都心のワンキャンパス内に全ての学部・学科があり、大学名がそのまま駅名になるほど地域に深く根ざしている駒澤大学。国内でも数少ない、本格的に仏教を学べる大学としても知られています。
古くから伝わる日本の伝統を大切に伝承する一方、昨今新設が相次ぐグローバル系統の学部を10年前に創設するなど、他よりも早く世界に目を向け果敢なチャレンジを続けている大学でもあります。今回は駒澤大学入学センター・入試広報課の山下純平様と入試企画係・武田享也(ゆきや)様に駒澤大学のお話を伺いました。

編集部:駒澤大学というとやはり仏教のイメージが強いのですが、文学部や法学部などはもちろん、診療放射線技師養成に特化した医療健康科学部や、グローバル・メディア・スタディーズ学部など、ユニークな学部が色々あることに驚きました。こういった様々な学部が一つのキャンパスで学んでいる、というところが駒澤大学の特徴と言えるでしょうか。

山下様:そうですね。駒澤大学の一番の特徴はやはり、都心での「ワンキャンパス」だと思います。現在7学部と8つの大学院研究科があり約15,000人がここ駒沢キャンパスで学んでいます。他の大学のように低学年と高学年とでキャンパスが分かれてしまうと、1年生は4年生の生活や頑張っている姿が見えづらかったりしますよね。

駒澤は1年生のうちからキャンパスでサークルの先輩が就職活動を頑張っている姿などを見ているので、大学生活の4年間を具体的にイメージしやすく、縦のつながりもとても強いと思います。また、様々な交流から入学後にそれまで知らなかった学部の勉強に興味を持つ学生も多いので、3年生からは他学部の授業の履修も一定の範囲で認められています。

学部や学年、生まれ育った環境も異なる「多様な学生が一堂に集い刺激し合う」、これが駒澤大学の大きな魅力だと思っています。

mtp-ec
苦手だった英語でほぼ満点を取って国立千葉大学医学部に現役合格した話。
人気記事

編集部:仏教学部やグローバル・メディア・スタディーズ学部など特徴的な学部について詳しくお聞かせください。まず一番印象が強い仏教学部ですが、禅学科と仏教学科はどのように異なるのでしょうか。またこちらの学生さんはやはりお寺のご子弟がほとんどなのでしょうか?

山下様:仏教学部は、1・2年次は学科の区別はなく、仏教全般を基礎から幅広くしっかりと学び、3年次から学科に分かれます。禅学科では曹洞宗の開祖である道元禅師や瑩山禅師の教えをはじめとした日本の禅、中国の禅について学びます。一方仏教学科は、禅にこだわらずにインド・チベットや、中国、朝鮮、日本など、アジアをはじめ世界で発展した仏教を一つの「学問」として体系的に学びます。

1882年の開校当初とは異なり、現在は寺院の子弟だけでなく一般学生も多く学んでいます。卒業後は曹洞宗の僧侶になる者もいれば、公務員や教員になったり、一般企業に就職する学生も多くいますよ。

編集部:仏教を学んで一般企業に就職するというのも意外な感じがしますが、仏教を純粋な一つの学問として捉えると理解できます。他学部の学生さんには、仏教学部がある大学ならではの仏教との関わりはあるのでしょうか。

山下様:駒澤大学では全学部の学生が1年生の必修科目として「仏教と人間」という授業を受けます。これは単なる仏教の知識や歴史を学ぶものではなく、仏教や禅の考えを参考にしながら自分自身の人生の意味やあり方を考察していく授業です。また学内に坐禅堂があり、仏教学部以外の学生を対象とした坐禅の授業も行われていますが、人気があって毎年抽選になるほどです。

大学4年間で一番自分自身と向き合わなくてはならないのは、就職活動の時期だと思います。そこで、自由参加ですが、就職支援プログラムの一つとして坐禅を組み込んでおり、こちらも大人気のようです。実際に参加した学生にアンケートを取ると「面白かった」という意見が多く、中には「自分自身のくすみが取れた」なんていう感想もあるんですよ。

禅文化歴史博物館(内部)

禅文化歴史博物館(内部)

編集部:不安や焦りなど色々な感情が押し寄せる就職活動期に、坐禅を組んで自分自身と向き合う機会があるというのは仏教学部を擁する駒澤大学ならではですね。また、就職活動で話してもとても興味を持ってもらえそうです。次に、グローバル・メディア・スタディーズ学部についてお聞かせください。

武田様:グローバル・メディア・スタディーズ学部はこの春で11年目を迎えます。ここ数年「グローバル」という名がつく学部があちこちで新設されていますが、グローバルと名乗ったのは私たちが一番初期ではないでしょうか。学部を立ち上げるまでには準備期間も必要で、15年ほど前から日本のグローバル化に向けて「大学にできることは何だろう」と様々な構想を練ってきました。その探求は今も続いています。

編集部:他の大学と違い、「メディア」という単語が学部名に含まれているところがとても特徴的に思います。インターネットなどをはじめとした、世界中のメディアを学ぶことが目的なのでしょうか。

