目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 過去問・模擬問題を用いた演習

1. はじめに

帝京大学医学部は、私立医学部の中では比較的入りやすいイメージを持っている受験生が多いかもしれない。しかしながら、複数日受験が可能で、最高得点が採用されるため、かなり高得点を取らないと合格できないため、決して簡単な試験とは言えない。また、科目選択の自由度が高く、それぞれの得意科目で受験することを考えるとやはり全体的な難易度は高くなる。

帝京大学医学部の入試問題は、2015年度までは、英語・数学・物理・化学・生物・国語から3科目選択だったが、2016年度からは英語が必須となり、数学・物理・化学・生物・国語から2科目選択に変更されている。各自、募集要項で受験の概要をしっかり確認してほしい。

今までは、英語が苦手な受験生は国語を選択するなどして避けることができたのだが、2016年度以降はできなくなっている。

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苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
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2. 概要

2.1 試験日
【一般入試】募集人数:100名
第1次試験:平成29年1月26日(木)、27日(金)、28日(土)
※試験日自由選択制のため、3日受験することも1日だけ受験することも可能。
・英語(必須)
・数学・物理・化学・生物・国語から2科目選択

第2次試験:平成29年2月3日(金)または2月4日(土)
※出願時にどちらか1日を選択
・課題作文:出題されたテーマについて、キーワードをもとに、自分自身の考えを300字以内で書く
・面接:10分程度 / 形式:受験者1名に対し、教員2名

※2017年度の一般入試は終了しました。

【センター利用入試】募集人数:10名
第1次試験(大学入試センター試験):平成29年1月14日(土)、15日(日)
・外国語(英語、リスニング含む)必須
・数学(「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」「数学Ⅱ」「数学Ⅱ・数学B」)・理科(物理、化学、生物)・国語(古典含む)から2科目選択
※2017年度と2016年度の大学入試センター試験を受験した者で、両年度の成績請求票を提出した場合は、高得点3科目の合計が高い年度の成績を合否判定に採用します。

第2次試験:2月13日(金)
・英語(長文読解):英語による長文を読み、和文で要旨を200字以内、意見を400字以内で書く
・課題作文:出題されたテーマについて、キーワードをもとに、自分自身の考えを300字以内で書く
・面接:10分程度 / 形式:受験者1名に対し、教員2名
※第1次試験合格者のみ

※2017年度のセンター利用入試は終了しました。

2.2 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験範囲)
生物基礎・生物全範囲

(試験時間)
【一般試験】
第1次試験:
・外国語(60分)
・数学・物理・化学・生物・国語から2科目選択(合計120分)

第2次試験:
・課題作文:
※出題内容:出題されたテーマについて、キーワードをもとに、自分自身の考えを300字以内で書く。
・面接(10分)
※形式:受験者1名に対し、教員2名

【センター利用入試】
第1次試験:
・外国語(リスニング含む)(80分+リスニング)
・数学(数I、数IA、数II、数IIB)(60分)
・理科(物理、化学、生物)(60分)
・国語(古典含む)(80分)

第2次試験:
・英語長文読解(試験時間非公表)
※英語による長文を読み、和文で要旨を200字以内、意見を400字以内で書く
・課題作文(試験時間非公表)
※出題されたテーマについて、キーワードをもとに、自分自身の考えを300字以内で書く
・面接(10分)
※形式:受験者1名に対し、教員2名

2.3 配点
【一般入試】
第1次試験:各科目100点(合計300点満点)
第2次試験:非公表

・センター利用入試
第1次試験:各教科100点(合計300点満点)
第2次試験:非公表
※2017年度と2016年度の大学入試センター試験を受験した者で、両年度の成績請求票を提出した場合は、高得点3科目の合計が高い年度の成績を合否判定に採用します。

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
帝京大学の一般入試は選択問題と記述の混合形式であり、毎年高得点が予想される。90%程度の得点率を安定して出せるようになれば、生物選択者の合格圏内には入っていると思ってよいだろう。模試の偏差値や判定は受験者の能力を正確に反映しているとは一概に言えないので、模試の結果に左右されることなく、過去問研究に励んでほしい。とにかく、単語問題は条件反射的に、考察問題では実験の流れと結果がすぐに思い浮かぶくらいまで訓練しておきたい。

出題範囲は教科書の内容全体に渡っており、植物の範囲も例外ではない。中でも分子生物や体内環境、生態系は毎年出題されており、5大中1大は必ず植物の分野から出題されている。これらの傾向に目を通してみると、人体のみを問う出題傾向が顕著である医学部単科大学との併願は相性が悪いといえる。知識、考察問題と計算問題の比率は8:2程度である。

