目次

  1. はじめに
  2. 概要
    1. 試験日
    2. 試験範囲・試験時間・解答形式
    3. 配点
    4. 出題の傾向と特徴(概要)
  3. 出題の傾向と特徴(詳細)
  4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
    1. 用語・定義の確認
    2. 実験、考察問題への取り組み
    3. 計算問題への取り組み
    4. 過去問・模擬問題を用いた演習

1. はじめに

産業医科大学は、福岡県北九州市の私立大学である。卒業と同時に産業医の資格を取得でき、更新の必要もない。産業医学振興財団の助成を受けており、修学資金貸与制度があるため、これを利用すれば私立医学部の中ではかなり安い授業料で通学することが可能となる。平成28年現在では、6年間の合計額は30,490,000円であるが、修学資金貸与制度を利用すれば、実質負担額は11,296,800円となる(ただし、卒業後9年間、福岡を中心とした指定医療機関で働くことが条件となっている)。

入試は第一次試験と第二次試験に分かれており、一次試験は国語や社会を含めたセンター試験が課されている。そのため、実質的には国公立大学に類似しており、英数理に絞って学習してきた人には厳しい試験内容と言える。

近年では多浪性には寛容であり、30歳近い人なども多く在籍しているようである。実際は2浪が多いと言われている。

※産業医とは、労働者が健康で快適な環境のもとで働けるよう、専門的な立場から指導、助言を行う医師である。(本来、それ以外の医師は、日本医師会認定産業医制度に基づく基礎研修会を受講する必要がある。)

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2. 概要

2.1 試験日
一般入試
1次試験:2017年1月14日(土)/15日(日)
2次試験:2017年2月12日(日)
小論文、面接試験:2017年3月12日(日)
※2017年度の一般入試は終了しました。

2.2 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験範囲)
■1次試験
・国語:『国語』
・社会:「世界史B」、「日本史B」、「地理B」、「現代社会」、「倫理」、「政治・経済」、『倫理、政治・経済』 から1科目
・数学:『数学Ⅰ・数学A』および『数学Ⅱ・数学B』
・理科:「物理」、「化学」、「生物」、「地学」 から1科目
・外国語:『英語』、『ドイツ語』、『フランス語』、『中国語』、『韓国語』 から1科目

■2次試験
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B
・理科:「物理」、「化学」、「生物」の3科目から2科目選択。
・英語:「コミュニケーション英語Ⅰ」、「コミュニケーション英語Ⅱ」、「コミュニケーション英語Ⅲ」、「英語表現Ⅰ」、「英語表現Ⅱ」
・小論文
・面接

(試験時間)
2次試験
・数学(100分)
・英語(100分)
・理科(100分)※2科目選択
・小論文(120分)
・面接(一人約20分間)

(注1)「数学B」については、「数列、ベクトル」とする。
(注2)「理科」については、あらかじめ届け出た2科目を選択する。
(注3)物理は、「物理基礎」と「物理」を、化学は、「化学基礎」と「化学」を、生物は、「生物基礎」と「生物」を併せた範囲から出題する。

2.3 配点
1次試験
国語:60点
地公:60点
数学:60点
理科:60点
外国語:60点

2次試験
・英語(200点)
・数学(200点)
・理科(200点)
・小論文(50点)
・面接(合否判定の際に重視する。)

2.4 出題の傾向と特徴(概要)
産業医科大学の一般入試は標準問題で構成され、毎年大問数は4題で構成されている。難しい考察問題は出題されないが、考察問題の比率が増加傾向にあるため注意が必要である。考察実験の内容としては、最先端の実験をテーマに扱ったことが多く、実験結果を前もって知っておくのも対策としては有効であろう。記述問題に関しては、文字数の指定がないため、マーク式問題に慣れてしまっている受験生は戸惑うかもしれない。日ごろからポイントを絞った解答を心がけよう。

得点としては二次試験では70%の得点率があれば生物選択者のボーダーに入っていると思ってよいだろう。国立受験者が併願しているため、一次試験に関してはボーダーが非常に高くなっていると考えられる。