武田様:インターネット、という新しいメディアの存在によって世界の垣根が一気になくなり、そのスピードが今もどんどん加速していることは言うまでもありません。一方で古くからある新聞やラジオ、テレビといったメディアも私たちの生活に影響を及ぼします。

国内外のこのような新しいメディア、既存のメディアの両方から自分自身で必要な情報をしっかりと選び取り、情報を活用させるリテラシーを身に着けることがグローバル・メディア・スタディーズ学部の目的です。具体的にはメディアリテラシーやインターネットの世界規模での役割、コンテンツデザイン、制度などを学びますが、単に “スキル” として覚えるのではなく、将来自分自身が使いこなすための “心構え” として学んでほしいですね。

玉石混合の中からしっかりと “玉” だけを選び取ってほしい、というのが大学側の想いです。

komazawa4

編集部:インターネットの規制は国によっても大きく異なりますし、そういった前提を知らないと大きなトラブルになりかねません。将来国外へ出ていく学生さんには必須の知識と言えますね。こちらの学部に入学する時点で海外を視野に入れている方が多いと思いますが、語学の授業や留学単位交換などの仕組みはどうなっていますか?

山下様:グローバル・メディア・スタディーズ学部の学生は、1,2年生の間に英語を徹底的に鍛えます。高校までは読み書きを中心に学ぶため、日本人が苦手になりがちなコミュニケーション能力、リスニング能力を外国人教員による少人数の英語授業でしっかりと向上させて、本当に使える語学を身に着けてもらおうと考えています。もちろん、リーディング&ライティング能力にも力を入れています。

留学制度としては、一年間の交換留学や短期語学セミナーを設けており、協定校はアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、スペイン、オーストラリア、中国、韓国、台湾に計13校です。これらはグローバル・メディア・スタディーズ学部に限った制度ではありませんが、入学当初から目が国外へ向いているグローバル・メディア・スタディーズ学部の学生は多く活用していますね。

交換留学は駒澤大学での学費が減免されたり、派遣先大学での授業料が免除されたりとリーズナブルである一方、現地の大学ですぐに授業に参加できる語学力などかなりのレベルが要求されます。そこで期間も短く大学の休み中に数週間から1か月程度、語学力を磨く短期語学セミナーを利用している学生も多くいます。この他、学部独自に海外での学修活動を単位認定する留学制度も設けています。

深沢キャンパス

深沢キャンパス

編集部:大学の授業も含め、それだけ英語を学ぶ環境が整っているのはとても恵まれていると思います。1,2年で語学の基礎を固めた後はどのように進んでいくのでしょうか。

武田様:2年次、3年次と選択できる科目が広がり、“メディア”、“グローバル”を主体に、経営学、経済学、コミュニケーション学など、学際的な学びに発展していきます。ここでは、単に「英語が使える」というだけではなく、英語力を基盤に何を学びたいのか、将来何をしたいのかを結びつけて履修していくことが理想だと思います。

また、グローバル・メディア・スタディーズ学部は、他学部と比べると生徒のタイプが違いますね。個性的で活動的な生徒が多く、卒業後の活躍の場も様々です。女性には語学力や知識をいかして、客室乗務員なども人気がありますね。

編集部:それでは最後に、受験生へのメッセージをお願いいたします。

山下様:大学は学ぶところであり、自分が学びたいと心から思える学問に出会えることが大学生活で一番の幸せです。大学でしっかりと自発的に学んだか、探求したか、ということは就職活動でも一番問われることなので、「自分が学びたい学問を学べる学科に入る」ということが、大学生活を成功させる一番のポイントだと思います。
受験生の皆さんは、単なる偏差値だけではなく、大学4年間やその先も考えてしっかりと「学びたいこと」を選んでください。

武田様:長い人生の中でも大学生活は、もっとも自由でもっとも有意義に過ごせる4年間だと思います。しかし高校生までの時と同じ感覚で受動的に何かを待つだけだと、あっという間に何も得るものがないまま学生生活が終わってしまいます。高校生のうちから、「自分で考える」「自分で動く」ということを心掛けてみてください。それが身につけば、とても充実した4年間が過ごせると思います。

武田様(左) 山下様(右)

<編集後記>
最近東京近郊の大学の「都心回帰」「ワンキャンパス化」の流れが顕著で、18歳人口が多かった20年以上前に郊外につくられたキャンパスが閉鎖され、一つにまとまる動きを見せています。そんな中で駒澤大學は、都心にありながら学年や学部で校舎が分断されなかった数少ない大学です。この「ワンキャンパス」の利点を最大限に利用し、2015年11月には初めての「学生シンポジウム」が開催されました。

これは経済学部・経営学部・法学部・グローバル・メディア・スタディーズ学部と日頃授業で交わることがない他学部の学生が、一つのテーマをそれぞれ学んだ視点から討論するという試み。学生主体で行われ、学問的なことはもちろん、学部横断で一つのイベントを成功させるという意味でも大いに盛り上がったそうです。

取材当日に袈裟を着た外国人留学生が歩いていたのも印象的でしたが、グローバル化が進み外へ出る機会が増えるからこそ、日本人の文化に根差した仏教を知るということは大切なのだと思いました。

komazawa9

山下様、武田様、お忙しい中ありがとうございました!