出題形式としては適語補充問題(語群から選択)、正誤問題、グラフを読み取る考察問題、記述式の単語問題(計算問題)が大まかな分類になっている。近年の出題傾向を見ると、生物①、②ともにこの傾向を逸脱することはほぼないと思われる。

合否の分かれ目となり、かつ帝京大学医学部の生物を難化させているのが正誤問題であり、限られた時間の中で落ち着いて誤文(または正文)をさがす力が試される。オーソドックスな正誤問題とは異なり、

①選択肢が5~8つ存在する
②正しいものを全て選ぶ
③正しい選択肢がない場合がある

という条件がつけられており、多くの受験生がミスを誘発しやすくなっている。全体的に紛らわしいものが多く、ニュアンスが微妙なものも含まれているため、注意が必要となる。

もう一つの正誤問題の9題パターンとしては2つの短文が1対になっており、

①1文のみ正しいもの
②2文とも正しいもの
③1、2文とも誤っているもの(正しいもの)

を選択するものとなっており、難関である。日頃から、正文のみを見つけるのではなく、誤文の誤っている個所を指摘する練習を怠らない習慣をつける姿勢が大切である。

空所補充に関しては、基本的な単語がほどんどであり、語群から選択する形式なので、90%完答を目指したい。この選択問題でミスがでる人は基本知識が抜けていると考えられるので、各々の使っているテキストや教科書を使って知識補充に励んでほしい。ただし、帝京大学医学部では難単語が少なからず出題されるため、思い切って捨ててしまうことも戦略の一つである。難単語は主に大学教養課程で学ぶものもあれば生物分野外からの出題も含まれることがある。しかし、これらの難単語による失点が合否に直結することはないので安心してほしい。

計算問題に関しては、DNA合成における細胞数の計算や遺伝、系統樹、生態系に関するものがほとんであり、計算問題の比重が少ない大学であるといえる。出題構成に関しても題問1つが計算問題のみで構成されることは少なく、ほとんどが小問として独立して出題されている。したがって、計算問題があまり得意ではない、という受験生にとっては取り組みやすい問題構成であるといえる。1つ注意点があるとすれば、計算が記述である年度もあるため、選択肢に頼った解答ができないというところである。

考察問題は複雑なものはほとんどなく、長文を読んで解答するものは非常に珍しい。大半が実験結果を知っていれば解答にたどり着けるものが多く、リード文が短いのが帝京大学医学部の出題傾向である。日頃から考察問題の概要と結果をノートなどにストックしておくと本番で効果を発揮するかもしれない。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 細胞と分子
レーウェンフックやブラウンなど歴史上の人物の名前や浸透圧、ミクロメーターの計算がよく出ている。また、過去の出題からはDNA 合成や細胞周期のグラフ問題が頻出しているため、手持ちのテキストで演習をしてほしい。初見問題は見当たらないので、グラフの見方や計算方法の流れをしっかり暗記しておくことが望ましい。また、慣れない生徒も多いと思うが、ゲノムや核相、染色体1本あたりのDNA 量などの表現にも慣れ親しんでおいてほしい。受験が近づいてきたら細胞小器官の大きさなど細かいところまでチェックしておくとよいだろう。

3.2 代謝
代謝経路に関する単語レベルの出題がほとんどであり、その出題傾向は適語補充がほとんどである。基本的な問題ばかりであるが、しっかりと用語の定義を掴んでおかないと誤った選択をしかねない単元であるので注意してほしい。例えば、クエン酸回路で生成される二酸化炭素の量や酸化的リン酸化の意味を答えられない受験生はもう一度、基本に立ち戻ってみることをお勧めする。

3.3 遺伝情報の発現
最も頻出する単元の一つである。毎年、必ず1題は出題されているため、しっかりとした対策が必要となる。DNA複製や転写、翻訳に関する問いやバイオテクノロジーの分野が毎年のように出題される。スプライシングの過程や遺伝子の組換え実験は頻出である。複数の制限酵素を用いて遺伝子を切り離して遺伝子組み換えする題材は新課程以降のブームとなっているため、しっかりと実験の流れを掴んでおこう。

