目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
    1. 文法問題
    2. 長文読解問題
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

1. はじめに

東京慈恵会医科大学(慈恵医大)は、難関私立医科大学の一つ(慶應義塾大学医学部、日本医科大学と並び、俗にいう私立医学部御三家に挙げられることがよくある。)であり、私立医学部の中でもトップクラスの難易度の問題が出題されることで知られています。文法問題が数多く出題されるのが特徴で、難関私立医大では非常に珍しい傾向と言えます。それだけに、レベルや傾向が合った類問の入手が難しく、志望校に焦点を当てた予備校での対策が有効になります。合格最低得点率は例年6割前後です。

また、語彙に関する設問も多く、中には非常に難易度の高い語が問われる問題もあり(最難関レベルの語彙問題は大半の受験生が解答できていないと思われます)、語彙力の強化、さらに正確な文法力を身につけることは必須と言えるでしょう。

2. 概要

2.1. 試験日
1次試験
平成29年 2月5日(日)

2次試験
平成29年 2月17日(金)
平成29年 2月18日(土)
平成29年 2月19日(日)

2.2. 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験範囲)
・理科
物理(物理基礎・物理)、化学(化学基礎・化学)、生物(生物基礎・生物)の組み合わせのうちから2つを選択。
・数学
数学I、数学II、数学III、数学A、数学B
ただし、数学Bは「数列」、「ベクトル」を、出題範囲とする。
・英語
コミュニケーション英語I、コミュニケーション英語II、コミュニケーション英語III、英語表現I、英語表現II

(試験時間)
・1次試験
理科:午前 10:00~12:00
数学:午後 1:00~2:30
英語:午後 3:00~4:00

・2次試験
平成29年2月17日(金)、18日(土)、19日(日)の3日間のうちの1日
ただし、東京都地域枠入学試験で一次試験に合格した場合は、試験日が2月19日(日)になります。

(解答形式)
選択形式の問題および記述式。記述問題には、英文和訳、和文英訳、単語の記述、本文からの抜き出し問題が含まれる。

2.3. 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(200点)

2.4.出題の傾向と特徴(概要)
慈恵医大の英語では、文法の単独問題から長文読解、さらには英文和訳と和文英訳まで幅広く出題されるのが特徴です。そのため、満遍なく学習することが必要不可欠となります。また記述式問題の数が多く、単語補充問題におけるスペリングミス、和文英訳における文法のケアレスミスなどをしないだけのしっかりとした基礎力が前提となります。

英文の難易度は他の私立医学部と比較しても高めですが、時間はそこまで厳しくありません。ただし、例年大問1の単語補充問題と大問2の文法問題は難問が数題出題されるので、時間を取られないようにすることが大切です。

和文英訳問題は、旧帝大レベルに比べると日本語表現が容易ではありますが、全く英作文の対策をしなければ得点を得ることは難しいでしょう。全体として受験者は国公立大学のような記述の練習が必要になると考えてください。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 文法問題
・単語補充問題(大問1)
2者の会話文の穴埋め問題で、単語の頭文字だけ与えられています。すぐに思いつけば解答時間はかかりませんが、思いつかない場合、思いのほか時間を取られてしまう可能性があります。

また、解答する単語も熟語(イディオム)の知識が必要だったり、単語の難易度も高かったりする問題もあり、難易度はやや高めと言えます。

この問題で得点を上げられるかどうかは、日ごろの単語学習に向けた取り組み次第です。何となく意味を知っている状態では不十分で、正確なスペリングまで習得しておく必要があります。また、この力は英作文においても不可欠な能力と言えるでしょう。

・空所補充問題(大問2)
例年5問程度出題されますが、難易度は問題によってかなり差があり、センターレベルの問題もありますが、中にはcurry favor(機嫌を取る)などマニアックな熟語問題もあります。自分の知識で解ける問題かどうかを素早く判断して、無駄な時間を使わないようにすることが重要です。また、文法や熟語の知識だけでなく、多義語の知識も不可欠です。例えば、customとcustomsの違い、craneの動詞の意味(名詞は「鶴、クレーン」)などが問われています。

