目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 過去問・模擬問題を用いた演習

1. はじめに

東京都港区西新橋に位置する旧設医科大学である。1921年に設置され、日本大学医学部、日本医科大学、日本大学医学部とともに、戦前の旧大学令による私立医科大学となった。

現在、入試難易度においては、慶應義塾大学に次ぐ私立医大ナンバー2という認識が強い。しかし、私学のトップレベルになったのはここ数年の話である。かつては国立の日程にかぶっていたため、偏差値は今ほど高くなかったようである。試験日程を変更して以後、偏差値は急上昇。当時のナンバー2である日本医科大学を抜いて2位となっている。
 
再受験生の入学者は少なく、比較的若い学生が多いというデータがある。近年は成績開示を行っており、透明性の高い受験を行っている。
特殊なアドバンテージの無い一般の受験生の場合、3浪以上の合格はほとんど不可能であると考えた方がよい。受験する際には、再受験生に厳しい大学である、ということだけは覚えておこう。

臨床基礎医学の授業では、チュートリアルが取り入れられており、これは学生が小集団で能動的に基礎医学の知識を駆使し臨床例を解析する教育プログラムで、これにより学生の論点抽出、論理力、自己学習・表現力を向上させることが目的とされている。5年次には臨床実習が始まり、学生は病棟の診療チームの一員として指導医の監督のもと、患者の診療に参加する。

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2. 概要

2.1 試験日
1次試験
平成29年2月5日(日)

2次試験
平成29年2月17日(金)、18日(土)、19日(日)の3日間のうちの1日
ただし、東京都地域枠入学試験で一次試験に合格した場合は、試験日が2月19日(日)になります。

※2017年度の一般入試は終了しました。

2.2 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験範囲)
・理科
物理(物理基礎・物理)、化学(化学基礎・化学)、生物(生物基礎・生物)の組み合わせのうちから2つを選択。
・数学
数学I、数学II、数学III、数学A、数学B
ただし、数学Bは「数列」、「ベクトル」を、出題範囲とする。
・英語
コミュニケーション英語I、コミュニケーション英語II、コミュニケーション英語III、英語表現I、英語表現II

(試験時間)
・1次試験
理科:午前 10:00~12:00
数学:午後 1:00~2:30
英語:午後 3:00~4:00

(解答形式)
記述・論述式

2.3 配点
2.3. 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(200点)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
出題傾向は例年変わっておらず、出題数は4題、試験時間は2科目で120分である。与えられるリード文は短く、空所補充や選択問題が中心である。また、字数制限のない記述問題は差が付きやすく、しっかりした記述対策を行っていないと合格点に到達することは難しい。論述問題が肝になる大学であるが、各大問につき2、3問ずつ含まれているが、1問ごとの論述量はそれほど多くはない。計算問題はあまり多くはなく、2010年では計算問題が全く出題されていない。60分で大問4つであるが、平均して小問が10個以下であるので、さほど時間がかからない印象を受ける。また、リード文もそこまで長いわけではないため、平均して15分で解ききることは難しくない。どれだけ記述の速度を上げられるかが大切である。

全般的に、教科書に忠実な基礎的、標準的な問題が多く、グラフや表から数値を読み取り、そこから考察するような実験問題が出題されることがある。大問4つのうち2つは必ず生体に関する出題からであり、1つは必ず植物からの出題になっている。医学部の入試だから、ということで植物の範囲を疎かにしてしまうことのないようにしよう。

新しい分野を題材にした問題を作ることが多いため、医学に関する研究や新しい知見を開拓しておくことが望ましい。iPS細胞(induced Pluripotent Stem cell, 人工多能性幹細胞)、SNP(Single Nucleotide Polymorphism, 一塩基多型)、PCR(Polymerase Chain Reaction, ポリメラーゼ連鎖反応)、ホメオティック遺伝子、トランスポゾン、プリオン、トランスジェニック、などのテーマなどに目を通しておくとよい。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 細胞と分子
細胞周期に関する問いが多く、チミジン取り込みや細胞数の計算、酵素反応が出題の大半を占めている。メチルグリーンやピロニン染色など教科書の隅に記載されている単語が出題されているため、しっかり全体に目を通しておこう。

