目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 過去問・模擬問題を用いた演習

1. はじめに

東海大学医学部は、神奈川県伊勢原市にある私立大学医学部である。
難易度は医学部の中では入りやすい部類に属するが、それでも綿密な対策なしに合格できるレベルではないことは言うまでもない。各予備校ともに東海大学用の対策講座に力を入れているため、そういった面でも競争率は非常に高いものとなっている。
また、東海大学はたくさんのキャンパスがあるので、医学部があるのは伊勢原キャンパス(健康科学部や工学部もある)と確認しておきたい。伊勢原市は神奈川県のほぼ中央に位置し、大学ホームページには下記のメリットが書かれている。

緑あふれる伊勢原キャンパスには、さまざまな機能の整った学舎に最先端医療を駆使した付属病院が隣接しています。将来、医療に関わるスペシャリストを養成していく上で、理想的な「現場密着型キャンパス」といえるでしょう。
また、同じキャンパス内に健康科学部(看護学科・社会福祉学科)や、工学部(医用生体工学科/ 3・4 年次)も設置されているので学部間の交流も盛んに行われています。

(引用元:東海大学|キャンパスライフ

mtp-ec
苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
人気記事

2. 概要

2.1 試験日
一般入試
1次試験:2017年2月2日(木)、2月3日(金)
2次試験:2017年2月11日(土・祝日)、2月12日(日)
※試験日が複数日あり、受験日を自由に選択することができます。
・2日受験した場合は、合計点が高得点となる日の結果が合否判定に採用されます。
・採点は「標準化採点(偏差値採点)方式」で実施されます。
※2017年度の一般入試は終了しました。

2.2 試験範囲・試験時間
(試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列、ベクトル)
・理科:「物理基礎・物理」、「化学基礎・化学」、「生物基礎・生物」から1科目選択
・小論文(500字以内)
・面接

(試験時間)
1次試験
・数学(70分)
・英語(70分)
・理科(70分)※2科目選択
・小論文(30分)

2次試験
・面接(10~20分)
2.3 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(100点)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
1日目・2日目ともに大問5題のマークシート・記述の併用式である。この構成は2011年度以来変化していない。生体に関する出題だけで問題が構成されるような年もあれば、植物系統の問題が多く出題されるような年もあり、大問構成も単元ごとの出題比率も年度ごとに異なっている。全体的には、生体に関する問題でほぼ7割を占めている。計算問題は難しくないが、中には解き難い問題(特に論述問題)も課されるため、これらの要因が正答率が合否に直結してくると言える。

他大学にはない特徴としては、初見の問題が多く出題されることである。肝静脈やアナフィラキシーに関する問題が出題されたこともあり、多くの受験生が困惑したことだろう。毎年、問題文は長文であり生物に関する学力以上に読解力も必要とされるため、私立医学部の生物では難易度は高い方であると分析されている。考えさせる問題や考察させる問題が多く出題されているが、傾向としては比較的新しい研究内容に因んだ実験問題が多いと感じられる。日頃から新聞やインターネットを用いて新出の話題に触れておくとよいだろう。

試験時間は70分あるため、平均5題の長文形式(記述問題を含む)をこなさないといけないことを考えると、非常に難易度の高い問題であると言える。平均点は低いとされているものの、難しい問題と簡単な問題の取捨選択をきっちり把握できる判断力も必要になってくる。東海大の理科は2科目から1科目を選択し、成績は偏差値で換算される仕組みになっているので、どの科目を選択するかは合否を大きく分けることになる。化学や物理と比べると難易度に大きな差があり、難易度の高い生物・物理と比べると化学は易しくなっている。偏差値方式なので、生物は高得点を取る必要はないが、化学がとても得意である受験生にとっては生物を選択するメリットはあまりないように思える。1日目・2日目で問題の難易度や問題量ともに大きな差があるのも生物の特徴である。過去問を解いた感触と、上記の点を考慮して選択科目を選んで欲しい。2015年度、2016年度の場合、考察力が問われるような難度の高い問題は5大中2題となっている。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 細胞と分子
近年目立った出題はないが、2012年にはフックの顕微鏡やレーウェンフックの顕微鏡の図を選ばせる問題があり、非常に細かいところまで問われることが予想される。実際、この問題に手を焼いた受験生は多かったように思えるが、実は、この問題にある図は資料集に掲載されているものだった。