・整序問題(大問3)
2015年までは大問3には文の一部同士を結びつけて完全な文を作る問題が出題されていましたが、2016年に整序問題(和訳なし)が出題されました。難易度は他の私立医学部と同水準なので、特別な対策は必要ありません。後述する方法(4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介)で文法力を固めておきましょう。

・正文指摘問題(大問4)
4つの短文の中から、文法的に正しい文を選択する問題です。自動詞と他動詞の知識、品詞の区別などが身についていれば解ける問題がほとんどです。誤文訂正問題の際にも言えることですが、4択問題を消去法で解いているレベルではなかなか違和感に気づきません。そのレベルから脱却し、文法のミスが自ら指摘できる段階に達すると、このような形式の問題であっても安定して得点することができるようになります。

・和文英訳問題(大問7)
京都大学をはじめとする旧帝大に比べると、日本語の表現は英語にしやすいと言えます。しかし英訳しにくい語が含まれていることがあり、より簡単な日本語に変換して英訳する力つけておいた方が有利になります。しかし、その1語、2語を除けば、基本的な文法と単語で表現できるでしょう。しっかりと文法力を固めて、整序問題や定型文の暗唱などで対策を行えば十分に合格点は取れるはずです。

3.2 長文読解問題
2016年から、一つだった長文問題が二つに増加しました。設問の数や難易度に変更は見当たりませんでしたが、長文を読む量が増加したため、ある程度の速度で読むことができないと制限時間内に終わらせるのが難しいのではないかと思われます。

・文補充問題(大問5)
接続詞、単語、時制などを手掛かりにして新情報か旧情報か、言い換え表現になっていないか、前後の辻褄があっているかどうかを確認します。難易度はそこまで高くないので、他の私立医学部の過去問を使って演習をしておけば十分に全問正解を狙えます。

・類似単語問題(大問6)
本文中に出てきた単語と意味が近い単語を選ぶ問題も出題されます。単語のレベルはかなり高く、意味を知っているかどうかで差がつくことでしょう。センター試験レベルなど単語の意味を知らなくても前後の文脈から推測できる場合もありますが、慈恵医大の場合は、前後の推測では通用しない場合もあります。さらに選択肢の単語レベルも高いので、高度な単語力を持っておくに越したことはありません。

では、どこまで覚えれば良いのかということになりますが、後述する市販の単語帳を仕上げ、そこから先は英文読解を通じて覚えていけば良いと思います。英検1級対策の単語帳など難しいものに手を出すのは労力に見合わないことになるので、おすすめしません。過去問を解いたり、過去問で出典されている英文をインターネットで検索して読みながら、知らない単語を調べていくと良いでしょう。

・英答問題(大問6)
設問の中には英語で答える形式の問題があり、スペリングミスが命取りになります。単語を覚える際に、英単語を見て意味が言えるだけにとどまらず、日本語を見て英語を書く練習をすることが重要です。できればこれを一単語ではなく、フレーズで練習しましょう。英作文の対策にも役立つはずです。

・英文和訳問題(大問6)
基本的な構文解釈力と日本語の表現力が不可欠です。下線部に登場する英単語の難易度自体は高くありませんが、自然な日本語にしにくいものがあります。私立医学部の中には、英文和訳問題が出題されない大学もあるので、国公立の過去問も解いて対策を立てましょう。書いた日本語は予備校や学校の教師に見てもらい、アドバイスを受けましょう。

しばしば、「英語の意味はわかるけれども、自然な日本語が出てこない」という人がいます。そのような人は日本語の表現力が足りないということを自覚しましょう。母国語が日本語であるためについ軽視しがちではありますが、模範解答の和訳をしっかりと音読することも大切なことです。このような地道な努力の積み重ねによって、瞬時に適切な語が頭に浮かんでくるようになるでしょう。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1:基本単語、文法の定着
慈恵医大の英語では、英単語の記述問題が出題されます。日本語の意味を覚えるだけでなく、日本語から英単語を正確に書けるようにすることが重要です。基本の単語が抜けている人は、まずはBasicレベルから覚えていきましょう。難易度の高い単語が出るからといって「大は小を兼ねる」的な勉強をすると行き詰まる元になるので、注意してください。
・『システム英単語 Basic 改訂新版
・『システム英単語