出題範囲は教科書の内容全体に渡っているが、ほとんどの年度が細胞、遺伝情報、生殖と発生、代謝などの非植物分野からの出題で構成されていることが本学の特徴的な出題パターンである。しかし、大問に複数の単元が融合されることもあるため、生物全範囲の幅広い知識と正確な理解が試されている。

計算問題に関してはあまり出題がなく、年度によっては全く計算問題が登場しないこともある。その中でもDNA合成における細胞数の計算や、腎臓、代謝、免疫に関するものがほとんであり、計算問題の比重が少ない大学であるといえる。出題構成に関しても題問1つが計算問題のみで構成されることは少なく、ほとんどが小問として独立して出題されている。対して描図問題が多いため、図説を使って日頃からグラフや表を意識して学習しておこう。

3. 出題の傾向と特徴(詳細)

3.1 細胞と分子
新課程にでてくるような細胞接着や細胞骨格の問題が出題されることが多い。また、動物細胞の組織やミクロメーターの計算、細胞分画法が出題されている年もある。実験系の話題が多いので、標準レベルのテキストを用いて考察問題中心の対策をしておく必要がある。最近、他大学でも出題の多い体細胞分裂や分裂の阻害剤、同位体による標識に関する出題も増加していくだろう。

3.2 代謝
2、3年の間隔で定期的に出題がある。いずれも酵素(タンパク質)からの出題が多く、次いで代謝経路に関する問が多い。いずれも難易度的には標準レベル~易であり、取りこぼしはできない。テキストや問題集に載っているような実験考察問題が多いのでしっかり対策をしていれば問題なく完答できるだろう。

3.3 遺伝情報の発現
最も頻出する単元であり、必ず対策したい分野。ほぼ毎年、必ず1題は出題されたいるため、しっかりとした対策が必要となる。DNA 複製や転写、翻訳に関する問いやバイオテクノロジー、遺伝子の転写調節の分野が毎年のように出題される。スプライシングの過程や遺伝子の組換え実験は頻出である。細胞や遺伝と関連させた問題が多いため、融合問題の取り扱いに慣れておこう。

3.4 生殖と発生
2年に一度の間隔で出題がある分野である。発生と器官形成、動物の配偶子形成、ホメオティック遺伝子など様々である。旧課程同様、考察問題が出しやすい分野であるが、考察実験そのものの数は少なく、対策しておくと実験結果と解答が容易に想像できることが多いので学習はしやすい。

3.5 遺伝
産業医科大学の遺伝は標準的なものが多いため、典型問題による学習を怠らなければ、確実に満点をとれるだろう。新課程に移行してからは遺伝の分野が縮小されたので、今後も出題頻度としてはそれほど高くならないと思われる。

3.6 動物の反応と行動
筋肉や神経がよく問われる。医学部らしくこの分野での出題率は高いため、他の単元以上に網羅的な対策が必要となってくる。例年、一単元で独立した出題は少なく腎臓とホルモン、など融合問題が多いのも特徴的である。図説を使い、視覚的なインプットもできるような学習をしよう。

3.7 植物の環境応答
あまり出題されない単元である。ここ数年での出題はなく、非生体系では学習の優先順位を後回しにしてもよいだろう。

3.8 生物の多様性と生態系
あまり出題のない単元であるが、受験日程のギリギリになって対策するなどはしないようにしよう。資料集などで細かい知識を補強しておくとよい。年度によっては出題されたことがある。学習の優先順位としてはあまり高くないといえる。

3.9 生物の起源と進化、生物の系統
非生体系の中では、最もよく出題される単元である。遺伝と絡めて、ハーディーワインベルグの法則が出題される。動物界や植物界を筆頭に用語はもちろんのこと、分子時計などの計算も練習しておきたい。

