目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向
  3. 出題の特徴
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 物理を知ろう:教科書レベルの知識の確認・復習
    2. 物理という名の道具を手に入れよう:教科書のより深い理解・公式の証明
    3. 物理という名の道具の使い方を学ぼう:受験標準レベルの問題演習
    4. 物理という名の道具を使う職人になろう:応用・発展レベルの問題演習
    5. 過去問・模擬試験を用いた演習

1. はじめに

東京大学の物理は全国の物理入試の中でも最難関に属するため、東京大学を目指す受験生は、正しい勉強法で確実な実力を養成することが求められます。物理の諸法則の表面的な理解では解答することはできず、教科書の演習問題がすべて解ける以上の実力を付けなくてはなりません。全問記述式なので、その知識を踏まえた上で普段から記述答案を書く訓練が必要となります。

多くの受験生は問題集を解く際、ノートなどに途中計算をメモしながら答えを出しているのではないでしょうか。しかしそのような方法をいくら繰り返しても、合格するための答案を書く力は身に付きません。問題を解く際には自分の考えを論理的に整理して、理路整然と書き出して表現することを常に心がけて取り組んで下さい。
それでは次に具体的な勉強法です。

1.解答の記述法
問題を解く際に「どの物理法則を利用したのか」「なぜその法則を利用したのか、利用できたのか」をしっかりと記述してください。また、単純な計算は記述する必要がないため、どこまでを記述しどこを省いていいのかを日ごろから意識するようにしましょう。

2.記述で高得点を取るための勉強法
記述問題は空所補充問題と異なり、問題で扱っている題材(物理現象)を自分でモデル化し、イメージをつかむことができなければ、高得点は取れません。
日ごろの勉強では、物理の諸法則を深く理解し、本質をしっかり理解することを心掛けてください。物理は様々な「なぜ?」に答えられなければ本当に理解しているとは言えません。物理を全く知らない人、つまり物理の公式などの知識が無い人に理解してもらうには、論理的にきちんと説明出来なければ全く伝わりません。常に勉強する際、「なぜ?」と自分に問いかけ、「物理をまったく知らない家族に説明できるか?」ということを意識しながら勉強しましょう。

3.微積分の活用
「物理の解法には、微積分を利用したくない」という受験生もいるようですが、東京大学を受験するには、微積分を利用する習慣を早めに身に着けたほうが有利だと思います。特に電磁気学の問題を解くにあたって微積分を使った方が分かりやすく、東京大学の過去問題集(駿台文庫から出版されている「青本」)は、解説に微積分を使っています。

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2. 概要

2.1. 試験日
2月25日
1限:国語
2限:数学

2月26日
1限:理科(物理、化学、生物、地学から2科目選択)
2限:外国語

2.2. 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験範囲)
物理基礎、物理
(試験時間)
75分(理科2科目で150分)
全問記述式です。

2.3. 配点
60点(理科2科目で120点)

2.4. 出題の傾向
・毎年必ず出題される分野・・・力学・電磁気学
・よく出題される分野・・・波動・熱力学
・今後出題が予想される分野・・・原子(新課程になり出題範囲に追加されたため)

また2014年の太陽電池に関する問題をはじめ、他の大学の過去問や、問題集には無いような目新しい問題がよく出題されるのも特徴です。だからと言って高校の範囲を超える知識がなくては解けない訳ではなく、物理の各単元を深く理解しているかを試す問題が出題されています。また、熱や波動では、実験の考察の問題も出題されています。各単元を深く理解していないために出題の意図が掴めないという受験生も多いので、各単元しっかりと理解を深めましょう。