3.2 代謝
これまでの出題はかなり限定的であり、光合成の代謝経路、化学浸透圧説、発芽種子や酵母菌の呼吸、呼吸商に関してくらいである。内容は教科書レベルであり、複雑な計算問題は出題されていない。

3.3 遺伝情報の発現
大問一つに独立して出題されるのは当然のことながら、その他の単元と関連させて出題されていることも考慮していると、ここ5年は毎年出題されている。主に、DNAやRNAにちなんだ問題が多く、PCR法や形質転換、塩基の置換などが出題されている。標準問題のみの出題なので標準的なテキストをこなしておけば十分対応できるだろう。新課程になってから、他の単元と比較して理解が難しくなっているため、十分な学習が必要となるだろう。

3.4 生殖と発生
頻出単元ではなく、数年に一度出題される。両生類や棘皮動物の発生過程やホメオティック遺伝子、中胚葉誘導、誘導の連鎖などの頻出事項は最低限押さえておこう。旧課程同様、考察問題が出しやすい分野であるが、考察実験そのもののレパートリーは少なく、対策しておくと実験結果と解答が容易に想像できることが多い。過去に中胚葉誘導が出題されているが、結果を知っている受験生は容易に解答にたどり着けたはずである。
発生は新課程から新出単語がかなり増えた単元でもある。母性効果因子やBMP、中胚葉誘導と誘導タンパク質の関係、間充織と上皮の分化などを重点的に再確認しておこう。

3.5 遺伝
東京慈恵会医科大学の遺伝の計算は非常に簡単なので、遺伝に苦手意識のあるヒトもしっかり対策しておくことをお勧めする。胚乳遺伝や自家不和合性など難度の高い遺伝が聞かれるわけではなく、専ら二遺伝子雑種の独立、連鎖型(不完全連鎖)の問題が出題されることがほとんどである。年度によっては家系図を使って、遺伝病の様式を特定させたり、親族の遺伝子型を決定させるような問題も出題されているが、特段難しいわけではなく、セミナーやリードαの問題をこなしておけば十分対応できる。医学部受験者は、家系図の遺伝様式の決定と計算問題が必須知識だと思っておいてほしい。

3.6 動物の反応と行動
筋肉生理と神経生理、反射、ホルモン、免疫のうちいずれかは、毎年出題されている。筋肉と神経では、膜電位と伝導速度の計算という受験生に嫌厭されがちな分野が多数出題されている。ホルモンでは医学部らしくオキシトシンやカルシトニンなど、一部教科書を逸脱した用語も出題されるが、消去法でも対応できるので落ち着いて取り組んでほしい。また、肝臓、すい臓など消化器系の出題より、心臓や血球など血管系や神経系からの問題が多い。また、白血球の細かい名称や大きさなど、数値を覚えていることが前提の出題があったりするため、数値に関しては常に暗記する姿勢でいることが大切である。

3.7 植物の環境応答
新課程になって以来出題が増え、2015年には花芽形成、ABCモデルが出題された。それ以前は数年に一度、有名なトピックが出題されていた。今後は未だに出題のない植物ホルモンなどの出題が増えていくだろうと考えられる。

3.8 生物の多様性と生態系
個体群、標識再捕法、生態系の物質収支など計算問題が多い傾向がある。生態系の物質収支は繰り返し出題されており、今後の対策は欠かさないようにしよう。

3.9 生命の起源と進化、生物の系統
非生体系からの分野では、ここからの出題が多い。ここ10年間の出題傾向を見てみると、平均して2年に一度は出題されている計算になる。突然変異とゲノム分析など、遺伝情報の発現と絡めての出題が多く、他と比較して難易度が高く、記述量も多い。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 用語・定義の確認
東京慈恵会医科大学では、高校範囲を逸脱した単語や考察問題が問われることはない。時間が有り余っている受験生以外は基本用語と標準的な考察問題に的を絞った方が効率的である。急いでマニアックな単語を詰め込む必要はなく、そのような単語に本番で出会ったとしても落ち着いて消去法で対処できればそれでよい。基本単語は、問題を見た瞬間にアウトプットできるまでにブラッシュアップしてほしい。しかし、それ以上に重要なのは正確な定義の暗記であるので、単語の丸暗記ができたら、そのまま点数に反映するとは限らないことをしっかり覚えておこう。