4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介

■Step.1 用語・定義の確認
2015年度より、新教育課程での実施となり、出題範囲は生物基礎・生物になっている。産業医科大学は標準的な問題が多い。合わせて図を判断する問題など、図やグラフに対しても苦手意識がなくなるような学習を心がけよう。基本単語は、問題を見た瞬間にアウトプットできるまでにブラッシュアップしてほしい。しかし、それ以上に重要なのは正確な定義の暗記であるので、単語の丸暗記ができたら、そのまま点数に反映するとは限らないことをしっかり覚えておこう。
参考書
・『チャート式 新生物、生物基礎(数研出版)』
・『大森徹の最強講義(文英堂)』
・『大学入試の得点源(要点) (文英堂)』
・『生物 知識の焦点(Z会)』
・『理解しやすい生物、生物基礎(文英堂)』
・『田部の生物基礎をはじめからていねいに(東進ブックス)』
・『生物基礎が面白いほどわかる本 (中経出版)』

初学者は、いきなり問題を解き始めるよりも参考書や教科書を使って生物現象や用語の定着に努めるほうが効率的である。用語が定着した後は、問題集でアウトプットしていこう。リードやセミナーを使う際の注意点としては、いきなり発展問題などはやらずに、セミナーのプロセスやリードにあるリードBなど基礎問題の反復練習に努めるほうが効率がよい。

問題集
・『基礎問題精講(旺文社)』
・『らくらくマスター 生物・生物基礎(河合出版)』
・『生物用語の完全制覇(河合出版)』
・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『リード light 生物 生物基礎』

■Step.2 実験、考察問題への取り組み
ここからは、標準問題を軸に実際の考察問題を解いていくことになる。産業医科大学の入試問題では、考察問題を中心に問題が構成されることが多いが、実験結果が予測できるようなものばかりである。したがって、対策としては難しい考察問題を闇雲に解くのではなく、標準的な問題を数多くこなし、実験概要と結果をしっかり記憶しておくことである。時間の短縮につながるだけでなく、予測しながら解答をしていくことができるようになるため精神的にも安定する。普段から考察問題をこなしていく上で、ノートなどに実験結果をストックしていくとよいだろう。1周目の取り組み方としては、しっかりリード文を読んで自分で考えて答えを導き出しで見ることである。この時点で完璧な答案を作る必要は全くなく、わからなかった問題は解答解説を理解することを心がけよう。
また、重要問題集や標準問題集は考察問題がメインであるが、論述の練習が必須である。字数制限の有無によらず、文章を簡潔にまとめる力は必須である。この問題集は国立大学の問題を多く掲載しており、記述問題の対策にもなるため、必ず一冊は解くようにしよう。一人で添削ができない受験生は先生にお願いして添削をしてもらってほうが上達は早いであろう。

・『セミナー 生物』
・『リードα 生物』
・『生物の良問問題集 (旺文社)』
・『基礎問題精講 (旺文社)』
・『生物重要問題集(数研出版)』
・『生物標準問題精講(旺文社)』

■Step.3 計算問題への取り組み
計算問題は、個別に対策しておく必要がある。セミナーやリードαなどの網羅系問題集にも計算問題は含まれているが、計算問題に対する網羅性はあまりよくない。

・『大森徹の生物 計算・グラフ問題の解法(旺文社)』
・『大森徹の生物 遺伝問題の解法(旺文社)』

産業医科大学は基本的に、計算問題があまり出題されておらず、難易度も標準的なので特に個別に対策が必要というわけでもない。上記二つの参考書を提案しているが、セミナーやリードにある典型的な計算問題を網羅できれば、本番や過去問演習で困ることはまずないであろう。

■Step.4 過去問・模擬問題を用いた演習
Step1~3が終了したら、過去問を解き始めよう。過去問は、できれば夏明け辺りから始めたいところである。もちろん、もっと早い段階で実力がついていれば、過去問に着手してもよい。よく直前期になるまで過去問を解かずに取っておくという話を聞くが、step1を終えたころに一度過去問を解いてみるといいかもしれない。どういった単元が頻出しているのか、難易度はどのくらいか、ということがイメージしやすくなるだろう。
また、過去問を解くときには時間を計るようにしよう。いくら正答率が高くても時間内に解ききれなければ意味がないからである。