3. 出題の特徴

3.1 力学
力学の本質は、「複数ある扱う対象の物体系を内界、外界に分けたとき、内界の物体の単位時間当たりの運動量の変化が(質量と加速度の積)、外界から加えられた力の総和である」ということです。これを聞いて、ぴんとくる人は、力学を深く理解していると言えます。これをあなたなら物理を知らない人にどう説明するか考えてみましょう。東京大学の物理を攻略するために必要なのは、このような基礎学力です。しかし基礎的とは、初歩的を意味しません。
一般的な易しいレベルの問題は、小問を1問目から解いていくと最終問題を解く頃には力学現象のイメージがつかめるようになっているので、誘導にうまく乗れば比較的簡単に解くことができます。しかし東京大学の問題は、扱っている題材の全体的イメージを自分で構築出来なくては、回答することが難しくなっています。

過去によく出題されているのは、「単振動」「衝突」です。どのような運動方程式がたてられたら単振動の運動となるのか、そのときの角振動数はどう表されるか、周期はどう表されるかを理解しましょう。以下の推奨問題集に加え、早稲田大学の過去問演習も有効です。

<知っておきたい、過去に出題された分野>
衝突は、「同じ質量の物体が弾性衝突するときには、速度を交換する」ということや、質点系を重心に対する運動と見る方法も理解しておきましょう。どちらも過去に出題されています。エネルギー保存則の立式も、演習を積み習得しておく必要があります。あなたなら、「エネルギーとは何?」と言われたらどう答えますか?

3.2 電磁気学
電磁気学で重要なのは、「荷電粒子が流れているのが電流」であるということです。また、電場と磁場の間の諸法則を理解するのが、電磁気学です。全く知識が無い人に「電場とは何?」「磁場とは何?」と問われたら、あなたはどう答えますか? 電磁気学の問題も力学と同様に現象をしっかり掴めていないとならず、小問を順に解いていれば理解ができるような設問にはなっていません。

<最も良く出される分野>
電磁気学で一番よく出題されるのは、電磁誘導です。ファラデーの電磁誘導の法則を正しく理解し、問題に適用する能力が求められます。また、コンデンサーに電荷が蓄えられる仕組み(静電誘導)やコンデンサーの極板間に働く力などは、必須の知識です。コンデンサーに関する問題は、余裕があれば、東京工業大学、慶應義塾大学の過去問演習も有効です。
ダイオードを扱った回路の問題も過去に出題されています。ダイオードの基本的な特性は理解しておきましょう。回路の問題では、キルヒホッフの法則が必須の知識になります。

3.3 波動
「波とは何?」言われたときどう答えますか? 「sin、cosの式で表されるもの」という回答では、理解不十分です。
波動に関しては、ホイヘンスの原理を正しく理解することが必須です。それを利用して、反射、屈折の法則を証明出来るようにしましょう。ホイヘンスの原理を利用した波動の証明問題も、過去に出題されています。力学・電磁気学とは逆に、波動に関しては、問題の誘導に乗っていくと理解し易い問題も結構あります。
教科書に出てくる、数々の光波の干渉(薄膜の干渉、ニュートンリングなど)は、干渉条件をきちんと証明出来るようにしましょう。
3.4 熱
「熱とは何?」「温度とは何?」と問われたとき、「熱さ、冷たさを表すもの」だけでは、本当に理解しているとは言えません。
熱に関する出題も、問題の誘導に乗っていくと理解し易い問題も結構あります。
過去に出題された問題で一番よく利用する知識は、気体の状態方程式と熱力学第一法則です。マイヤーの関係式、ポアソンの公式などは、きちんと証明出来るようにしましょう。
「熱機関が1サイクルでする仕事が、P-Vグラフで囲まれた面積になる」ということは、必須の知識です。また、気体の内部エネルギーを容器中の気体分子の運動から導くことも出来る必要があります。熱に関する問題は、早稲田大学の過去問演習も有効です。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