3.2 代謝
他大学でも、最近では出題数が減少傾向にある代謝であるが、東海大学ではよく出題されている。呼吸商の計算や代謝経路の細かい知識が問われることが多く、光合成までしっかり出題されている。計算が多い分野でもあるため、手を抜かずしっかりと学習してほしい。

3.3 遺伝情報の発現
考察実験の内容が非常に難しく、ヒトゲノムや三毛猫の話、黒色素細胞とがん化など面白い話題を題材にしたものが多い。しかし、考察問題に慣れていない受験生にとっては、難度の高い単元に感じるかもしれない。考察実験としても電気泳動やPCR法を織り交ぜたりしてくるため、実験の基礎知識も必要になってくる。

3.4 生殖と発生
出題頻度は低い。古典的な発生の問題に関する出題はほとんどなく、核の初期化、などの話題性に溢れた素材を問題文に使用している。遺伝情報の発現と同じような出題傾向にある。

3.5 遺伝
典型的な2遺伝子雑種や伴性遺伝が問われることは少なく、がん遺伝子やメダカの体色に関する問題など応用問題が必ず出題されているため、計算力以上に文章を適切に読む日本語力も試される形式になっている。長文での出題となるため、遺伝に関して言えばセンター試験に酷似したような出題と言える。

3.6 動物の反応と行動
東海大学では一番出題率の高い単元と言える。2016年に関しては、筋肉、肝臓、免疫が合計して大問3つで出題されているし、2013年も合計2題の出題となっている。その他の年度に関してもコンスタントに毎年1題出題されている。加えて、この単元は問われる用語のレベルが高いため、図説などを用いて知識を補強しておく必要がある。

3.7 植物の環境応答
2011年度以来、目立った出題がないが、傾向を見てみるとそろそろ出題されてもおかしくない間隔になっているため、注意が必要である。予想されるのは植物ホルモンや花芽形成に関する問題からの出題であろう。

3.8 生物の多様性と生態系
生態系、環境破壊、植物群落、個体群など、進化の分野と合わせて出題がある分野である。受験日程のギリギリになって対策するなどはしないようにしよう。資料集などで細かい知識を補強しておくとよい。近年出題がなかったが、2016年になって種間競争が大問1つで出題されているので、対策を怠らないように。

3.9 生命の起源と進化、生物の系統
地質時代や動物界の分類、系統樹の計算、ハーディーワインベルグの計算、生存曲線のグラウは頻出である。計算がメインの単元であるため、典型問題はしっかり消化しよう。単元は最後なので、それほど難易度の高い出題はされない傾向にある。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 用語・定義の確認
基本的な用語は教科書を読んでまとめておくとよい。一つの用語に関してまとめるよりも、その内容に関することをまとめておく方が応用力がつきやすいだろう。他の分野との関連性を意識すること以外に、グラフや模式図を書き出したり視覚を用いた学習も心がけよう。定義は単語を見た瞬間、瞬時に頭に思い浮かぶくらいまでにレベルアップしていってほしい。
また、体内環境や生態系に関する語句だけは資料集で細かいところまで学習しておくと差がつけられるようになるだろう。

参考書
・『チャート式 新生物、生物基礎』(数研出版)
・『大森徹の最強講義』(文英堂)
・『大学入試の得点源(要点)』(文英堂)
・『生物 知識の焦点』(Z会出版)
・『理解しやすい生物、生物基礎』(文英堂)
・『田部の生物基礎をはじめからていねいに』(東進ブックス)
・『生物基礎が面白いほどわかる本』(中経出版)

