物体のみで考えるわけではないのですが、円運動の単元で扱うことが多いので、遠心力のイメージをもとに理解するとよいでしょう。また、慣性力は見かけの力なので、「どの観測者から見ているのか」ということが非常に大事になってきます。加速度運動をしている2物体を扱う場合は特に観測者のことを意識しましょう。

円運動についてひと通り理解をしたら、次は単振動の学習に移りましょう。ばねにつながっている物体の運動が代表例で、物体にはたらく力が位置によって異なるため等加速度運動ではありません。単振動は円運動をスクリーン上に射影した運動なので、円運動を基本として理解していくとよいでしょう。

単振動においては、「振幅」「周期」「振動数」「角振動数」が運動を特徴づける物理量で、これらに加えて「振動中心」というものも特に問題を解くうえでは重要になってきます。単振動における変位、速度、加速度がそれぞれ円運動とどのような対応関係にあり、具体的にどのように表されるかを理解しましょう。単振動の加速度がどのように表されるかが分かれば、水平ばね振り子や鉛直ばね振り子など具体的な状況設定に応じて運動方程式がどのように表されるかも確認していきましょう。

また、鉛直ばね振り子についてはつり合いの位置を基準とした力学的エネルギー保存則についても理解しておきましょう。このつり合いの位置を基準とした力学的エネルギー保存則は、問題をなるべく間違いが少なく短時間で解くために必要な考え方です。

そして、単振動を理解したら単振り子まで一緒に理解しておきましょう。単振り子は近似を用いますが、難しいものではないため、教科書の記述を読めば理解できるかと思います。

円運動の単元の総仕上げは「万有引力」です。惑星や衛星の運動は万有引力を向心力とする円運動なので、基本的には万有引力の式の形と円運動の運動方程式を立てることが大きな柱ですが、それに加えてこの単元では万有引力定数と重力加速度の関係やケプラーの3法則など、この単元独自に理解しておく事項があります。また、人工衛星に関する問題では相対速度や運動量保存の法則を用いる場合もありますので、問題演習をこなして様々なパターンに慣れていきましょう。