基本単語がある程度身についたら、医学部受験を想定した単語帳を進めましょう。また、大問1と2では熟語が出題される傾向があるので、余裕があれば熟語帳の学習を行えば万全と言えるでしょう。
・『医歯薬系の英単語』

この入試問題では、例年文法の4択問題が出題されます。中にはマニアックな問題もありますが、そのような問題は他の受験生もできないと思い、先に進むことが重要です。合格得点率が6割前後ということを考えると、文法問題1問にそれほどこだわる必要はありません。下記に2冊、文法の問題集を挙げますが、1冊で十分です。ただし、抜けがないようにしてください。
・『『改訂版 アップグレード 英文法・語法問題
・『NEXT STAGE 英文法・語法問題 3rd Edition

■Step.2:標準レベルの長文問題、英文解釈に取り組む
さらに、配点の高い長文問題の対策を行いましょう。慈恵医大の長文は癖のない標準的な長文が出題されるので、特殊な対策を立てる必要はありません。当然のことですが、正確性とスピードのある読解が必要になります(ただし、速読をする必要はありません)。下記に紹介する長文問題集を解き、読解力をつけましょう。
・『英語長文レベル別問題集(3)
・『やっておきたい 英語長文500

上記の問題集はレベル別に分かれているので、自分のレベルに合ったものを選ぶことができます。レベル別問題集は(5)まで、やっておきたい英語長文は700まで進めておきましょう。一番上のレベルには1000がありますが、余裕があった場合で構いません。

慈恵医大の英語には、例年英文解釈が出題されます。難問奇問の類が出るわけではないので、下記に挙げる構文解釈を一通りやってみましょう。訳し終えた和文は学校や塾の先生に客観的に見てもらいましょう。また、英文の意味はわかっても、きれいに訳せないという場合は、日本語の表現力を高める必要があります。そのような人は、訳例を英文と共に音読してみましょう。単純な方法ですが、効果がありますよ。
・『大学受験のための英文熟考 上・下
・『英文解釈の技術100

■Step.3:応用レベルの長文問題、英作文に取り組む
Step2まで終了したら、今度は医学部を意識した対策を行いましょう。長文はジャンルに慣れているかどうかで読みやすさが大きく異なります。医学部によく出題されるテーマの長文を読むことによって、スピードと正確性を高めていきましょう。
・『私大医学部への英語

慈恵医大では、英作文の対策も必要になります。いきなり書くのが難しい人は、整序問題から始めると良いかもしれません。特に2016年には整序問題が出題されたので、やる価値は高いと言えます。その場合、復習をするときに日本語だけ見て英語を書く練習をすることによって構文や正しい英語表現が身についてきます。
・『3ステップで解く!英語整序問題の必勝テクニック

その次は、英作文の対策に入りましょう。いきなり旧帝大レベルの難問をやっても効率が悪いので、まずは下記に挙げるような基本の英作文を完成させましょう。

・『よくばり英作文
・『入門33パターン はじめる!英作文

慈恵医大の英作文は、旧帝大入試で問われるような難易度の高い、いわゆる和文和訳しなければならない英作文ではありません。(1、2語程度、英訳が難しい単語もあるが、仮に書けなくても十分に合格点は得られる)そのため、上記に挙げたような基本英作文で単純な文法ミスを無くしたり、正しい英文を書けるようにすることが大切です。

■Step.4:過去問・模擬問題を用いた演習に取り組む
Step3まで行い、基礎力がついてきたら、ここでやっと過去問に取り組みましょう(もっとも、基礎力に不安があったとしても、半年前までには1度は過去問を解いておきたいところです。)。

過去問を解くことによって自分の弱点が明らかになるので、今度はそこを重点的に攻めていきます。このときに、できるだけ細かく自分の弱点を分析することができれば理想的です。単に長文が苦手、文法が苦手というのではなく、なぜ「長文がダメなのか」を考えましょう。単語力不足なのか、構文が把握できていないのか、あるいは読むスピードが遅いのか、など原因は色々考えられます。このような原因の分析をせずに、闇雲に問題ばかり解いてもなかなか成果は現れて来ません。

そのためにも、自分が間違っていた問題と解答をノートにまとめておくことをお勧めします。徐々に同じようなところで間違えていることに気づいてくるはずです。試験当日でも見直すときに役立つのではないでしょうか。