3.4 生殖と発生
頻出単元ではなく、数年に一度出題される。両生類や棘皮動物の発生過程やホメオティック遺伝子、中胚葉誘導、誘導の連鎖などの頻出事項は最低限抑えておこう。旧課程同様、考察問題が出しやすい分野であるが、考察実験そのもののレパートリーは少なく、対策しておくと実験結果と解答が容易に想像できることが多い。過去に中胚葉誘導が出題されているが、結果を知っている受験生は容易に解答にたどり着けたはずである。発生は新課程から新出単語がかなり増えた単元でもある。母性効果因子やBMP、中胚葉誘導と誘導タンパク質の関係、間充織と上皮の分化などを重点的に再確認しておこう。

3.5 遺伝
帝京大学の遺伝の計算は非常に簡単なので、遺伝に苦手意識のあるヒトもしっかり対策しておくことをお勧めする。胚乳遺伝や自家不和合性など難度の高い遺伝が聞かれるわけではなく、専ら二遺伝子雑種の独立、連鎖型(不完全連鎖)の問題が出題されることがほとんどである。年度によっては家系図を使って、遺伝病の様式を特定させたり、親族の遺伝子型を決定させるような問題も出題されているが、特段難しいわけではなく、セミナーやリードαの問題をこなしておけば十分対応できる。医学部受験者は、家系図の遺伝様式の決定と計算問題が必須知識だと思っておいてほしい。雄ヘテロ型や雌ヘテロ型をとる動物の名前を聞かれたりして困ってしまう受験生がいるが、教科書にしっかり載っている基本事項である。

3.6 動物の反応と行動
筋肉生理と神経生理、反射、ホルモン、免疫のうちいずれかは、毎年出題されることを肝に銘じておいてほしい。筋肉と神経では、膜電位と伝導速度の計算という受験生に嫌厭されがちな分野が多数出題されている。ホルモンでは医学部らしくオキシトシンやカルシトニンなど、一部教科書を逸脱した用語も出題されるが、消去法でも対応できるので落ち着いて取り組んでほしい。また、肝臓、すい臓など消化器系の出題より、心臓や血球など血管系や神経系からの問題が多い。また、白血球の細かい名称や大きさなど、数値を覚えていることが前提の出題があったりするため、数値に関しては常に暗記する姿勢でいることが大切である。

3.7 植物の環境応答
植物ホルモンや花芽形成の2大分野を筆頭に出題が続いている。光条件の考察実験や植物ホルモンの作用は試験前にしっかり確認しておく必要がある。発生の単元同様、青色光受容タンパク質やオーキシン輸送タンパクなど新出単語が多く注意すべき単元である。

3.8 生物の多様性と生態系
生態系、環境破壊、植物群落、個体群など、進化の分野と合わせて、必ず出題がある分野である。受験日程のギリギリになって対策するなどはしないようにしよう。むしろ、生体の単元と並行して学習していくと全体的な得点率は上がっていくかもしれない。環境破壊に関しては、環境アセスメントにあてはまるものを選ばせる問題であったり、外来種を全て求めさせる問題があったりと吟味に悩むことが多い単元である。資料集などで細かい知識を補強しておくとよい。年度によっては、生命曲線を用いて平均死亡率を求めさせる問いや、標識再捕法の計算問題が出題されることがある。他の医学部とは異なり、バイオームまでしっかり出題されているので全分野をしっかり対策しておく姿勢が必要となる。

3.9 生命の起源と進化、生物の系統
地質時代や動物界の分類、系統樹の計算、ハーディーワインベルグの計算は頻出である。なぜかこの分野は手つかずにされることが多く、対策を一切せずに直観だけで挑む受験生が後を絶たない。この分野の知識がないと生物の得点が合格圏に届くことはないと断言できる。時間がない生徒であっても上記の項目だけは暗記しておこう。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 用語・定義の確認
帝京大学医学部の場合、資料集の片隅に載っているような知識も問われることがある。時間が有り余っている受験生以外は基本用語と標準的な考察問題に的を絞った方が効率的である。急いでマニアックな単語を詰め込む必要はなく、そのような単語に本番で出会ったとしても落ち着いて消去法で対処できればそれでよい。基本単語は、問題を見た瞬間にアウトプットできるまでにブラッシュアップしてほしい。しかし、それ以上に重要なのは正確な定義の暗記であるので、単語の丸暗記ができたら、そのまま点数に反映するとは限らないことをしっかり覚えておこう。

参考書
・『チャート式 新生物、生物基礎』(数研出版)
・『大森徹の最強講義』(文英堂)
・『大学入試の得点源(要点)』(文英堂)
・『生物 知識の焦点』(Z会出版)
・『理解しやすい生物、生物基礎』(文英堂)
・『田部の生物基礎をはじめからていねいに』(東進ブックス)
・『生物基礎が面白いほどわかる本』(中経出版)

