目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
    1. 力学
    2. 電磁気学
    3. 熱力学
    4. 波動
    5. 原子
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 教科書内容の確認
    2. 基礎問題で解法をインプット
    3. 標準問題でアウトプットの練習
    4. 応用問題でさらに実践力を鍛える
    5. 過去問を用いた演習

1. はじめに

東邦大学は東京都大田区に本部を置く私立大学です。1925年に設置された帝国女子医学専門学校を起源とし、「自然に対する畏敬の念を持ち、生命の尊厳を自覚し、人間の謙虚な心を原点として、かけがえのない自然と人間を守るための、豊かな人間性と均衡のとれた知識・技能を育成する」ことを教育理念とし、医学部は「より良き臨床医の育成」を教育目標に掲げています。

2016年に行われた医師国家試験の合格率は94.78%で全体の平均の91.5%を上回っています。
2012年は84.9%(90.2%)、2013年は84.3%(89.8%)、2014年は89.9%(90.6%)、2015年は90.8%(91.2%)〔 ()内は全国平均 〕であることから、近年実績を伸ばしている様子がうかがえます。

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2. 概要

2.1 試験日
一般入試
1次試験:2017年1月25日(水)
2次試験:2017年2月2日(木)・2月3日(金)のうち大学が指定する1日(特別の事情で変更希望可)
※2017年度の一般入試は終了しました。

2.2 試験範囲・試験時間
(試験範囲)
英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・英語表現I
数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列・ベクトルのみ)
理科:物理(物理基礎・物理)、化学(化学基礎・化学)、生物(生物基礎・生物)のうち2科目選択
基礎学力:論理的思考能力・数理解析能力等
(試験時間)
1次試験
・英語(90分)
・数学(90分)
・理科(120分)※2科目選択
・基礎学力(60分)

2次試験
面接(40分)

2.3 配点
1次試験
・英語(150点)
・数学(100点)
・理科(150点)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
理科2科目で120分、解答形式はマーク形式で選択肢から選ぶ問題となっています。大問で10題前後の構成となって年度ごとに数は違いますが、小問集合に近い形となっており、形式はあまり変わっていません。各分野バランスよく出題されており、新課程になって2016年度には原子分野からも出題されました。難易度もそれほど高くなく、基本的な問題がほとんどです。設定が見慣れないものがあったとしても解法自体は標準的であったりします。
選択肢から複数選べというパターンの問題が出題されていることが東邦大学の物理入試問題の特徴としてあげられます。例えば2015年度には「この波の振動数として可能性があるものをすべて選べ」という設問が、2011年度には「与えられたP-Vグラフに関して述べた以下の文章のうち正しいものを3つ選べ」という設問が出題されています。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 力学
近年出題されたテーマは、「単振動」、「万有引力の法則」、「円筒面内を運動する物体」、「大きさのある物体の力のつり合い」、「2物体の衝突」、「等加速度直線運動」、「斜方投射とはね返り」などです。
「2物体の運動」、「摩擦のある面においてある物体の運動」、両者が融合された設定がよく出題されています。また、2016年度と2011年度に出題された万有引力に関する問題は「第一宇宙速度」や「第ニ宇宙速度」の定義を知らないと解けない問題で、知識面も問われています。

3.2 電磁気学
近年出題されたテーマは、「電場から力を受ける荷電粒子」、「ベータトロン」、「点電荷の作る電位」、「磁場中を運動する導体棒」、「コンデンサー」、「RLC直列交流回路」、「電圧計」、「平行板コンデンサー」などで、典型的な問題がほとんどで対策しやすい分野だといえますが、2016年度に出題されたベータトロンに関する問題は、磁場の微小変化ΔBを使ったままの式変形に慣れていない人には難しかったと思います。
他分野の傾向から、抵抗やコンデンサーを含む直流回路や磁場中を運動する導体棒に関して、仕事とエネルギーの関係に関して述べた文章から正しいものを選択するといった問題も考えられますので、現象の理解は疎かにしないようにしましょう。

3.3 熱力学
近年出題されたテーマは、「気体の状態変化」、「熱気球」、「熱と温度」、「断熱変化」、「気体の分子運動論」などです。特徴としては、少し複雑な文字式を扱う問題や与えられたP-Vグラフに関する問題が多く出されています。「気体の状態変化」に関する問題では、ピストンが上昇する速さを求める設問や、与えられたP-Vグラフに関して正しい文章を3つ選ぶ設問など、問題集ではあまり見かけないような問題が出題されています。

3.4 波動
近年出題されたテーマは、「弦の振動」、「ドップラー効果」、「波の性質」、「レンズ」、「光の屈折」、「波を表わす式」などです。
ドップラー効果の問題では、音源が円運動し、観測者とのなす角が微小の場合の計算をしなければいけませんでした。微小角の計算自体はヤングの実験などでなじみのあるものだと思いますが、ドップラー効果で使うといったことに戸惑った受験生もいたと思います。一つの考え方を他分野でも活かせるように一般化して自分のものにしておかなければなりません。
また、波の性質に関する問題では、正弦波のグラフが与えられていて、この正弦波の振動数として可能性のあるものをすべて選べという設問がありましたが、計算の方法だけ知っていて本質を理解していない受験生には完答出来なかったと思います。波動の分野に限ったことではありませんが、現象とそこで用いられる式との関係性を十分に理解しておかなければなりません。