物理の具体的な勉強法を、4.1〜4.4の段階に分けて説明しています。受験生の現在の学習到達度によって、以下の流れで学習を進めてください。

(注1) 中高一貫の進学校などに通われてるなど高2終了時点で、数学が数Ⅲまで学習を終えている方。これから東京大学の受験に向けて、本格的に物理を学びたい方。あるいは、既卒生で、一度物理を受験科目として、受験した経験がある方については、以下の4.3から学習を進めましょう。

(注2)元々理系でなかった方、あるいは、物理を初学から学ぶ方は、以下の4.1から学習を進めましょう。その際、4.4に入るのは、数Ⅲの学習が終了してからが望ましいと思います。

4.1 物理を知ろう:教科書レベルの知識の確認・復習
まずは、物理の各単元の内容の大筋をつかみます。以下の本などを利用することをお勧めします。

「橋本の物理をはじめからていねいに 力学編」

「橋本の物理をはじめからていねいに 熱、波動、電磁気編」

4.2 物理という名の道具を手に入れよう:教科書のより深い理解・公式の証明
教科書に出てくる公式を自力で、説明、証明出来るようにしましょう。すべての法則、公式がなぜ導かれるかを説明出来るようにならなければ、東京大学の入試問題を解く学力は身に付きません。

これが理解できたら、教科書の演習問題を解いてみましょう。記述式の問題だと思って途中過程もあわせて解答してみて欲しいのですが、この段階では、答えが合っていればよいでしょう。このレベルがクリアー出来ている方は、センター試験の過去問演習をしてみて下さい。センター試験が80点以上とれた方は、次の4.3に移って下さい。

4.3 解法のブラッシュアップ
教科書レベルがしっかりと押さえられたら、大学受験の定番の問題集により演習を積みましょう。

「物理基礎・物理重要問題集」

この段階では、ただ答えが合っていればよいのではなく、わかりやすい記述答案になっているかどうかも意識してください。そのためには、解説と照らし合わせて確認することをおすすめします。このレベルの問題は、全問自力で解けるまで、解きなおしをしてください。
出来なかった問題で、解説を読んでもわからないものがあれば、その単元が完全には理解出来ていないということ。教科書を再度よく読み、その単元をしっかり理解することに努めてください。そして、「なぜ、解説はこのように解いているか」が本当にわかるまで、粘り強く考えましょう。「よくわからないから、この解法を覚える」というのは、一番良くない勉強法です。
この問題集で出題された問題は、すべて人に説明出来ると自信をつけられたら、次の4.4に移って下さい。

4.4 物理という名の道具を使う職人になろう:応用・発展レベルの問題演習
この段階で、実際の東京大学の入試問題のレベルと同等のレベルの問題を演習します。以下の問題集による演習をお勧めします。

「特ゼミ 坂間の物理」(旺文社)
(著者が亡くなっており古い本の為、書店では購入不可。インターネットの万能書店というサイトにて通信販売にて購入可能です)

この問題集で扱っている問題は東京大学の入試問題と同レベルなので、全問自力で正解出来なかったとしても、落ち込む必要はありません。じっくりと解説を読みましょう。
解説を読むと、物理の諸法則の理解が浅かったと気づかされるのではないでしょうか。このように、物理の各単元の表面的な理解では歯が立たないことを理解し、つまづいた問題をしっかり考えることが東京大学物理の対策には欠かせません。
この問題集の解説をしっかりと理解して自力で問題が解けるようになれば、あなたの物理の学力は、東京大学の入試に十分通用するレベルです。

本問題集の解説を理解する際に、以下の参考書を利用すると良いと思います。

「新・物理入門」

4.5 過去問・模擬試験を用いた演習
(過去問)
本の形式であれば、定番の赤本・青本に始まり沢山出ています。
・赤本(教学社)
・青本(駿台文庫)
・「東大の物理25カ年」(教学社)

(模擬試験の過去問)
駿台予備学校にて実施されている「東大実践模試」の過去問が科目別に出版されています。
・東京大学への理科(駿台文庫)

(参考)
東京大学|平成28年度東京大学入学者募集要項