初学者は、いきなり問題を解き始めるよりも参考書や教科書を使って生物現象や用語の定着に努めるほうが効率的である。用語が定着した後は、問題集でアウトプットしていこう。リードやセミナーを使う際の注意点としては、いきなり発展問題などはやらずに、セミナーのプロセスやリードにあるリードBなど基礎問題の反復練習に努めるほうが効率がよい。

問題集
・『基礎問題精講』(旺文社)
・『らくらくマスター 生物・生物基礎』(河合出版)
・『生物用語の完全制覇』(河合出版)
・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『リード light 生物 生物基礎』

■Step.2 実験、考察問題への取り組み
ここからは、標準問題を軸に実際の考察問題を解いていくことになる。近年の大学入試では、医学部にかかわらず考察問題を中心に問題が構成されることが多いが、帝京大学では独立した小問で考察問題が出されることが多く、加えて実験結果が予測できるようなものばかりである。したがって、対策としては難しい考察問題を闇雲に解くのではなく、標準的な問題を数多くこなし、実験概要と結果をしっかり記憶しておくことである。時間の短縮につながるだけでなく、予測しながら解答をしていくことができるようになるため精神的にも安定する。ニワトリの真皮の誘導や、中胚葉誘導の実験結果など、普段から考察問題をこなしていく上で、ノートなどに実験結果をストックしていくとよいだろう。1周目の取り組み方としては、しっかりリード文を読んで自分で考えて答えを導き出しで見ることである。この時点で完璧な答案を作る必要は全くなく、わからなかった問題は解答解説を理解することを心がけよう。

また、重要問題集や標準問題集は考察問題がメインであるが、この問題集は国立大学の問題を多く掲載しており、帝京大学にとってはオーバーワークな側面もあるため、時間がない人は手を出す必要はないだろう。

最後に、何冊くらい問題集をこなすべきかであるが、これは考察問題の数には多くあたったほうがよい、というのが答えである。したがって、冊数で決めるのはあまり意味のないことかもしれない。考察問題の知識がつくのであれば、2、3冊こなしても問題はない。1冊だけでは、いかにその単元の理解が深くても初見の問題に出会ったときに素早い解答ができない可能性があるためである。しかし、中途半端に問題を解き終えるのはナンセンスなので、1冊を完璧に終わらせることができた時のみ、次回の問題集に移行するようにしよう。

・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『生物の良問問題集』(旺文社)
・『基礎問題精講』(旺文社)
・『生物重要問題集』(数研出版)
・『生物標準問題精講』(旺文社)

■Step.3 計算問題への取り組み
計算問題は、個別に対策しておく必要がある。セミナーやリードαなどの網羅系問題集にも計算問題は含まれているが、計算問題に対する網羅性はあまりよくない。

『大森徹の生物 計算・グラフ問題の解法』(旺文社)
『大森徹の生物 遺伝問題の解法』(旺文社)

帝京大学は基本的であるが毎年、計算問題が数問出題されるため、必ず個別に対策しよう。特に、遺伝、神経の伝導速度、ミクロメーター、浸透圧、塩基対数の計算、ハーディー・ワインベルグの法則、系統樹、生体系に関する計算などは頻出である。 公式を暗記することも大切であるが、公式の導出過程を理解し、忘れないような学習をしていくことが重要である。また、計算問題に関する注意点であるが、計算問題のみが記述であることが多いため、選択肢に頼ることができず、自力での完答が求められる点に注意しておこう。

■Step.4 過去問・模擬問題を用いた演習
Step1~3が終了したら、過去問を解き始めよう。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手してもよい。よく直前期になるまで過去問を解かずに取っておくという話を聞くが、Step1を終えたころに一度過去問を解いてみるといいかもしれない。どういった単元が頻出しているのか、難易度はどのくらいか、ということがイメージしやすくなるだろう。
また、過去問を解くときには時間を計るようにしよう。いくら正答率が高くても時間内に解ききれなければ意味がないからである。過去問はできるだけ7割を目指し、普段から少ない時間の中で演習をして負荷をかけていくのがよい。

普段から学習したことをもとに、身近な事例と関連づけて生物現象を考える習慣を付けるようにしよう。このようなことの積み重ねが深い理解力、洞察力を養うことに貢献してくれるだろう。

(参考)
帝京大学 入試情報サイト|医学部 一般入試
帝京大学 入試情報サイト|医学部 大学入試センター利用入試