3.5 原子
新課程になって2016年度に出題されました。テーマは「ミリカンの油滴実験」、「半減期」、「原子核崩壊」です。典型的で難易度の高くない問題なので解きやすかったと思います。今後の対策としては、単元全体の基本的な問題は解けるようにしておくことは大前提ですが、特に質量欠損を含む核反応のエネルギーの変化について理解して、考察問題にも対応できるようにしておきましょう。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

4.1 教科書内容の確認

教科書で扱われている現象の理解し、語句の定義を正確に覚え、公式の導出が確実にできるようになることが第一段階です。グラフや図などがある事項については、現象とグラフ、グラフと式の関係も自分のものにしましょう。公式の導出は自分でできるようになって下さい。その過程で物理現象をより深く理解でき、問題を解くうえで必ず大きな力になります。そして、自分で導出ができるようになったら答案を書くつもりで書いてみて、添削してもらうと良いでしょう。教科書以外にも例えば、

『橋元の物理をはじめからていねいに(力学編)』(東進ブックス)

『橋元の物理をはじめからていねいに 熱・波動・電磁気編』(東進ブックス)

などの参考書が、現象や公式の成り立ちについての理解を助けてくれるでしょう。

4.2 基礎問題で解法をインプット

教科書で学習した内容を実際の問題に使う練習です。まずは基礎的な典型問題をできるだけ短時間で解けるようになるのが目標です。この段階の問題演習には、

『物理のエッセンス 力学・波動』(河合塾)

『物理のエッセンス 熱・電磁気・原子』(河合塾)

『入門問題精講』(旺文社)

などを用いるのが良いでしょう。この段階では自分で問題を解く必要はありません(もちろん、解けるようであれば解いても構いません)。まずは「どのような状況設定の時にどのような解法を使うのかをインプットする」というところに重点を置きましょう。

『為近の物理1・2解法の発想とルール 力学・電磁気』(Gakken)

『為近の物理1・2解法の発想とルール 波動・熱・原子』(Gakken)

などもどのように問題を解くのかを丁寧に解説しているので参考になると思います。解答・解説をしっかり読んで、別解などもしっかりインプットしましょう。問題を見た瞬間に正しい解法が思い浮かぶようになればこの段階は終了です。

4.3 標準問題でアウトプットの練習

次の段階は、大学受験における定番の問題で実際に問題が解けるかを演習していきます。この段階の問題演習には、

『良問の風』(河合塾)

『基礎問題精講』(旺文社)

などを用いると良いでしょう。

基礎段階でインプットした解法を、入試標準レベルで正しく使うことができるようになることが目標です。この段階では必ず自分の手で解いてみて下さい。その時には基礎段階で身に付けた解法をどのように活用するのかを意識しながら解きましょう。問題を見た瞬間にどのような解法を使うのか最低1つは思い浮かべられない場合は前段階に戻った方が良いかもしれません。自分が思い浮かべた解法で解けない場合もあるでしょう。その時には解答を見て自分の考えに何が足りなかったのかをしっかりと分析してください。学校の先生など身近にアドバイスをくれる人がいるのであれば、ぜひ聞きに行きましょう。
 
以上の問題集が一通り終われば、東邦大学で出題されるほとんどの問題に対応することができます。時間的な余裕があるのであれば以下のような発展的な問題集にも挑戦してみましょう。原子分野と各分野における微小量や近似を含む問題は、東邦大学対策として意識的に取り組んでほしいと思います。

『名問の森 力学・熱・波動1』(河合塾)

『名問の森 波動2・電磁気・原子』(河合塾)

『標準問題精講』(旺文社)

『難問題の系統とその解き方』(ニュートンプレス)

『体系物理』(教学社)

4.4 過去問を用いた演習

最終段階は、実際に過去問を解いてみることです。赤本などを利用して時間を測りながら実際の入試のつもりで解いてみましょう。この段階のポイントは「時間を意識すること」と「問題を解く順番を意識すること」です。前段階までがきちんとできていれば、問題の解法自体は分かるはずです。あとは入試を突破するための実戦力を身に付けます。

実際の入試には制限時間があるので、まずは制限時間内に解くスピードを身に付ける必要があります。 次に、問題を解く順番も意識しましょう。実際の入試では「解ける問題から先に解く」というのが鉄則です。時間をかけて難しい問題を1問解くよりもまずは簡単な問題を短時間で5問解きましょう。実際に入試問題を解いた後に、問題の解く順番も最適だったかどうか確認してみましょう。自分が解いた解法が最短だったのかのかの確認も忘れずにしてください。
時間がある人は、実戦力と応用力を身に付けるために他大学の入試問題にも挑戦してみましょう。自治医科大学の入試問題は小問集合のみの形式ですが、東邦大学と比べて難易度は大きく変わりなく時間的な制約が厳しいので、良い練習となるでしょう。

この記事があなたの東邦大学医学部合格の手助けになれば幸いです。成功を祈っています。