参考書
・『チャート式 新生物、生物基礎』(数研出版)
・『大森徹の最強講義』(文英堂)
・『大学入試の得点源(要点)』(文英堂)
・『生物 知識の焦点』(Z会出版)
・『理解しやすい生物、生物基礎』(文英堂)
・『田部の生物基礎をはじめからていねいに』(東進ブックス)
・『生物基礎が面白いほどわかる本』(中経出版)

初学者は、いきなり問題を解き始めるよりも参考書や教科書を使って生物現象や用語の定着に努めるほうが効率的である。用語が定着した後は、問題集でアウトプットしていこう。リードやセミナーを使う際の注意点としては、いきなり発展問題などはやらずに、セミナーのプロセスやリードにあるリードBなど基礎問題の反復練習に努めるほうが効率がよい。

問題集
・『基礎問題精講』(旺文社)
・『らくらくマスター 生物・生物基礎』(河合出版)
・『生物用語の完全制覇』(河合出版)
・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『リード light 生物 生物基礎』

■Step.2 実験、考察問題への取り組み
ここからは、標準問題を軸に実際の考察問題を解いていくことになる。近年の大学入試では、医学部にかかわらず考察問題を中心に問題が構成されることが多いが、慈恵医科大学では独立した小問で考察問題が出されることが多く、加えて実験結果が予測できるようなものばかりである。したがって、難しい考察問題を闇雲に解くのではなく、標準的な問題を数多くこなし、実験概要と結果をしっかり記憶しておくことである。時間の短縮につながるだけでなく、予測しながら解答をしていくことができるようになるため精神的にも安定する。ニワトリの真皮の誘導や、中胚葉誘導の実験結果など、普段から考察問題をこなしていく上で、ノートなどに実験結果をストックしていくとよいだろう。1周目の取り組み方としては、しっかりリード文を読んで自分で考えて答えを導き出しで見ることである。この時点で完璧な答案を作る必要は全くなく、わからなかった問題は解答解説を理解することを心がけよう。

また、重要問題集や標準問題集は考察問題がメインであるが、この問題集は難関国立大学の問題を多く掲載しており、東京慈恵会医科大学にとってはオーバーワークな側面もあるため、時間がない人は手を出す必要はないだろう。

・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『生物の良問問題集』(旺文社)
・『基礎問題精講』(旺文社)
・『生物重要問題集』(数研出版)
・『生物標準問題精講』(旺文社)

■Step.3 計算問題への取り組み
計算問題は、個別に対策しておく必要がある。セミナーやリードαなどの網羅系問題集にも計算問題は含まれているが、計算問題に対する網羅性はあまりよくない。

『大森徹の生物 計算・グラフ問題の解法』(旺文社)
『大森徹の生物 遺伝問題の解法』(旺文社)

東京慈恵会医科大学は基本的であるが毎年、計算問題が数問出題されるため、必ず個別に対策しよう。特に、遺伝、神経の伝導速度、腎臓、塩基対数の計算、物質収支、系統樹、生体系に関する計算などは頻出である。公式を暗記することも大切であるが、公式の導出過程を理解することで、公式自体を忘れないように学習をしていくことが重要である。また、計算問題に関する注意点であるが、計算問題のみが記述であることが多いため、選択肢に頼ることができず、自力での完答が求められる点に注意しておこう。

■Step.4 過去問・模擬問題を用いた演習
Step1~3が終了したら、過去問を解き始めよう。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手してもよい。よく直前期になるまで過去問を解かずに取っておくという話を聞くが、Step1を終えたころに一度過去問を解いてみるといいかもしれない。どういった単元が頻出しているのか、難易度はどのくらいか、ということがイメージしやすくなるだろう。
また、過去問を解くときには時間を計るようにしよう。いくら正答率が高くても時間内に解ききれなければ意味がないからである。
東京慈恵会医科大学は記述が多いため、国公立大学の過去問を用いてもよい。

(参考)
東京慈恵会医科大学|医学部医学科|入試案内|平成29年度 医学科 入学試験概要