初学者は、いきなり問題を解き始めるよりも参考書や教科書を使って生物現象や用語の定着に努めるほうが効率的である。用語が定着した後は、問題集でアウトプットしていこう。リードやセミナーを使う際の注意点としては、いきなり発展問題などはやらずに、セミナーのプロセスやリードにあるリードBなど基礎問題の反復練習に努めるほうが効率がよい。これらの問題集の解説は簡素なことも多いため、教科書で調べたり、身近な先生などに指導をお願いするのもよいだろう。

問題集
・『基礎問題精講』(旺文社)
・『らくらくマスター 生物・生物基礎』(河合出版)
・『生物用語の完全制覇』(河合出版)
・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『リード light 生物 生物基礎』

■Step.2 実験、考察問題への取り組み
東海大学では、記述式の考察問題が出題されるため、step2が重要となってくる。近年の大学入試では、医学部にかかわらず考察問題を中心に問題が構成されることが多いが、東海大学では典型的な問題が少なく、問題文を読解する力が非常に重要となってくる。したがって、標準的な問題を数多くこなし、早い段階から重要問題集や標準問題集などの問題文の長い考察問題に取り組むようにしたい。1周目の取り組み方としては、しっかりリード文を読んで自分で考えて答えを導き出しで見ることである。この時点で完璧な答案を作る必要は全くなく、わからなかった問題は解答解説を理解することを心がけよう。

また、重要問題集や標準問題集は考察問題がメインであるが、この問題集は国立大学の問題を多く掲載しており、記述対策にもなるため東海大学の対策としても十分に役立つだろう。15~70字程度の比較的短めの論述を日頃から練習しておくことを念頭に叩き込もう。東海大学の生物の合否をわけるポイントは記述問題にある。

最後に余裕のある受験生は過去問に行く前に、考える生物100選を使ってみるのもよい。考察問題は重要問題集などと重複することもなく、傾向も似ているため良い練習教材になるだろう。難易度は東海大学よりも若干高めである。

・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『生物の良問問題集』(旺文社)
・『基礎問題精講』(旺文社)
・『生物重要問題集』(数研出版)
・『生物標準問題精講』(旺文社)

■Step.3 計算問題への取り組み
計算問題は、個別に対策しておく必要がある。セミナーやリードαなどの網羅系問題集にも計算問題は含まれているが、計算問題に対する網羅性はあまりよくない。

『大森徹の生物 計算・グラフ問題の解法』(旺文社)
『大森徹の生物 遺伝問題の解法』(旺文社)

東海大学は標準レベル以上の計算問題が毎年、数問出題されるため必ず個別に対策しよう。特に、遺伝、神経の伝導速度、ミクロメーター、浸透圧、塩基対数の計算、ハーディー・ワインベルグの法則、系統樹、生体系に関する計算などは頻出である。 公式を暗記することも大切であるが、公式の導出過程を理解し、忘れないような学習をしていくことが重要である。また、計算問題に関する注意点であるが、計算問題のみが記述であることが多いため、選択肢に頼ることができず、自力での完答が求められる点に注意しておこう。

■Step.4 過去問・模擬問題を用いた演習
Step1~3が終了したら、過去問を解き始めよう。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手してもよい。よく直前期になるまで過去問を解かずに取っておくという話を聞くが、step1を終えたころに一度過去問を解いてみるといいかもしれない。どういった単元が頻出しているのか、難易度はどのくらいか、ということがイメージしやすくなるだろう。

また、過去問を解くときには時間を計るようにしよう。いくら正答率が高くても時間内に解ききれなければ意味がないからである。記述問題はなるべく自分の手を動かして解答してほしい。実際に手を動かすことでしか、記述レベルは上昇しないことを忘れないでほしい。

最後に、年度によって難易度が違うことがあるため、過去問演習の際には、難易度の判断による時間配分の練習まで気を使って本番と同じ緊張感の中で演習をしていってほしい。
(参考)
東海大学|キャンパスライフ