目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の振り返り
    2. 知識の補強
    3. 解法パターンの習得と計算力の増強
    4. 定番問題の習得
    5. 過去問・模擬試験を用いた演習

1. はじめに

滋賀医科大学は国立の医系単科大学である。化学の試験では典型的な問題に加えて、「グラフを図示せよ」、「反応終了を視覚的にどう判断するか」、「現象を説明せよ」といった問題がしばしば見られる。いずれも正しく理解していないと解くことができないので、差がつきやすいポイントである。差をつけられないような対策が必要となる。

滋賀医科大学の入学者の受入れに関する方針(医学科アドミッション・ポリシー)より引用:

近年、生命科学の分野は著しく進歩し、医学に関する知識量は膨大となり、また新たな学問分野も生まれつつある。一方、医学・医療に対する社会のニーズは多様化し、医学・医療のみならず、生命科学、福祉、国際医療など様々な分野において、有能な人材が求められている。このような状況の中、本学の理念に基づき、医療人に必要な学識・能力・技能を習得する素養を持ち、医学の修得に真摯に、また熱意を持って取り組む、次のような人材を求めている。
1. 医学の修得に必要な幅広い基礎学力と応用力を有する者
2. 十分なコミュニケーション能力を持ち、協調性や他者への思いやりのある者
3. 大いなる好奇心を持って、自ら考え自ら解決する気概のある者
4. 地域医療に深い関心を持ち、特に滋賀県の医療に貢献する意欲を持つ者
5. 国内外における医学・医療研究の実践及び発展のために、生涯を通じて真摯に取り組む者

(引用元:滋賀医科大学|入試情報|医学部 医学科・看護学科|募集要項|平成30年度入学者選抜要項 p.2

以上の内容からわかるように、医学への熱意、意欲が求められる。次いで求められるのは基礎学力と応用力である。教科書の熟読により基礎学力を高め、図や実験内容の理解を通して応用力を育んでいきたい。この記事では滋賀医科大学化学の入試問題から、傾向や特徴、勉強法、対策、おすすめの参考書について解説していく。

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2. 概要

2.1 試験日

(前期のみ)
2月25日 1限:数学、2限:理科
2月26日 1限:外国語、2限:面接(グループ)

2.2 試験範囲・試験時間

(試験範囲)
『物理基礎・物理』、『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。
(試験時間)
150分で2科目

2.3 配点

(前期日程)
医学部 医学科: 200点(合計600点)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)

大問3題が出題されている。理論から大問1題、理論+無機から1題、有機+高分子から1題が出題される。大問が1つもしくは2つの連続した問題となっていることもあれば、小問の集合となっていることもある。説明する問題やグラフを図示する問題が多い。理科2科目で計150分の試験となるので、150分で解く練習をしておこう。1科目75分とすると、大問1つを20分ぐらいで解けると余裕をもって解答できるはずである。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 理論化学

例年大問1.5題程度出題されている。近年では、放射性同位体、電解精錬、浸透圧、アンモニアの平衡、中和滴定、溶解度積、不完全燃焼、沸点上昇、気液平衡、酸化還元滴定、弱酸の電離平衡、緩衝液、二段階滴定、コロイド、溶解度、再結晶、二酸化炭素の水への溶解が出題されている。問題レベルはやや難しめで、理由を説明する、グラフを図示する問題が出題される。これらは差がつく問題なので、しっかりと対策しておきたい。グラフの図示に関しては教科書で出てくるグラフはそもそもどういうグラフなのかをきちんと理解しておこう。

3.2 無機化学

理論化学の問題と組み合わさって大問1題として出題されている。近年では、金属イオンの推定、炭素の同素体、単位格子、二酸化炭素の状態図、トタン、テルミットの反応、硫黄の特徴、塩素と鉄の反応、ハロゲンの特徴などが出題されている。無機範囲に関して教科書を逸脱した問題は出題されていないが、教科書から満遍なく出題される傾向がある。教科書欄外も含めて確認しておこう。

3.3 有機化学

理論化学の問題と組み合わさって大問1題として出題されている。近年では、エステルの構造推定(構造決定)、溶媒抽出を利用した構造推定(構造決定)、オゾン分解、ケト-エノール互変異性、ニトロベンゼンからアニリンの合成が出題されている。溶媒抽出を利用した構造推定は過去5年で2回出題されている。溶媒抽出の実験操作をはじめとして、有機反応の実験操作や手順の意味をおさえていきたい。反応の終了を視覚的にどう判断するかという問題も出題されているが、教科書の図の応用である。教科書を深く、丁寧に読み込み、各現象に対する「なぜ」を正しく理解しておきたい。

3.4 高分子

理論化学の問題と組み合わさって大問1題として出題されている。近年では、タンパク質の高次構造、尿素樹脂の特徴、糖の還元性、ポリビニルアルコールの合成、合成高分子の特徴が出題されている。やはり説明が求められることが多いので、教科書内容については自分で説明できるように対策しておきたい。近年は天然有機、天然高分子の出題の割合が増えてきているようだ。

4. 勉強法とおすすめ参考書の紹介

4.1 教科書内容の振り返り

教科書を用意し、一章ずつ読み込む。入試問題は、原則として教科書から出題される。特に各教科書の参考・発展・コラム・実験などは、入試問題の格好の材料になり、出題頻度も高い。滋賀医科大学の入試問題の特徴として、現象、実験操作の意味、反応終了の見極めについて説明させる問題が多い。これらは受験者間で理解度に大きく違いがあるため、差がつきやすい。教科書に載っている図の意味をしっかりと押さえていきたい。

ただし、教科書の表現は初学者には少し難しいこともあるので、4.1では全てを理解する必要はない。この段階では、各教科書の発展やコラムには触れなくても良い。ざっとどんなことが書かれているか整理していくと良い。読んでもすぐには理解出来ないという人は、下記の紹介されている参考書などを教科書の対応する箇所を合わせて読み込むと良い。また、実験装置や沈殿の色など目で見た方が記憶に残りやすいので、資料集も一冊用意しておくと良い。得た知識をどう使っていくのかについては下記の問題集を利用して、確認していくと良い。

○参考書
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-無機化学+有機化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学2+有機化学2-』(東進ブックス)
『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)

○問題集
『セミナー化学』(第一学習社)
『リードα』(数研出版)

4.2 知識の補強

教科書の読解と対応する傍用問題集による演習を一通り行ったら、足りない知識を補強して行こう。模試や問題集で出会う難しい問題を見ると、もっと難しい問題を演習しないとと思うかもしれない、化学の学習では難問の理解よりも「満遍なく知識を身に付ける」ことの方が大事である。問題集を解き進める中で、覚えていなかったり忘れてしまったりして解けなかった問題もたくさんあるはずだろう。こういった知識問題を解きっぱなしにせずに、自分のノートに整理してまとめて、定期的に思い出せるように工夫して学習したい。
『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『鎌田の理論化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『福間の無機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『福間の無機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『鎌田の有機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)
『鎌田の有機化学の講義』(大学受験Doシリーズ)

4.3 解法パターンの習得と計算力の増強

4.3では、計算問題の解法の習得に向けて学習を進めていく。滋賀医科大学で出題される計算問題はやや複雑な程度である、スピーディーに計算できるようにしていきたい。素早く、丁寧に計算できるようにしていきたい。下記の問題集や参考書を使い、標準的な計算問題の解法を身に付けていこう。
『化学〔化学基礎・化学〕基礎問題精講 三訂版』(旺文社)
『ゼロから始める化学計算問題』(中経出版)・・・ドリル形式になっているので、苦手な人はこちらを使って練習すると良い。
『化学計算問題の徹底整理』(数研出版)・・・入試レベルの計算問題が良いという場合は、こちらの問題集で練習すると良い。

4.4 定番問題の習得

ここからは実際の大学入試問題を使って、定番の問題の解法を押さえていく。滋賀医科大学では、典型問題より少し難しいレベルで出題される。典型問題を素早く解けるようにしておこう。説明問題が多いので、以下の問題集の説明に関する問題で解きなれておきたい。

『実戦 化学重要問題集 – 化学基礎・化学』(数研出版)

『化学の良問問題集』(旺文社)

『化学〔化学基礎・化学〕標準問題精講』(旺文社)

『化学の新演習』(三省堂)

○参考書
『化学の新研究』(三省堂)

4.5 過去問演習

4.1-4.4をクリアしたら過去問演習に入りましょう。
『滋賀医科大学』(教学社)
本Stepでは以下の手順に沿って演習・復習に取り組めば、ただ普通に過去問を解くということをするよりも数段効果的であるのでぜひ参考にしてほしい:
1. まずは制限時間内で解いてみる。
2. 制限時間が終了した段階でここまでの出来を採点する。
3. 時間が足りずに解ききれなかった問題を、時間無制限で取り組み、答え合わせを行う
4. 自分に足りなかったポイントを列挙する。知識問題で間違えたなら今まで学習した項目のどの部分が抜けていたのか。考察問題で間違えたならどういった視点が足りないのか。時間があれば解けるもののスピードが足りないならどの部分の理解と練習が足りないのかといった観点を大事にしよう。
5. Step. 4に戻り、該当単元の演習を再度行った上で、周辺分野の知識をすべて整理する。
過去問をある程度進めたら、Step.4の自己分析を元に、同時並行で弱点補強を進めよう。直前期は基礎的な内容に取り組むよりも難しい問題ばかりに手を出したくなるが、大事なことは合格点を取ることである。忘れていた知識を整理したり、計算のスピードや正確性の鍛錬の方がはるかに合格への近道と言えよう。ちょっとした問題に足元をすくわれないようにしっかりと足場を固めたい。
過去問を解き終えたら、出来に合わせて、2周目に入るか、大分大学の問題で練習してもいいだろう。余力があれば、神戸大学、大阪大学の問題にチャレンジしてもよい。

(参考)
滋賀医科大学|入試情報|医学部 医学科・看護学科|募集要項|平成30年度入学者選抜要項 p.2